監督が婚活した結果がこれだよ!
0
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「もしもしもしやま…じゃなかった、森山です」 「森山か…」 「微妙なニュアンスで言わないでくださいよ」 「悪い。誕生日だから…ちょいとな。いろいろ期待しとったんだ」 「監督、今日でしたっけ。おめでとうございます。そういえば両さんと同じニュアンスでしたね」 「妙な覚え方をするな!」

2014-03-03 20:30:08
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「今週末あたり海常に伺おうと思いお電話を差し上げた次第です〜」 「就活のやりすぎだぞ。あー…今週末はスマン。婚活が入っとるんだ」 _人人人人人人人_ >婚活が入っとる<  ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ 「(ブッ!)」

2014-03-03 20:35:06
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「…森山」 「笑ってないですって! 次こそ運命の相手に出会えるといいですね」 「それなんだが…最近、女性に避けられてる気がしてな」 「あーわかりますわかります! その不穏な空気!」 「どうしたらいいもんか」 今こそ恩師に恩を返すとき! 「イケメンの友達を連れて行けばいいんですよ」

2014-03-03 20:40:04
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「これはオレが高校時代ナンパでよく使ってた手なんですが、黄瀬をエサにとりあえず量を集めるんです」 「それだと全部持ってかれんか?」 「その中でイケメンは気になるけど話しかける勇気はない、おしとやかな女性を横から攫っていくんですよ!」 「なるほど、一理あるな。原澤でも連れて行くか」

2014-03-03 20:45:02
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「参考になった。礼を言うぞ、森山。また空いたらこっちから連絡する」 「いえいえ、この方法なら素敵な女性からの内定間違いナシですよ〜…はーい」 桐皇のイケメン監督と婚活する我らが武内監督…何だよそれ気になりすぎるだろ。

2014-03-03 20:50:06

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

ゴホン。武内だ。森山がワシの婚活模様が気になるようでな。 http://t.co/JMf4x4YZX0 http://t.co/ODIkFXfN9g 今日はワシが呟く。アイコンが森山から変わらない者はアプリを一度終了させて再度立ち上げるように。

2014-03-26 16:25:04
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「…これは一体どういうことですか」 常に余裕をもって優雅たる原澤が、いつになく動揺して肩を震わせている。 「パーティーと言ったろう」 「パーティーはパーティーですが婚活パーティーじゃないですか!」

2014-03-26 16:30:06
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「聞いてませんよ。知り合いのパーティーじゃなかったんですか」 原澤がいつもにも増して海藻のような髪をキツくねじり上げている。これはマズイ。 「どうせ皆これから知り合うんだ。問題ないだろう」 「問題しかありませんよ」

2014-03-26 16:35:03
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「婚活と言ったらお前は来んだろう」 「ええ、あなたと違って結婚する気もないし、女性にも困ってませんからね」 「さり気なく…いや、あからさまに自慢するな!」 ピカピカに磨かれた革靴を踏んでやろうとしたら、さらりとかわされた。 「あなたの体重では冗談じゃ済まされませんよ」 ぐぬぬ

2014-03-26 16:40:05
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

いかん。このままでは原澤(エサ)を連れて来た意味がない。 「まあまあ。そう気張ることもない。よく婚活にある数分ごとに席を交換して…というような固い形式じゃないし、ただの立食パーティーだと思って」 「気張って一張羅できているあなたが言っても説得力が…」 全く…気難しくて面倒な奴だ。

2014-03-26 16:45:02
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「ついでに、このカードを交換するだけだ」 「名刺では駄目なんですか」 原澤は心底めんどくさそうに髪をねじっている。女子高生か。 「プロフィールカードは自分の分身のようなものだ。最高の自分を見せるためしっかり書く必要が…というかカードを書いてるときに婚活と気づかんかったのか」 「」

2014-03-26 16:50:07
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「最後に気になった人の番号をカップル希望シートに記入して提出する」 「番号?」 「カードに書いてあるだろう。ワシは9。お前は8だ。その後、スタッフからカップル成立の発表がある」 「なるほど。二次会はよしなに、というわけですか」

2014-03-26 16:55:05
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「さあ、男二人で話してても埒があかん」 「私に構わず行ってください。私はここで一人料理を楽しんでますから」 さっきからこちらをチラチラ見ている女性が何人もいる。不貞腐れてるだけでミステリアスとはイケメンは得だ。今日のパーティーは23対23とかなりの大人数。この好機をものにせねば。

2014-03-26 17:00:04
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「…来週、こちらから桐皇に練習試合に出向こう」 萎びた昆布のようになっていた原澤がスクッと立ち上がった。 「その話、のりましょう! 女性を集めてくればいいんですね、任せてください」 話が早くて助かるが、目の前の男が心配になってきた。

