【ホムワト】眠れないジョン

ナナシ @darkmoon_souji

【メモ】#ホタテ創作_ホムワト 夜、ベッドに入ったものの、眠れなかった。 理由はわかっていた。 しかし、一人で探りにいくにはいささか抵抗があった。 なので。 抜き足差し足忍び足で上の階へ上がった。 寝室の扉を開ける。鍵はかかっていなかった。 不用心だな。

ナナシ @darkmoon_souji

暗闇の中ベッドですやすやと眠るそれに近づき、あるものを発動させた。 ジリリリリリリリリ！ 「ああああああぁぁっ！？」 けたたましく鳴り響きだしたその数秒後、それは飛び起きた。 「何！？何事！？火事！？朝！？」 「夜中です」 起きたことだし、特大音量目覚まし時計は止めた。

ナナシ @darkmoon_souji

「ホームズさんって、パジャマ派なんですね」 「悪かったな…パジャマ派で…。それよりもっと言うことあるだろ」 「どこからか、不可解な音が聞こえてくるので気になって眠れないんです」 「君の方が遥かにうるさいと思うんだけど…ていうか普通に起こせよ！」

ナナシ @darkmoon_souji

叩き起こされて、若干不機嫌のようだ。 まぁそんなことはどうでもいい。 「ホームズさんは何も聞こえませんでしたか」 「ぐっすりでしたよ、ええ。どうせハドソンさんが女でも連れ込んでんじゃないの…」 そう言って布団に戻ろうとするので、引き剥がした。 「見に行きましょう」 「何で！？」

ナナシ @darkmoon_souji

「近所迷惑だって文句言うんです。ホームズさんが」 「自分で言えよ！人を悪者にしようとするな！」 またもや布団に戻ろうとする。 「俺が寝れなくてもいいんですか！」 「知らないよ！君の安眠まで私は保証できないよ！」 「じゃあ俺、ここで寝ますよ！」 「なぜそうなる！」

ナナシ @darkmoon_souji

「俺がベッドでホームズさんはその辺で」 「なぜそうなる！？」 大きなため息をついて、ホームズさんは布団に戻るのを諦めた。 「わかったわかった…行けばいいんだろう、行けば」 そう言いながら、ガサガサとベッドの傍に置いてある小さな棚を漁り始めた。

ナナシ @darkmoon_souji

「ちょっと音の出所を探りに行くだけだろ…一人で行けばいいじゃないか…」 ブツブツと不満を漏らしている。 「あ、もしかして君、一人で行くのが怖かったり？」 そんなわけねーだろと言う前に、俺の拳はホームズさんの腹を貫いていた。 ベッドに倒れるホームズさん。

ナナシ @darkmoon_souji

「痛いな！！暴力反対！」 「蛇にビビるホームズさんに言われると、カチンときたのでつい」 「うるさいな！急に蛇が出てきたら誰だって驚くし！」 「何でもいいから、早くしてくださいよ。さっきから何を探しているんですか？」 「腑に落ちない…。何って、灯りだよ」

ナナシ @darkmoon_souji

懐中電灯か…？ 大げさだな… 「あったあった！しばらく使ってなかったけど、大丈夫かな」 そう言って、ホームズさんはろうそくに火をつけた。 …うん？ 「ろうそく…？」 「さぁ、行こうか」 「何でろうそく…？」 「ああ、懐中電灯の電池を切らしてるから」 そういうことではなく。

ナナシ @darkmoon_souji

「…ホームズさん…」 「何だよ。早く行こうよ、眠たいんだし」 「スマホに懐中電灯の機能がついてるの、知ってますか…？」 「…………えっ？」 あ、これは知らねぇな。 俺はピカッとスマホを光らせてみせた。 「それ、カメラのフラッシュでは…？」 「まぁそうなんですけど」

ナナシ @darkmoon_souji

知らねえな、こいつ。 「私のもこれ、あるの？」 「あるんじゃないですか…最近の機種なら大体付いてると思いますよ」 「マジで～あんまりスマホ触らないから…使い方よくわかんないし…」 …一応この人まだ二十代だよな？ 「今回はろうそくに火をつけてしまったし、これでいこう」

ナナシ @darkmoon_souji

原始的な明かりで、俺たちは下の階に下りた。 そして、玄関を開けた。 「………」 当たり前だが、アパートなので、廊下は24時間365日電気がついている。 「…何でろうそく持ってきたの？」 「いや、あんたが勝手に用意したんでしょーが」

ナナシ @darkmoon_souji

終わり。 パジャマ派ホム。 大音量で人を叩き起こすジョン。 一人で行かないジョン。 スマホ疎いホム。 それが書きたかっただけ。特に意味はない。