元ツィート
FALLEN-off
2020/08/17(月)【1/3】https://twitter.com/tsuiyotsuitaro/status/1295262734196412417
2020/08/19(水)【2/3】https://twitter.com/tsuiyotsuitaro/status/1295887529388830720
2020/08/21(金)【3/3】https://twitter.com/tsuiyotsuitaro/status/1296735192049016832
CM
ID:INVADED イド:インヴェイデッド
2020年冬アニメ
監督・あおきえい×脚本・舞城王太郎
https://ch.nicovideo.jp/id-invaded(ニコニコチャンネル・コメントOFF推奨)
https://gyao.yahoo.co.jp/store/title/204711(GYAO!)
第一話無料公開中(2020.09.17時点)
ID:INVADED イド:インヴェイデッド #BRAKE-BROKEN
ヤングエース連載中
漫画・小玉有起×原作・舞城王太郎
https://seiga.nicovideo.jp/comic/45740(ニコニコ漫画・アカウント必要)
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_KS02201410010000_68/(コミックウォーカー)
第一話・最新話無料公開中(2020.09.17時点)
イドの世界が君を待ち受ける
月曜日分(1/3)
小説版『龍の歯医者』準備中。
#idinvaded #イド #イドインヴェイデッド #VSvirus #第4話 #第5話 #ATX #月曜夜18時から #水曜朝10時から #金曜深夜26時から #IDOFF #スピンオフのようなもの #世界観の繋がり不明 #FALLENoff #金曜は最後の三分の一 #非公式 『FALLEN-off』
2020-08-17 16:34:35引っ越してきたマンションでその日の夕方、運び込んだ荷物を開きつつお母さんはご飯の用意をしていてお父さんは 「これ今日全部出すのは無理だぞ」 と笑いながら言ってプシュ、と缶ビールを開けて飲み出してお母さんが
2020-08-17 16:35:12「ちょっと!明日月曜日で仕事だから残りはもう任せたみたいにしようとしないでよね!」 と怒る。 「えーだって無理じゃない?家んなか中途半端に開けたダンボールでパンパンになるだけでしょ」
2020-08-17 16:35:48とお父さんが言うとお母さんが持っていたフライ返しをフライパンの上に一旦置いてからフライパンをガシャン!とコンロに叩きつける。 私も弟もお父さんもギョッとする。
2020-08-17 16:36:05「じゃあ中途半端にせずにちゃんと片付ければいいでしょ?この荷造り、あんた、参加してなかったよね?だからどこに何かわかんなくて面倒なんでしょ?でもね、ちゃんとダンボールの表と脇の二箇所に書いてあるからね?」
2020-08-17 16:37:01「……えー……わかったわかった。けど何が入ってるのかわかってもどこに片付けるべきなのかはよくわかんないから訊いていい?普段の使い勝手ってあるでしょ?」 「普段の使い勝手はあんたにもあるでしょ?なんで私がうちのこと全部仕切る前提で喋ってんの」
2020-08-17 16:37:41私と弟はもうお母さんが怒ってお父さんがちっちゃくなりつつそそそと従う空気に慣れてるので気にならないと言えば気にならないけど、せっかく引っ越してきたのにうちは相変わらずなんだなあと思う。 心機一転素敵な家族、って感じにはならないのか。 それから
2020-08-17 16:38:24「何今の」「雷?じゃないよねゴロゴロないもんね」「なんか爆発とかしてない?」「ガス爆発?」「そんなの最近あるのかな」「最近とか関係ないだろちょっと外見てみて」「火……出てないね」「玄関からも見てみて」 私が行く。
2020-08-17 16:39:19ドアを開ける。 何を探したらいいのかよくわからないけど私たちの引っ越してきたマンションから火とか煙が出てたりはしていない。同じマンションの別の棟も見渡すが、特に異変はない。マンションの他の住人の人たちも出てくる。
2020-08-17 16:39:37「何今の?」「事故かな」「車でもぶつかったんじゃない?」「何か見えます?」「や〜見てるけど、何も見えないですね」「アラームもなりませんし、火事とかじゃなさそうですね」「何かタンスでも倒れたのかね」「あんなおっきな音する?」「いや知らないけど」
2020-08-17 16:39:55夜の七時半で、皆忙しいらしくて自分たちのドアの中に戻っていく。私も弟と一緒に戻る。 「何か見えた?」 とお母さんが訊く。 「別に」 「何かあったら警報とかベルとかが鳴るもんよ」とお父さんが何故か得意げに言う。「あはは。大丈夫大丈夫」
2020-08-17 16:40:11「タンスじゃないかって」 と弟が言う。 「タンス?何のこと」 「タンスが倒れた音じゃないかって、他の人が言ってるの聞こえたの」 と私がお父さんに説明する。
2020-08-17 16:40:29「タンス〜!?ないない!知らんけど!」 と言ってお父さんが笑う。 なんとなくカチンときてタンスも倒れ方によっては大きな音がするだろうし、知らないならないない!なんて否定の仕方はできないんじゃないの、と思うけど、言っても仕方がない。
2020-08-17 16:40:50それから荷物の片付けを終えてちょっと遅めのご飯を食べて、お風呂に入って寝る支度をしていたら普段より遅くなっていて、まだ起きてたから外の騒ぎに気づく。 「あんたらは来なくてもいいよ」 とお母さんが玄関で言って、でも無視して出る。
