黒ラブみっちゃんと主人の長谷部くん、灰色の子猫を拾う

カコ🐙 @3nasubi31

黒ラブみっちゃんが主人の長谷部くんとお散歩中に迷子の子猫を保護する話。灰色の子猫はまだ母猫の乳を欲しがるくらい小さくて、ミルクをやろうとしても上手く飲めない。子猫がミーミー鳴きながら咥えたのはみっちゃんの乳。仕方ないからみっちゃんの乳にミルクをぬって飲ませることに(へし燭)

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みっちゃんの乳をぺろぺろしてるところにミルクピペットを差し出して授乳する長谷部くん。そろそろ慣れただろうと抱き上げようとすると子猫は暴れるし普段はおとなしいみっちゃんもグルグル威嚇……仕方ないのでみっちゃんの乳首withミルクな授乳が続く

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子猫はみっちゃんの側から離れないし、みっちゃんも子猫が視界から消えると不安げにうろうろする。なのでなかなかみっちゃんを散歩に連れ出せず、長谷部くん一苦労。紆余曲折を経た結果、みっちゃんの背中に子猫を乗せてお散歩することに。

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ただでさえイケメンと大きな黒ラブという組み合わせで目立ってたのに、黒ラブの背中に灰色の子猫がぺったりくっつくようになってますます目立つ。同じお散歩マダムに声をかけられたり遠巻きにされたり…

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子猫を拾ってから１週間くらいした頃、最近では珍しい学生服の男の子が生け垣に頭を突っ込んでる。学生服かつ妙に手足が長いのでよく目立つ。「へしちゃん……へしちゃんどこだい……」っていう半泣きの声がするも、長谷部くんはあまり関わらないようにしようとそっと通りすぎようとする

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と、黒ラブの背中の子猫が小さく「みゃ～」と。すると生け垣から学生服の男の子ががばっと顔を上げて「へしちゃん！！」黒髪に枯れ草とか枯れ葉とかクモの巣までつけて半泣き顔だけどなかなか将来有望な顔立ち。男の子は黒ラブの背中の子猫を見るとぽろぽろ泣き出す。 「よかった…へしちゃん…；；」

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落ち着かせて話を聞くと、学生服の男の子は近所の一軒家に住んでる高校生で、知り合いから念願の子猫を譲ってもらうも、縁側の窓から逃げ出してしまったという。「無用心だな…」「ごめんなさい…」大柄な高校生がしゅんと肩を落とすのが可愛らしい。「保護したのはうちの黒ラブだ。誉めてやれ」

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「ありがとう、賢いんだね…ええっと、名前は？」「みっちゃん」「みっちゃん！」男の子びっくり。「僕もね、光忠って言うんだよ。みっちゃん、僕のへしちゃん見つけてくれてありがとう」撫でられて、みっちゃんも嬉しげ。でも、すわ光忠がへしちゃんを抱き上げようとするとグルグル威嚇

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肝心のへしちゃんも光忠の手から逃げ出してみっちゃんのお腹の下にかくれてしまう。無理矢理へしちゃんを抱き上げると、へしちゃんは悲痛に鳴くしみっちゃんは見たことないくらい恐い顔で吠える。「すまん、離そうとすると怒るんだ」「そ、そんな…；；」光忠くんショボン…

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仕方なく、へしちゃんはそのまま長谷部くんの家で飼われることに、光忠くんはいつでもへしちゃんに会いに来ていいことになった。光忠くんの保護者も了解済。 こんな感じで始まる在宅勤務長谷部くん(27)×DK光忠くん(17)

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はじめのうちは少し遠慮があった光忠くんも、数週間すると気兼ねなく訪ねて行くようになる。へしちゃんのお世話だけでなくみっちゃんのブラッシングや散歩もしてくれるので長谷部くんも大助かり。あと、光忠くんが毎回持参する夕飯のお裾分けがとても美味。

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光忠くんは近所のコンビニでバイトもしてて、そのバイト代でへしちゃんやみっちゃんのオモチャを買ってる。はじめは現金で餌代なんかを渡そうとしたんだけど長谷部くんが「俺はそこまで甲斐性なしじゃない」と断った。 ちなみにそのコンビニは「毎週火水木はめっちゃイケメンがいる」と話題になってる

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長谷部くんは光忠くんが来るのを最初は煩わしいと思っていた。あまり他人と関わりたくない。でも光忠くんのいつもニコニコして人懐っこいところやへしちゃんだけじゃなくてみっちゃんもとても可愛がってくれるところ、それに「長谷部くん、長谷部くん！」って自分になついてきたところが可愛くなる

