玲於「………?」 目を覚ますと、そこは見慣れない場所に転がっていた。冷たい石で積まれた大きな塔。すきま風すら入らない頑丈な作りだ。
2023-07-29 21:38:26普通ならこの時点で驚きの表情を見せるものだが、彼は無表情で起き上がり石の壁に触れた。 玲於「…こんな薄気味悪いところ、さっさと出てやる。」 と、呆れたように呟く。
2023-07-29 21:39:22出口を探そうと思い、周りを見回すが、正直探索する場所もないなと考えた。 「はあ……つまんな。」 その言葉を呟きながら、玲於は自分の過去を思い出した。
2023-07-29 21:40:18ーーー 俺は両親と兄、そして多くの祝福を受けて産まれた。 俗に言う「天才」と言われ、1度覚えればすぐにできるようになる。その才能を喜んだのは幼少期まで。
2023-07-29 21:41:09「凄い、天才だ」という言葉は「見下しているんだろ」という攻撃的な言葉に変わった。 ああ。 「やっぱり人間は、こうなるんだな。」 くだらない、醜い嫉妬の感情だ。 ーーー。
2023-07-29 21:42:52あぁ、クソ野郎の事を思い出しただけでもイライラする。 苛立ちを近くの壁に拳を当てて表す。 ここには俺以外誰もいない。あぁ、化け物はいたっけか。
2023-07-29 21:43:45玲於「出口なんてあるのかよ、ここ。」 何回みても壁しかない。 そして閉ざされた大きな入口のドア。自分の力ではビクともしない。 しかし、流石は天才と言うべきか、彼はひとつの案を思い浮かべた。
2023-07-29 21:44:38玲於「壊せないのなら壊させればいいってことか。」 玲於は思いついた事を行動に移す事をした。 pic.twitter.com/ryoztSJDSb
2023-07-29 21:45:29玲於は入口のドアの前に立ち、声を掛けた。 玲於「おいいるんだろ、クソ王子。お前が喉から手が出るほど欲しがっている俺がここにいるぞ?」 そう言いながらドアを思いっきり蹴り飛ばした。
2023-07-29 21:46:25玲於「こんだけ音を立てれば来るだろ。」 玲於の予想は当たった。ドアを蹴った数分後にドアがガタガタと音を立てる。 玲於「……来たか。」 玲於は馬鹿にしたように笑い、ドアから距離を取った。
2023-07-29 21:47:32バキイッ!! ドアの破壊音と共に奴は現れた。 ???「隕九▽縺代◆!!!!」 pic.twitter.com/k1wFPmiLys
2023-07-29 21:48:11玲於「……馬鹿だなあほんと。」 玲於はそう笑いながらその場を走り去った。 ーーー pic.twitter.com/EsTvbooZgz
2023-07-29 21:49:09周りの目が変わってからしばらく経った。その日は兄の機嫌がかなり悪かった。 「何も努力しなくて良いのは羨ましい限りだよ。お前にはこの気持ち分かんねぇだろうな」
2023-07-29 21:50:19?jmwyy?jwnw そう言われた時、何かがブツンと切れた。 気づけば兄は階段から落ちていた。 悲しいなんて感情はなく、とてもいい気分だった。
2023-07-29 21:50:55オウジサマの死角に入り、物陰に身を潜める。 彼の作戦はこうだった。 まずあえて音を立ててオウジサマを出し、扉を壊させる。ここが出口だとふんでいたから。
2023-07-29 21:51:57その後、音を立てずに塔を一周する。無事出口にたどり着くというわけだ。 玲於「簡単すぎるな。ほんとどいつもこいつも馬鹿ばっかり。」 玲於は音を立てないように塔を歩き始めた。
2023-07-29 21:52:47静かな塔の中。 真ん中の支柱は大きく、死角になる瓦礫もある。 あの化け物が俺を見つけることはかなり難しいだろう。 pic.twitter.com/8thjUVTBh8
2023-07-29 21:53:48頭のいい人間はそう簡単には死なない。簡単に死んだヤツらは馬鹿ばっかりなのだ。 しかし、過去に自分の心の中を覗かれたことがあったなと思い返す。 ーーー
