1. 4月上旬 高校2年生となった白石○○は学校に向かっていた… ○○「はぁ…ダルぅ…学校めんどい…」 寝ぼけ眼のまま通学路を歩いていると唐突に声をかけられた… ??「○○!おはよー!」 バシッ ! 勢いよく肩を叩かれる○○…
2021-01-26 00:44:502. ○○「いってぇ~!朝は静かに接してくれっていつも言ってるだろ!美月!」 美月「やだね~!朝から元気一杯なのが私の取り柄だもん!」 そう言ってケラケラ笑う美月… 山下美月…○○とは小学生の頃からの幼馴染み。 家が近所ってこともありなんだかんだ毎朝一緒に通学している。
2021-01-26 00:44:543. 美月「あ、そういえば、うちのクラスに転校生が来るらしいよ!」 歩きながら美月が話し出した… ○○「へぇ~」 美月「ちょっと!もうちょっと興味持ってよ!」 ○○の気の抜けた返事に怒る美月… ○○「今さらクラスメイトが1人増えたからって喜んだりしないって…」
2021-01-26 00:44:584. 美月「相変わらず冷めてんね~」 呆れた様子の美月… ○○「学校なんて適当に過ごしてればいいんだよ!」 美月「そんなこと言って毎回テストで良い点取ってるのムカつくんですけど!その脳ミソ少し分けなさいよ!」 そう言って○○の頭を掴みガンガン揺らしてくる美月…
2021-01-26 00:45:025. ○○「うわっ、こら!やめろ!」 ○○は美月の手を振りほどき学校へ走り出す… 美月「こら待て~!脳ミソ分けろ~!」 いつも通りのそんなやり取りをしているうちに学校に着いた… 美月の戯れを振り切り新たな2年の教室に入る○○…
2021-01-26 00:45:056. クラス替えが無いため1年の時と同じメンバーが出席番号順に座っていたので○○も教室の真ん中辺りの席に座った… すると… 美月「脳ミソ~!」 廊下からバカっぽい単語を発しながら美月が教室に突入してきた… 美月「いたっ!脳ミソ!」 ○○を見つけてそう言う美月…
2021-01-26 00:45:097. ○○「俺の名前は脳ミソじゃねぇ!」 教室の入口と真ん中で会話をする2人… 美月「なんで先に行くのよ!」 ○○「美月がしつこいからだろ!ほら、早く座れHR始まるぞ」 美月「ふんっ!!」 膨れっ面になりながら窓際の一番後ろの席に美月が向かった…
2021-01-26 00:45:138. すると隣の席の女子生徒が○○に話しかけてきた… ??「○○君、おはよう!」 ○○「おう!久保!おはよう!」 久保史緒里…高校1年から同じクラス。入学してすぐに美月と仲が良くなり、いつも美月と一緒にいる○○とも自然と仲良くなった。
2021-01-26 00:45:179. 史緒里「相変わらず仲良いね~」 美月とのことを冷やかす史緒里… ○○「まぁね…いつものことだよ…」 仲が良いのは事実なので否定はしない○○… 史緒里「そういうことじゃないんだけどなぁ…///」 うまく伝わらず史緒里がヤキモキしていると担任が入ってきた…
2021-01-26 00:45:2110. 担任「HR始めるぞ~」 担任が教卓につくと美月が口を開いた… 美月「先生!転校生が来るって本当ですか!?」 美月の言葉に生徒達が色めき立つ… 担任「なんで知ってるんだよ…まぁいいか…その通りだよ…転校生は来るよ…明日からな!」 生徒達「いやっふー!!」
2021-01-26 00:45:2411. ○○(揃いも揃ってマ◯オかよ…) ○○が冷めた目で周りを見ていると史緒里が話しかけてくる… 史緒里「○○君は嬉しくないの?」 ○○「ん~…別に…」 史緒里「相変わらずクールなんだから~」 そんな話をしていると担任から体育館に行くよう促され始業式が始まった…
2021-01-26 00:45:2812. … 誰もが想像できるありきたりな始業式が終わり教室に戻ってきた生徒達… このあとLHRをしてこの日の授業は終わり下校時間になった… 美月「○○~!しーちゃん!帰ろう!」 元気よく美月が呼びかける ○○「はいよ~」 史緒里「うん!」 3人揃って学校を出た…
2021-01-26 00:45:3213. 帰り道を歩く3人… 美月「ねぇ!どっかでお昼ごはん食べて帰らない?」 史緒里「うん!いいよ!○○君は?」 ○○「あ~、ごめん…今日は行けないわ…」 残念そうに話す○○… 美月「なんか用事でもあるの?」 ○○「うん…今日は姉ちゃんが家にいるんだよ…だからいつものアレがね…」