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ある日、長谷部くんがどうしても出張で２泊ほど留守にしなければならなくなる。今まではみっちゃんをペットホテルに預けてたけど今はへしちゃんがいるし、いまだにみっちゃんとへしちゃんはべったりで離れない。困り果てた長谷部くん、光忠くんに「二泊三日のバイトをしないか」と。

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保護者にも了解を得て光忠くん快諾。「やったねみっちゃんへしちゃん！一緒にご飯だよ！夜も寝ようね！」っておおはしゃぎ。みっちゃんもへしちゃんも嬉しそうだし、長谷部くんとしてもペットホテルより安心。 それ以来、長谷部くんは留守の世話を光忠くんに任せるようになる。

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その日から光忠くんに鍵も預けるようになったんだけど、だからといって勝手に入ったりしないし、留守を任せた日は簡単な掃除やみっちゃんへしちゃんのシャンプーもしてくれたりする。

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みっちゃんもすぐに光忠くんになついて、光忠くんならへしちゃんをだっこしても威嚇しなくなる。ただし目の前からいなくなるとｸｰﾝｸｰﾝ鳴きながら探し回る。へしちゃんもその声を聞くと暴れて逃げ出すからやっぱり二匹は引き離せない

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光忠くんがくる時間が近くなるとみっちゃんは玄関で座って待ってるし、へしちゃんはその側でゴロゴロしてる。「これじゃ誰が主人かわからんなあ」なんて笑うけど、長谷部くんも光忠くんがくるのは日課だし楽しみになってる。

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そんなある日、雨の夜に突然光忠くんが訪ねてくる。鍵があるのに律儀にチャイムを鳴らした光忠くんを家に入れるとずぶ濡れ。あわててタオルで拭いてやると、初めて会った日みたいに泣き出している。

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そんな光忠くんにみっちゃんはぴったりとくっつき、へしちゃんは自分から膝の上に。長谷部くんがココア(光忠くんしか飲まないから光忠くん用に買ってあるやつ)をいれてやると、ようやく落ち着いて「急にごめんなさい……」と。

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「何があったかは聞かないが、話したいなら聞いてやるぞ」と長谷部くんが言うと、光忠くんははにかんだように笑ってぽつぽつ話し出す。 高校３年生になっていた光忠くん、進路のことで保護者と喧嘩をしたらしい。

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「僕はあの家の子じゃないから、もう迷惑はかけられないと思って…」と光忠くん。光忠くんの保護者は叔父さんと叔母さん。小学生のときに家事で家族と右目を失って、親戚の家をたらい回しにされて今の家に引き取られた。

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といっても長谷部くんの知るかぎり、光忠くんはその家できちんと養育されているし叔父夫婦も普通のよい人。光忠くんからもよく話を聞くし、年の離れた従兄弟が可愛いとも聞いているから関係は良好なはず。 「…つまり、お前が高校を出て働くことに反対されたのか？」

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図星らしい。光忠くんは小さく頷く。「あの家の皆は優しいけど、僕は早く大人になりたいんだ…」高校生は難しいな、と思いながら長谷部くんはコーヒーをいれる。良好に見えても、本人にしか分からない葛藤があるんだろう。長谷部はこっそり保護者に連絡を入れると、家に泊めることにする。

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泊まっていいぞ、と言うと光忠くんは嬉しそうに笑う。あどけなくてまだまだ子どもだな、なんて思ったり。でも、ソファーで寝ようとする光忠くんに長谷部くん大慌て。「今までもソファーで寝てたのか！？」「だってベッドは長谷部くんのものだし…」光忠くんをみっちゃんとふたりでベッドに押し込む

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「えっえっ、でも、そうしたら長谷部くんはどこで寝るんだい？」「俺はソファーで」「ダメだよ僕がソファーで寝る！」「させられるかそんなこと」「クゥン」「ﾐｬ?」なんてすったもんだあって、結局二人と二匹でベッドで寝ることに。

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光忠くん、みっちゃんに顔を埋めてうとうとしながら「僕ね」と話し出す。「小さい頃、獣医さんになりたかったんだ。僕が産まれる前から飼ってた犬がいて、火事よりずっと前に病気で死んじゃったんだけど、大きくなったら獣医さんになって病気を治してあげるんだって……ｽﾔｧ」「……寝た…」

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翌朝、みっちゃんとへしちゃんを連れて光忠くんを家へ送る。自宅目の前の別れ際、「もし獣医になりたいなら」と長谷部くん「大学は必須だな」「……子供の頃の夢だよ」「そうだな」みっちゃんが光忠くんの足にすりすり、へしちゃんは長谷部くんの頭の上で大あくび。

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「ありがとう、長谷部くん」光忠くんはそう言って微笑む。「長谷部くんがいてくれてよかった」 それから、光忠くんはその話題はしないし長谷部くんも聞かない。でも 、光忠くんがへしちゃんたちに会いに来る頻度が減って、長谷部くんへの連絡も少なくなる。去年は二人と二匹で祝ったクリスマスもスルー