2020-08-17 16:41:35外の雰囲気は変わっている。さっきよりもずっと大勢の住人の人たちが通路に出て下を覗き込んでいて、私たちも見るとパトカーが三台四台……五台も来ていて、救急車もいて、私たちのマンションの中庭の一角に青いビニールシートが張られている。
2020-08-17 16:42:23「何も見えないよ。もう中入んな」 とお母さんが言う。 「何?」 と私が訊くと、下を覗いていたお父さんが言う。 「飛び降りだって。何も見えなくて良かったな」
2020-08-17 16:43:12「自殺だろ。助からないように飛んだはずだから助かってないだろうな。あそこの青いビニールシートの中で亡くなってると思う。もう病院に運んでも仕方がないから、慌てて救急車に乗せてない。亡くなった場所の様子をいろいろ調べるのが優先になったんだろうな」
2020-08-17 16:44:02「自殺……」 私は後ろを見る。弟はお母さんのそばにいて何も見ていないし何も聞こえていないだろう。 「自殺って何で?」 「そりゃいろいろ理由はありえるだろう?」 「そう?」 「うん。……まあでも、そんなことは君は考えなくてよろしい」
2020-08-17 16:44:42自殺しなきゃいけない理由なんてそんなにたくさんあるかな? よくわからない。私の知ってる人とかで自殺した人なんていない。 「お父さん、中入ろ」 と私は言う。 「うん。もうちょっとしたらね」 「なんで見てるの?」
2020-08-17 16:45:09「うーん。なんで誰かが死んだんだろうなあ、と思ってかな」 「そんなのわからないんでしょ」 「わからないなりに考えてるの」 「見てなくても考えられるでしょ」 「そうだろうけどさ」 「ダメだよ、死んだ人見ちゃ。かわいそうだよ」
2020-08-17 16:45:28「えっ」 と私が言うのとお母さんがお父さんを睨むタイミングが揃う。 「あ、違う違うタンスだった」 とお父さんが取り繕うけれど私は聞いていない。
2020-08-17 16:46:36そうか。さっきの大きな音は人が地面に落ちた音だったんだ。あんなふうに大きな音を鳴らすんだ。地面と比べると人は小さいからもっとポトン、みたいな感じだと思ってた。いや想像したことなんてなかったけれど、なんとなく。
2020-08-17 16:47:04思ったより人は重いんだな、と私は思う。 それから気づく。 そう言えばさっき救急車も来てたけど、落ちた人……飛んだ人は、あのドーンの音のときにまだ生きてた可能性もあったんだろうか?
2020-08-17 16:47:20じゃああの青いビニールシートで囲まれてた、整備はされてるけれどお花畑として飾り立てられてるってわけではない、ツツジとかが植えられてるだけのコンクリートばかりの中庭で寝っ転がって、死ねないまま夜空を見上げてたりしたんだろうか……?
2020-08-17 16:47:57私は怖くなり、お母さんと一緒に寝たいと言う。 弟もすでにお母さんのところに来ている。 「お父さんと一緒に寝るか」 とお父さんが訊くけれど、お父さんとでは安心できない気がする。
2020-08-17 16:48:29お母さんと同じ大人だけれど、お母さんとは違うのだ。 「いいよ。お布団持っておいで」 とお母さんが言う。弟と二人で入るとお母さんたちの寝室が狭くなったのでお父さんは私たちの部屋で寝ることになる。
2020-08-17 16:48:44「私のベッド使わないでよ」 と私が言うとお父さんが笑う。 「はーい了解です。お父さんはあっちでみんなのこと守ってるから安心して寝な」 そんなこと言ってお父さんはただぐうぐう寝るだけだろうと思うけど、ちょっとほっとする。
2020-08-17 16:49:06それからお父さんはお母さんに言う。 「ダンボール片付けて正解だったね。おやすみ」 お母さんも言う。 「おやすみなさい。また明日ね」 「うん」
2020-08-17 16:49:26それから私たちの部屋に行ったかと思ったらギッ、と玄関のドアの開く音が聞こえて、また見に出ちゃったのか、と呆れるような腹が立つような気分になるが、すぐに戻ってくる。
2020-08-17 16:49:44「警察も帰ったし、救急車もないから、もう全部片付いたな」 とお父さんの声が聞こえる。 そうか、と私は思う。じゃあ飛び降りて死んだ人もいなくなったのか。 良かった。
2020-08-17 16:50:38水曜日分(2/3)
#idinvaded #イド #イドインヴェイデッド #VSvirus #第4話 #第5話 #ATX #金曜日深夜26時30分から #IDOFF #スピンオフのようなもの #世界観の繋がり不明 #FALLENoff #水曜は次の三分の一 #非公式 2
2020-08-19 09:57:18次の日、私たちは新しい学校へ新しい道で行って帰り、お母さんと夕食を食べ、風呂に入って寝る支度を整え、ベッドに入り、寝る。
2020-08-19 09:57:44あれ?何の夢を見てたんだっけ?と探るけど思い出せない。 部屋の奥のベッドで弟も目を覚ましている。 「怖い夢見てた」 「何かおっきな音した?」 「した。わかんない」 「お母さんとこ行く?」 「行こ」
2020-08-19 09:58:13私と弟がベッドを降りたところで部屋のドアが開く。お母さんだ。 「起きちゃった?部屋にいな」 お母さんが部屋の電気をつける。 「どうしたの?何?」 「わかんないけど、家の外の様子見てくるから」 「何か大きな音した。お母さん一緒にいてよ」 と弟が言う。私もそうして欲しい。
2020-08-19 09:58:37お母さんがドアを開けたままで少し迷う。 「怖い夢見た」 と弟が言う。 「そう、でも夢だよ。もう起きたから安心しな」とお母さんが言う。「ちょっとだけ外確認するだけだから、お姉ちゃんと待てる?」 「嫌だ」 と言う弟は半泣きだ。
2020-08-19 10:05:48