自分の声で目が覚めると傍らにいぞうさんが立っていて、息の上がった僕を驚く様に見つめている 魘されちょる思うたら何ぞ悪い夢でも見ゆうがか 額の汗を自然に拭ういぞうさんに安心して一度瞼を閉じる ううん、大丈夫 最近変な夢を見るんだと、夢の内容を伝えるといぞうさんは大きく目を見開いた
2018-09-11 17:03:59この日からいぞうさんは夜のバイトも再開させてますます家に帰らなくなります バーテンの真似事してるいぞうさん、夜のバイトでおりょうと出会う おりょうさんはしっかり覚えていて、りょうまの事をずっと探していたらしい このあたりに住んでる…とまでは聞きつけたんだが…って
2018-09-11 17:03:59言うおりょうさんにサカモトの事を話すか迷ういぞうさん その様子をみて、ナメクジお前リョウマと会ったなって確信をもって話す 会わせろとしきりに言うので、どうなっても知らんぞと 記憶の事は話したしサカモトは明日休みでその日に約束を取り付けた
2018-09-11 17:03:59近くの喫茶店を指定したおりょうさん、サカモトは遠目からおりょうさんの姿を見ていぞうさんに随分綺麗な知り合いがいたんだなって思ってる 席に案内されるとおりょうさんがリョウマ!と立ち上がって両手を握って見つめてくるので驚いていると、そうか、と呟いてゆっくりと手を放した
2018-09-11 17:31:46いきなり悪かった、って言って席に戻ったあと名刺を差し出すおりょうさん おまんも随分こっちに慣れたのっていぞうさんが茶化すから煩いぞナメクジって返す おりょうさんは誰でも一度は聞いたことのある会社の御令嬢らしい
2018-09-13 16:35:54困ったらいつでも頼ってくれ、と笑う顔はいつかのいぞうさんと同じ顔をしていた そのあとは仕事の事とかいろんな事聞かれたサカモトさん、しばらく時間が経って解散かと思いきや悪いがこいつ借りていくぞと言われていぞうさんが引っ張られていくんですね
2018-09-13 16:35:55なんじゃ~!って引きずられて行くいぞうさんを見送った後、一人でふと懐かしい気持ちになって不思議に思うんですね 三人いて当たり前みたいな 全然知り合いでも何でもないはずなのに また会えばわかるかなってサカモトさんは思ってる 少し買い物をして帰ろうと寄り道します
2018-09-13 16:51:09一方いぞうさんは引きずられたまま別の喫茶店に入っておりょうさんに言われるがまま奢らされるんですけど、おりょうさんはやたらデカいパフェ食いながらなんだあれ!全然思い出さないぞ!って言ってます いやじゃから言うたろう!っていぞうさんが言うと
2018-09-13 17:07:00なんかこうおりょうさんの神様パワー的な何かが…リョウマの記憶をむくむくとだな…ってろくろ回しだすので阿保かと一蹴するとムっとした顔でいぞーはどうする気なんだと聞かれる またかと思いつつ、どうもしやあせんっていうとおりょうさんは目の前のコーヒー飲んで そうか って言う
2018-09-13 17:07:01おりょうさんは悲しいがリョウマそうありたいと願ったのなら仕方ない おりょうさんは良いオンナだから最後まで付き合ってやる ナメクジも元気出せっていぞうさんの頭ぐちゃぐちゃに撫でまわすもんだからやめえ!って暴れる 住むところ、ないんだったらおりょうさんが手配してやってもいいぞ
2018-09-13 17:34:45と言い残しておりょうさんは帰っていくんですね あいつも変わらんのって思いながら帰るんですけど、付き合わせたし…と思って飯でも作ってやろうかとスーパー寄るんですね そこでばったりサカモトと会ういぞうさん おまん帰らんかったんかって聞くといやせっかくお休みだから買い物でも…って
2018-09-13 17:34:45言うのであ~と思う いぞうさんは?って聞くとなんちゃない、おまん腹へっとらんかって聞くとえ!もしかして作ってくれたりする!?って聞くので言うとらんが!付き合わせてしもうたからの…おごうてやってもええと思うてじゃ!って言うと それなら、うん、余計いぞうさんのご飯じゃだめかな?
