1 あれから私の料理修業は続き…。 遠藤「よし!これならいける!」 ようやく自分1人でもグラタンを作れるくらいにまで極めた。 あとは〇〇さんを誘って振る舞うだけ…。
2023-06-24 17:01:002 梅澤「何怖気付いてるの?」 遠藤「え?」 梅澤「〇〇に食べてもらうんでしょ?」 遠藤「え、どうして…。」 梅澤「さくちゃんが〇〇のこと好きなのバレバレだよ?」 遠藤「そ、そうですか。恥ずかしい…。」
2023-06-24 17:01:103 梅澤「〇〇は鈍感だから気づいてないだろうけど、気づかせるのも大事だよ。」 遠藤「はい。」 梅澤「じゃあ、頑張って。」 遠藤「はい!」 梅澤さんに背中を押してもらい、私は〇〇さんの部屋の前までやってきた。
2023-06-24 17:01:214 コンコン…。 〇〇「はい?」 遠藤「〇〇さん、こんにちは。」 〇〇「お、さくちゃん。どうしたの?」 遠藤「あ、あの…今日の夜って時間あります?」 〇〇「今夜?あるけど、どうしたの?」 遠藤「じゃあ私が料理作るので食べてください!」
2023-06-24 17:01:415 〇〇「さくちゃんが?楽しみだな。」 遠藤「あ、あんまり期待しないで…いや、でも自信はあるけど…。」 〇〇「フフ。じゃあ夜、待ってるね。」 遠藤「はい。では、また。」 〇〇「うん。」 しっかり誘うことができた。あとは作るだけだ。
2023-06-24 17:01:566 そして、順調にグラタンを作り進め、夕飯にもちょうどいい時間になった。 〇〇「いい匂いだね。」 遠藤「え、〇〇さん!?」 〇〇「我慢できなくて下りてきちゃった。」 遠藤「もうすぐできるので、少し待っててくださいね。」 〇〇「うん。」
2023-06-24 17:02:127 グラタン以外にもサラダやスープも軽く作った私。そっちの用意も進めていく。 〇〇「なんか誰かに作ってもらうって久しぶりだな。」 遠藤「そうなんですか?」 〇〇「うん。姉ちゃんにも最近作ってもらってないしな。」 遠藤「お口に合うといいんですけど…。」
2023-06-24 17:02:258 そして食卓に全ての料理が揃った。 〇〇「んー、どれも美味しそう。」 遠藤「冷めないうちにどうぞ。」 〇〇「ありがとう。じゃあいただきます。」 遠藤「はい!」 グラタンを一口頬張った〇〇さん。だったが…。
2023-06-24 17:02:369 〇〇「んー…。」 どこか険しい表情をしている。 遠藤「(え、失敗した…?)」 〇〇「さくちゃん…。」 遠藤「あ、あの、まずいならまずいってはっきりと…。」 〇〇「…天才だね。」 遠藤「へ?」 〇〇「グラタンの天才だね。すごく美味しい。」
2023-06-24 17:02:4910 遠藤「よ、よかった…。紛らわしいことしないでくださいよ!」 〇〇「ごめんごめん。でも想像以上に美味しくてびっくりしてたんだよ。」 遠藤「よかったです。」 〇〇「あ、さくちゃんも食べなよ。お腹空いたでしょ?」 遠藤「はい。いただきます。」
2023-06-24 17:03:0011 遠藤「うん!上手くできました。」 〇〇「そっか。良かった。」 遠藤「これでも〇〇さんのために何回も試行錯誤してたんですよ?」 〇〇「え?僕のために?」 遠藤「そうですよ。」 〇〇「何回も作ってたのはそういう理由だったんだ。」
2023-06-24 17:03:0912 遠藤「え?作ってたの知ってたんですか?」 〇〇「うん。だって何回もチーズのいい匂いがシェアハウス中に漂ってたし。」 遠藤「そ、そっか。恥ずかしい…。」 〇〇「でも僕のために作ってくれてたのは知らなかったよ。ありがとう。」 遠藤「いえいえ。」
2023-06-24 17:03:1813 〇〇さんはいつも優しい。いろいろな話をしてくれて、私も飽きない。ただ、今日はそれだけで終わらせたくない。 遠藤「〇〇さんって、誰かとお付き合いしたことあるんですか?」 〇〇「え?急にどうしたの?」 遠藤「いや、〇〇さんってモテそうだなって。」
2023-06-24 17:03:3214 〇〇「さくちゃん、からかってる?」 遠藤「違いますよ!いつも優しい〇〇さんですし、その、顔もカッコいいですし…。」 〇〇「お世辞でもありがとう。」 遠藤「お世辞なんかじゃ…。」 〇〇「全然モテないよ。誰とも付き合ったことないし。」
2023-06-24 17:03:4415 遠藤「そうなんですか。」 〇〇「さくちゃんこそモテそうじゃん?」 遠藤「や、やめてください。私なんて人見知りでいつも1人でしたから。」 〇〇「そうなんだ。」 遠藤「私の話はいいんです。〇〇さんの話が聞きたいです。」 〇〇「特に何もないけどなぁ。」
2023-06-24 17:03:5516 遠藤「好きな人とかいないんですか?」 〇〇「フフ。やっぱり姉妹だね。」 遠藤「え?」 〇〇「少し前飛鳥さんにも同じこと聞かれたよ。」 遠藤「えっ。」 〇〇「実はまだちゃんと人を好きになれたことないんだよね。こう飛鳥さんにも答えたんだけどさ。」
2023-06-24 17:04:0517 遠藤「そうなんですか。」 〇〇「うん。やっぱり自分なんかがって思ったりして。」 遠藤「もっと自信持ってくださいよ。〇〇さんは素敵ですよ。」 〇〇「そう言ってくれるのはさくちゃんくらいだね。」 遠藤「違いますよ。このシェアハウスのみんなもお姉ちゃんも思ってます。」
2023-06-24 17:04:1518 遠藤「でも、私が1番それを思ってる自信があります。」 〇〇「え?」 遠藤「いつも〇〇さんを見てましたし、〇〇さんに何回も助けてもらってきました。だから、私が1番〇〇さんについて知ってる自信があります。」 〇〇「ありがとう。」 遠藤「今日はちゃんと気持ち伝えます。」
2023-06-24 17:04:27