2014-03-26 17:05:04
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

原澤は人差し指を立ててその場で頭上を差した。何をする気だ。 「私とお茶をしてくださる方、この指とーまれっ」

2014-03-26 17:10:04
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「はいっ」「はいっ」「はいっ」「はいっ」「はいっ」「はいっ」「はいっ」「はいっ」「はいっ」「はいっ」「はいっ」「はいっ」「はいっ」「はいっ」「はいっ」「はいっ」「はいっ」「はいっ」「はいっ」「はいっ」「はいっ」「はいっ」 会場中の女性が猛突進してきてワシは弾き飛ばされた。

2014-03-26 17:15:05
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「ミステリアスな雰囲気だったので話しかけづらかったんですけどぉ、おちゃめな方だったんですね!」「4X才!? 見えないですー!」「バスケ部の監督やってらっしゃるんですか!? カッコイイ!」「元全日本!?」 ワシだって元全日本でバスケ部監督なのに…

2014-03-26 17:20:03

_

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

後ろから知った声がした。 「全く…ウチに負けた上に、ぶくぶく太って押し合いにも負けるとくりゃあザマないな」 「荒木!?」

2014-03-26 17:25:06
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「…昨日ぶりだな」 いつものスーツ姿とは違い荒木はひらひらしたワンピースを着ていたから一瞬わからなかった。 「…部活の遠征で東京に出てきたついでだ。いいか、ついでだからな!」 「疲労回復のため一日オフにしとるのはウチも同じだ」 「おや、昨日は陽泉と海常の練習試合だったんですか」

2014-03-26 17:30:03
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「私にも声をかけてくだされば喜んでお迎えしましたのに。もっとも今の桐皇では物足りませんかね」 う。荒木が小さく呻いた。女性の群れから逃れてきた原澤が、こちらに歩み寄ってきた。 「あとカードを交換してないのは雅子さんだけです。見せていただけますか?」 「来てたのか…どうぞ…」

2014-03-26 17:35:03
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「…ふむ」 原澤は荒木のカードを受け取ると舐めるように眺めた。 「番号は8。私と一緒ですね。誕生日は1月3日。これは知っています。休日の過ごし方はドライブ。まだ暴走族ごっこをやっているのですか。趣味は刺繍とは随分とオブラートに包んだ表現でs 「やめろおおおおお読み上げるなバカ!」

2014-03-26 17:40:03
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「おい、そのへんにしてやれ」 水を得た藻のように生き生きしたセクハラ澤の肩を叩いた。荒木はワシの影で怯えている。正直、可愛い。 「すみません。つい楽しくて。笑 雅子さんセルライトに隠れてないで出てきて下さい」 「脂肪とは何だ、脂肪とは!」 「貯蓄が役立って良かったじゃないですか」

2014-03-26 17:45:04
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

原澤はまた女性達の荒波にのまれていった。この隙にワシは荒木にアタックする! 「ワシともカードを交換しよう」 「…よ、読み上げるなよ」 「そう警戒するな。大丈夫、ワシがお前を守るぞお〜」 「気色悪いッ!」 カードで顔面を叩かれた。昔のように一本背負いされなかったのは脂肪のおかげだ。

2014-03-26 17:50:04

_

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

時間だ。印象の良かった方の番号を一名のみご記入ください。スタッフから指示が出た。 「どなたの番号を書くんですか?」 「そういうお前はどうなんだ」 「私ですか? あまりにたくさんの方からアプローチしていただいたので迷ってしまって」 「チッ。もう突っ込まんぞ!」 8番、と記入した。

2014-03-26 17:55:03
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「今回は参加された女性の殆どが同じ方の番号を書かれていたのでカップル成立は一組です。予めご了承下さい」 司会者の言葉に会場がどよめいた。 「間違いなく私ですね」 原澤ゾーンに全ての女性が吸引されたせいで、壁際に立ってるだけの男もいた。ワシはとんだ外来種を持ち込んでしまったようだ。

2014-03-26 18:00:05
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「今回、唯一のカップルは、男性9番さんと女性8番さんです!」 会場のどよめきが大きくなった。拍手もまばらだ。そんなことはどうでもいい。 荒木がワシを選んだ…だと…? 「昨日、お前ともう少し話せたらと思っていた。勘違いするな。練習試合の反省をもっと話したいと思っていただけだ」

2014-03-26 18:10:05
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「では、あとは二人でよしなに。久しぶりに雅子さんの顔が見れて良かったです。もうあまり会う機会もないでしょうし」 「何を言っとる」ワシは右腕。 「そうだぞ」荒木は左腕。 うさんくさい笑顔を浮かべて去っていこうとする原澤を引き止めた。 「「お前も来るんだよ!」」

2014-03-26 18:15:07

_

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「平日なのに相田スポーツジムは暇なんですか」 結局、急な呼び出しに応じたのは影虎だけだった。 「バカ野郎。土日返上して働いた代休だ。猫の手も借りたいくらいの忙しさだぜ。おかげさまでこんなもんまで買えちまった」 影虎が止めた車をコンと叩いた。 (((新車を自慢しに来ただけか…)))

