意識の低い就活生花宮の臨界

意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

郵便配達のバイクのエンジン音が聞こえて外に出ると、ポストにも大量の封筒がムリヤリぶち込まれていた。慌ててポストの裏蓋を開く。納まりきらなかった封筒が零れ落ちた。全部、採用内定取消通知状だ。１、２、…メールと合わせて50社分だ。

意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

なんだよコレ…頭がおかしくなりそうだ。オレはこれからどうなるんだ…？ 負けたらマジでニートかよ…？ 今後また就活とかできんのか？ つーか、勝った方がどうなるんだ…？ 赤司征十郎になるって何だ…？ 権力と引き換えに囚われの身の上になって、赤司みてーに誰にも会えなくなっちまうのか…？

意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

…………

意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

きたか。

意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

件名：選考結果のご連絡 　 花宮真様 株式会社赤司コーポレーション採用担当の赤司でございます。 この度は、弊社求人にご応募いただきまして誠に有難うございます。 厳正なる書類選考の結果、 花宮様にはぜひ面接にお越しいただきたいと思っております。 つきましては、面接日…

意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

『ええ顔してるやん』　『いつも、そういう顔してたらいいのに』　『ちゃうちゃう、さっきの顔や』　『素で見せた方』　『自分、ごっつい悪い顔してたで』　『その顔の方が何倍もイキイキしとる』　『ま、ぼちぼち楽しませたるから』　 『待っとき』

意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

1コール。出ない。 2コール。出ない。 3コール。出ない。 4コール。出ない。 5コール。出ない。 6コール。出た。

意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「なんや」

意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「今吉、さん」 「なに？」 「今吉さん」 「やからなに？」 「今吉さん、」 「ワシまだ会社おんねん」 「今吉さん…」 「切るで」 「今吉さんっ」 「明日入社式やろ。はよ寝」 「今吉さん…っ」 「やから…」 「……今吉さん」 「…？」 「今吉さん」 「……どしたん？」

意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

「……」 「花宮？」 「…………」 「花宮？」 「……──」 「花宮ー？」 「────」 「……花宮？」 「──……っ」 「花宮、」 「……オレ、」 「花宮？」 「……何でもないです」 「花宮…？」 「おやすみなさい」 「花みっ…

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（ブツッ）

意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

この戦いの後、オレは“悪童”どころか、“花宮真”でさえいられないかもしれない。これが人生の岐路だとしても、未来を捨てても、悪意を忘れても、オレは十年前アンタにもらった言葉だけは忘れたくない。忘れられない。オレの頭は感情は消せても、記憶は消えないようにできてんだ。言えなかったけど。

意識の低い就活生だった花宮bot @Entry2Hurt

言うワケねぇだろ、ばーか。