エルフとドワーフの日本旅行

椎出啓 @siidekei

エルフとドワーフの日本旅行。 「なんで！網棚って！こんなに高いところにあるのかなあ！」 「そりゃヒューマンに合わせてるからでしょ。ドワーフもエルフもこの国には居ない」 「ヒトだって子供は小さいだろ！」 「ヒューマンの子供は君みたいに背丈ほどの荷物を背負ったりはしないんだよ」

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「というか、自分の背丈ほどの荷物を網棚に乗せようとする方が迷惑じゃないかな」 「手回り品の基準だとセーフって言ってたぞ！」 「もう君自身が手回り品になればいいじゃない」 「お前が運んでくれるのか！？」 「いや無理だね。もっと可愛らしい重さになりなよ」 「なんて言い草だ！」

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エルフとドワーフの日本旅行。 「しかし、このつり革というやつは、面倒くさいね」 「いらんだろそんなの」 「君は手が届かないだけじゃないか。私は面倒だと言ってるんだ」 「どう面倒なんだ？」 「使わなければ顔に当たるし、かといって掴まるために肩より上に手を上げるのはしんどい」

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エルフとドワーフの日本旅行、同族がいない日本に来てしまったので仕方なく一緒に旅行している。古来よりこの種族は仲が悪いと言われてきた。 「待って。なんでエルフもドワーフもいないのにそんなこと書いてある本があるの？」 「ツッコミどころしかないな、この国は」

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エルフとドワーフの日本旅行 「このエキベンという携帯食はいいね。なんか白くてもちもち」 「ハクマイって言うらしい」 「ぎゃあ！何なのこの赤いの？酸っぱすぎる！」 「ウメボシな」 「知ってて黙ってたのかい？」 「まあまあ。このウメオニギリもおいしいぞ。真ん中をがぶっといくといい」 「ぎゃ

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エルフとドワーフの日本旅行 「このタチグイソバーってのは……」 「大変素晴らしいね。安価で、良質で、しかも早く食べられる」 「バーのカウンターが高すぎる！」 「ここには踏み台もないようだね」 「ヒトしかいない街はいつもこれだ！」 「ほら、冷めるよ」 「うるせえ！」

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エルフとドワーフの日本旅行 「これがカップラーメン……究極の携帯食らしいね」 「どうやって食べるんだ？」 「店で聞いてくればよかったね。オハシおつけしますか、とは聞かれたけど」 「ハシは食器だよな」 「蓋を開けてみた感じでは、オハシで食べるのに向いてなさそうだし、なにかの手違いだね」

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「乾物……だと思うんだ。ラーメンというぐらいだから、噂に聞く究極のニホン料理の携帯食に違いない」 「ラーメンというのは麺類だよな……この、乾いたウサギの脳味噌みたいなのが麺なのか？」 「脳味噌って……それはともかく。乾物なら多分お湯か水で戻せばいいんだ」

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さすがに中に入っていた小袋がスープだとは気付かず、麺だけを食べたらしい。 彼らがカップラーメンの真のおいしさを知るのは、富士山マウンテンの近くの野営地でであった少女のアドバイスがｳﾝﾀﾗｶﾝﾀﾗ

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エルフとドワーフの日本旅行 「コインロッカーとはおそれいったね。わずかな硬貨で荷物を預かってくれるなんて」 「しかし薄い鉄……こんなのだと魔猪の突進を止められない」 「魔猪はいないから想定しなくていいよ」 「あとこんなに小さいと荷物が入らん」 「ドワーフは荷物を背負いすぎなんだよ」

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エルフとドワーフの日本旅行 「アイシーカード。非接触で内容を読み取る。素晴らしい魔法だね」 「この国に魔法はないんじゃ？」 「それに近い技術、だね。それがうじゃうじゃとある。戦争もしていないのに」 「不思議な国だなあ」 「でも通勤時間帯とやらは戦場みたいだね」 「ヒトが！多！流！

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エルフとドワーフの日本旅行 「この国のタチグイソバーは、東にしかないらしいね」 「じゃあ西はどうしてるんだ？」 「タチグイウードンというものがあるらしい」 「行ってみるかー」 「ただ、緩衝地帯にタチグイ騎士メンという騎士団がいる」 「騎士団は大体面倒くさいな」

椎出啓 @siidekei

エルフとドワーフの日本旅行 「寒くなってきたね」 「よろず屋（コンビニ）でこんなものを買ってみた」 「なんだいこれ」 「使い捨てカイロと言うらしい」 「懐炉なら知ってるけどこれは……」 「中には鉄分と炭と塩が入ってる。錆びさせると熱が出るんだ」 「さすがドワーフ。土臭いものに詳しいね」

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エルフとドワーフの日本旅行 「タチグイ騎士メンはうまかったな！」 「あんなにビロビロだとは思わなかったけどね」 「ほかにも旨いものがあるらしいぞ」 「この国はどこに行っても名物があるね」 「最近ちょっと太っちゃったぞ」 「ドワーフのどこに脂肪が付くんだい？」 「おっぱい」 「えっ」

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エルフとドワーフの日本旅行 「騎士メンの街を過ぎてウードン領域に来てしまった」 「そしてこれがイセウードン」 「なんか白くて長い」 「そこにショーユをかける」 「なんか聞いていたウードンと違う」 「しかも1時間くらい茹でてるらしい」 「なんか知ってる麺類と違う」 彼らはこの後シコクに渡る

椎出啓 @siidekei

エルフとドワーフの日本旅行 「レストランに入ったらニャーと鳴くキッチンワゴンが走ってる」 ニャー 「猫の顔が描いてあるな」 ニャー 「何してるんだろう」 ニャー 「注文された品を持ってくる役目があるっぽい」 ニャー ニャー ニャー 「忙しそうだな」 「注文を聞いてくれる人間はいないのかな」

椎出啓 @siidekei

エルフとドワーフの日本旅行 「ファミリーレストランというのも、悪くはないな！」 「どこの店に行っても同じクオリティというのはすごいね」 「シェフを呼びたい！」 「いないらしいけどね」 「おおう」 「……ところで、勝手に付いてきてるけどどうしよう、アレ」 にゃー 「勝手に動くワゴンだ！？」

椎出啓 @siidekei

にゃー 「お店で働いてるんじゃなかったのか？」 にゃー 「勝手に客の後をつけるのは良くないと思うね」 にゃー 「にゃー、しか言わないな」 にゃー 「猫っぽい顔の絵が張り付いてるしね」 にゃにゃー 「うわっ、色変わった！？」 「……言葉通じてるのかな」