2018-09-13 17:34:45ってキラキラ顔で聞いてくるので 久しぶりに何かに負けた顔して~~~しゃあないの…何出てきても文句いいなやって言ってくれる ニコニコしながらサカモトはカゴ持つのでいぞうさんはボンボカ食材を入れてる いぞうさんは結局迷ってハンバーグとか作ってくれる 手軽なので
2018-09-13 17:34:45いぞうさんのご飯は定食屋さんで働いていただけあって美味しくて、毎日食べたい…って言うと毎日食うとるじゃろうがって定食屋の事言われてそうじゃない…ってなるサカモトさん 幸せな気分で布団に入る
2018-09-18 17:42:00その日だけは特別な夢をみて、いつものぼんやりとしたアレではなく黒髪の少女と豪雪の中を淡々と歩く夢 雪を踏みしめる音は聞こえてくるのに何故か会話は聞こえない 少女の顔をよく見るとなじみ深い顔をしていた 今日出会った不思議な女の人だと気づいたのは翌朝気づいてからだった
2018-09-18 17:42:01後日 いぞうさんはおりょうさんに連絡すると本当に物件を紹介してくれるんですね お前リョウマを置いていく気か?って聞くと置いて行ったんはあいつのほうじゃろって このおりょうさんはリョウマが一番だけどいぞ~の事も三番目くらいには好きなので色々考えた末おうちの事を紹介してくれる
2018-09-18 17:42:01いくつか物件資料を貰って鞄につっこむいぞうさん また連絡すると言って解散 後はどうサカモトに話を付けるかだけど考えてたけど、元々次の家が決まるまでと約束していたのだからいいかと難しい事は後回しにしちゃう 今日はこのままバイトに行きます
2018-09-18 17:42:01その日のサカモトさんの夢はいつもより鮮明で、夢ではなくまるで誰からの記憶を見ている様な これは誰の話だ?と考えたところでリョウマと声がして振り向く そこには見覚えのない恰好をした見慣れた顔がいた いぞう…さん?と呟いた所で目が覚める 数秒後大きく頭痛がして
2018-09-18 17:42:02起きなきゃ…と布団から起き上がった 早朝に帰宅したいぞうさんを起こさない様に動く ぼんやりする頭で準備をしていると床に置きっぱなしになっていたいぞうさんの鞄を蹴ってしまう 中身がバラバラになって慌てると、昨日の物件資料を見つけて心臓が凍るサカモトさん 頭がすっと冷えて動悸がする
2018-09-18 17:42:02そこからあんまり記憶がないけど普段通りに出勤しているしお昼は定食屋に行く もう体が覚えちゃってるんだね 今日はいぞうさん居ないんだ、って思ってまた朝の事がフラッシュバックするサカモトさん 何の相談もしてくれないんだって思いながらもそもそもここにいてと頼んだのは自分だったなと笑った
2018-09-18 17:42:02なんだい旦那、喧嘩でもしたかい?って丁度食べ終えた頃に新シンくんが肩バシバシ叩きながらやってくる 色男が陰気だと店の空気も悪くなる、って言われて薄く笑うサカモトさん これは結構深刻か?と思って隣に座ってほら、なんでも言ってみなって!俺口は堅いぜ!なんて言うから じゃあ…って
2018-09-19 15:27:57今朝の事全部しゃべっちゃうんですね あちゃ~と思いながら新シンくんがそれオカダの旦那には?って言うとまだ…最近あまり話せていなくて、って言うので仕方ねえ、この無頼漢が一肌脱いでやりますか!ってニコ!と笑いかけるので若干の嫌な予感を感じ取りつつ、頷くしかできないサカモトさんであった
2018-09-19 15:40:36仕事終わったらここに来いと言われて行ったのは雰囲気の良い個室の居酒屋で、入ると新シンくんがお、きたきたなんて言いながら手をひらひら振ってるんですね 悪いね呼び出して、って言われると反射的にいえ、って言っちゃうサカモトさん 少し早かったので雑談でもしようかって色々話す
2018-09-19 15:57:24その途中でそういえば変な夢を見るんですよ、最近じゃ見知った顔も出てきてって笑い話で始めるとそれ、って急に新シンくんが驚いた顔で見つめてくるのでどうされました?って聞くと いいや!なんでもねえ!それで?サカモトの旦那はその夢、どう思った?って聞くんですよ サカモトさんは
2018-09-19 15:57:24まるで誰かの記憶みたいだと こんな鮮明だけど曖昧な夢、見た事がなかったから でも、最後にみたいぞうさんの顔はなんだか寂しそうだったな、って夢の話なんですけどねって笑うとうんうんと頷いた後その事、よ~く覚えておいた方がいいぜ、きっと、旦那の為になるさ って笑うのでそうかな?と
2018-09-19 15:57:24笑い返す そうこうしていると扉からノックが鳴って、店員さんかな?と思っているとすまん、少し遅れたっていぞうさんが駆け込んでくるんですね え!って新シンくんの方みるとニタと笑いながらまあ頑張んな!っていぞうさんの横すり抜けてオカダの旦那もな~!って言ってほんとに帰っちゃう
2018-09-19 15:57:25してやられたな、ってサカモトさんはあわあわしてるんですけど、いぞうさんは訳分んないしそもそもリョウマがいるって聞いてないしって若干キレてるけど、とりあえず、座る?って聞くとはあってため息ついてドッカリ座ってくれるんですね そうこうしてると突き出しだの注文だの聞かれてあれこれ
2018-09-19 16:09:54サカモトが頼んじゃう 落ち着いたところで今日呼び出されたの、たぶん僕の所為だ ごめんね、って謝るので、なんでおまんが謝るんじゃって聞くと、家出ていくんでしょって聞くといぞうさんが息を飲んだ 本当にたまたま、みちゃったんだ、ごめんって言うと舌打ちが聞こえる
2018-09-19 16:09:54元々そういう約束やったろう って言うとうん、そう そうだったねって歯切れが悪いサカモトに苛立ってきて、おまんは何が言いたいがじゃって聞いてくるんですね サカモトさんは俯いてこめかみに手を当てながら分からない、でもずっといて欲しいって思ってた
2018-09-19 16:21:15っていうといぞうさんが、どうせおまんは!!って急に声を荒げる …それは僕がまだ思い出してないから? バッと顔を上げると泣きそうな、苦しそうな顔をしてるサカモトがいる いぞうさん、昔僕と会ったことがあるの?それとも、僕を通して誰を見てる?
