テリオンとサイラスが片想いしてお付き合いするまでの100日妄想小説。 あらゆる公式・国・法人・団体とは無関係です。
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1~7日目 片思いのかけらもない頃

えつ @etsutcxxx

#100日後に付き合うテリサイ 8人の旅の目的が一度果たされたあと、誰かが言い出してまた旅をすることになった。全員が共にいられる時間には限りがあるとわかったからこその旅だ。今度は思い出を作る旅にしよう、と誰かが言う。「どこに向かおうか」と学者が振り返る。「好きにしろ」盗賊は肩を竦めた。

2022-12-28 00:08:59
えつ @etsutcxxx

#100日後に付き合うテリサイ ウッドランドの森道は久しぶりに歩く。忘れがちだがこの地域は小雨が振りやすく、ぬかるみが多い。ラットキンの矢がこちらを向くのも構わず大火炎を呼んだとき、ずる、と足元が滑った。背中を打ち付ける覚悟をしたが、強く腕を引かれて事なきを得る。「鈍ったもんだな」

2022-12-28 20:36:00
えつ @etsutcxxx

礼を言う暇もくれず、盗賊が前に出る。煙を燻らせながら悶える魔物を短剣で絶命させ、息をつくに合わせて血を払った。「助かった。ありがとう」頬についた血を指してハンカチを差し出せば、ふん、と言うだけ言って彼は素直に受け取った。

2022-12-28 20:36:00
えつ @etsutcxxx

#100日後に付き合うテリサイ 誰だ、普段はやらないジョブを担おうと言い出したやつは。盗賊は慣れない茶色の鞄から包帯を取り出し、今し方消毒を済ませた腕に丁寧に巻く。「終わったぞ」「ああ、上手いものだね。ありがとう」学者はしげしげと手首の包帯を眺めたあと、捲っていた袖を直し、

2022-12-30 20:57:24
えつ @etsutcxxx

毛皮の上衣を羽織った。「……はは、あまり嬉しくなさそうだ」「後方支援ばかりだからな」「たしかにキミはこれまで前衛であったから、物足りないかもしれないが」学者は控えめに笑う。「それでも、戦える仲間が後ろに居てくれるのは、頼もしいものだよ」発想の真新しさに僅かに目を見開いて、

2022-12-30 20:57:24
えつ @etsutcxxx

ややあって、言葉を探した。「……次は気を付けろ」「勿論だとも」

2022-12-30 20:57:25
えつ @etsutcxxx

#100日後に付き合うテリサイ 四日目。 学者以外の技術に触れてみるのは、新しい本を手に取ったときのような高揚感がある。この日、学者は盗公子の加護を受け、盗賊の後ろ姿をじっと観察して過ごしていた。「いい加減にしろ」見つめられることに耐えられなくなったらしく、とうとう盗賊が音を上げる。

2023-01-03 22:56:02
えつ @etsutcxxx

昼食も食べ終えた昼下がり。赤崖を背景に、樽の上に空のジョッキを置いた盗賊は、今なお、ジョッキの置き方はこうかと真似する学者の片手を掴んで言う。「見て盗めとは言ったが、限度がある」「では、教えてくれるのかい?」長い沈黙の後、舌打ちをされたので学者は首を傾げた。

2023-01-03 22:56:03
えつ @etsutcxxx

「いつ盗むのか分からないのだから、キミについていくのは自然なことだろう?」「わかったわかった、あんたには特別に対応してやる」ぱっと手を離したかと思えば、学者の額を弾く。「盗むな。あんたには向いてない」「……しかし、魔物相手ならば少しは」「それなら今教えなくても良いな?」

2023-01-03 22:56:03
えつ @etsutcxxx

あ、と気付いたときにはもう遅い。ニヤリと盗賊が不敵に笑ったのは一瞬のこと、置いていかれた学者は肩を竦めて、酒場の主人に酒を一つ頼んだのだった。

2023-01-03 22:56:04
えつ @etsutcxxx

#100日後に付き合うテリサイ 「お二人は、宿で休んでいてくださいね」神官にそう言い渡されると、大人しく頷くしかできない。「……キミはともかくとして、私は話をしていただけなのだが……」「一人だけ言い逃れするつもりか?」未だ納得のいかない様子の学者に、盗賊はため息を返した。

2023-01-04 22:29:39
えつ @etsutcxxx

場所はセントブリッジ。聖火の灯る町の一つにして薬師においては苦い思い出の残るこの町で、二人は今し方町中で悪評を轟かせたばかりであった。聖火教会に属する神官をもってしても町人の態度は軟化せず、話し合いの末、人心掌握に長けた酒場の主人に賄賂を渡して解決するこ

