頭の打ちどころが悪かった夢主の婚約者、yskは、思い出さなくてもいい過去を思い出して別人になってしまった。色々あって婚約は解消されるが……。続きはそのうち。
0
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

#金カ夢 #ysk 夢主の知る限り、婚約者だったhnzw yskは気の弱いけれど、誠実でただただ優しいだけの青年だった。背が高く端正ながらその顔つきには生来の心の弱さが現れており、彼女に対しては、いつも困ったような表情で笑った。家系と才に恵まれながら、面白みのない人間と評するものもいたが、

2020-05-05 11:56:20
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

彼女自身も物足りなさを感じていた。成人してしばらく経ち、正式に交際するようになってから五年、一向に手を出してこない。彼女は思う。男が童|貞を貫いて魔|法使|いになるのは、何歳からだろうかと。そして女は、20才過ぎても処|女ならなんなのか。魔|法少|女か。

2020-05-05 11:56:20
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

一度、それとなく良い雰囲気を、それはそれは頑張って作ったこともあるが、彼は真っ赤になって「そういうのは、結婚してから」と焦って逃げ出す始末。夢主は情けなさに魔|法少|女を通り越し、黒魔女になりかけるところだった。もう互いにいい大人、少し年上のyskに至っては25歳を過ぎようかと言う頃。

2020-05-05 11:56:20
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

なんと言っても、彼の母がまた厳しかった。昭和も後半の生まれのはずだが、時代を間違えて生まれてきたと思しき貞|操観|念。yskとの婚約は彼の父親から言い出したことだが、その妻である女性は、有名企業の経営者である彼女の父親を「成り上がり」と呼んではばからず、とうぜん、この縁組も昔からは

2020-05-05 11:56:21
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

反対していた。婚約は、一度hnzw家が傾きかけた時、親友だからと言う理由で、その立て直しの援助をした父親同士の口約束だったが、さらに彼女の父が新たな事業を立ち上げ、さらに発展していくと、繋ぎをつけておきたい下世話な理由も加わって、やがてhnzwの家から正式に申し出されていた。それも、

2020-05-05 11:56:21
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

yskの母には面白くない話だっただろう。とにかく二人の邪魔をしてきた。yskの父親は入婿で、婚約の話だけは頑として譲らなかったものの、こと他に関しては恐妻の言いなりだった。と、言うよりhnzw家の男たちが彼女に頭が上がらなかった。

2020-05-05 11:56:22
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

そういう人だから、夢主は結婚にも不安が募った。yskのことは好きだ。好きだが……結婚すれば、もれなくあの意地悪な姑が付いてくるのだ……。それに、分からなくなってしまった。彼が、自分のことを本当に好きなのか、どうか。

2020-05-05 11:56:22
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

「母が、そう言うから」「母が、ダメだと言うから」もう成人した男が、いつまで母の顔色を伺いながら行動するのか。では、この婚約は?「あの人がダメだと言ったら、やめるつもりですか?」「それは……」ちょっとした弾みで言い争い―実際は彼女の一方的な“口撃”だったが、それでしばらく冷却期間を

2020-05-05 12:12:02
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

置こうという話になった。こんなことになって、好きなのは、自分だけだったのか…。そう思いながら、彼から連絡のない日々を初めて過ごした。

2020-05-05 12:12:03
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

そんな時、yskが自動車事故で怪我をしたという知らせが入った。入院先に慌てて駆けつけるも、後頭部を軽く打っただけで大した怪我ではなかった。安心する夢主たち。だがそれも、彼が「前世を思い出した」と言い出すまでの話だった……。

2020-05-05 12:12:03
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

彼は変わってしまった。「自分は、本来の自分に戻ったのです」と言うけども、気弱な部分が、日差しの中に晒された影のように消え去り、快活で自信に溢れた青年がそこにいた。優しい性質は変わらなかったが、服装も母親のお仕着せでなく、自身の選んだ流行りのものを着るようになった。

2020-05-05 12:54:02
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

と、同時に元々、内外共に優れた資質はあったため、彼は周りにあって、たちまち光り輝く存在となった。彼に魅了された人々がどっと増えた。その中で彼女は、夢主は、自分の存在が霞むのを覚えた。それまで、彼を“顔が良いだけのボンボン育ち”と見ていた女たちが、蝋燭の火に群がる虫のように

2020-05-05 12:54:02
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

彼に付きまとい始めた。中には夢主に悪意を持って心無い言葉を投げかける者もいた。若干の電波系の部分も、さして問題にはならなかったらしい。何しろ裕福で名家の出、本人もすこぶる優秀で、見た目もかなり良い。少しばかりの野心を持つ女たちには、掘り出し物の優良物件に見えただろう。

