
八月の窓を開ければ死んでいるつかれてねむるひとに似た蝉 どこへでも行こうと思えば行けるのに飾るばかりの花の窓際 そういえば太刀魚の顔って知らないけれどわたしは塩焼きが好き かつて雪だったすべてのものたちへそそぐ光の あそこに鷺が #短歌 夏休みの短歌
2022-08-22 20:29:47
みんなみんなどこかへ向かう途中 いま信号が青に変わろうとする かんぺきなものはこの世にただひとつだから崩されてゆくparfait 風薫る犬にも犬のそれぞれの暮らしがあってここは公園 過ぎてゆく駅のすべてに生きている人がいること もう夏が来る #短歌
2022-05-29 19:52:01
いちまいの透明をはさんで話すきみのひとみが反射でみえない きみがひとならばわたしは魚だろう水族館のような毎日 のぞきこむのぞきこまれるわたしたち目でどれだけのものを言えるの #短歌 まどぐち
2022-04-29 22:27:38
燃えるならここからがいいさしのべた右腕で撮る躑躅の咲くを 手にとって戻す便箋もうたぶん会わないひとがふえるばかりだ トカゲ走る まだはんぶんは春の日のぼうぼうとしたひかりの道に もうぜんぶどうでもいいという顔で流れる川の、あ、鳥が飛ぶ #短歌
2022-04-25 20:19:33
キャッチボールではなく時限爆弾をおしつけあうような話し合いだね 賞味期限きのうのちくわをのぞきこみ変わり映えない景色ごと食う さくらさくそのまえにすりへってゆく桜石鹸もしくは私 生き延びた日々のかたちとしてつもる洗濯物の地層を崩す #短歌
2022-03-26 18:53:39
スーパーの魚売り場のそういえば魚の顔がひとつもないね ことごとく首をなくして横たわるえびのうまれた海を知らない これぜんぶあおいつぼみ てのひらのブロッコリーの花も知らない ぷっつりと切れた背腸のなまぬるく指にはりつく春のキッチン #短歌
2022-03-20 21:42:00
生きている人ばっかりの春の夜の満員電車がしずかでこわい 春の花がみなぼんやりと白いのはひかりを夜に運ぶためです なまぬるいコピー用紙の束を抱くようにほんとは猫を抱きたい #短歌
2022-03-10 22:22:17
はるさめをはるさめと名付けたひとの眼差しを思うはるさめを食う 細胞はそしてしずかに分裂し一本増えるシェフレラの腕 あと四回寝たら三月ひよどりはちょっと切実そうに鳴きおり ここでこの六畳一間で生きるだけラナンキュラスをガラスにいけて #短歌
2022-02-25 21:00:48
あなたにはあなたの海があることのあたりまえってこんな眩しい 終わりそうで終わらないままゆくのだろうごらん椿がもう咲いている 鳥の名をひとつおぼえて長いのか短いのかはわからない旅 #短歌
2021-12-28 17:48:25
なにもかもどうでもいいというような突風がくる二度目の春に 賃貸のページを見れば賃貸の広告が出て一人になれない 蕗を剥く指の汚れをゆるしたい遠い川にも春は来たかな きょうまでをぜんぶ忘れてみませんか迂回路にいま躑躅は咲いて #短歌 4月の感想
2021-04-30 21:41:41
うらがわでゆんと絡まる刺繍糸みたいな腕と声とみちゆき もし時を巻き戻してもまたここに来る気がするよ 各停に乗る やりなおすほどの人生じゃないからまあとりあえず花でも見るか #短歌
2021-03-18 22:15:20
あんだんて・あれぐら・あれぐろ・あれじおん春は記憶がまじって困る おまじないじみた名前の花が好きリューココリネをひとつください はるじおん?ひめじょおん?まあいいや。あの花咲く道で待っているから。 #短歌
2021-03-16 00:14:54
とりいそぎご用意しましたのでどうぞご査収くださいみたいな春だ つややかに日本史年表・地図ひかる表紙をひらく 風が強いね 年表は二〇二〇で途切れおり余白に君ならきっと絵を描く 柔らかなキャベツをちぎるとりあえず今日の夕飯までの未来を #短歌
