#HQプラス #819プラス オサム 🏷|誕生日を祝ってもらうお話 「ん」 朝一番、登校してきて教室の入口。 目の前に立ちはだかる高い高い壁。その壁は同じクラスのオサムだった。 『え?』 「ん」 ん、だけじゃ何も分からないのですけど?? 手を差し出してきたから視線を落とすと、 →
2024-04-08 18:50:41飴がひとつ握られていた。 「やる」 『え?ありがと……??』 私に飴を渡して満足したのか、オサムはスナの元へ戻っていった。 いや、なに??? 「おはよ、ミョウジ。オサムが口下手でごめんね」 『おはよ、スナ。驚いたけど大丈夫』 「口下手じゃないわ。飴渡しただけやん」 →
2024-04-08 18:52:23その理由がわからないから口下手だって言われてるんじゃ?なんて言葉は飲み込んでおこう。 それから休み時間ごとに1つずつ飴を渡してきた。 いや、ホント何さ?? そんな感じで迎えたお昼休み。 天気がいいから中庭にでも行こうかな、なんて思って外に出ると、私のお気に入りのベンチに →
2024-04-08 18:53:57腰掛けているオサムを見つけた。 「お、来たな」 『待ってたの?私がここに来る確証もないのに?』 「おん。だって天気ええから来るやろと思って」 よく私のことを見ていますね。 オサムは一緒にお昼ご飯を食べるのか、惣菜パンとおにぎり、お弁当を取り出した。 『いやよく食べますね?』 →
2024-04-08 18:55:34「成長期やねん」 それにしても食べ過ぎだと思いますが。 「あ、はい、ミョウジ。スペシャルグミあげるわ」 『えーありがとー!これ今日コンビニ限定で発売のやつやんね?朝買えんかったんよね』 じゃ、いただきまーす、と有難く受け取ると「あ」とオサムが口を開けてきた。 →
2024-04-08 18:57:07『え?』 「だから、あーんしてや」 なんで私に渡す前に自分で一粒取らなかったのだろう。 仕方なく一粒取り出して口の中に放り込んでやる。 「うっまぁ!さすがスペシャルなだけあるな」 『さっきから思ってたけどプレミアムね』 そやったっけ?と聞いてくるオサムになぜプレゼントを →
2024-04-08 18:58:39してくるのかを聞けずに昼休みが終わってしまった。 放課後。部活に行くオサムに帰り送るけん待っとって!って言われて教室で、日中オサムから貰った飴を舐めながら待つ。 「すまん!遅なった!」 教室に飛び込んできた少し汗が額に浮かんでいるオサムを見て笑いながらも鞄を持って立ち上がる。 →
2024-04-08 19:00:09『ねぇ、オサム』 「ん?」 『なんで今日お菓子いっぱいくれたん?』 「え?忘れとるん?」 『なにを?』 はぁ、と呆れるようなため息をひとつ吐いたオサムが、人気のない公園に私を引っ張っていく。 『え、なになに、ほんとなに』 「誕生日!」 『え?オサムの?』 「ちゃうわ!自分のやろ!」 →
2024-04-08 19:01:53そうだった。私今日誕生日だった。 『でも日中誰も言ってこなかったよ?』 「俺が先に根回ししといてん。俺が1番に言うから、って」 『じゃあ朝言ってくればよかったやん』 「それじゃ俺の計画台無しになるやん」 オサムの計画なんて知らんし。 なんで1番に言う、って決めてたんだろ。 →
2024-04-08 19:03:27「お誕生日おめでとぉ」 『ありがと』 「俺と付き合ってほしい」 『ありがと……ん?』 「ナマエのことが好きや。やから1番にお祝いしたかった」 返事は?なんて催促されるが、私は今それどころじゃない。 オサムが?私を?好き?付き合いたい?1番に祝いたい?脳が処理できないほどの →
2024-04-08 19:05:14情報を一気に詰め込まれて困惑してしまう。 『えっ、あ……私も、好きやで』 「ホンマ?じゃあ俺の最後の特大プレゼント受け取ってくれる??」 『おん、受け取る、ケド……』 鞄の中をゴソゴソと漁ったオサムが取りだしたのは小さな箱。 「俺の気持ちがこもっとるからな。捨てんなよ」 →
2024-04-08 19:07:36箱を受け取って開けてみれば、中に入っていたのはネックレス。丁度、制服に隠れるくらいの長さの。 『めっちゃ綺麗……高かったんちゃうん?』 「お小遣い貯めてん。俺がミョウジにあげたかったから」 私は今世界一の幸せ者かもしれない。 私に勝てる幸せ者がいたら手上げてほしい。 →
2024-04-08 19:09:43「お誕生日おめでとぉ、ミョウジ」 『ありがと。ホント幸せ』 私にとって一生忘れられない誕生日になりましたとさ。 めでたしめでたし
2024-04-08 19:12:18