売れっ子モデル勇作×カメラマン尾

にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

売れっ子モデルU作さんは身に付けるものは尽くヒット商品になり、彼を撮影したカメラマンは成功への切符を手に入れると話題になっている。その噂は被写体が自然の尾にも届いていた。尾は以前出版した写真集が話題になったことがある、そこそこ名の知れた写真家だ。主に北海道の風景を撮影している twitter.com/miyuki_usako/s…

高田🔰バルバロッサ深雪 @miyuki_usako

@nijikare2 ネタ……。 売れっ子モデル作さんと風景写真家尾とかそういう感じの設定でしょうか？勇←尾片思いから付き合うまで、みたいな間柄の設定でしょうか？

2023-04-30 22:55:02

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U作さんも尾もSNSはやっていない。U作さんは必要ないし、尾はそもそも一日の大半を圏外で過ごしているからだ。だけどある日尾は札幌にカメラの部品を見に来た時にU作さんのCMを見てしまう。何もない荒野にU作さんが佇み、こちらに目線を向ける、ただそれだけなのにまるで狼の様だと思った。

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尾は職業柄アイヌとも交流があるが、それに伝わる狼の様だと思った。それは、一目惚れだった。それからはあんなにも心を惹かれた風景が物足りなくなった。ここに彼がいたら、そんな考えが浮かんでは消えていく。北海道の自然から湧き出る水の様にゆっくりゆっくりそれは尾の心を満たしていく。

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尾の心は渇望感に満ちていく。彼を撮りたい。一度で良いから彼をファインダーに収めたかった。だが、風景と人物では撮り方が違う。しかもあんな売れっ子だ。あんなに美しいのだからカメラマンからのオファーも多いだろう。ちょっとばかり写真集が売れた位のカメラマンからのオファー等、受けるはずない

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このままだといけない、そう思って芸能界にコネのある宇佐美に連絡した。宇佐美はファッション雑誌などによく衣装を提供しているアパレルブランドの社員だ。デザイナーをしており、個人的にアクセサリーをデザインし作ったりしている。人間性は嫌いだが、彼がデザインするすっきりとした服は好きだ。

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そこで相談を持ち掛けると「ちょうど今環境に配慮したオーガニックコットンの服のことでうんたらかんたら、だからそのモデルにオファーしてみるか～あの尾形百之助の撮影で！っていうから写真集送って」って言われる。写真集はそこそこ売れて話題にもなってる。宇佐美にも上げたりしてる。

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そしてその話をしてから三か月。尾形は北海道の原生林で写真撮ったりチタタプしたり猟友会の仲間とクマの駆除してたりしてた。そして決まったよ～打ち合わせあるから東京来て、来週水曜。って言われる。尾は基本札幌以上の都会が嫌いだから東京も嫌い。文句言うと「お前は被写体第一主義でしょ！」

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っていわれて渋々東京に行く。人込みで死にそうになるけど、宇佐美に迎えに来てもらって無事出版社に。そこにはU作さんはいないけど、撮影は北海道でいいよ～って言われてホッとする尾。U作さんはオーガニックコットンのセットアップで～撮影では日焼け止め以外は化粧しなくて～って説明される。

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とりあえず撮影は二か月後。いろんな撮影機材は尾が調達することになり、衣装のために宇佐美が、あとはU作のマネージャーなどスタッフが三人ほど来るらしい。尾としては自分のフィールドで撮影できるのが嬉しかった。あの美しい男が、美しい自然に溶け込むところが楽しみだった。

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そしていよいよ当日、と思いきやその三日前。マネから連絡がくる。U作さんが尾の住んでるログハウスに泊まりたいと。正直山中には住んでいるが電気だってガスだって使っている。丁寧な暮らしなんてこれっぽっちもしていない。それを告げると、寝る場所があればいいと言う。変な男だが、仕方ないと了承

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一応客用布団くらいはある。そして当日になって空港までU作さんを迎えに行くと、そこには煌めくような男がいた。マスクをしてサングラスをかけていて帽子をかぶっているのに、驚くほど美しいことが分かる。尾は後部座席にU作さんとマネを乗せる。もう一台のレンタカーには宇佐美とスタッフが乗った。

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マネはずっとスケジュールについて尾とU作さんに話している。撮影は三日間、その間尾の家に泊まるらしい。尾はそんなに？ってなるけど、バックミラー越しにU作さんと目が合った。にこっとほほ笑むその笑顔が眩しすぎる。安全運転を心掛けながら尾のログハウスへ。そこはそこそこの広さがあるが殺風景

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とりあえずその日は撮影場所を案内したりする。U作さんは時折じっと尾を見たり、北海道の原生林を見ていたりする。言葉少ななその姿に、モデルっぽいな、って思う。宇佐美はずっとうるさい。「電波入らないんだけどぉ！？百之助ぇ！！」って。そしてスタッフたちが帰って二人きりになる。

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マスクとかサングラスとかは山林に入ったときにすでに取っていたんだけど、顔を近くでは見ていなかった。その顔をよく見てみると、ぽつぽつとその綺麗な肌にそばかすがあった。毛穴も無いような美肌なのに、その中に溶け込むようなそばかす。そのそばかすに尾はとても可愛く思えた。