2023-01-04 22:29:39
えつ @etsutcxxx

ととなったのだ。 「寝るのかい?」ベッドに横になった盗賊へ、窓際に立った学者が問う。「他にすることもないんでね」盗賊の言い分は最もだ。今回ばかりは学者も言い返すことはなく、素直に倣って向かいのベッドに腰掛けた。「退屈なら、昨日読み終えた本の話でもしようか?」「寝ろ」

2023-01-04 22:29:40
えつ @etsutcxxx

#100日後に付き合うテリサイ 誤解が解かれるまで時間が掛かるだろう、と、翌日になっても二人は宿で待機となった。「8000リーフか」それは、トレサから聞かされた賄賂の金額だ。ぽつりと唱えた学者を一瞥して、盗賊は頬杖をつく。「装備でも売れば手に入りそうな金額だな」

2023-01-05 22:05:59
えつ @etsutcxxx

「しかし、売りに出せるような余分な装備は持っていない。高価なものといえば精霊石くらいか」口元を隠すようなお決まりの姿勢を取った学者と、それに背を向けたまま溜息だけをつく盗賊と。二人、考えたことは一致していた。「今日、皆の予定はなんだったかな」靴音を立てて学者が振り返る。

2023-01-05 22:05:59
えつ @etsutcxxx

「いつも通り、人助けだろうな」「であれば、酒場に集まるのも夜になる。……テリオン、近郊に丁度いい屋敷があるのだが、少し働かないか?」「報酬は」「仕事終わりの一杯は奢ろう」盗賊が立ち上がり、学者を追い抜き扉へ向かう。左右を確認、それから学者の手首を掴む。「遅れるなよ」

2023-01-05 22:06:00
えつ @etsutcxxx

扉を開くや、二人は急いで町の外へと出ていった。

2023-01-05 22:06:00
えつ @etsutcxxx

#100日後に付き合うテリサイ 回収した8000リーフはセントブリッジを発った後、さりげなく商人の持つ財布の中に戻された。魔物との戦闘を避け、ゆったりと川辺を歩くうちに日は暮れる。この日、一行はリバーランドとサンランドの境にあたる大橋の近くで野営をすることに決めた。

2023-01-07 00:01:11
えつ @etsutcxxx

火種になるものを探し、落ちていた枝を集めて火をおこす。買っておいた干し肉や果実を夕飯とし、足りない者のために軽いスープが作られた。腹が満たされると後は交代で休む時間となる。焚き火だけなら一人で十分だが、何かあったときのために基本二人一組で行動する。 皆が寝静まり、虫の声が

2023-01-07 00:24:40
えつ @etsutcxxx

騒がしい夜半時、学者は徐ろに武器を磨く盗賊へ声を掛けた。「昼間のことだが、よく考えたね。魔物から盗ったふりをしてリーフを渡すとは」「そのまま渡せば昨日抜け出したことがバレるからな」「……確かにね」学者はそれで話を終えたつもりのようで、手元に鞄を引き寄せ、本を取り出した。

2023-01-07 00:24:40
えつ @etsutcxxx

「今日のことは内密に頼むよ」その一言に盗賊は手を止めたが、反対に学者は読書を始めたようだった。少しの間睨んでみるが、気付く様子はない。もとより言うつもりなどないが、ここで食い下がるのは幼い気もする。盗賊はため息で誤魔化し、再び手元に視線を落とした。

2023-01-07 00:24:41

8~14日目 片思いが生まれるまでの期間①

えつ @etsutcxxx

#100日後に付き合うテリサイ 茹だるような暑さの中、岩陰で汗を拭っていると踊子がリンゴを持ってきた。リバーランドを発つ前、巡礼をする神官へ捧げられたものだ。「そのまま食べるのかい?」「そうよ。ナイフで切り分けてる場合じゃないでしょ」そう言って楽しげに彼女は表面をかじったが、

2023-01-07 23:18:07
えつ @etsutcxxx

リンゴが大き過ぎたか両手からこぼれおちてしまった。「おっと」片手で拾ったものの、学者はナイフを持たない。「テリオン、短剣を貸してくれないか」盗賊は片手でリンゴを咀嚼しながら、空いた片手で短剣を引き抜き、くるりと回転させて柄の部分を差し出した。「ありがとう」

2023-01-07 23:18:08
えつ @etsutcxxx

自分のリンゴは鞄にしまい、たどたどしくも半分に切ってやる。短剣はハンカチで拭き取り、盗賊へ柄を差し出す。「仲が良いのね」彼が離れた後、学者に半分を差し出しながら踊子は言った。学者と盗賊はいまやささやかな秘密を共有する間柄だ。それが故に、少しだけ他の仲間と親しく見えるのだろう。

