第37回深夜の真剣140字60分一本勝負

RAY/※※※ @growler_ray

あの異常な海面上昇が起きて、はや一世紀。お偉いさんだけが海の上に住んで、それ以外の人が海底に追いやられるようになってからは半世紀ってとこですね。今も上では醜い争いが続いていると聞きますけど… あ、もしかしてあなたも溺者ですか？第三海底都市、ロストトウキョウへようこそ、歓迎しますよ

水城弥生 @mizukiyayoi8484

廻る。洗濯機のように。建物も車も、そして僕も。水で溢れた海底都市。観覧車のようにお目当ての建物に入れるかは運次第だ。「がほっ」この街に慣れない僕は辛い。「はろー」偶然入ったカフェで知り合った女の子が廻りながら話しかけてくる。「君は相変わらずだね」髪を逆らわせながら笑顔で言った。

峰庭梟 @sss_books

アトランティスの話の起源は、哲学者プラトンだという。もしその大陸が実在したのなら、今も海の底深くに沈んでいるのだろう。 その住民は深海魚たちだ。そして恐らく彼らこそ、人間よりもこの都市に相応しい。 哲学者とは、深淵を彷徨うものなのだから。 #深夜の真剣140字60分一本勝負 / 海底都市 pic.twitter.com/TjDEgxDkU3

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楓もち/春秋 @mapledanke

常に淡い光で照らされたこの街は、深い深い海の底に沈んでいる。技術や科学が進んだ時代、いつからか地上ではなく深海に住む人が増えてきたのだという。私はこの海底都市で産声を上げた一人である。地上に出たことは一度もない。太陽？月？地上の街って？私は何も知らない。地上についての知識がない。

津森七@文学フリマ京都い-36 @tumori_nana

海底都市に棲みたいな、と君が言った。真珠になって貝の中で静かに睡るの。海底都市がどんなものかは知らないけれど、いつかグラスボートで見た海はたくさんの生命に満ち満ちていて、君の望む静けさがあるとは思えなかった。だからこの小さなアパート、無口な僕の膝の上で、どうか妥協してくれないか。

花滝ちかる @chikaru_toka

こんな僕だけど、生まれて来て良かった。世界にたったひとりでも、君という人を幸せに出来るのなら。 「僕と一生を共にしてくれる？」 「一生じゃ足りない」 君が笑って僕の胸に飛び込む。「何度生まれ変わっても、命が廻っても、私は貴方を好きになるもの」 僕もだよ、と君を抱き締めた。 #140字小説

夢夜 @ruya_reve

「チェロとホルンは愛し合っているんだよ」 そう言って君は笑った。 確かに優しいホルンの音と深みのあるチェロの音はすごく相性がいい。 君のホルンの音は特別優しく聞こえるのは気のせいだろうか？ 君はさらにこう続けた。 「わたし、あなたのチェロが好き」 ──好きなのは、僕のチェロ『だけ』？

宇津木健太郎@受賞したヨ @KChickenShop

ここは海底都市？ と訊くと、僕の手を引くブギーマンは、そうだよ、と答える。 クラにサックス、ホルンにユーフォ。 幻想吹奏楽団が、海に沈んで溺れた筈の僕を迎える。 苦しかったよブギーマン。 もうそんな心配必要無いさ。 パレードは続く。 僕の為のパレードが。 #深夜の真剣140字60分一本勝負 pic.twitter.com/utF4mghzU6

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夢夜 @ruya_reve

「海底都市とか空中庭園とか、聞いてるだけでワクワクするよね！」 そう言って瞳を輝かせる貴方は子どものように無邪気な表情をしている。 「どんなところなのかなあ……」 大冒険を夢見る貴方はいつかきっとヒーローになる。 ……英雄になった貴方のそばに私がいることは許されるのだろうか……？

夢夜 @ruya_reve

「海底都市とか空中庭園とか、聞いてるだけでワクワクするよね！　どんなところなのかなあ……」 そんな風に思いを馳せているとお前が小さく笑った。 俺はその冒険にお前と一緒に出かけたいし、それが叶わないなら待っていてほしいのに。 なんでそんな寂しそうな顔をするの……？