2021-02-23 11:15:01
なんぴとものこしていってはいけませんさみしくないように食べてあげる こうやって僕たち生きて生かされてひとつぶに神様はなんにん? ごはんつぶごごのゆうやみごめんなさいよく噛めばなんだって甘いね
2021-01-26 21:52:32
明日死ぬ明後日死ぬかも知れぬ身でみな息をする満員電車 わたしたち覆いの下にほほえみをまたはあっかんべえをたたえて まんかいの花や蕾をつみとって種をよこせと言われても 冬 満ちるもの 打鍵音、内線電話、ウルトラライトダウンの掠れ こんなにも開け放たれている空に飛行機雲を最近見ない #短歌
2020-12-02 23:18:42
サンダルのはだしの裏に砂利ひとつ踏みて故郷の海の遠さよ 正しさも間違いもなくもう九月クレームメールにひとの名はなし 夕立に足を濡らして帰路をゆくどうせ人間いつか死ぬのに 向日葵はこうべを垂れてこの夏のいまだ止まないカーテンコール #短歌 最近の感想
2020-09-07 21:19:09
まどろみに過ぎてしまった春でした ただ空はあおただ雲はしろ たんぽぽの綿毛をそっと網戸からはずす おまえは遠くへお行き 夏までの片道切符を渡されていつのまにわたしこんなところへ #短歌 4月と5月の感想
2020-05-26 23:14:09
なんで今笑うんだばか霧雨のむこうできみは手を振っている お題ありがとうございました~! #ほめて箱 #褒めて #homete_trpitn mottohomete.net/letters/ede846…
2020-04-18 16:59:56
やくそくをしたような気がしませんかわたしたちまだ魚の頃に お題ありがとうございました🐟️ #ほめて箱 #褒めて #homete_trpitn mottohomete.net/letters/50a580…
2020-04-17 23:02:28
おはようとあなたの声のあることの若葉のもえるようなよろこび ありがとうございます☺️フレッシュで明るい雰囲気になっていたらいいな~と詠みました! #ほめて箱 #褒めて #homete_trpitn mottohomete.net/letters/3f4107…
2020-04-17 22:58:19
すぎてゆくこともやさしさ ゆっくりと時計回りのミルクティーのうず お題と応援ありがとうございます!ミルクティーおいしいですよね☺️ #ほめて箱 #褒めて #homete_trpitn mottohomete.net/letters/7f9bcb…
2020-04-17 22:43:56
春雷のマーガレットのはなびらの白々と散るしずかないのり お題ありがとうございました! #ほめて箱 #褒めて #homete_trpitn mottohomete.net/letters/ff2e6a…
2020-04-17 22:02:51
卵殻に青いクレヨン呼応せよアイネクライネナハトムジーク 五年前わたしに生えた椋鳥に等高線が刺さって死んだ 爪先の鯖のうろこの曲線の東側から革命前夜 #パプリカゲーム短歌
2020-01-09 23:34:07
白菜をことごとく跳ぶ八月の背筋はつまりジャングルジムだ はらっぱのレントゲンからはるかなる海老のおはようおやすみなさい ひなげしは高速道路のまくらもと泳げなかった月はかなしい #パプリカゲーム短歌
2020-01-09 22:39:33
サーチライト月を殺して見る夜はどうですか天国は見えますか ここからじゃ見えない星をむりやりに繋いでつくるあなたの星座 かなしみがわたしの耳を塞ぐときどうせ吹くなら向かい風 来い #短歌
2019-12-20 00:16:20
緞帳があがるよごらん暗闇にさざめく無数のてのひらから蝶 蝶、蝶が蝶が飛ぶから見えなくて思い出せないあなたの名前 名前などいらないせかい左から三番目の席に腰かけるひと ひとはみな小さな終わりを編んでゆき結び目としておりる緞帳 #短歌
2019-12-05 20:33:05