…真面目にやった結果がコレかよ。
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意識のない社会人今吉 http://togetter.com/li/763588


意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

やっとログインできたか。昨日の不具合は何だったんだ。妖怪のせいか? つっても、昨日は原澤に呼び出されてツイッターどころじゃなかったけどな! あのオッサン、オレを都合のいいドラえもんか何かだと思ってんだろ。 togetter.com/li/763588 クソ、どいつもこいつも…

2014-12-30 12:00:19
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

年明けまでにRUNEクリアする計画が崩れたじゃねぇか! amazon.co.jp/dp/B000063NI8/…

2014-12-30 12:10:09

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意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

目ぇ疲れてきたし休憩するか。遠くを見ようと窓の方に顔を向けたちょうどそのとき、窓ガラスにバスケットボールがぶつかった。驚いて二度見すると、さらに2発目。誰かが外からぶつけているようだ。 ボールなら取ってやる! 頭にきて勢いよく窓を開けた。

2014-12-30 16:00:05
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

だが飛んできたのはボールではなく水だった。アパートの植え込み用のホースの水を真っ正面から被る。冷てぇ。濡れた前髪をかきあげながら下を見ると今吉が爆笑していた。 「わっはっは。花宮ひっかかってんw」 そのときオレが感じたのは悔しさや敗北感といったものではなかった。それは純粋な殺意。

2014-12-30 16:07:07
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「まだ東京にいたんですか。帰れ。そして二度と来んな」 図々しくも玄関まで上がってきた今吉は、オレがわずかにドアを開けた隙間に足をねじ込んだ。 「年末の新幹線ナメてたわ。明日の早朝には帰るから頼む、泊めてーな♡」 「これが人にものを頼む態度かよ…!」 「ややわー。ただの挨拶やてw」

2014-12-30 16:10:06
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「諏佐のとこ行けよ。この辺に住んでんだろ」 「絶賛既読スルー中やねん」 「彼女()は?」 「つい最近別れてもうて。明日、朝食作って出るから。な?」 「……」 「パンケーキにチョコソースで蜘蛛の巣も描いたるわ」 「…入れ」 勘違いするな。力比べが面倒になっただけだ。 「よっしゃ!」

2014-12-30 16:15:10
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「うっわ。花宮部屋汚いなぁ。ロッカーは綺麗やったのに。相変わらず外面と差ぁありすぎやで」 「ふはっ、掃除なんて物の場所が覚えられねーバカがやることだろ。ロッカーとか何年前の話ですか…ってオイ! 勝手にクローゼット漁んな!」 「なんでワシが卒業するとき譲ったコタツ使ってへんの〜」

2014-12-30 16:20:08
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

今吉はてきぱきコタツを組み立てながら 「コタツやんならみかんも必須やな。あとでスーパー行こな。花宮ー、服テキトーに借りんでー…うっわ! どれもダサっ! BAD BOYwwww 何w “悪童”意識しよんのw」 やかましい大阪のババアのようなマシンガントークでオレの心を粉々に砕いた。

2014-12-30 16:25:04
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「コタツ出られへん〜」 「スーパー行くんだろ。タダで泊めてやんだからメシくらい作れ。できないなら実家に帰ってもらう」 「イマドキ亭主関白はモテへんで」 今吉の体を引っぱってコタツから出そうとした。髪から香る甘ったるい匂いにイラつく。 「何すんねん!」 お茶の残りを頭にぶっかけた。

2014-12-30 17:00:13
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「さっき水かけられた仕返しですよ」 「もーややー。実家に帰らせてもらいますぅ」 文句を言いながら今吉はオレのBAD BOYのジャケットを羽織った。 「花宮はスーパーこーへんのー?」 「ゲームやるのに忙しいんで」 「おやつ1個までなら買うたるで?」 今吉が片目を開く。 「……行く」

2014-12-30 17:05:03
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

夕飯の買い物は今吉に任せ、オレはお菓子売り場に直行。 カカオの恵みを持って今吉を探す。いた。豚肉を吟味する今吉の背後からそっとカゴにチョコを入れた。 「99%って! また体に悪そうなもん食べてー 返してき」 「アンタがいると吸えねぇだろ」 これで我慢してやるつってんだよ、バァカ。

2014-12-30 17:30:10

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意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「鍋は一人じゃできへんからな」 ウソつけ。作んのが面倒だっただけだろ。まぁ美味いから許してやる。 「ふはっ、それ黒子が言いそう。“鍋は一人じゃできないんだ!”みてぇな」 「似とるけどw 黒子も普段からあのテンションなわけないやろw 花宮性格悪いでw」 「アンタに言われたくねぇよ」

2014-12-30 19:10:10
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「花宮は実家帰らんの?」 鍋をつつきながら今吉は世間話をふってきた。 「誰かさんがここにいるからじゃないですか」 「ちゅーか、なんで花宮一人暮らししとん? 家から通えるやろ。おばさん寂しがっとんで」 「一度、母を人質に取ろうとした奴がいて。学生の間は困るので」 「1秒感動したわ」

2014-12-30 19:30:23
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「ワシとんクラやりたいー」 食器洗いを終えた今吉が絡んできた。オレのゲームを邪魔するな! 「人ん家で1Pゲームやろうとすんな」 今吉は笑顔で電源に指をかけた。 「やめ…っ! あっ…」 「なんでいつもオレがやだつったこと全部してくんだよ!」 「そんなんそれ知ってて言う方が悪いわ」

2014-12-30 20:15:05
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

おかしい。今吉は昨日のことに触れてこない。ここぞとばかりに揶揄ってくると思ったのに。(途中12番と14番がごっちゃになって指示間違えたこととか) 当たり障りのない話題ばかりだ。ようやく大人しくみかんをもしゃもしゃ食ってる今吉を見た。 「ん? みかん欲しいん?」 「いらね…むぐっ」

2014-12-30 21:30:05
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「お風呂いただきましたーw」 濡れると髪が伸びてるのに気付いた。どーでもいいけど。 「で? いつ帰るんですか」 「ホンマは寂しいくせに〜」 「始発で帰れ。4時くらいまでなら起きてるから起こすけど。ベッド1つだしちょうどいいだろ」 「ほな頼むで。おやすみ」 今吉は布団に潜りこんだ。

2014-12-30 22:30:08
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

さて。邪魔する奴も寝たところで、消された記憶(データ)を取り戻す旅に出るか! クソッ、今吉マジ死ね!

