お題「親指」「白雪」「人魚」
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日凪セツナ@BOOTH通販中 @ud0104418624

掌サイズのお姫様。森の中のお姫様。海の中のお姫様。 「さ、どの姫様も器量よし。好きに許嫁を選びなさい」 「普通の人間をお願いします!」  並べられた見合い写真を前に、美丈夫な王子は悲鳴をあげた。

2018-03-03 22:05:34
花滝ちかる @chikaru_toka

人魚の君は少女のまま、僕だけが少年から大人になった。僕だけが年老いて、先に死ぬのだろう。それでも、僕は… 「君だけのものだよ。僕は、君と生きたいんだ」 細い指に指輪を通すと、君は青い瞳から涙を溢して、幸福そうに笑った。 「私が人間になれる、たったひとつの方法だったのよ」 #140字小説

2018-03-03 22:08:02
RAY/※※※ @growler_ray

きっと私なんかお遊びだ。 そう決めつけて、私はあの人の告白を断った。 けれどその日、いつもより早く寝たら夢を見た。あの人が泣きながら海に身を投げて、泡になってしまう。まるで人魚姫のように。 目が覚めて私はすぐに走り出した。 お願い、間に合うなら、どうか私の本当の想いを伝えさせて。

2018-03-03 22:10:18
夢夜 @ruya_reve

白雪のようなきめ細かい肌、晴れた夜空の色をしたサラサラの髪、薔薇の花を彷彿とさせる赤い唇…… お前の容姿はいくらでも褒められるけれど、お前が美しいから好きになったわけじゃない。 優しくて、賢くて、真面目で、清らかだから…… ううん。 お前がお前だから、俺はお前を愛しているんだ。

2018-03-03 22:15:11
夢夜 @ruya_reve

太陽のような貴方ではあるけれど、時折見せる無垢な笑顔は白雪のようにも思える。 穢れを知らない真っ直ぐな瞳は力強く頼もしい。 その優しさで私を温め、その清らかさで私を癒す。 ──愛しています、心から。 嫌われることが怖くて言い出せないでいる。 ひとかけらでも、私に勇気があれば……。

2018-03-03 22:17:07
暁 悠宇 @a6JGNUYtaWLl8wJ

10年前の今日、僕は君に指輪を渡した。左の親指につけるもの。珍しい指輪だね、なんて言いながら嬉しそうに受け取ってくれた君を今でも覚えてる。 そして今年も、僕は君に指輪を渡すつもりだ。今年の指輪は左手の薬指。意味は…わかるよね? 君は受け取ってくれるなら必ず君を幸せにすると誓います。

2018-03-03 22:18:14
ふかんぜん @relation_crush0

これは古くからの言い伝え、人魚を食べると不老不死になる。ある者は世界を知るために、ある者は偉業をなすために、またある者は永遠の愛を求めてその肉を欲する。親指程度の大きさに数億単位の価値がつく。しかし、僕にはできなかった。目の前にある白雪のような肌を、林檎のように赤く染めることは。

2018-03-03 22:18:45
黒文鳥🍉(トランス差別反対) @heiwenniao

「Mさんて人魚の肉食べた?」「え…なあにそれ?」「人魚の肉を食べると不老不死になるって。Mさん俺が小さい頃から綺麗なままじゃん」「K君もお世辞を言うようになったのね」笑いつつMは奥の扉を開けた。「試してみる?」「え?」扉の向こうでパシャ、と水の跳ねる音… #深夜の真剣140字60分一本勝負

2018-03-03 22:19:18
秋月蓮華 @akirenge

白雪が降り積もる中、彼は彼女を短刀で突き刺した。 殺そうとしているのに殺せない。彼女は死なない。 「ずっと、昔に」 寂しそうに笑いながら、 「人魚の親指を食べたの。そうしたら、こうなっちゃった」 もう一度突き刺す。 それでも、何をやっても、彼女は死なない。 #深夜の真剣140字60分一本勝負

2018-03-03 22:20:27
ちひろ @naruhara04

「君の世界に行ったらば、マリンスノウのほの灯りの下、素敵な手品を披露しよう。ほら、こんな」そう言って彼の親指は、伸びたり切れたり。悪戯を成功させた子どもみたいに、私達は額をつけて笑い合う。「人魚姫が幸せになれないなんて、誰が決めた?さあ、婚礼は地上か、それとも」

2018-03-03 22:21:35
千川@金欠マン @senkawa31337

あの日、彼は学舎から飛び去った 最後に見た笑顔ははまるで君とは思えなくて、君が君でなくなるようなそんな気がした らしくない感傷に浸り、しみったれた顔で見送るくらいなら私も思いっきり笑みを浮かべてやろう お前がいなくても私は大丈夫だと、白銀に染まる世界でサムズアップを貴方に

2018-03-03 22:25:24
夢夜 @ruya_reve

歌が聞こえる。 声を頼りに探してみると、湖のほとりに誰かが座っていた。 ──人魚? 美しく透き通った声にそう錯覚する。 こっちを向いたその顔は、俺の大好きなお前のもので。 美しすぎる微笑みに、俺はまた恋をする。 「どうして泣いているのですか?」 それは……お前が綺麗すぎるから……。

2018-03-03 22:27:32
夢夜 @ruya_reve

湖のほとりで歌っていると、人の気配を感じた。 振り返ると、涙を流す貴方がいた。 「どうして泣いているのですか?」 私の言葉に貴方は何度か瞬いた。 貴方のそばに行って親指でその涙を拭う。 不意に手を掴まれて唇を押し当てられた。 「え……?」 「……これでも俺の気持ち、伝わらない……?」

2018-03-03 22:31:20
楓もち/春秋 @mapledanke

「やっと会えましたね」王子が触れたのは、美しい人魚が入れられた大きな水槽だった。幸せそうに笑う彼とは対照に、水中の彼女は悲しそうに俯くだけだった。きっと、王子は知ることがないのだろう。自分の命令で、国の兵士達が彼女の愛する故郷を潰した事を。多くの仲間の命を、簡単に奪った事を。

2018-03-03 22:51:55
akila @kumogakurenbo

#140字小説 #140字SS 深夜の真剣140字60分一本勝負 「親指」「白雪」「人魚」 pic.twitter.com/hEey7iKk5S

2018-03-03 22:52:19
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ちひろ @naruhara04

女王は、人魚の肉を食べたのだと噂されていた。だからこそ、代替わりもせず、500年もの間、君臨できるのだと。「笑わせんじゃないわ」そう言って女王は雪に身を横たえる。「そろそろお目覚めよ?白雪姫」女王がその人生にサムズアップした瞬間、同じ細胞を持つ彼女が、培養液の中、目を開いた。

2018-03-03 22:55:57
ちひろ @naruhara04

「これを着て、牡丹雪に紛れるの、そうすれば」妖精の僕に向かって、花から生まれた姫様は、白雪のようなドレスを纏い、無茶を言う。口煩い爺やの目を盗み、空を飛びたいなんて。「でも、叶えてくれるんでしょう?」地上に焦がれる人魚のような眼で見ないで、なんとかしたいって思っちゃうじゃ無いか。

2018-03-03 23:05:07
津森七@文学フリマ京都い-36 @tumori_nana

降り積もる白雪に足痕を残して私は去る。人魚でないから泡にはなれない、なんて云い訳であなたの追いかける余地を残す。じきに私は春にたどりつく。引き戻される恐怖に心臓をばくばくと鳴らす一方、まだ少し、憎らしいあなたが私に縋り赦しを乞う夢を見ていたいと願っている。

2018-03-03 23:18:44