第24回深夜の真剣140字60分一本勝負

RAY/※※※ @growler_ray

別れ際に貰ったクリスタルのペンダント。夕日を透かしてそれを見る度に、会えない貴女への想いはただ募っていく きっと叶わないとわかっていながら、いつかまた2人で、この場所から夕焼けを見ることを、私は今日も夢見てしまう 夕焼けの向こう、貴女もどこかで、私と同じ真っ赤な太陽を見ていますか

ひどり @hi_laup

#深夜の真剣140字60分一本勝負 #140字小説 pic.twitter.com/RtTH8fgE21

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暁 悠宇 @a6JGNUYtaWLl8wJ

壊れた無線機を握り締めながら俺は倒れた。 どこかで銃声や爆発音が聞こえた。 あの日、あの夕焼けが綺麗だった日から俺の平凡な日常は壊れてしまったんだ。 死ぬと覚悟したからか、後悔が溢れ出す。 上空から爆弾が降ってくる。 最後にあいつが好きだったチョコミント味のアイスが食べたかった

色糸 @IRO_Iroito_

夕焼けを見ると心が躍るのは、それが家に帰る刻を意味しているから。 自転車を駆り、夕風を追いかけ追われる帰り道。 夕焼けを見ると寂しくなるのは、それが一日の終わりを示しているから。 遣り残した事はあっただろうかと朱い薄雲に問い掛ける。 夕焼けを見て万感の思いを抱く僕の中身は黄昏の空。

津森七@文学フリマ京都い-36 @tumori_nana

「白いブーツを履きたかったよう」夕焼けに染まる部屋で無線機が喋る。ああ、鼓笛隊か。昼間に小学校からの音を聞いた。 青のミニスカートに、白いロングブーツ。指揮棒を振るリーダーの衣装は特別だった。 実家で見つけた無線機には、ときどき少女の声が入る。それは、子どもの私の声だった。

花滝ちかる @chikaru_toka

君が一番好きだとパレットに溶いた、トランスペアレントオレンジの空だねと言うと、君は僕の隣で柔らかく微笑んだ。 手を繋いでゆっくりと河原の道を散歩する、週末の幸福な習慣を、これからも続けていきたいのは、僕だけじゃないと信じていたから、僕も微笑み返した。 「結婚、しようか」 #140字小説

松村 善十朗 @juro_matsu

餞別に受信用の無線機を贈った。熟れた太陽が稜線に融ける頃、君が此処を去ると知っていて。君と過ごした町が夕焼けに沈殿する。風と音が舞い上がり、君を懐に抱いた電車が過ぎる。寂れた踏切の傍らで、君に直接伝えられないまま殺した想いを無線機の中へ埋葬した。 愛していました。Over.

ほりむら @hooooli_1021

夕焼けの橙と空の青が混ざった紫に当たりが染まる頃少女は担いでいたクーラーボックスを下ろす。「こちらA地区何もありませんover?」無線機はざっと鳴るがその後は黙り。冷気を出して口を開けたボックスの中を漁るが目当てのチョコミントは最後の1つ。心底がっかりした顔で少女は荒野に包みを投げた。

夢夜 @ruya_reve

膝を抱えて夕焼けを眺めていると、隣に誰かが座った。 「どうして泣かないんですか」 「……え？」 驚いてその顔を見ると、お前も俺を見ていた。 「泣きなさい」 その言葉に、今まで一滴も流れなかった涙が溢れて止まらなくなる。 燃えるような夕焼けとあたたかいお前の腕の中で、俺は思う存分泣いた。

夢夜 @ruya_reve

私の前ではいつも笑っていた貴方が初めて涙を見せた日は夕焼けが美しかったのを覚えている。 あの時私は貴方にかける言葉が見つからなくて、ただ抱き締めるだけだった。 それから貴方は笑顔以外も見せてくれるようになったけれど、最近今までと違う凛々しい表情を見せるのでドキドキしてしまう……

楓もち/春秋 @mapledanke

あの日、私は確かにこの目で視たのです。美しい夕焼け色に染まる教室で、ある一人の少女の姿を。綺麗な顔でした。長いスカートから覗く足は透けていました。「あかくて綺麗でしょう」それは教室のことを言っているのか、それとも朱に染まった彼女自身の事を言っているのか、私には分かりませんでした。

荻野千影 @ChikageOgino

薄給と残業に耐えかねて仕事を辞めた日 オレンジ色の公園のベンチで 防災無線から流れる夕焼け小焼けが 辛いときに黙って酒を飲んでいた 田舎の祖父の姿を思い出させて はじめて入ったバーの親切な店員は 私の愚痴に一通り付き合った後 面倒なことが飛んでいくようにと バッタを一匹、出してくれた

Rabi @Rabi_lowrin

｢こちらコードT-s。標的及び目撃者の排除を完了｣夕焼けで赤の映える部屋に無線機をそっと置き、好物のチョコミントアイスを齧る。爽やかな口の中とは対照的に、何とも後味の悪い光景だ。この稼業に入って覚悟こそしていたが、まさか、先に肉親を手に掛けるとは。ああ、全く、目から雫が止まらない。

他人が見た夢の話 @from_earl

「…ガッ、こちらワッフルコーン。現在予定通り、彼氏が彼女をさりげなく定位置に誘導中。どうぞ、ガッ」 「…ガッ、こちらチョコミント。了解。では彼女が定位置につき、夕日が水平線にかかり次第、プランαを実行する。どうぞ、ガッ」 「…ガッ、了解。ではプロポーズ大作戦、トラトラトラ。ガッ」

∫ MatoP @_Mato_P_

夕焼けが、少し綺麗に見えた帰り道。 一人きりの、河川敷。 無線機で、宛てもなくSOS。 少し、めんどくさかった親。 居心地悪い家。 どこに行こうか。 チョコミント味のアイス。 少し冷たい。 風が強く吹いた。 向かい風でもいい。 自分は進む。 親の期待、答えないとな。

行木しずく @gloom_tree

#深夜の真剣140字60分一本勝負 ひっさびさにおじゃまします。SS名刺メーカーさん使用。 「無線機」「夕焼け」「チョコミント」 pic.twitter.com/lXmNeEiutm

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彩原こだま @ayaha530

安物の無線機を持っている。声が届く距離でしか会話ができないけど、仲がいい友達と２人で買った大切なものだ。友達は引越し、私は中学生になった。私は無線機をお守りのように持ち歩いていた。お腹のあたりの痣を撫で、ぺたぺたと靴下で道を歩く。きっと届かないメーデーをその無線機に囁きながら。

碧 @aoi140ss

あの日の夕暮れ時、旧校舎の放送室で見つけた壊れた無線機。 「はろー、聞こえますか。」 今日も僕は、誰にも届かない言葉を発信する。これは君の好きなチョコミントのような、甘くて苦い痛みを持った行為。 それでもどうか、君に届きませんように。 きっとチョコミントは、好きになれそうにないから。