2021-01-26 00:45:3514. とても面倒くさそうに話す○○に美月は哀れみの目を向ける… 美月「あぁ、なるほどね…○○…死ぬなよ…」 ○○「あぁ、頑張るよ…」 謎のノリで2人は拳を合わせる… 史緒里「えっ!?何!?何の儀式なの!?○○君死んじゃうの!?ちょっと教えてよ!」
2021-01-26 00:45:3915. 事情を知らない史緒里だけがアタフタしていた… 美月「フフッ…しーちゃんにはあとで教えてあげるよ!それじゃ○○頑張ってね~!」 史緒里「えっ、うん…よくわかんないけど○○君、頑張ってね!」 ○○「うん、ありがとう!じゃあ、また明日な~!」 ○○は2人と別れ自宅へ向かった…
2021-01-26 00:45:4216. 自宅に到着した○○… ○○「ただいま~!」 ??「おかえり~!」 バフッ ! ○○「ちょっと麻衣姉、急に抱きつかないでよ…重いよ…」 白石麻衣…○○の姉。モデル業をしている。ちょくちょく実家に帰ってくる。ある事になると自制が効かなくなる傾向がある。そしてまあまあのブラコン。
2021-01-26 00:45:4617. 麻衣「ちょっと!モデルに向かって重たいとは何よ!これでもしっかり管理してるんだけど!?」 プク顔で睨んでくる麻衣… ○○「そういう意味じゃないって…仮に体重が20キロでも30キロでも、身構えてなかったら重く感じるってことだよ…」 麻衣を諭すように話す○○…
2021-01-26 00:45:5018. 麻衣「そうなの?」 麻衣はそれなりにおバカなので○○が言うことは大体信じてしまう… ○○「うん、そうなんだよ…じゃあそろそろ離れ…」 麻衣「だったら受け止める体勢になってよ!」 ○○の言葉を遮る麻衣… ○○「はぁ?」 麻衣「もう1回いくからね!」
2021-01-26 00:45:5319. そう言うと麻衣は一旦○○から離れて助走を取り再び走り出した… ○○「えっ…ちょっ…待って…」 ○○は慌てて腰を落とし両手を広げて身構えた… ダダダダ…ギュッ ! 今度は飛びついてきた麻衣をしっかり抱き締める○○… 麻衣「今度はどう?」 何かを期待するように聞いてくる…
2021-01-26 00:45:5720. ○○(はぁ…仕方ない…) ○○「麻衣姉は軽いし、綺麗だし、スタイルも良いし、自慢のお姉ちゃんだよ…」 耳元で囁いてあげる○○… 麻衣「んふーー///」 鼻息荒く興奮気味に喜びを爆発させる麻衣… … ○○「そろそろいい?お腹すいちゃったんだけど…」 ○○は優しく離れるよう促す…
2021-01-26 00:46:0021. 麻衣「お昼ごはん作ってあるよ!一緒に食べよう!」 ○○「うん、ありがとう!」 麻衣「…」 抱き締められながら上目遣いで○○を見つめる麻衣… ○○「…」 ○○「えっ?どいてくれないの?」 麻衣「うん!このまま行こう!」 笑顔の麻衣… ○○「もう…仕方ないなぁ…」
2021-01-26 00:46:0422. ため息をつきながらも麻衣を抱っこしながらダイニングに向かうとテーブルには豪華な昼食が用意されていた… ○○「うわっ、凄っ!これ全部麻衣姉が作ったの!?」 麻衣「うん!だって○○には精をつけてもらわないと…///」 ○○「赤ら顔で言うのやめて…誤解しか生まないから…」
2021-01-26 00:46:0823. そんなやり取りをしながら豪華な昼食を済ませ○○がソファでくつろいでいると… 麻衣「○○!洗い物終わったからやるよ!」 ○○「えっ?もう?もう少しゆっくりしてからでもいいんじゃない?」 麻衣「ダメだよ!24時間やり続けるんだから!」 ○○「いや、俺明日学校あるから…」
2021-01-26 00:46:1224. 麻衣「え~!じゃあ12時間にまけてあげる~」 ○○(いや、終わるのド深夜じゃねぇか…) ○○「わかったよ…じゃあ行こうか…」 そして2人は2階にある○○の部屋の隣の部屋へと入っていった…