2020-05-05 12:54:03
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

幸か不幸か、そんな中でもyskは夢主に優しかった。「今度こそ、幸せにします」と言って、急に距離を詰めるようになった。あれほど求めていた関係だったが、夢主は恐ろしかった。あの、気弱だった彼を情けないと思いながら、彼女はとても愛していたのだ。これは、この人は誰なのか。最近では、

2020-05-05 12:54:03
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

役者になりたいなどと言い出し、家に隠れて何かしらのオーデ|ィシ|ョンにも参加しているようだ。もう25歳でしょうyskさん。どうしてしまったの。もう不満なんか言ったりしない。時々贈ってくれる本の頁に、手書きで和歌を書いた栞を挟んでくれるような、そんな少女趣味を笑ったりしない。だから、

2020-05-05 12:54:03
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

元の貴方に戻ってください。 涙を貯めて訴えても、yskは困ったように微笑むだけだったが、その時だけは以前の彼そのものなのがさらに涙を誘った。 そして、ある日彼は両親と言い争いの末、hnzwの家を出てしまった。

2020-05-05 12:57:11
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

その流れで、当然のように婚約は白紙に戻された。向こうの両親からは陳謝の言葉と多額の慰謝料が送られたが、それで気が晴れる訳はなかった。「以前のことも忘れた訳ではありません。昔と今の記憶、両方持ってはいるけども、私がyskであることは変わりません。夢主さんは……今の私ではお嫌ですか?」

2020-05-05 13:59:30
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

どうしたら良いか分からなかった。何と答えれば良かったのか。最後に話した日、言葉を詰まらせた彼女に、yskは「…さようなら、お元気で」とだけ告げて彼女の前から去った。自分の部屋に戻って、ベッドに付して夢主は泣いた。そして、子供のように泣き疲れて眠ってしまった。

2020-05-05 14:03:55
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

大きな御屋敷だった。通された仏間に置かれた、黒漆を塗られた立派な仏壇に蝋燭と線香に火が着けられ、白檀の匂いを纏った煙が、まだ真新しい位牌の前をくゆっている。そこに白い布に包まれた縦長の箱があった。彼女が父親と共に訪れたのは、許嫁の生家だ。ほんの少し前、庭の梅が綺麗に咲いたと

2020-05-05 16:17:30
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

二人で眺めたばかりだった。あの丈高い、立派な方がお若くして戦地に倒れられた、夢主はよろよろと仏壇の前に膝を落とした。しかも、恐らくはお味方の流れ弾に当たって……。戦場では、敵よりも、味方の撃つ弾丸に当たって死ぬ者が多いという。よもや、ysk様がそのような無念な亡くなりよう

2020-05-05 16:17:30
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

をされるなんて。戦場で味方を鼓舞すべく帝からお預かりした御旗を振るう方、その聯隊旗手を撃った者さえ分からぬという。下手をすると、その者は自分の銃口から放ったものと知らずにいるやもしれぬという話だった。納得できるものですか。

2020-05-05 16:17:30
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

ysk様、と夢主は骨壷の入った白い風呂敷の包みを掻き抱く。お恨み致します、ysk様。もう私はどこにも嫁ぐまい。尼にでもなって、この方の菩提を弔おう…。けれど、それは叶わぬ事だ。家長である父は直に別の縁談を決めた。結納が迫る全日、夢主は夜中に庭先へ出て、庭木で首を括った……。

2020-05-05 17:10:25
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

足元の台が外れ、自重に首に掛けた縄が万力に掛けられたように締まる。目の中が出血して赤く染まり、苦痛のあまり反射的に身をよじるうち首の骨がぼきんと折れた……。 悲鳴を上げて起きるなんて、映画やドラマだけかと思ってた。夢主は思わず首に手をやって、くびれてないか思わず確かめる。

2020-05-05 19:00:36
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

もちろん、そんなことはなく、そこは滑らかなだけだ。ぞっとするくらいリアルで恐ろしく、そして目が覚めてみれば、涙が出るほど彼が恋しかった。きっと、yskから前世の話を聞いた、その影響だろう。話の断片から脳が作りあげた幻に違いない。傾けると中で乾いた音を立てた白い箱……。

2020-05-05 20:03:03
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

その日を境に、夢主は奇妙な夢幻に苛まれるようになった。道を歩けば、突然視界に大昔の光景が広がる。木造の古びた日本家屋が立ち並び、舗装されていない、地面がむき出しになった通路を人夫が客を乗せた人力車を引いて走っていく。道行く人々は皆小柄で、ほとんどが着物姿だ。時代は明治か、大正か…