2018-09-19 16:21:16ザアっと血の気が引いていくいぞうさん 何いうとるが 僕じゃ! …僕じゃダメなの?ってとうとう泣き出すのでいぞうさんが慌てるんですね 延ばされた手を優しく取って、僕いぞうさんの事好きみたいだ ごめん いぞうさんには相手がいるのに 何度もごめんと謝りながら話すサカモトさん
2018-09-19 16:29:30こんなに泣いてる大人になったサカモトは初めてだしどうしたらいいか分からなくて、とりあえず背中さすりながら分かったから泣きなや…ってなだめてくれる ズビズビ鼻鳴らしながらウウ…って呻いてるサカモトをとりあえずここに置いておくのもまずいと思ったので一度家まで持って帰るいぞうさん
2018-09-19 16:59:25家に着くころにはサカモトも落ち着いて、格好悪い所見せてしまってごめん…って勢い余って告白までしちゃったサカモトさん もう絶対この家にいてくれないってかなり落ち込んでる この家、使ってくれていいから、僕暫くホテルで過ごすね、って言ってふらふら立ち上がろうとすると
2018-09-19 17:03:45手をガッと掴まれてもう一度座らされるんですね ガツンと一発殴られる 勢いで少し後ろにのけぞってなんで、って言うと おまんがわしを置いていくのはもう許さんていぞうさんメチャクチャ理不尽にバチキレ とうとう耐えきれなくて、声を荒げながらサカモトさんが
2018-09-20 15:59:00でもいぞうさんは僕を置いていくじゃないか!昔だって!って言ったところで いぞうさんの勢いが切れておまんそれ、って言うんですね サカモトも我に返ってあれ、昔ってと口に出す前に色んな映像が走馬灯の様に流れ込んでくる 夢で見た場所も、会話もはっきり聞こえるようになっていて
2018-09-20 15:59:00最後に思い出したのは何度も夢にみた記憶 またね、って 言ったのは僕だったんだ 彼は何もかもを覚えていなかった僕に寄り添って はは、本当に甲斐性なしだなと俯いて笑った後、あの時の酷く寂しそうな顔をしていた幼馴染を今度は抱きしめられると 急に様子の変わったサカモトに恐る恐る近づいた
2018-09-20 15:59:01いぞうさんを咄嗟に両腕にしまって 待たせてごめん いぞうさんはずっと、約束 守っていてくれたんだね と言った 驚いたように目を合わせた幼馴染は大きく目を見開いた後、顔をくしゃりと歪めて遅いんじゃ、阿呆と肩口に目元を寄せてさっきよりも随分と弱い力で背中を殴られた
2018-09-20 15:59:01ところで何で最後殴ったの?って聞くと別に…今まで我慢しとった分許されるじゃろ って言うと今度は昔みたいなニヤケ顔でうん、ごめんってサカモトさんが言う おまん思い出した途端可愛げが消えたの、っていぞうさんが嫌そうな顔で言うとえへへと笑った 褒めとらんわ
2018-09-20 15:59:02また探偵やってみるのも楽しいかなあ おりょうさんもつれて、あ、他のみんなも来ているんだよね 会いに行くのも良いかもしれないって笑いながらいぞうさんに喋りかけるので それ、もしかせんでもわしも一緒にいけ言うとるんかと聞くと勿論 と笑った 拒否権は今度はなさそうだ
2018-09-20 15:59:02定食屋の話、一番の功労者がどう考えても新シンくんなのでいぞうさんがバイト辞める日にサカモトも付いて行って別途で菓子折り渡すしなんかもう僕たち結婚しますの勢いなので、普通にちょっかい出しすぎたかなって思うのであった
2018-09-20 16:39:15おりょうさんは無事サカモトさんに久しぶりって笑いかけられると、前とは違った昔の時のあの笑顔にリョウマだ!!!って抱き着いた後 やっぱりおりょうさんの神様的パワーが!!!って言ってサカモトを困惑させている話もある
2018-09-20 16:40:50