お題「20歳」「童謡」「車中泊」
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他人が見た夢の話 @from_earl

首都の全機能が停止したその夜、気が付くと私は郊外の巨大ショッピングモールまで車を走らせていた。駐車場で、初めての車中泊。特に冷房も暖房も要らない時期なので、別に部屋に居られないわけではなかった。なのに、来た。ふとあの童謡の一説がよぎる。「まちのねずみはひとりがただこわくてー」

2018-04-28 21:23:37
Rabi @Rabi_lowrin

成人の儀。夕火の刻より森へ往く。ヴォーパルの剣を手に取りて、打ち倒すべくはジャバウォック。怒めきずりたる獣の音と、嘶き迷う弱ぼらしき馬車。これはかの御伽に準えた、若き男への試練也。暴なる想いに怯えつつ、脚を留めるは星の海。眠る馬で包む躰、艷めく銀その手に抱きて、沈む夢こそ郷遠し。

2018-04-28 22:00:00
Ryoma NAKAMURA @t88dc

「星を見に行こうよ」 君は突然そう言った。急にどうした?って聞くと「20歳になったから大人っぽいことしたくて」と言う。 やれやれ仕方ない。「車中泊でいい?」には「いい!」と即答。無邪気なもんだ。「天体観測」なんて歌ってる。童謡とはおさらばか。 ……途中で寝るなよ、寂しいじゃねぇか。

2018-04-28 22:00:53
津森七@文学フリマ京都い-36 @tumori_nana

遠くへ行きたいと懇願したら、君は東北へ車を走らせた。真夜中の車内、かすかな歌声で目を覚ます。《あかいめだまのさそり ひろげた鷲のつばさ》…。童謡を口ずさむ二十歳の男があんまりかわいくて、私はこっそりと泣く。こんなに近くにいるのに、君を崇拝しすぎて途方もない距離を感じている。

2018-04-28 22:01:07
花滝ちかる @chikaru_toka

隣の家のお兄ちゃんの、花嫁さんになるのが夢だった。 お兄ちゃんは「大人になっても君が覚えていたらね」と笑った。 忘れてなんか、あげないんだから。私は、20歳の誕生日に言った。 「もう、お兄ちゃんって呼ばないわ」 貴方は驚いた顔をして、でもそっと私の薬指にキスを落とした。 #140字小説

2018-04-28 22:01:55
秋月蓮華 @akirenge

二十歳のある意味節目。私は旅に出ようと 適当に場所を選んで車で出かけた。夜になり車中泊をする。 眠ろうとすると聞こえてきたのは童謡で。 「何」 ぼんやりと見える透けている子供達、私は慌てて毛布を被る。 (ホラーだ……) 旅、忘れられないものになりそう。 #深夜の真剣140字60分一本勝負

2018-04-28 22:07:11
夢夜 @ruya_reve

21歳の誕生日を迎えて成人と認められるこの国では、先日20歳になった俺も法律的には子どもにあたる。 早く大人になってお前を守れるようになりたいけど、それまでに──つまりあと1年で、俺はお前に相応しい男になれるんだろうか。 初めて会ったあの日からお前を想う気持ちだけは変わらないけれど。

2018-04-28 22:07:39
夢夜 @ruya_reve

母の国では20歳で成人と認められるから、貴方は私からすればもう大人といえる。 そうでなくても半年後には私が、来年には貴方が、21歳に──成人になる。そうなれば2人の間にある身分の差は無視できない。 あと1年、いえ、半年でいい。 子どもでいられる間は、貴方のそばにいさせてください。

2018-04-28 22:08:47
夢夜 @ruya_reve

少し寂しげな、美しい旋律。 「それ、なんて歌?」 「母の国の童謡ですよ」 「ふーん……綺麗な曲だね」 お前の透き通るような声で歌われているそれは童謡というより祈りのように聞こえた。 その声で愛を打ち明けられたら俺は…… 急に湧き上がった欲望を抑えるために、俺も懐かしい童謡を口ずさんだ。

2018-04-28 22:09:42
夢夜 @ruya_reve

懐かしい童謡を口ずさんでいると、貴方に声をかけられた。 「それ、なんて歌?」 「母の国の童謡ですよ」 「ふーん……綺麗な曲だね」 そう言った貴方は、明るく胸が踊るような曲を歌い始めた。 貴方の声は感情豊かで、例えるなら色鮮やかな絵のようだ。 もしその声で愛を囁かれたら、私は、私は……

2018-04-28 22:10:35
はろ(葉露) @c_to__b

ハタチを迎える夜、私はひとりで部屋にいた。彼氏はおらず友達も私の誕生日なんか覚えていない。 「自分の思ってたハタチじゃないな」小さく呟くと涙が溢れそうになった。 0時を回る。不意にインターフォンが鳴る。驚いたが出てみると仲のいい男友達だった。私は堪らず泣いてしまった。

2018-04-28 22:11:08
七草 @nax2kusa

成人の日を迎えた若者達に一体何が……。 本日――で発見された車の内から――の遺体が発見されました。 情報によると一人は白の、もう一人は赤い着物姿で――。 発見当時、車のエンジンはかかったままでオーディオからは童謡のような歌が――。 おくれやおくれ おひとつ おくれ 頭すげかえ 紅無垢かぶれ

2018-04-28 22:20:38
Shijimi @PAGvariety

スローバラードに憧れていたのか20歳の頃2人で車中泊したことがある。市営グラウンドではなく誰もいない真冬の海水浴場の駐車場で。寒いだけで会話も途切れ、沈黙の助手席に疲れた私は後ろの席に移動して毛布にくるまった。ロクな思い出ではないと思ったいたけれど、今思えば懐かしくて胸が苦しい。

2018-04-28 22:21:01
安津 るり @Ruri__anzu

「20歳記念に、皆でどっか旅行いこう!」 そんな一言で、仲良し4人組の無計画な旅行が始まった 移動手段は車。それ以外は何も決めずに走り出す そして、どこに着くこともなく夜を迎えた もちろん辺りに宿など無く、車中泊を余儀なくされた こんな状況に呆れながらも、この時間を楽しんでいる自分がいた

2018-04-28 22:30:15
溜依 @monokaki_rui

童謡を口ずさむ。 かごめかごめ、籠の中の鳥は…。 「体が弱くて死んじゃった!」 振り向くと、何処かで見た事のあるおかっぱの女の子が笑っていた。そうだ、幼い頃熱でうなされた時に度々。 「残念だったね。貴方の後ろの正面はわ、た、し、死神です!」 そうだ、私は20歳までに死んじゃうんだった。

2018-04-28 22:51:07
貴志田圭 @kishidakei_

20歳は大人と子供の境目だと思う。大人になったつもりで、バーで出会った社会人と話していて終電を逃した。彼は車で来たくせに飲んでいた。泊まってきなよ、と車を指され大人みたいだとドキドキしたが、車で彼が嬉しそうに流した童謡を聴いた途端に熱が覚めた。私は子供にしか見られていなかったのだ。

2018-04-28 22:55:04