オメガバース本丸のへし燭

カコ🐙 @3nasubi31

オメガバース本丸とか考えてみた。政府が「刀剣男子同士の子ども作ったらむちゃくちゃ強いんじゃね？」とかいう感じで計画した実験本丸で、特殊な素材を混ぜて鍛刀することによりαΩβどれかの性を持った男士が顕現する。顕現した男士がどの性かは特がつかないとわからない

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なので特がつくまではみんな一緒に出陣や内番をするんだけど、特がついたら性別にわかれて過ごすことになる。当然部隊も別だし、αとΩはあまり出陣しなくなる。

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繁殖はΩのヒートの時期にあわせて審神者(研究員)が選んだ適当なαと二振りで離れに住まわせて行われる。一応男士の人格を尊重するという名目のもとに番になるかどうかは本人たちの自由意思に任せているんだけど……

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これ書くならそれまで顕現時期が近くてわりと仲良しだった燭台切と特がついたとたん離ればなれになり、ある日審神者に呼び出されて離れに行ったら鍵をかけられた上に１つしかない寝室では仲良しの燭台切があられもない姿で……みたいなやつかな

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そしてこれは何振りもの長谷部と燭台切が出るやつだ。最初の二振りは訳のわからないままやっちゃって子どもが出来て審神者からは誉められるんだけど燭台切がおかしくなっちゃって黒髪の子が生まれると同時に自分で本体を折るやつ…

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長谷部はその子、燭台切が特が付くまでは責任をもって大事に育てるんだけど、特が付いて繁殖に関係ないβだとわかったらホッとした顔をしたあと、その番に同じように自分で本体を折ってしまう

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βの燭台切は特に突出したことのない普通の燭台切だったので新しく顕現した刀の世話係になる。率いている部隊には当然長谷部もいる。この長谷部は顕現当初から亜種寄りで、投石は下手だし足が遅くてよく転ぶ。審神者はきっとΩだろうと考えていて、燭台切にもそう伝えている。

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燭台切はそんな長谷部が不憫で特別に目をかける。長谷部は最初は突っ慳貪だったけれど少しずつ心を開いていき、やがてお互い惹かれあう。そしてついに特がついたのだが、性を知る前に燭台切からは離されてしまう。別れ際に燭台切は長谷部にキスをした。βの燭台切はΩであろう長谷部とは番になれないのだ

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お節介な仲間から、長谷部が離れに行かされたと聞いた日、燭台切は普段飲まないお酒を飲んでいた。きっとΩであろう長谷部は燭台切の知らない刀の子を孕まされてしまうのだ。そう思うと胸が張り裂けそう。らしくもなくどんどん酒を煽り、寝落ちてしまう。

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誰かに揺り起こされて目を覚ますと 長谷部がいた。離れから逃げ出してきたという長谷部は、自分がαであることを告白する。そして、番になるならお前以外はお断りだ、とも。「俺と一緒に逃げてくれ」と言った長谷部からは育成中の頼りなさはまるで感じられない。燭台切は頷き、二人は本丸を抜け出す

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本丸から数里離れたところで折り重なるように倒れていた二振りの刀を拾ったのも長谷部だった。長谷部に性はない。本丸初期に、管理運営のために顕現された刀のうちの一振りで、最初の長谷部と燭台切の育成をしたのもこの長谷部。悲劇の一部始終を知っているので、拾った刀はそのまま炉にくべた

カコ🐙 @3nasubi31

新しく顕現された燭台切はそれは立派な刀で、審神者も仲間もαで間違いないと太鼓判。この頃にはもう育成中からαβΩにわかれることは本人たちも知っていて、多少揉め事の火種になることもある。燭台切は「特がつかないとわからないよ」と言いつつも自分でもαだろうなと思っている

カコ🐙 @3nasubi31

ところが特が付いた燭台切はΩ。まわりも審神者もびっくり。燭台切もショックを隠しきれず、再検査を申し込むも結果は同じ。検査が間違っていたんだ、検体が入れ替わったかも、と取り乱す燭台切を長谷部は取り押さえるが「性のない君に僕らの気持ちがわかるわけないよ！」と言われて言い返せない