2014-12-30 22:40:12

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意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

寝てんだか起きてんだかわかんねぇ顔しやがって。 「おやすみなさい」 pic.twitter.com/7HOMijZpwi

2014-12-31 04:00:10
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意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「なんで起こしてくれなかったん!」 「昨日ゲームやってる途中で寝落ちして」 飛び起きた今吉は時計を見るなり叫んだ。朝からうるせぇ。 「今から帰ってもめっちゃ混んどるやん。乗れたとしても3時間も立ちたないわ」 「……」 「まぁ文句言ってもしゃーないな。花宮ありがとうな」 「待てよ」

2014-12-31 09:00:09
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

来たときのスーツに着替えようとする今吉の腕を引いた。 「大量のみかん、どうにかしていけよ」

2014-12-31 09:05:03

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意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「何ですかコレ。」 出されたのは、チョコレートの線が縦横無尽に走った現代アートのようなパンケーキ。10時10分の今吉の眉が4時40分になった。 「蜘蛛の巣って…意外に難しーなぁ?」 「ふはっ、絵心なさすぎ」

2014-12-31 10:00:11
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

寒い。だが乾燥した空気が食後の一服を美味くする。 今吉がベランダの戸を開けた。 「臭い嫌いなんだろ。閉めとけ」 「勘違いすんなや。ワシはタバコ好きでも嫌いでもないで」 今吉はオレの口から取ったブラックデビル・チョコレートを自分の口に咥えた。 「ワシが嫌なんは花宮が吸うことやで?」

2014-12-31 11:00:10
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

今吉のポケットから通知音が鳴った。 「うお、指かじかむ…諏佐からや。昨日スーパーおったの見られとったみたいや。さすがにムシできへんな。花宮、ちょい諏佐んとこ行ってくるわ。帰りそば買ってくなぁ。…花宮? 聞いとる? もうワシ行くでー」 まだ長い煙草を灰皿でもみ消し今吉は出ていった。

2014-12-31 11:05:03

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意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「遅かったですね」 「ちょお色々あってなー ついでに監督にも会うてきたわ。蕎麦もう食べる?」 「いい。よく付き合ってられんな。あのオッサンどうにかしろよ。突然連絡してきて…自己中にもほどがあんだろ」 「花宮にだけは言われたないと思うでw まぁ確かに監督そうゆうとこあるかもなw」

2014-12-31 22:45:06
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「でも、これで花宮は借りを返せて就活終われるやん。桐皇も“落ちた暴君・飛べない烏”とは言われへん。相田スポーツジムも大繁盛。めでたしめでたしや」 「何もめでたくねぇだろ。そこにアンタが入ってねぇ。突然の頼みにも関わらず代理引き受けたのは、本当にダーツで負けたからだと思ってんのか」

2014-12-31 22:50:10
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「ワシも母校が優勝して嬉しいで? 花宮も協力してくれておおきに」 「笑顔、引きつってんぞ。……カマかけただけだ、バァカ。妖怪も地に落ちたな」 いつまでもオレがやられっぱなしだと思うなよ。 「オレには引きこもってないで何かしろとか言ったくせに、アンタはあれから少しも進んでいない」

2014-12-31 22:55:07
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「実質、騙されたのと同じじゃねぇか」 「事実、翌々年ワシらは青峰のスカウトに成功した」 「青峰一人最強()でも勝てねぇだろ、バカ。あの年は今年のヌルい決勝戦とは雲泥の差。誠凛の直結連動型ゾーン、赤司のもう一つの能力…全員ゾーンに相応する力がなければハナシにならなかった。つまり、」

2014-12-31 23:00:19
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「今吉さんが勝てないのは8年前から決まっていたんですよ」

2014-12-31 23:05:04
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「他に選択肢なんか無かったんですから仕方ないですよね。オレにスタメンの座を奪われ、声がかかったのは当時は強豪でも何でもなかった桐皇だけ。原澤の言葉を信じる他ない。ふはっ、さすがのオレも先輩が可哀想になります」

2014-12-31 23:10:06
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「ご、ごめん!?」 オレは恐る恐る今吉の前に近づいた。 は? ウソだろ…?

2014-12-31 23:35:04
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「花宮が本気で謝るとこ初めて見たわw テンパりすぎやてw “水!?”ってw ヘレンケラーかいなw」 「くそっ、ウソ泣きかよ。騙されたぜ」 「ウソなわけあらへんやろ」 今吉は目から出てる水を拭いながら顔を上げた。目は真っ赤だった。 「人が5年間考えんようしてたことを次から次へと…」

2014-12-31 23:40:07
意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

続きは言葉にならず、音にならない嗚咽と共に今吉はその場にしゃがみ込んだ。眼下の人物を、いつもほんの少しだけ見上げていたのが嘘のようだ。脆い。蹴り飛ばしたら倒れそうなくらいに。 この人は泣いたりしないと思ってた。

2014-12-31 23:45:07