2021-01-26 00:46:1625. 2人が部屋に入ってから数分後、声が聞こえてくる… 麻衣「いや~!ダメダメ~!そこはダメ~!あ~!死んじゃう~!死んじゃうよ~!」 ○○「…」 麻衣「フフフ…次は私の番だよ!ここが弱点なんでしょ!?ほら?どう?重点的に攻めちゃうよ!?」 ○○「…」
2021-01-26 00:46:2026. 2人が何をしているのかというと… ○○「ちょっと麻衣姉!もう少し静かにゲーム出来ないの!?」 麻衣「だって~!声出ちゃうんだも~ん!ほら、次はこのクエスト!」 ○○「はいはい…」 2人はそれぞれがモニターに向かってゲームをしていた…
2021-01-26 00:46:2427. 2人がしているゲームというのはいわゆるオンラインゲームで、オンライン上の他のプレイヤーと協力をしてモンスターを討伐したり、武器や防具の素材を集める… 簡単に言うとモン◯ターハ◯ター的なゲームをやっている…
2021-01-26 00:46:2828. そしてこのゲームではボイスチャット機能があるため、他のプレイヤーと会話をしながらプレイできる… なのでこの2人のように同じ部屋でプレイする意味は特に無い…
2021-01-26 00:46:3129. しかし昔からゲーム好きな麻衣は○○とゲームがしたいが為に自分の財力を駆使してゲーム機やらモニターやら諸々を2人分買い、実家で暮らしていた頃に自分が使っていた部屋をゲームをするための部屋に改造して、仕事がない日は実家に帰ってきて○○を道連れにゲームに没頭している…
2021-01-26 00:46:3530. ちなみに美月はこの事を知っている… … ゲームを始めて数時間たち、少し休憩をしていると麻衣が話しかけてきた… 麻衣「そういえば今日から学校だったんだよね?なんか面白いことあった?」 ○○「別に…1年の時と同じメンバーだし…あ、そういや明日から転校生が来るらしいよ」
2021-01-26 00:46:3931. それを聞いた麻衣は目を輝かせる… 麻衣「えっ?男の子!?女の子!?」 ○○「なんで麻衣姉がテンション上がってんの?」 冷めた様子の○○… 麻衣「だって転校生だよ!?学生生活でちょっとしたイベントじゃん!可愛い子だったらいいな~とか思わないの?」
2021-01-26 00:46:4232. ○○「あのねぇ…普段から麻衣姉や美月や久保を見てたら自分の中の可愛いのボーダーラインなんか簡単に跳ね上がっちゃうんだよ… 周りが美人揃いってのも困ったものだよ…」 ○○は自分の苦労話をしたはずだったが… 麻衣「んふふ…///そんな可愛いだなんて…///」
2021-01-26 00:46:4733. 麻衣は顔を赤くして身悶えていた… ○○(やべぇ…余計なこと言った…) しかしそんな表情から急に真顔になる麻衣… 麻衣「○○~?美月ちゃんは知ってるけど、久保って名前は初めて聞いたな~?誰なのかな~?」 真顔で近づいてくる麻衣…
2021-01-26 00:46:5034. ○○「ただの友達だよ!1年の時から同じクラスだから仲良くなっただけ!」 麻衣「ふ~ん…まぁ○○の言うことだから信じてあげる…」 疑いながらも信じる麻衣… 麻衣「よし!じゃあ休憩終わり!まだまだ狩るぞ~!」 ○○「へ~い…」 そこから朝方までみっちりと付き合わされた○○だった…
2021-01-26 00:46:5435. 翌日通学路にて… 美月「おはよう!○○!」 バシッ ! 昨日と同じように挨拶と同時に○○の肩を叩く美月…すると… バタンッ ! 道端に倒れ込む○○… 美月「えっ!ちょっと!○○!どうしたの!大丈夫!」 慌てて駆け寄る美月…
2021-01-26 00:46:5836. ○○「あぁ…美月…おはよう…」 消え入りそうな声で答える○○… 美月「昨日は何時までやってたの?」 ○○の体を起こしながら美月が聞く… ○○「ついさっきまで…」 美月「はぁ!?じゃあ寝てないんじゃん!? もう…麻衣さんは○○とゲームの事になると見境なくなるんだから…」
2021-01-26 00:47:0137. 呆れ顔の美月に支えられてなんとか学校に着いた○○… 机に突っ伏してると史緒里に話しかけられる… 史緒里「○○君?おはよう…大丈夫?HR始まるよ?」 ○○「へっ?久保…おはよう…大丈夫…大丈夫だよ…大丈夫だから…うん…」 史緒里(うわぁ…全然大丈夫じゃないじゃん…)