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翌日謝りに来た燭台切に長谷部は「お前の言うとおりだ」と返す。これからどうしていいかわからない、もう折れたいという燭台切に、前の二振りの燭台切の話をしてやる。「俺には見ていることしか出来ないし、これからもきっとそうだ」とも。

カコ🐙 @3nasubi31

それからその燭台切の姿を見ることはなくなった。Ωを受け入れ、誰かαの刀の子を孕んだのだろうか。忘れようとしても時折燭台切のことを思い出してしまう。自分には性がなく、真の意味で主の役には立てないことを受け入れるまでの自分を思い出しているような気分だった。

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それからしばらくした頃、燭台切が長谷部を訪ねてきた。「僕は僕がΩであることを、受け入れることを諦めたんだ」と。「主もやっと諦めてくれた。だから僕を君の隣に置いて欲しいんだ」「なるほど、性のない俺ならΩであっても問題ない、と」「それもそうだけど」

カコ🐙 @3nasubi31

「僕は君の隣で、君と同じように見ていたいんだ」と言って、燭台切は笑った。こんなに柔らかい笑い方をするやつだったんだな、と長谷部はしみじみ思い、微笑み返す。「…君がαなら、僕もΩでよかったんだけど」「ん？」「なんでもないよ」こうして、長谷部の傍らには燭台切がいるようになった。

カコ🐙 @3nasubi31

本丸では相変わらずαとΩによる繁殖が行われている。性のない長谷部は粛々と刀を育て、Ωを認めない燭台切は罰として出陣を禁じられたため畑仕事に精を出す。初めは同居人以上の関係だった二振りは、燭台切のヒートをきっかけに気持ちを確かめあって恋仲に。

カコ🐙 @3nasubi31

ある夜、燭台切は「どうして僕の体はΩなのに、愛する君の子を孕めないんだろう」と言った。この前、好きあっていた長谷部と燭台切とが番になり、金の目をした長谷部が産まれた。燭台切はいまその子どもの世話を手伝っている。

カコ🐙 @3nasubi31

「…お前もついにΩに目覚めたのか？」「違うよ！」燭台切はムッとして長谷部の胸板を叩く。「ただ…子を成せるわけでもないのにこんなことに付き合わせてしまって、君は不毛じゃないのかい」そこから始まったせいもあり、二人が情を交わすのは燭台切がヒートの時だけなのだ。

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「不毛…お前、そんな風に思いながら俺に抱かれてたのか？」「違うよ！でも…」「お前が嫌がるだろうと思って我慢しているだけで、ヒートだろうがそうでなかろうがいつだって押し倒して泣いて謝るまでハメ倒してやりたいとおもっているが？」「えっ！？」「つまりそれをしてもいいということだな？」

カコ🐙 @3nasubi31

長谷部はニヤリと笑い、燭台切の浴衣に手をかけた。燭台切のヒートは先週終わっていて、しばらくは来ないのだけれど。「ねぇ待って、待ってくれ君、そんな悪い顔、あ、あ、ああっっ！」その夜はヒートでもないのに盛り上がり、二人は翌日揃って仕事を休む羽目になる。

カコ🐙 @3nasubi31

「…すごかった。ヒートの時とは違う凄さ」というのが後に燭台切がこぼした言葉だ。Ωの燭台切が性のない長谷部の子を孕むことはないが、それでも燭台切は長谷部のことを「僕の番」と呼ぶようになった。

カコ🐙 @3nasubi31

変わらず本丸ではαとΩで繁殖が行われている。ただ、Ω世話係の燭台切の働きもあり番になる時には本人たちが納得した相手であることが条件に加えられた。納得する相手がいない場合は番にならなくてもいいということも。性のない長谷部はその一部始終を燭台切の傍ら見守り、今も見守っている。 おわり。

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