桜写真×ツイノベまとめ
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みお @miobott

#twnovel 「ごきげんよう、今年の冬はひどく暖かだったもので、ついついいつもより早くに目覚めてしまいました」 明朝、庭園の主人は妙齢の女性の声を聞く。振り返れば、愛らしい桃色が、春を待ちかねるように健気に揺れているところである。 pic.twitter.com/Au3HkKZzsA

2020-02-29 22:03:35
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みお @miobott

#twnovel 如月の空、気まぐれに吹く冬風に、耐えて揺れる河津の娘と、負けじと上向くおかめの娘。彼女たちが頑なな寒風を薄桃色に染め上げるころ、世界には春が訪れていた。 pic.twitter.com/tUFTsrEeU1

2020-02-29 22:13:36
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#twnovel 初春の世界は濁った灰色。だからこそ、薄桃色がよく映える。艶やかな桃色着物に身をまとった娘に会うため、彼は緑の衣に着替えて冷たい空を駆けていく。 メジロと桜の短い恋は、まるで色の洪水の如くである。 pic.twitter.com/NpQ2YXZFPi

2020-02-29 22:40:29
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みお @miobott

桜を撮影にいくと桜ツイノベがたぎりまくるので、久々ツイノベ、たのしい~~~いつも似たようなネタばっかり書いてるけど、楽しい~今年は写真に文字を入れてみた。 そしてこれは、なにかツイノベにしようと思ったけどネタを忘れたのでそのまま掲載する… pic.twitter.com/6F5rlYHKFI

2020-02-29 22:41:39
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みお @miobott

コレもなにかに使おうと思ったけど書きたいネタを忘れてしまった…。 以前からフォロー頂いている方はご存知かと思いますが、春になると桜写真のアップ率が異様に上がり、ツイノベ率が異様にあがるアカウントです。河津とオカメを皮切りに、陽光桜にソメイヨシノに枝垂れ桜と、桜撮影いくぞ~~ pic.twitter.com/zk0Omfo9iv

2020-02-29 22:43:26
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みお @miobott

春を舞い、春に遊んで、零す初春のひとしずく。 pic.twitter.com/J1tW4Glf3j

2020-03-20 16:37:25
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みお @miobott

#twnovel 「今日は春分ですね」と彼女が言った。日差しが長く続くのは結構なことですね。返す私に彼女はあどけない顔で笑った。「この日差しを集め、日差しを溜め込んで」彼女は淡桃の袖で、日差しを愛しげに撫でて捉える。「この明るさで夜を食らうのですわ」そう笑う彼女は、したたかな春の人。 pic.twitter.com/wQaCKzy8qN

2020-03-20 16:42:43
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#twnovel 行かないで。と彼女は嘆く。 振り返れば、春の空に映える淡桃の腕。扇のように広がった袖に滲む春の風、春の音、春の色。 今日という日が来てしまえばこれ以上、一緒に居られないのだ。突き放した私の腕から漏れる冬の風。 春分に名残で吹く北風は、私が零しそこねた愛惜の涙である。 pic.twitter.com/LBUnwPJCIY

2020-03-20 16:47:43
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#twnovel 目覚めればそこは桜の園だった。横たわる私を、無数の桜が覗き込んでいる。 それは私がこれまで見送ってきた多くの命。 老いた私の手を掴んでくれたのは、父か、娘か、妻か。 春風とともに掴んだその先に見える、薄桃色の花道は。 「…私の進む道か」 私が最期に歩く道である。 pic.twitter.com/GXevrxuTjc

2020-03-20 19:19:08
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みお @miobott

#twnovel ぽてりと丸い花弁に、差し込まれた薄紅の色。愛らしい立ち姿に惹かれて手を伸ばせば、通りすがりの男が私にそっと耳打ちをする。 「春の番人に気をつけて」 ふと顔を上げれば、花の奥に見えるのは、黒い影。 愛らしい春を守るのは、いつでも風の眷属なのである。 pic.twitter.com/tqg00lo1Gm

2020-03-20 19:22:44
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#twnovel 僕のふるさとは桜の名所だ。春の風に呼ばれて足を運べば、早咲きの陽光桜が僕を迎えた…来年、僕はこの花を見ることはない。 僕はこの春、ふるさとを遠く離れる。 光の名を持つ桜の花は、まるで僕の行く道に光を差し出すように健気に揺れ、僕は初めて涙を零した。 pic.twitter.com/DQjapxcfDr