2023-07-29 21:54:32兄が死に、両親も死んだ。 いや、正確には殺した。 人生を楽しむために、スリルを求めた。 麻薬密売組織に入ったのだ。 その時に会った男に言われた言葉。
2023-07-29 21:55:12「玲於って、生きてるのに死んでるよね。」 …正直に言うと図星だった。心に深く刺さった。傷つき、まるで穴が空いたかのように。 ーーー pic.twitter.com/FFZjeEaTX2
2023-07-29 21:56:07そんな事を思っているうちに、ドアの前へと戻ってきた。 所々隙間があるドアからは光が漏れている。 玲於「あ~簡単だった、さ、帰るか。」 玲於はドアに手を伸ばした。
2023-07-29 21:57:41玲於「……!?何だこれ、こんなもんさっきまで……」 玲於はハッとした表情を浮かべる。先程の化け物には色々なものが埋め込まれていた。 鎖も。その中に。 pic.twitter.com/4tmKCjUfpn
2023-07-29 22:00:28玲於「くっそ……取れろ!」 化け物も塔を1周してきている。 鎖はその時にドアに引っかかったものだろう。 その鎖はドアと化け物を繋いでいる。
2023-07-29 22:01:09焦れば焦るほど、鎖は絡まる。背後からは化け物の叫び声。 玲於「やめろ、俺に触るな!!」 玲於は怒りを声に乗せて叫ぶ。 しかし奴にそんなものは効かない。
2023-07-29 22:01:59化け物が鎖を思い切り引っ張る。その瞬間、右手から「ボキ」という鈍い音。骨が折れた。 玲於「っつ……い……」 声にならない声。激痛、玲於はその場に倒れる。 pic.twitter.com/VD9dBlKKB4
2023-07-29 22:02:48両親は兄だけを溺愛し、母は産みたくなかっと泣き、父は世間体の為には良い事だと妻で笑った。 兄は自分以外の存在に、瞳をうるわせて玲於を睨んだ。
2023-07-29 22:04:51彼は生まれたその時から、愛されてなどいなかったのだから。 暴力、暴言、長年の末 自ら、兄と両親を殺害したのです。 ーーー
2023-07-29 22:05:33動けない玲於を、化け物は、何回も何回もガラスで刺す。 玲於「ガ……ッ……ア」 もう息を引き取ってもおかしくない。 自分の死を悟った玲於は、最後に声を振り絞る。
2023-07-29 22:06:19こんな死に際に自覚などしたくなかったが、周りを見下してきた自分が、一緒にいるとリラックスできた不思議な人。 玲於「……せな…」 ポツリとその名前を呟く。
2023-07-29 22:07:02これが恋心だと自覚するには、時間があまりにも少なかった。 彼女といると、何故か心が安らいだ。 大切な人。 pic.twitter.com/j0xLAeFIBQ
2023-07-29 22:07:58玲於「……俺は死ぬけど……泣くなよ。好きって直接言えなくて…ごめんな……」 pic.twitter.com/VXcWUEyFD4
2023-07-29 22:09:30星砂子「私だって玲於の事好きだから……君のせいで……泣いてるんだ、泣かないなんて……無理だよ。」 ボロボロと涙を零す。
2023-07-29 22:12:18星砂子「許さない……私の大切な玲於を奪った化け物を私は絶対に許さない……」 涙目で画面越しのオウジサマを睨みつけた。 pic.twitter.com/TNUyNiW2xh
2023-07-29 22:13:17この2人が恋心を自覚したとしても、叶うことは無いとわかっている。 けれど、それでも。 この2人はお互いを信頼し、無意識のうちに惹かれていたのだろう。 ーーー
2023-07-29 22:14:22メバ「羽柴玲於…試練失敗。LOSTとなります。」 メバ「他の血統の皆様は、次のアナウンスをお待ちください。」 ーーー
2023-07-29 22:15:40【マレーン姫】羽柴玲於 裏CS(1/3) pic.twitter.com/2eFxbBuDRG
2023-07-29 22:15:56