2014-03-26 18:40:07
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「京都は遠いから仕方ないとして、マー坊が来れなくて残念だが…ゲンゲンとマサのカップル成立を祝して!っつーことでいいのか?」 「だいたいあってますよ」 「「な!?」」 「そいじゃっ」 「「「「乾杯!」」」」

2014-03-26 18:45:06
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「ところで、ひっさしぶりだなぁマサ!」 「こっちは少し前テレビで顔を見たがな。http://t.co/fVi6GcxvCy」 「ああ、ウチの笠松と謎の共演をしていて驚いたぞ」 「何言ってんだ、親友と教え子、夢の共演だろ〜?」 「にしても、影虎が商売に勢を出すとは意外だな」

2014-03-26 18:50:05
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「勢出してるわけじゃねぇ。来る者は拒まねぇだけだ。一番の宣伝は誠凛の優勝だな。名もなき新設校が優勝したからってウチにくりゃ誰でも魔法のように強くなると思ってやがる」 影虎が急に厳しい顔をしたのと逆に原澤は笑った。 「同じ東京ですし、ウチもそちらで強化合宿でも申し込みましょうかね」

2014-03-26 18:55:05
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「カッちゃんはもっと強豪の監督いけんじゃねぇか。青峰を獲得したときゃあ強かったが、今の桐皇は…」 「わかっています。それでも生徒との約束ですから。約束は果たせませんでしたが、だからこそ私が諦めるわけにはいかないんですよ」 再来年キセキを獲得して優勝する。それが条件だったのだろう。

2014-03-26 19:00:08
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「カッちゃん、この際だからハッキリ言わせてもらうが、形だけ続けても意味なんかないぜ。やるからには本気でテッペン目指さねぇと。4年前の誠凛対桐皇戦は見に行ったが、オレが桐皇は強ぇと確信したのは、キセキの世代がいたからじゃねぇ。カッちゃんが監督やってるからだ。今のお前にはそれがねぇ」

2014-03-26 19:05:05

_

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「もうこんな時間か。さて、私はそろそろ失礼するよ」 荒木が荒木なりに慌てた様子で立ち上がった。 「もう帰んのかよ、マサ」 「もうお帰りになるんですか、雅子さん」 「もう戻るのか、荒木」 「終電で秋田に戻らないと明日も部活があるからな。http://t.co/jxZrY7MDu4

2014-03-26 19:30:04
拡大
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

原澤がワシの腹を叩いて耳打ちした。そこは肩を叩くところだろう。やめろ腹触(はらさわ)。 「駅まで送ってあげてください。今日のところは譲りますよ。雅子さんが選んだのはあなたなんですから。(ばちん」 中年のウインクに鼓動が跳ねたのはここだけの話だ。

2014-03-26 19:35:04
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「私は景虎さんの新車の乗り心地でも試させてもらいますかね」 店を出ると原澤が楽しそうに言った。 「オイオイ、何で野郎を送らなきゃならんねぇんだよ。助手席は嫁とリコたんしか乗せんと決めて…うおぃ!勝手に乗り込むなカッちゃん!」 「…相変わらず騒がしいヤツらだ」 「行こうか、荒木」

2014-03-26 19:40:04

_

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「もうっ! もっと早く走れないのか! 終電を逃したらどうしてくれるんだ! 痩せろ! 今すぐに痩せろ!」 「無茶を言うな! ワシのせいにするな! お前がコインロッカーに荷物を詰め込みすぎて、抜けなくて時間をロスしたせいだろうが! …逃したら、うちに来ればいい」 「はぁ!? 死ね!」

2014-03-26 20:05:06
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

ホームへの階段を上りながら、ワシに回し蹴りをくらわせようとした荒木のハイヒールは遠心力で後方へ吹っ飛んだ。脱げた靴は長い長い階段の下へ下へと落ちていく。取りに戻ったら間に合わんだろう。 「“わざとだよ”というやつか…?」 「んなわけあるかぁ!」

2014-03-26 20:10:07
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「おい荒木、靴は…!?」 「いらんっ!」 ワシが荒木の靴を拾おうと引き返してる間に、荒木は潔く靴を捨て電車に飛び乗った。

2014-03-26 20:15:02
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

無事に靴を回収し終えたところに荒木から電話がかかってきた。 「ふっ…元レディースのリーダーの気合いは伊達じゃないな。秋田までそんな装備で大丈夫か? 何なら次の駅まで持って行くが」 「フッ…その甘さがお前の敗因かもしれないぞ。バッシュならバッグに入ってる。大丈夫だ、問題ない」

2014-03-26 20:25:07
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「それは次に会う時に返してくれ。I・Hで待ってる。リベンジに来い。受けて立つ」 男勝りなワシのシンデレラはガラスの靴もタダでは受け取ってくれんようだ。 望むところだ。

2014-03-26 20:30:02