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「尾形さん」そう呼ばれて尾ははっとする。「あ、あぁ、すみません、適当に座ってください」とU作さんに言うけど、U作さんは動かない。その綺麗な目がじっと尾を見てくる。「貴方に、私を撮ってほしい」そういうU作さんの目は、何か妙な焦燥感に駆られている様に見えた。一体何があったのだろうか。

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はぁ、撮りますが…と返すがU作さんはじっと尾を見つめる。そして意を決した様な表情をしたあと鞄から勢い良く何かを取り出した。「サインください！！！」クソデカボイスに周辺にいたであろう烏が飛び立つ。それは尾の写真集だった。は？と首を傾げる尾。U作さんはその写真集をみて感銘を受けたらしい

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宇佐美からもらった写真集の美しさにとても惹かれたらしい。とても美しくて、まるでカムイの目を通しているようだ、と。尾はその熱烈な言葉にかぁ、と赤くなる。まるで告白をされているようだと思う。あの美しい煌めく琥珀が尾を見つめている。尾は、何も言えなくなる。ゆったりと部屋が暗くなった

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暗くなった室内に、尾はハッとして電気を付けた。なんとなく気が抜けた。腹が減りましたな、って笑ってこの日のために仕入れた鹿肉を振る舞うと話せば、U作さんはふ、と笑った。あなたに会うのが楽しみだったんです、ってU作さんが言うから、俺もですよ、って尾も返した。

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二人で鹿肉のソテーを食べて、ビール飲んで。腹が膨れたら二人で写真集を開く。この写真の美しいところ、どうやって撮ったのか、山の獣の美しさ、アイヌたちの文化について尾は言葉少なに話した。U作さんはそれを聞きながら頷く。私も、これらの写真に加えて下さるのですね、とU作さんは微笑んだ。

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このような美しい写真の中に加えて頂けるのは嬉しい、そんな風に話すU作さんに早く寝てください、と言って布団を渡した。次の日からロケハンからの撮影が待っている。体力勝負ですよ、と尾は離した。そして撮影の時、U作はとてつもなく美しかった。

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生なりのオーガニックコットンのセットアップはゆったりとしたシルエットだが、着心地がよさそうだ。袖から伸びる腕は筋肉質で、シャツの身頃に浮かぶ背中の肩甲骨は今にも羽根を広げても可笑しくないくらいだ。物憂げに伏せられた瞼からはけぶるようなまつ毛が伸びている。まさしくカムイだと思った。

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尾は夢中でシャッターを切った。撮っても撮ってもいい写真が撮れる。いやもっといいものが撮れるはず、そう思った。そして夕日が沈みかけた一瞬、まるでダイヤモンドの輝きの様な光が山間から差し込んだ時、U作さんの琥珀色の瞳が輝いた。その瞬間を尾はシャッターを切ることができた。

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宇佐美に止められるまで尾は写真を撮り続けていた。自宅に戻ると尾は夢中でデータを確認する。あの琥珀の煌めきが、見事にファインダーに収められていた。まるで彼の輝きが閉じ込められたようだった。そしてその夢中になっている尾の背中をU作さくさんはもの言いたげにじっと見つめていた。

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それから尾が撮影したU作さんの写真が載った雑誌は売れに売れた。特にあの山間の光がきらきらとU作さんの瞳を輝かせた写真は、U作さんの代表作になった。U作さんのそばかすは、ネットでも大好評なくらい自然体なのが良いと言われた。尾の下には沢山の依頼が来るようになったが、尾は風景専門だと断った

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尾はU作さん以外撮りたいと思わなかった。相変わらず風景は美しいと思うけど、やはり心震わせるものにはあれ以来出会っていない。沢山の賞賛よりもあの輝きの方が心の中に残った。そんなある日、尾はあの時の撮影場所に足を運んだ。季節は移り替わっていて、新緑の爽やかさから、秋の哀愁が漂っている

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そんな中にそれはあった。チャコールグレーのコートを着て、物憂げに空を見上げている、U作だった。U作さん？と声をかけると、伏せられていた瞼が開きあの琥珀色が尾を捉えた。お久しぶりです、来てしまいました、そうU作さんは気恥ずかしそうに言う。尾は目を見開いてU作さんを見つめた。どうして？

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そんな小さな呟きしか出なかった。レンズ越しの尾にもっと見つめてもらいたかった、できればレンズを通してではなく直接見つめてほしかった、もっと私を見てほしい、そんなことをU作さんは矢継ぎ早にいう。尾はキャパオーバーで、はぁ…としか言えなかった。

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そこからU作さんは通い妻の如く尾のところに通う。写真を習ったり、お互いに撮り合ったりする。言葉はないけれども、お互いにひかれあったことは間違いない。そんなある日、U作さんは一枚の写真を撮る。楽しそうに尾がカメラを構えている写真だ。そのレンズの先には何があるのだろうかと皆が思う様な。

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そしてU作さんの友人から声をかけられる。カメラの広告にこれを使いたいと。U作さんはにっこりとほほ笑んで言った。彼は私のものなので。初めてU作さんが尾への気持ちを言葉にした瞬間だった。こうやって二人は周りをお互いに牽制しあいながら言葉にせずに距離を詰めていくのだった。

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多分この二人はお互いに言葉に出さないで、お互いを見つめる目を撮影しあって気持ちを確かめ合う。キスするときもお互いの目を見つめ合っている。えっちの時ももちろん。何回かU作さんが一緒に住みたいというけど、大体がNO。都会が嫌いだからね。U作さんが尾の家に転がり込む。