2020-05-06 19:53:52
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

通路の脇には街灯……ランプを模した洒落たデザインの瓦斯灯が、一定の距離で立てられていた。慌てて目を擦ると、自動車の走行音と、現代の街へ戻っていた。頭がおかしくなりそう、夢主は困り果てた。カウンセリングも受けてみたが、単に心因的なものとして、大量の飲み薬を渡されるだけだった。

2020-05-06 19:53:53
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

そして、眠れば再び軍服姿―調べると少尉服とか肋骨服とか呼ばれているものだった―のuskとの、ありもしない“思い出”が展開された。彼の出征前に設けられた見合いの席。梅の模様が織り上げられた振袖を着て、ただ俯いていた記憶。日本庭園を二人で歩いているものもあった。「やあ、梅の花が咲いている」

2020-05-06 19:53:53
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

辺りには梅の花の匂いが漂っていた。黄水晶を刻んで作られたような、小さく可憐な蝋梅のものだった。「そういえば」彼は小柄な許嫁を見下ろして微笑む。「あのお着物はよくお似合いでした。あれから、梅を見るとあなたを思い出します」かっと顔が熱くなり、赤い顔を見せるのが面映ゆくて夢主は俯いた。

2020-05-06 19:53:53
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

ああ、usk様。何故私を置いて……また、私を置いて。自分ではない誰かと、夢主は重なっていた。共に去っていく男のことを嘆いた。私の手の届かぬところへ、一人で行かないで……。

2020-05-06 19:53:54
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

やがて、両親はそんな夢主を心配していた。親同士の決めた縁ではあったが、お互いが子供の頃から交流があり、成長するにつれ共に育てていたものは大きかったろう。支えを失って、娘は倒れかけている。そう判断したのも無理からぬことではあった。悩んでいるところへ、再びhnzwの家から打診があった。

2020-05-06 20:03:06
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

弟が駄目なら、その腹違いの兄はどうだろう、と。あの極楽トンボよりずっとしっかりしているし、夢主と歳は離れているが、優秀で頼りがいもある、ゆくゆくは出奔したuskに代わり、hnzwの家を継がせるつもりだという。父親の古い友人は、どうしてもこちらと縁続きになりたいようだった。

2020-05-06 20:08:07
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

yskとの婚約解消からそれほど経っていないが、送られてきた写真を見れば、これまた父親そっくりの、だが弟とはまた違うタイプの二枚目だった。昔はやんちゃだったのか、顔の傷が気にならなくもなかったが、ku jroが推すのなら優秀な人物なのだろう。考えてみれば、性格に弱い部分のある夢主には

2020-05-06 20:32:54
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

こういういかにも大人な男の方が上手くいくかもしれない。気に入らなかったとしても、この世にはusk以外にも男性がいると学ベるかもしれない…。最近では一人では外へ出るのも怖がる娘だったから、良い気分転換にもなるだろう。…両親はこの縁談を受けることにした。

2020-05-06 20:36:13
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

夢主はもちろん、誰とも会いたくないと拒んだ。会うだけで良いからと強引にセッティングされた高級料亭での見合いに、彼女は両親に連行されるように連れていかれた。奇しくも、赤地に蝋梅を織り上げられた振袖を着せられて。その人の写真を見た時から、本当に嫌だった。何故なのか理由は分からない

2020-05-07 01:25:38
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

椅子に座るスーツ姿の男性の目が、本当に怖かった。まるで何もかも諦めているような、虚無を覗き込んでいるような黒々とした大きな瞳、確かに、uskの父親に生き写しだった。けれど、彼と違ってこの男の冷たい雰囲気はなんなのか。両親にも訴えたが、とにかく直接会って、交際するか

2020-05-07 01:25:38
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

断るか決めなさいと言われるばかりだった。

2020-05-07 01:25:38
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

第一印象は変わらず、趣向を凝らし贅を尽くした料理を乗せた卓を挟み、対面した男は彼女を鑑定家のような目付きで見るなり、口端をあげた。テンプレに添ったかのようなの挨拶と共にそれぞれの付き添い(あちらは父親のみだったが)が部屋から出ていき、二人きりになると、男は彼女を見て吹き出した。

2020-05-07 01:42:56
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

「なるほど、いかにもあの人の好きそうなネンネだ」二人きりになった、第一声がそれだった。第二印象ももれなく最悪となった。「今日は顔合わせくらいに思って頂きたいですな。俺のことは、父からどんな風に?」「とても、優秀な方としか。ゆくゆくは、お家を継がれるそうですね」uskさんのいた位置へ

