和菓子屋の炎ホ

ひしょこ @hishoco

#いつかちゃんと文章にしたい小ネタ 某ドラマに影響された和菓子屋がテーマの炎ホ未満・出逢い編。 キメの細かな白い肌、天使の輪っかがかかる金髪に琥珀色のおめ目。ﾏｶﾛﾝ、ﾊﾟﾝｹｰｷ、お紅茶とかが似合いそうな美青年が、和菓子屋で美味しいおいしいってお団子とか頬張ってるの大変可愛いなと

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代々静岡の一等地に店を構える和菓子屋・ﾄﾄﾞﾛｷ。 父親が早くに現役を退き、若くして店の当主になる炎だけど、最初は「先代の方が…」なんて難癖をつけるご贔屓のお客さまもいたりして、なかなか軌道に乗らなくて影で思い悩んだりするわけです。店の裏口、日の当たりが悪いそこでぼんやりする

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のが息抜き。自分で入れた緑茶片手に、にぎわってる店を眺める。そこは最近新しく出来た洋菓子店。見た目も華やかで美しく味もいいらしい。子連れの客や若者が吸い寄せられるように集まってくる。物静かな自分の店前とは大違い。 ため息をついて戻るかと立ち上がると、先ほどまで気が付かなかったが

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小さな男の子がしゃがみこみ、自分と同じように洋菓子店を眺めていた。羨ましそうに… こんな所で何を。まぁ知ったことじゃないかと、裏口の扉に手をかけた時きゅるると腹の虫が鳴った。思わず動きを止めてしまいその子を見れば目が合うも、すぐ逸らされて小さな体をさらに縮こませてしまった。

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誰に見られてるわけでも無かったがバツが悪い。店に戻り、卓上に置いてあった紙袋を手に取ってまた外に出る。 「食え」 まだそこにいた子供に差し出す。驚いた顔をして手を伸ばそうとしたが受け取らない。また腹の虫が鳴った。 「腹が減ってるんだろ？ほら」 「でも、おかねもってない」

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「これは商品にできない傷もので売り物じゃない。小僧が食わんなら破棄するだけだ」 だからほら。と、押し付けたらようやく受けとった。袋から取り出したのはどら焼き。地味な彩り、ふわふわと甘さたっぷりのものなんて入っちゃいない。幼子の口には合わないだろうが、腹の足しに位にはなるだろう。

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そう思って渡してやっただけだった。 初めて見るのか、まん丸のカステラをじっと見つめたあと恐る恐る口に運んだ。 するとどうだろう、強ばっていた顔がみるみるとほどけ、ひと口またひと口と食べ進めていく。 慌てなくても取り上げたりしないのに、リスのようにまろいほほをパンパンにして。

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「うまかぁ……」 むぐむぐと頬張っていたものが無くなると、琥珀色の瞳を潤ませてそう呟いた。どうやらお気に召したらしい。 「気に入ったのか？」 「こげんおいしいもんはじめてたべたばい」 「そうか」 「おにいさんがつくったと？」 「ああ」

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ありがとう。もうなくなってしもうた。 ゆっくりたべればよかったと気を落とすそいつ。先ほどまでの笑顔は影を潜めてしまった。 「もう一つ、袋に入ってる」 「ほんま！？」 「ああ。一度に食べるのは良くない。時間を空けてまた腹が減ったら食べればいい、それと……」

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気に入ったのならまたここに来い。余り物で良ければくれてやる。 久しぶりに美味しかったなどと言われて、気が良くなってしまったのかもしれない。 子供なんて好きじゃなかったはずなのに、気づいたらそんな事を口走っていた。 でも、またあの顔が見れるなら悪くない……

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っていう、餌付けして小鳥を懐かせる炎司さん。小鳥ちゃん美味しいって食べるんだけど、感想が妙に的を得ていて。味見させて「どっちの方が好きだ？」って小鳥にたずねるようになる。 小鳥は無邪気に答える。自分はこっちが好き。でも、このお茶と一緒に食べると美味しいのはこっち！

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その意見を聞きながら、商品開発に取り入れてくとドンドン評判が良くなっていく。 小鳥ちゃんが喜ぶ所をみたくて、色んなイメージも湧いてくるからいいことづくし。 先代以上の売上を記録する頃、ぱったりと小鳥ちゃんが姿を見せなくなってしまう。名前しか知らないその子がどうしたのか、探すことも

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出来なかった。飽きてしまったか…意外と2人でこっそり過ごす時間を気に入っていた炎さんは少し凹むも仕方ない、と割り切る。 〜○年後〜 美しく成長した小鳥ちゃんが製菓学校を卒業して和菓子屋ﾄﾄﾞﾛｷに弟子入りしにくる「あの時の味が忘れられなくて！」 っていう無駄に導入が長いだけの話。