第237回深夜の真剣140字60分一本勝負

あらｧ @zin_araya

私、かならず外へ行く。だめよ、とひきとめてきた手を私ははらった。外に行ったら戻ってこれない、町の外はみんな暴風域、危険だって、町のひとは口をそろえて、そればかり。でも私は知っている。理科の授業でちょうど習ったばかり。この町の穏やかな空の正体は、永遠に動かない台風の目、なんだから。

王子@第一種怠惰無責任者 @ojitw

家で吹き荒れる暴風に中学生の兄は背を丸めて僕を庇う他なかった。春霞煙る朝。桜樹の下、兄が「遠くへ行きたい」と、零れる花弁に手を伸べた時。不意の突風が花と砂塵を伴って僕らを隔てた。学生帽だけが残り、兄は春嵐に拐われていった。かならず迎えが来ると願い続けて十余年、兄は未だに戻らない。 pic.twitter.com/ElR2Mlclc7

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香(キョウ) @74no50

台風接近で暴風警報が出た為に午前で仕事を切り上げた帰宅途中、中学生らしき子たちが増水する川へ降りて行こうとしていた。 「子猫がいるんです！」 注意する前に俺の存在に気付いた一人が助けを求めた。 「よし！かならず助けよう」 偶然にも俺は地域猫活動をしている。すぐに団体仲間へ呼びかけた。

ケンタシノリ＠童話＆小説書き屋さん @kentasinori

中学生の頃、俺は定期テスト直前なので部屋の中で勉学に励んでいた。そんな俺の友は、10代の声を代弁するラジオ番組である。 今日もその番組を聞いていると、途中で気象情報が耳に入ってきた。 「明日は雨で暴風を伴うでしょう」 これを聞いて、思わずガッツボーズしたのは俺だけではないはずである。

鶏林書笈(계림서급) ≒ゆきやまイマ(설잠) @keirin_syokyu

#深夜の真剣140字60分一本勝負 @140onewrite お題：①中学生 ②暴風 ③かならず ＃木槿国の物語 ↓この場合、学生は“がくしょう”と読むべきなのでしょうね。 pic.twitter.com/Kto7bmQOW0

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癒月連理 @kizamukotonoha

あれは中学生の時。夢に向かってひたすら書き続けていた、何故かといえば自分は物書きで食べていけるように成れるという根拠のない自信があったから。でも大人達はそれが無謀な事と知っていて止める声は暴風並みの向かい風。かならず叶えられると思っても、それは青春の頁の一場面、所詮叶わぬ夢だった

らん @amagi_ran

放課後の誰もいない美術室。台風の情報にみんなが足早に帰宅する中、私はいつも通りにクロッキーに胸像を描く。ちがう、私が描きたいのはこんなのじゃない！乱暴に鉛筆で塗りつぶし、大きな翼の鳥を描く。#twnovel　窓を開けると暴風が駆け巡り、私の描いた鳥は生き物のように高く高く舞い上がった。

夜崎梨人@文フリ東京M-41 @yorunashi

暴風の中の校舎は皆どこか落ち着きがない。中学生らしく、不安だったり、ワクワクしたり。徐々に迎えが来て教室から一人ずつ消えていく。最後に残ったのは僕だけ。「帰ろうか」教師をしている叔父が手を引いてくれた。両親が忙しい時は必ず叔父の家へ泊まる事になっている。僕はそれが楽しみだった。 pic.twitter.com/gw1wE6knFH

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こひつじ @stray__sheeep

「ああくそ！手がかかる！」 俺は悪態をつきながら中学生の甥と姪を迎えに車を走らせる。暴風も大雨も来ているが「かならず連れて戻ること」との姉の命令だ、断れない。 テーマパークに着いてターゲットを発見したら。「雨で濡れちゃったから急流すべりしてくるね！」 おい、俺が帰れねえじゃねえか。

秋月蓮華 @akirenge

中学生日記というドラマが昔あったのだと父が教えてくれた。 「かならずいくから」 塾で出会った友達と約束をした。遊びに行こうと。 私はそれを喜んでいたけれど。 「暴風……」 ごうごうしてる。台風が近いんだっけ。 かならずいくといったけれど友達待って。 危ないから家に待機していて……。

なかやまかずは│HSS型HSP🍃 @Kaju8aa_HSP

「君ならかならずできるさ」｡ 大好きだった恩師の言葉をふと思いだした｡中学生の心というものは､まるで暴風が吹きすさぶように移ろいやすい｡かく言う僕も､先生と出会うまではやりたいことをハナから諦めて過ごしていたっけ……｡あれから十数年経ち､今度は僕が生徒の夢を応援する番となった｡

Pingu　novel @ckpingu_nvl

中学生になったという期待感と共に、入学式で念を押されるのは、「暴風注意報」だ。まことしやかに噂される、『暴力風だとかならずに指導する運動部』など存在しないから、安心して励むようにと。ある日、子供が腕を痛めて帰ってきた。荒っぽく引っ張られたと。もちろん、口外できない。