2020-03-20 19:27:20
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#twnovel 「桜が咲いたんですって」 律子は窓を全開にして冷えた空気を思い切り吸い込む。「薄青に、ピンクに淡い黄色に雲の白」見えないはずの桜の花を思い浮かべるように律子は呟く。「春は風の色さえパステル色ね」「花見に行きたいんですね」根負けした燕が腰を上げれば律子は少女のように喜んだ。 pic.twitter.com/yzIbXItgvh

2020-03-20 19:42:33
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#twnovel 今年の春はにぎやかな人間が少ないものだから、代わりに鳥たちが賑やかしに訪れる。枝に触れる細い足、花に寄せた細いくちばし。いつもより熱烈な愛を身に受けて、桜はいつもよりも早く花を開かせた。 pic.twitter.com/fgPJtABUqE

2020-03-28 17:10:22
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#twnovel 「桜は蕾より成るのではなく、曇天を吸って成るのだ」だから花を無理に咲かせてはならない。桜は空より自然に成る。私の師匠は異端な考えゆえに桜守から放逐された。師の教えを胸に秘め数十年。私は初めて空から桜が成る様を見た。溢れた灰桃色の色から聞こえたのは、懐かしい師の声である。 pic.twitter.com/5lP817t8Jc

2020-03-28 17:22:34
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#twnovel 今年こそ、あいつよりも高い場所に咲いてみせる。幾度も幾度も心に誓った。しかし今年、目覚めた桜はがっかりと肩を落とす。空を走る黒い線を睨むように桜は揺れた。 「毎年この桜は上を向いて咲くのだ」 と、桜の気持ちを知らぬ人々は不思議に思うそうである。 pic.twitter.com/YRNCf5B9fV

2020-03-28 17:27:38
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みお @miobott

#twnovel 一度目覚めてしまえば、長くは生きられぬ身である。だからこそ暖かな日差しに絶望し、花散らしの雨が身に染みる。濡れた花弁を美しいともてはやす呑気な人の声に彼女は涙を零し、その雫を見て人は詩を生み出した。 pic.twitter.com/A95T63IVbp

2020-03-28 17:43:47
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#twnovel まるでそこは桜の森の満開の下。桜の森は音も空気も白く白く白い。 「今年は餌が少なくて、花も空腹。どうにも淡紅に染まらぬのです」 森に響くは女人の清い声。桜に見惚れていた男は桜に絡み取られ花の餌に成り果てる。男の消えた後の花は赤く赤く赤い。やがて桜花は美しい淡紅に染まった。 pic.twitter.com/SLIDKKb7Om

2020-04-11 18:47:06
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#twnovel 男は悪人である。生まれ落ちて産湯を蹴り長じては母を蹴って家を出た。犯罪には一通り手を染めたが一度だけ、折れかけた桜を治した事がある。それが善行といえば唯一の善行。地獄へ墜ちた男の元に降りて来たのは清らかな桜の枝。蜘蛛の糸の如く光る枝に触れ、男は生まれて始めて涙を流した。 pic.twitter.com/9SZbvtnewP

2020-04-11 18:49:56
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#twnovel この春、まるで雪のような桜が咲いた。色をすっかり抜かれたその花は、夜となると雪へと姿を変え、朝日とともに白々しくも花へと姿を戻す。今年の寒さが長く続くのは、桜の仕業。そのことを知るのは、朝に飛びたつ雀だけである。 pic.twitter.com/SmK9wvqrOG

2020-04-11 19:17:23
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みお @miobott

#twnovel 空の青に白い雲、天を覆う桜の桃色。嬉しそうに駆け出した律子がどこかへ消えてしまいそうで、燕は思わず手をのばす。しかし指先に触れたのは春を惜しんで散る花びら。「春のパレットをひっくり返したみたいね、燕くん」そして彼女は燕の気持ちなど気づきもせず、春の色に染まって笑うのだ。 pic.twitter.com/T8ga2BkhA9

2020-04-11 19:56:20
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というわけで桜ツイノベぼつぼつしてきましたが、今年は終了。何年も桜ツイノベしてきたけど今年は本当に色々不安な春でした(全部買い物ついでの通りすがりで急ぎ撮りばかりだし)。来年も桜は咲くし何なら来年の桜はもっと綺麗なはずなので、来年会おうな桜たち… pic.twitter.com/3ksybUoCcL

2020-04-11 20:01:25
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まとめたひと
みお @miobott

食べたり飲んだり書いたり。 書籍化📖 「上島さんの思い出晩ごはん」「極彩色の食卓シリーズ」「深川花街たつみ屋のお料理番」「彼女は食べて除霊する」 ヘッダーは@moshio_tsumuriさんthx お仕事依頼等は m.miobott@gmail.comまでお気軽に。 BOOTHで同人誌通販もしてます。