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年始は２日にお節のお裾分けとへしちゃんみっちゃんのごちそうを持ってきたけどすぐに帰ってしまう。見送るみっちゃんが寂しそうに泣いていて、へしちゃんがその鼻先をぺろぺろなめている。

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３月の雪が降る日に、また真っ赤な顔をした光忠くんが律儀にインターホンを鳴らしてから部屋に飛び込んでくる。「長谷部くん！僕、合格したよ！」くしゃくしゃの受験票を握りしめながら泣きそうな顔で笑う。「僕、獣医さんになるんだ…」「そうか」とまたココアをいれてやる長谷部くん。

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「がんばったな」「うん……がんばっ、た」足元に駆け寄ってきたみっちゃんとへしちゃんを抱き締める。「みっちゃんとへしちゃんと、長谷部くんのおかげだよ」

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国立大の獣医一本だった光忠くんは春から北の大地へ。見送りの空港より、長谷部くんがみっちゃんとへしちゃんを連れて会いに行った迎えの空港のほうが光忠くんボロ泣き。見送りなんか号泣。

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あんまり泣くので「ちゃんと獣医になったら毎日でも会わせてやる」と言ったら「うん、うん、ぼっぼくっはやく、はやく獣医さんになってっみんなと一緒に住むからぁ……」と。えっそんな話だっけ？とか思いつつも泣き止ませて帰宅。

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それから休暇ごとに会いに行ったり、帰省した光忠くんが長谷部くんちに入り浸ったり。無事に卒業と合格をした光忠くんが大荷物とともに「ただいま！」と帰ってくるまでのお話。 おわり！

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おまけ 長谷部くんとみっちゃん。長谷部くんは元は大きな会社のシス菅として働いていた。でも、イケメンなのに人付き合いが下手なところを漬け込まれて、面倒なパリピの痴情のもつれに巻き込まれ退職。精神的にも落ち込んでいたときにたまたまペットショップで見かけたのがみっちゃん。

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みっちゃんは血統もいいきれいな黒ラブなんだけど、生まれたてくらいのときにクソガキ客にいたずらされて右目を怪我してしまった。そのせいで引き取り手がなく、子犬というには大きくなりすぎてしまった。狭そうなゲージの隅っこでおとなしくしてるその黒ラブに長谷部くんは一目惚れ。即決で連れ帰った

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みっちゃんのお世話をしながらみっちゃんに癒されて、今の在宅仕事をするように。実はみっちゃんも怪我をしたときのことがあってから人間にあまりなつかなかったんだけど、長谷部くんには最初から頭をスリスリしてた。みっちゃんは優しい犬だから、自分より弱ってるものに優しいんだよ

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おまけ2 光忠くんとへしちゃん へしちゃんは、叔父さんの知り合いの家に生まれた子猫。他の子猫はそれなりに愛想があるのにへしちゃんだけは人間がさわろうとすると子猫ながらに威嚇してくるので可愛いげがないと貰い手がなかった。困った知り合いが叔父さんに相談して光忠くんの家に。

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といっても勝手に貰ってきたので叔母さんカンカンだし、なつかないしで手を焼いていた。光忠くんだけが引っ掛かれても鳴かれてもせっせとお世話をしていたんだけど、来て三日後くらい、光忠くんの義理弟(小２)がうっかりゲージを開けたときに縁側から逃げてしまった。

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おまけ3 へしちゃんとみっちゃん へしちゃんは雄でみっちゃんは雌です。実は。２匹とも去勢済。みっちゃんはへしちゃんのことを我が子のように思ってるけど(乳もやったし)へしちゃんは一目見たときから綺麗な奴なので嫁にしようと思った。ので、くっついて離れないのはへしちゃんなりの威嚇でした

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おまけ4 光忠くんとみっちゃん みっちゃんは、光忠くんのことは初めはへしちゃんを奪う悪い奴だと思っていたけど、賢い犬なのですぐに誤解だとわかる。それどころか光忠くんの寂しさに最初に気付いたのもみっちゃん。なので、来たときは率先して撫でられに行くよ。みっちゃんほんと賢い

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おまけ5 長谷部くんとへしちゃん へしちゃん「餌くれるやつ」 長谷部くん「みっちゃんが気に入ったんなら仕方ない……」 わりとドライな関係。でもへしちゃんは長谷部くんの椅子がお気に入りだし、長谷部くんはへしちゃんの腹の毛を撫でるのが好き。つまり仲良し。

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モーメントカバー用……なぜ追加できない？ pic.twitter.com/FhYV02OvMW

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