2021-01-26 00:47:0538. 史緒里「無理しないで辛かったら保健室行きなよ?」 ○○「うん…だいじょーぶ…くぼはやさしいなぁ…」 史緒里(えっ…寝惚けてる○○君かわいい…///) すると担任が教室に入ってきた… 担任「HR始めるぞ~!」 その声に○○も無理やり体を起こす…
2021-01-26 00:47:0939. 担任「じゃあ、昨日も言ったけど転校生を紹介する!」 ザワザワ… 少しだけ教室が騒がしくなる… 担任「入っていいぞ~」 すると教室の扉が開き1人の女子生徒が入ってきた… ザワザワザワザワ… 教室内のざわめきが一際大きくなった…
2021-01-26 00:47:1340. 入ってきた女子生徒は誰が見ても美人だと思うほど容姿端麗で、高身長にスレンダー体型とスタイルも整っていた… ○○(へぇ~綺麗な人じゃん…) 綺麗な人を見慣れた○○ですらそう思うほど美人だった… しかし教室内のざわめきが大きくなった理由はそれだけではなかった…
2021-01-26 00:47:1641. 生徒達が目を奪われたのは容姿だけでなくその服装だった… まずこの学校の制服はブレザータイプなのだが転校生はセーラー服を着ていた… さらにスカートの裾は床につきそうな程長く、いわゆる一昔前のスケバンの様な格好だった…
2021-01-26 00:47:2042. ○○(なんてまた時代錯誤な…) 生徒の視線が転校生に注がれるなか担任は転校生の名前を黒板に書いていた… 担任「よし、名前は梅澤美波さんだ!みんな仲良くな!」 どこからかパチパチと拍手が起こり、他の生徒もそれにならって拍手をした…
2021-01-26 00:47:2443. 担任「じゃあ1時間目はLHRだからそのまま席替えするぞ~」 結局転校生の声を聞くことなく1時間目の授業が始まった… … 席替えの結果、窓際の後ろの方を勝ち取り更には隣に美月、前には史緒里という仲の良い人で固まった○○だったが、後ろの席には転校生の梅澤美波が座っていた…
2021-01-26 00:47:2844. ○○「梅澤さん、よろしくね!」 美波「…」 ギロッ ○○の挨拶は鋭い睨みとなって返ってきた… ○○(いや、そんなに睨まなくても…) 会話することを諦めた○○は睡眠不足が限界に達していたのか、そこから意識を飛ばした…
2021-01-26 00:47:3245. 美月「○○~!起きて~!」 美月に起こされる○○… ○○「…ん?美月?今何時?」 美月「もう昼休みだよ!」 ○○「へっ?マジか…寝すぎた…」 史緒里「○○君、お昼ごはんは?」 前の席の史緒里が後ろを向いて聞いてきた…
2021-01-26 00:47:3646. ○○「姉ちゃんが朝から作って弁当持たせてくれたんだ」 美月「○○のお姉さん、料理すっごく上手なんだよね~」 史緒里「そうなの?羨ましいな~」 そんな会話をしながら3人で昼食を食べ始めた… 後ろの席の美波は気づけばいなくなっていた…
2021-01-26 00:47:4047. 史緒里「うわ~!○○君のお弁当色鮮やかで凄く美味しそ~!」 ○○のお弁当を見て感嘆の声をあげる史緒里… ○○「俺もこういうのが無ければ感動できるんだけどね…」 そう言って煮物の中に入れられたハート型の人参を箸で持ち上げる…
2021-01-26 00:47:4448. 美月「いいお姉さんじゃん!ちょっとした愛情表現だよ!」 ニヤニヤしながら美月が言った… ○○(麻衣姉の場合9割方本気なんだよな…) 渋い顔で美月を見る○○… するとお弁当を食べながら史緒里が口を開く…
2021-01-26 00:47:4849. 史緒里「昨日美月に聞いたんだけど、お姉さんそんなにしょっちゅうご実家に帰ってくるの?」 ○○「うん、仕事してるんだけど忙しくなかったら大体うちに来るね…」 史緒里「ゲームをするために…?」 ○○「あ、そこまで聞いてるんだ…うん、ほとんどそれが目的だね…」
2021-01-26 00:47:5350. 嫌々な感じで麻衣のことを話す○○… だが決して名前を出すことはしない… わりと人気なモデルなので迷惑がかからないように○○は自分が弟だということを隠している… そして美月もその事を察して外では名前を出さないようにしてくれている…
2021-01-26 00:47:57