2020-05-07 12:47:03
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

この人が収まるのか。でも、私の隣には、けっして。「そう嫌そうな顔をされると傷つきますね。どちらも望まぬ逢瀬と言うわけだ。楽になさるといい。俺はそうさせてもらう」膝を崩し、食事に箸をつけ始めた。なんて失礼なんだろう。uskさんとは大違い。「いい歳をして独り身なのは体裁が悪いとか、

2020-05-07 12:47:03
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

時代遅れな事だ。そう思いませんか」「まあ、そちらのお家はご立派でいらっしゃるから」苦々しく嫌味に嫌味を返す。本当なら、二人とも相思相愛だったのだから、もっと早くuskと結婚できたはずだ。それを彼の母親が「学生結婚はいけない。せめて夢主さんが大学を卒業されてからにしましょう。中退?

2020-05-07 12:47:04
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

とんでもない。hnzw家に嫁いだ方で高卒だなんて、外聞の悪い」などと言うから。思い出して腹を立てているうち、食欲が出てきた。「いただきます」夢主は元姑候補への恨みを食欲に変え、その人へ向ける鎖鎌の代わりに膳の前で箸を取った。

2020-05-07 12:47:04
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

もう外聞もなく旺盛に食べていると、ogtが前に付き合っていた女性もよく食べる人だったと話した。「その人とはどうして?」「浮気を疑って、喧嘩した」「最低」はは、と男は笑い、ツーブロックから一筋だけほつれた前髪を後ろに撫で付ける。その様がやけにキザったらしく、癪に触った。

2020-05-07 21:01:32
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

「で、その人本当に浮気してたんですか?」「…してなかった。それどころか、付き合い始めた記念日とやらで、ご馳走を作って待ってた。なぁ…他に聞くことがあるだろう?趣味とか、職業とか…」「それはさほど、知りたくも。それより続きを」趣味悪いねぇ、と言いながら男は苦笑いした。

2020-05-07 21:01:32
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

……最後に一度だけその人と一夜を過ごしたという下りで、夢主は顔を赤らめながら、もう一度最低、と繰り返した。「なんて鈍感な人なの。それもう、許してたんじゃないですか、その女の人」「…同僚の彼女にも言われたな。それ」言ってくれなきゃ分からん、とogtは独りごちた。そうと知ったのは

2020-05-07 21:33:02
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

彼女が実家に戻ってからしばらくあとの事だ。会社を移ったばかりで忙しいさ中、それこそ必死で探した。ようやく彼女と親しかった同僚と繋ぎをつけ、渋るのを必死に頼み込んでようやく彼女の居場所を聞き出した。そして、連絡を何度となくしたが、その両親が何故か頑なに彼女に取り次ぐのを拒んだ。

2020-05-07 21:33:02
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

しばらくして、もう娘は他に相手を見つけて結婚もした、もう、そっとしておいて欲しいと、彼女の母親から連絡があった。「これで本当に縁が切れたわけです。自由になった、という気持ちにはまだ、とてもなれそうにないが。そこへ、父がお前さんと会えと。正直、なんの冗談かと思いましたよ」

2020-05-08 01:44:09
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

その笑顔は、どことなく暗買った。「相手がなんと、弟の元婚約者だとは。uskさんがこのことを知ったら、どう思うんでしょうね」「そちらから、お断りしてください」口調を強めて夢主は言った。食べたものが胃からせりあがりそうだ。「結婚したら、その兄である俺と寝るわけですが、どう思います?」

2020-05-08 01:44:10
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

「ありえません。やはり、こちらからお断りさせていただきます」「…兄弟だと、女の好みが似ているもんですかね。彼女も、気の強い女だった。なるほど、悪くないかもな…」「やめて!失礼します!」なんて男なの、なんて失礼なの。

2020-05-08 01:44:10
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

腹を立てて見合い途中で席を立ち、家に戻った夢主は最悪の相手だったと両親に訴えた。「いい話だと思うのだけどね」母に溜め息をつかれた。でも、退席する彼女の背中を追うような、あざけるような笑い声が耳を離れない。わざわざ揶揄われに行ったようなものだ。「おまえが嫌というなら仕方がない。

2020-05-17 13:11:40
0
まとめたひと
ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

アホ夢書き。昭和の女で金カ夢の人。腐と夢のいろんなのを見たり書いたり用の垢。最近は本人よりよりほぜ尾が好きになってきた感。いや、今でも推しなのは変わらないんだ……。 まろ marshmallow-qa.com/yumejodego?utm…