2023-01-07 23:18:08
えつ @etsutcxxx

「そう見えたのなら、嬉しいよ」互いに慣れてきたのだろうと学者は思っているが、盗賊の方はどうだか知らない。学者はそう考えて曖昧に返答したが、傍から聞けばどう聞こえるかまでは気にしなかった。「仲良くなりたいのなら、良い方法があるわよ」面白がった踊子が耳打ちする。

2023-01-07 23:18:09
えつ @etsutcxxx

そんな二人を、盗賊はなにとはなしに眺めていた。「どうかしたのか?」「……あまり良い予感がしないもんでな」ため息をつく盗賊に、狩人はただ首を傾げるだけだった。

2023-01-07 23:18:10
えつ @etsutcxxx

#100日後に付き合うテリサイ  サンシェイドの酒場も、随分と様変わりしたものだ。踊子は楽しげに踊り、あるいは卓に付き、娼婦の真似事をすると見せかけ、部屋には連れ込まない。新しい支配人はこの酒場の立ち位置を正しく理解しているようだ。「何か見つけたかい?」「何も」「……」「……」

2023-01-08 22:35:22
えつ @etsutcxxx

酒でも注ごうか、とテリオンの座る卓にやってきたは良いものの、その瓶の中身の殆どは彼が飲んでいた。2人の対面では酔い潰れた薬師が健やかないびきをかいており、同席していたトレサはすでに宿に向かった。「どういう風の吹き回しだ」頬杖を付いたまま、薬師の寝顔を眺めて問う。「なんだろうね」

2023-01-08 22:35:23
えつ @etsutcxxx

学者にしては、はっきりしない返答だ。「共通点が一つ生まれると、話しやすくなるというから、それかな」「そこまでして隠すことでもないだろ」「うん。だから、」学者はくいと一口ワインを呷り、盗賊と目を合わせる。「いつでも皆に話してくれて構わない。私も、問われたなら答えるよ」

2023-01-08 22:35:23
えつ @etsutcxxx

「わざわざそれを言いにきたのか」「プリムロゼくんに教わったんだ。酒を注いで相手の話に耳を傾けてやれば仲良くなれるよ、と」仲良くなりたいのか、と盗賊は事実だけを拾い、首を傾げた。今更なんだ、と思ったのだ。「それじゃあ。アーフェンくんは任せた」「……おい」強くは言い返せず、席を立った

2023-01-08 22:35:24
えつ @etsutcxxx

学者を引き留めることも今の盗賊には難しい。

2023-01-08 22:35:25
えつ @etsutcxxx

代用テキストまた忘れてました……! pic.twitter.com/CfFrZZ6imK

2023-01-11 00:21:19
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15~21日目 片思いが生まれるまでの期間②

えつ @etsutcxxx

#100日後に付き合うテリサイ 17日目。踊子はいつだって二人にいいきっかけをくれますね。 pic.twitter.com/2dI4Z1RGkD

2023-01-18 15:10:59
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えつ @etsutcxxx

#100日後に付き合うテリサイ 18日目!気がかりは明日まで持ち越し。 pic.twitter.com/oXl4iF1Caz

2023-01-19 14:59:43
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えつ @etsutcxxx

#100日後に付き合うテリサイ 19日目。お!!!これは……これは!?みたいな気持ちになる。 pic.twitter.com/fKd0JaBWTk

2023-01-20 16:24:49
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えつ @etsutcxxx

#100日後に付き合うテリサイ 20日目。つまりそれはどういうこと……?のはじまりです。 pic.twitter.com/S1u0Xl3B6h

2023-01-21 21:34:21
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えつ @etsutcxxx

#100日後に付き合うテリサイ 21日目!💰ちゃんと仲良しな🍎さんターンと、微笑ましいターンです。 誤字あります、すみません。 一つ取る事など→一つ盗る事など pic.twitter.com/IiUGhXc5rL

2023-01-23 15:23:42
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22〜28日目

えつ @etsutcxxx

#100日後に付き合うテリサイ 22日目。毒状態のまま戦闘を終えるとき、つまりこういうことしてるのかなぁとよく思っていたシチュを書きました。 pic.twitter.com/SaA7UNZuu6

2023-01-28 14:50:57
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まとめたひと
えつ @etsutcxxx

似た話を何度もしますが同じネタを啜ってるだけです/ 20↑/🍎📖(TheriCy)左右組み合わせ固定/煮凝り壁打ち垢/通知見てません