「あなた、ハンバーガー大好きよね」 聞かれて、まあねと答える私。私が好きなのは普通に味もあるんだけど、実はあなたと重ねる部分があるからでもあるんだよ ふわふわの上と下に挟まれる、ぎゅっとした真ん中という組み合わせとか特にね 「うん、誰の胸がぎゅっとしてるって?」 あ、やば…
2019-10-19 22:03:00寒くて目が覚めるなんて、初めて知った。 ここは簡素なアパート。私は、一年中あたたかかった生家のお屋敷を、選ばなかったのだから。 「…寒い?」 見透かされて、隣の布団へと抱き寄せられれば、泣きたくなるほどあたたかくて。 秋の訪れがどんなに冷たくても、貴方の温もりを選んだ私は、幸せなの。
2019-10-19 22:03:42テーマ:秋冷え #深夜の真剣140字60分一本勝負 (@140onewrite ) pic.twitter.com/v4q5YYGZ6M
2019-10-19 22:03:49こんな冷える十月の夜に、一人でいるのはあまり良くない。 キーボードの横に置いたコーヒーに、彼女の姿が浮かぶ。寒い季節には暖めあいたいから恋人を作り、暑い夏が来れば別れるのを繰り返すと彼女は言っていた。 気温が16度の今、あの人の隣には誰かいるのだろうか。 そればかり考えて時間が経つ。
2019-10-19 22:06:29『ハンバーガー』「いらっしゃいませ、店内でお召し上がりですか?」眩しすぎる笑顔に圧倒されながら、いつものを注文する。「…おまけ付きので」出てきたセットと対峙。(今日こそは!)と開ける。「これじゃない…」ゴールは、明日に持ち越された。#深夜の真剣140字60分一本勝負 @140onewrite
2019-10-19 22:07:18台風のせいで月見を食べに行けなかったねと、秋冷えの夜、ハンバーガーを仕入れてカノジョの家にいった。テーブルにススキを生けて、カノジョには目玉焼きを焼いてもらう。 「百均で型も買ってみました」 「凝るね!」 いただきます。 「今回はウチ何もなくてよかったね」 「何かあってもよろしくね」
2019-10-19 22:15:51『秋冷え』会社の帰り、一緒に帰っていた同僚に尋ねられた。「半袖…寒くないん?」「いや、寒くないで…なんで?」「だって朝晩冷えるやん」そう言って、コートの前のボタンをとめた。「せやな…ほら、ウチ、体脂肪蓄えてるから」オチは、自虐で終わった。#深夜の真剣140字60分一本勝負 @140onewrite
2019-10-19 22:22:49もしゃもしゃとハンバーガーを口にする。月見の名のついたそれは味がしなかった。辺りの騒音が塞げぬ濁流となって耳に押し寄せる。 何もかもが無味乾燥で味気ない。 ──秋が好きなの、笑った彼女の声は枯葉の影に隠れてしまった。 葉の色が朽ちるようにまた、記憶も留まっていてはくれないものだ。
2019-10-19 22:35:44○ハンバーガー山・ふもと 山の頂上で、バンズを食べる魔王の姿。見上げる勇者と長老。 長老「頂上が食べ尽くされた時、世界は滅ぶのです」 勇者「行かねば」 長老「しかし道にはチーズ沼、ハンバーグ地獄、レタス森が待ち受け、危険です」 勇者「私は料理人。困難も必ずうまく料理致しましょう」
2019-10-19 22:42:41秋冷えがきつい夕方、買ったのはハンバーガーセットを二つ、 階段を上り、古びた神社へとやってくる。 「月見バーガーだぞ」 呼びかければ狐が現れ、周囲の景色が歪む。 辺りは薄が原、 「つっきみー、アボカドバーガーも食べたい」 「今度な」 この辺りの守り神の狐巫女にハンバーガーを俺は渡した。
2019-10-19 22:46:36偶然見つけたススキの群生を眺めながら、安いハンバーガーを食べる。贅沢な時間だ、とあなたは笑った。幸せ探しの友は、私の寂しさを見透かしたようなタイミングで、電話をかけてくる。秋冷えの風に腰を上げる頃には、私は何に泣いていたのかも忘れて、ケチャップの付いた友の頬を拭った。 pic.twitter.com/otcjXZkkqj
2019-10-19 23:11:38