きぃ @key_habataki

暗闇と静寂に包まれた海底都市。そんな世界に柔らかいけれども輪郭ははっきりとした真っ直ぐな音が響いた。「この音は？」僕が問いかけると音が止んだ。「ホルンという楽器だよ」女の声が聞こえた後、すぐにまた旋律が紡がれた。穏やかな水流が体を撫でる。きっと優美であろう彼女を中心に廻っている。

にゃん @nyan_kotonoha

「人間関係の悩みだろ」 繰り返し海底都市で暮らす夢を見ると言ったら、彼にそう言われた。 …ああ、そうか。 俺は確かに毎日悩んでる。 「この仕事向いてないんじゃねえの？」 そう言って俺を抑えてる、目の前のお前に。 ずっと持ってた届の紙。 出そうと決めた夜、俺は碧い街に光が差す夢を見た。 pic.twitter.com/7uSyTBK8Xe

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行木しずく @gloom_tree

#深夜の真剣140字60分一本勝負 お邪魔します。 「廻る」「海底都市」「ホルン」 pic.twitter.com/iviNbeRGbP

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春日聖奈@二代目 夜 @haruhino37

空の伝説。遥か昔に私達はこの暗黒の世界に貶められた。 古の戦は地上の全てを焼き払い、死の大気を生み出した。 私の世界は最初から海の底、太古の貝で作られたホルンが鳴る。 襲い来る地震への警告は高らかに。 滅びか、それとも再生か。 輝いていた星空への憧れ。 廻る廻る世界の…理の残滓。

繭美 @140mayumi

お題/廻る・海底都市・ホルン #深夜の真剣140字60分一本勝負 #140字小説 #140字ss 私A「コラ今日は黒いの書いて、SF短編の宣伝もする予定やったろ」 私B「物語は作るもんやない。生まれてくるもんや。これ佐藤さとる先生の言葉な」……黒い短編が気になる方はプロフを踏んでください（強引に宣伝） pic.twitter.com/S5NL0PzQoW

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にゃん @nyan_kotonoha

「これさあ、ギネスブックで一番難しいって言われてる楽器なんでしょ。あたし調べちゃった」 そんなに難しいという感じも、 「このくるくる廻ってる形、面白いねえ」 見慣れ過ぎて面白いという感覚も、 僕にはない。 君の心を知りたくて、聞けなくて、ぐるぐる廻るだけの僕。 その方がずっと難しい。 pic.twitter.com/08bn70isOe

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竜虎 @btbticc_org

かつて人は海で暮らしていた。それが常識であるように、今の人類が海で生きられないこともまた、常識であった。それなのに、なぜ。環境が変わり身体が変わり、捨てざるをえなくなった海が、こんなにも恋しくなるのだろう。住めやしない海底都市に郷愁を抱きながら、今日も私達は地に立って生きるのだ。

孔雀山まゆ子 @soukasouka_emil

#深夜の真剣140字60分一本勝負 これは夢。それだけは分かる。だってフルート吹きの僕が、ただの人間の僕が、沢山の魚達をお客に海の底のステージでホルンを演奏しているのだから。ちゃんちゃらオカシイが、楽しい。調子に乗った僕がハイE♭を吹き鳴らすと、海底都市の色とりどりの観衆の歓声が踊った。

春日聖奈@二代目 夜 @haruhino37

夏休み中、憧れの先輩と一緒に練習していた映画ローレライのテーマソング… ピアノを奏でる先輩は美しい珊瑚、ホルンを担ぐ小魚程度の私なんか… あ、音外しちゃった… 「おい！」 ご、ごめんなさい！ 「ホルンで顔隠すな」 くるりと廻る金管の隙間から様子を見ると、先輩笑ってた。 恥ずかしい…

野馬仁 @dou_8823

#深夜の真剣140字60分一本勝負 人類なんていう時代遅れはとっくに滅び、僕たちは脚に大きなヒレを持ち、海に沈んだビル群の間を泳いでいた。ふと、建物のそばに落ちていた奇妙なものを見つけた。端っこに大きくて広がった口が付いていて、真ん中は錆色にぐるぐる渦巻いている。ふふ、なんだろうこれ。