第100回深夜の真剣140字60分一本勝負

KTQ @wholiveo

二十代の頃、親に晴れ着を作らされた、てか勝手に作られた。わたしのお金で、５０万。藍染。 「どう思う？」 「…ちょっと乱暴だけど、お金の使い方としては良心的だね」 「なんで？」 「藍染って、最後は、よだれかけにできるくらいまで長持ちするんだ」 この人の口にお粥を運ぶ老後が思い浮かんだ。

RAY/※※※ @growler_ray

空は綺麗に晴れた。新しい旅を始めるのに最適な天気とは、このことを指すのだろう。 雨も曇りも、雪も降った。決して楽ではなかった私の旅路だけど、それでもここまで辿り着けたんだ。 「…待っててね」 誰の心にも清々しさを伝える晴れ空。それをこの身に着て、私は向かう。 大切な、あの人の所へ。

つゆり @sanju_uroku

二十歳は大人だと思っていた。でも、いざ自分がなってみると子どもだと思う。ビールや珈琲は飲めないし、煙草は嫌いだし、回らない寿司屋より百円の回転寿司の方が好きだ。あの人に「ガキ」と頭をくしゃくしゃされるのもイヤじゃないから、やっぱりまだ子どもでいいや。明日は成人式。晴れたらいいな。

アオツリ @rararaSamhain

「ひとが苦しんでいる時に、こうも晴れ晴れとした星空を見せられてもね」 憮然とした顔で男が呟く。手にした粥に荒っぽく匙を突っ込んで、痛む腹をさすりながら窓を睨んだ 「ご自分のせいですよ。一度に二十も召し上がるから」 だから今夜は一つだけ。傍らの娘はそう言って艶やかな目玉を椀によそった

ありしゅ菓🍏 @aryoshka

「お粥一つ多いですよ」 言われて振り返ると、隅の席から20人目の患者がにやりと私に笑いかける。 そいつは気味の悪い鳥に姿を変えて、開いた窓から晴れた空に飛び去った。 一つ不思議なことがある。 幸福を告げる神はいつも、死神よりはるかに醜い姿をしているのだ。

Yukari（冒険心と行動力の♈️） @yukari_unlimit

成人式終了後、立食パーティーに参加した。目の前には、美味しそうなごはんと日本酒。そういや、20歳だからお酒飲んでもいいんだよな、と初めて飲酒する。｢にがっ…｣大人の味を知った成人の日の思い出。 @140onewrite #深夜の真剣140字60分一本勝負 #140字ss #140字小説 #twnovel #書き初め #二十

津森七@文学フリマ京都い-36 @tumori_nana

「ほんとの空が見たい」彼女がそう零したのはよく晴れた冬の日だった。「本当の空？」「東京には空がないんでしょ」少しばかりのお粥を喉へ流し、彼女はぐったり目を閉じる。 僕は今ひとりで阿多多羅山を眺めている。けれどもこれは本当の空ではない。僕の空は二十年も前に彼女が持ち去ってしまった。

Yukari（冒険心と行動力の♈️） @yukari_unlimit

今日から三連休。家族で遊びに出かけるんやろな…と近所のスーパーへ。すると、買い物客多し！晴れているのに、なぜ？！もしかしたら、正月で金使いすぎたか…人の多さにウンザリしながら、買い物をした。@140onewrite #深夜の真剣140字60分一本勝負 #140字ss #140字小説 #twnovel #書き初め #晴れ

Yukari（冒険心と行動力の♈️） @yukari_unlimit

｢七草粥のセット、買うてきて～｣と、母に頼まれた。｢なるべく(大根や蕪が)大きいの選んでな～｣という 条件付きで。なんとか条件を満たしたセットを購入、母が作った。醤油で味付け、玉子入りで美味かった。@140onewrite #深夜の真剣140字60分一本勝負 #140字ss #140字小説 #twnovel #書き初め #粥

はみどり@木製３秒間 @tyaboka1

初めて見たスーツを着た兄は、ブレザーとはまるで見違えていた。 「帰りは酒飲んでくる」 「七草粥も食べられないのに？」 「それはいーだろ」 　子どもっぽくてすぐ拗ねる、二十歳の兄。大人みたいなことしないでよ、この距離が本来だと知ってしまうから。 　伸びた指を堪えて晴れ舞台へ見送った。

木月🌷花鳥165委2 @kitobokki

タロット・カードを引く。正位置二十番。意味は何だっけ。使い古した脳みそはどろどろ粥状態。思い出せない記憶なんて宝の持ち腐れ？　いいえ、深く皺に刻んできた年月は私の宝物。今日の天気は爽やかな晴れ、こんな日ならお迎えが来ても許してしまうなんて冗談言って。あ、思い出した。二十番の意味。