第79回深夜の真剣140字60分一本勝負

花滝ちかる @chikaru_toka

「世界で一番綺麗だ」 私は真っ赤になった。 「大袈裟ね」 「大袈裟じゃない。自分の花嫁さんを世界で一番綺麗だと思わない男に、夫になる資格はないよ」 貴方が笑って手を差し伸べてくれるから。 一生に一度の晴れの日、一度だけ純白のドレスを纏う私は、世界で一番幸せな花嫁さんなの。 #140字小説

王子@第一種怠惰無責任者 @ojitw

あした天気になあれ。スニーカーが夏夕空を割る。 「明日はハレだよ」 兄は「ああそう」と。私の顔を見もせず、子供扱いして。ねぇ私、中学生になって好きな人ができたんだよ。兄は塩ラムネを舌で弄んでいる。 「ねぇ、ちゅうしよ」 私も、それから兄も、猛暑でおかしくなってしまったんだ。今だけは。

秋月蓮華 @akirenge

ハレすぎていた。 日本は太陽と熱の猛威にさらされている。 僕はと言えば幼なじみの君とエアコンの効いた部屋にいる。 君は塩ラムネの飴をなめて漫画を読み、僕は君のソシャゲの周回手伝い。 「ねぇ、ちゅうしようになったんだけどキャラ」 「中傷？　平気。進んで」 良いのかなとなりつつ、進める。

RAY/※※※ @growler_ray

「熱中症ってゆっくり言ってみてよ」 「誰がそれに乗るかって」 いつから始まったか、もはや使い古されたネタだというのに何度も振ってくる。やめろやめろと言った果て、ついに折れてくれたと思った矢先 「ねぇ、ちゅうしよ」 「は…？」 ある夏の日、私の初めてはそうやってあっけなく奪われました

掃き溜めに鶴 @hakidamenoturu

「お前の言動でハレーションが起きるんだよ！」彼の怒声が部屋に響く。私の真似をする若者が社会問題になっているのだそうだ。だが、それが何だ？私の言動一つで壊れる世界など、壊れてしまえばいい。「ねぇ、ちゅうしよ」説教に飽きた私は唇を叩いて愛を強請る。今日の私は塩ラムネ味。夏の恋の味だ。

春日聖奈@二代目 夜 @haruhino37

彼と海へ来た。ビーチパラソルの下で休む私は、新しい水着を「イイじゃん」で済まされ意気消沈。 それならばと… 「ねぇ、ちゅうしよ」 ぼそりと呟いた。彼はすぐに 「え、なんて？」と…もぉ！！ 「熱中症って言ったの！」 「え、大変じゃん！！」 お姫様のように抱きあげられた。 …これはアリね。

繭美 @140mayumi

#深夜の真剣140字60分一本勝負 (@140onewrite) お題/ねえ、ちゅうしよ・ハレ #140字ss #140字小説 pic.twitter.com/iiEPYmPObg

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KTQ @wholiveo

石畳から殺意を感じる。体から容赦なくナトリウムとカリウムとＨＰが流れ落ちる。会場へのゲートは遠い。 「…ねぇ、ちゅうしよ…」 いわれるまま虚ろに塩ラムネを交換した。味は同じだが活力が湧いた。あと殺意が周囲からも湧いた。公序良俗に基づきハレンチは夕方まで自粛する。 猛熱の夏が始まる。