マスカラの染み込んだコットンを投げ捨ててベッドに倒れ込む。 I'll be the actress starring in your bad dreams テイラースウィフトは誰の悪夢を舞台に主演女優になったのか。あの子の顔を見たくないだけで合同練習をすっぽかした私には、分かりそうもない。くれてやったはずなのに、彼のことは。
2019-02-23 22:00:17蒸しタオルを顔に乗せ、3分待つ。洗顔後、化粧水はコットンで叩くように、乳液類は掌で包み込むように染み込ませる。女の化粧は長い。「見栄張るなよ」待ちくたびれて声をかけると、彼女は「馬鹿ね」と溜息をついた。「女は見栄で生きるのよ。例え盛りを過ぎたとしても、たった一人に愛される為にね」
2019-02-23 22:03:08狭い楽屋で女たちはコットンで顔を拭った。一日の終わりに口にする苦いタバコと甘い陰口。 合同練習にいた女、いけ好かなかったね。名刺の肩書きにactressって書いてたよ。一度映画に出たくらいで女優気取りかい。 ラスベガスのネオンの陰には女たちの嫉妬と悪口が溶けている。
2019-02-23 22:05:48#深夜の真剣140字60分一本勝負(@140onewrite ) #140字小説 作中の曲はブラームスの交響曲第1番の第四楽章をイメージしています。 pic.twitter.com/htNfNP2geW
2019-02-23 22:12:19#深夜の真剣140字60分一本勝負(@140onewrite ) #140字小説 pic.twitter.com/sB5rM77RqQ
2019-02-23 22:13:32恒例行事の演劇、その合同練習の日は、誰も彼もが殺気立つ。当然です、この演劇の名門校では、演劇が己の価値を決めると言っても過言ではないので。 怖いけど、私も震えてばかりではいられません。与えられた役を、しっかりとこなさないと… 「ふぅ…よし。さあ、平伏せ愚民!妾のお通りなるぞ!」
2019-02-23 22:16:00その日は演劇部の合同練習。 「小道具とか作りたくて入ったのに」 「ファイト、未来のActress」 彼女の顔に化粧水を染み込ませたコットンを押し付けてるのは友人の少女、 「あの人出てるし」 「頑張れ」 相手校には好きな人がいる。この気持ち伝えたいけれど今は必死で圧し殺す。 練習が、始まる。
2019-02-23 22:20:07迷った末に買った、白いコットンレースのワンピース。小柄な私には丈が長くて、ウッカリ階段で裾を踏んでしまいそうよ。 でも、年上の貴方の隣で、着てみたかったの。 待ち合わせの場所で、貴方は眩しげに笑った。 「花嫁さんみたいだね」 赤くなる私のほっぺた。…それで、合っているわ。 #140字小説
2019-02-23 22:21:38独り身が長い。 彼氏いない歴が5年になるか…。 そんな時会社の後輩が合コンの席を設けてくれた。 引き立て役、かな…。 仕方ない名女優が引き受けましょう! コットンパフが頬に触れ、顔色がパッと明るくなる。 これでも人生の先輩、合同練習くらいこなしてみせます! はぁ、何してるんだろ私…
2019-02-23 22:54:15