#今日の恭みの まとめ

綿原 @watahara_xyz

『チューリップの花言葉は、思いやり』 ピンクのチューリップ、みのりさんにぴったりの花。 でも、俺がこれを贈る理由は、みのりさんが思いやりと博愛の人だからじゃなくて。 「俺にも、みのりさんを思いやらせてほしい」 そんな気持ちを込めた、九本のチューリップ。 #今日の恭みの

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○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ #今日の恭みの fse.tw/dXoSBMNa#all

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○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ #今日の恭みの fse.tw/AsFB86iD#all

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「ども。みのりさん迎えに来ました」 「お疲れ〜」 「……この人、普段こんな潰れ方しないんすけど。同年代ばっかりだと、安心して飲めるんすかね」 「あ～、そうかもねえ」 ……まだまだ甘いね、たかじょう。 その人、たぶん全然酔ってないよ。 #今日の恭みの

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夕方まで仕事。事務所でパーティー。はしゃいでお疲れのピエールを寝かしつけて、枕元にプレゼントを置いて。さあ俺たちも寝よう、と思ったらみのりさんに手招きされた。 「メリークリスマス、だからさ」 並んだカップの中身はグリューワイン。一杯分の、二人きりのクリスマス。 #今日の恭みの

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最近、みのりさんは役作りと言ってよく猫の真似をしている。転がってにゃーにゃー鳴いて、まあみのりさんなのでかわいいものだが。 俺も役作り……竜の真似？ 「が、がおー？」 「ふぎゃーっ」 しばらく畳の上を転がり回って、耐えられなくなって二人して笑い出してしまった。難しいな。 #今日の恭みの

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二人が欲しがってたし、俺だけ置いて帰るのもなんだからと引き取ってきた、くまのぬいぐるみ。 一緒のほうがいいよね、ということで三匹ともうちにいる。 確かに、揃ってるのがぴったりくる。 俺たちを元にして作られたこいつらは、最初から家族なんだな。 なんだか、むずむずと嬉しい。 #今日の恭みの

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みのりさんとライブを見ていると、色々忙しい。よろめいたり崩れ落ちりするから、支えないといけないし。 でも、一緒に見てても、以前はここまではしゃいでなかった気がする。……取り繕う必要がなくなったってことか。やれやれ。 好きなだけはしゃいでくれたら、俺も楽しい。 #今日の恭みの

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「ハニトラってやつかな、これは」 「違いますよ」 「まあ、どちらでもいいさ。公安の君に裏切られるなら踏ん切りもつく」 人の心なんて操れない。所詮、能力者を恨むだけの無能力者なのだ。また裏切られるならそれでいい。もう、生き続ける理由もない。 「俺は、本気です」 #今日の恭みの

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「夏休み……つっても、塾の時間が増えるだけなんで、あんまり休みって感じしなかったんすよね」 「頑張ったんだね」 「結局、志望校落ちたんで、意味なかったすけど」 「でも、頑張ったね」 みのりさんに褒めてもらえるなら、そうだな、頑張った甲斐はあったかもしれない。 #今日の恭みの

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向日葵の足元に座り込んで、空を見上げる。鮮やかな黄色の向こうに、輝くような青と白。 夏は妙にセンチメンタルになる。何もかも眩しくて―― 「みい……つけたっ！」 得意げな笑顔が、日陰を作る。 少しだけ悲しい気持ちになりかけたときも、すぐに見つけてくれる。恭二は、すごいな。 #今日の恭みの

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「じゃ、恭二が鬼ね！」 唐突に隠れんぼが始まった。仕方ない、乗ろう。 「もういいかい」「まあだだよ」……やがて二人の「もういいよ」が返ってきた。 見渡せば一面の向日葵。SPさん達がいるから、ピエールはあのへんだな。みのりさんは…… 向日葵をかき分けて、チューリップを探す。 #今日の恭みの

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祭りの空気は結構好きだ。賑やかで、ごちゃごちゃして、人の顔がよく見える。 ふたりはもちろん俺以上にはしゃいでいて、ついていくだけでも大変だ。でも、楽しい。ずっとこの空間にいたくなる。 祭りに来るときはいつもふたりと一緒だからーーああ、だから来るたびに楽しいんだな。 #今日の恭みの

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夜、なんとなく予感がして起きているとーーほら。 「もしもし、恭二？ ……起こしちゃったかな」 「いや、起きてたんで」 「早く寝ないとだめだよ」 「みのりさんこそ」 自分でも理屈はわからないが、ずっと一緒にいるから伝わる、なんだか心細い気持ち。 分け合って、溶かして、眠る。 #今日の恭みの

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「今日も暑いね」と言いながら、みのりさんがぺたぺたしてくる。 「暑いのに、なんでくっついてくるんすか」 「……イヤがらせ？」 みのりさんはそう言って、いたずらっぽく笑った。 甘えたい気持ちなら、素直に甘えてくれていいのに。そういうところがややこしくて、かわいい。 #今日の恭みの

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ピエールの笑顔はいつもキラキラしてるけど、今日は一際、水を浴びたヒマワリみたいに輝かしい。 だから、俺たちも負けないように輝かないと。 難しく考える必要はない。三人でいれば、俺たちは無敵だ。 ほら、恭二の笑顔も、今日は一段と温かい。お兄さん……いや、お父さんみたいに。 #今日の恭みの

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夢に出てくる恭二はたいてい本人よりちょっといじわるだ。言うことを聞いてくれなかったり、どこかに行ってしまったりする。 悲しくなって目が覚めて、本人の顔を見てほっとする。 夢よりも優しいほんとうの、はにかむような微笑みを見続けていたら、いずれ悪い夢も見なくなるだろうか。 #今日の恭みの

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「いつもの服も似合うけど。たまにはちょっと、俺好みの服も着てみてほしいなって」 まあ、試着するのは構わない。一着くらいは買ってもいい。買ってもらうのはさすがに遠慮している。 俺を着せ替えさせて、何が楽しいのだろうか。 「……脱がしたいっていうならわかるけど」 「こら」 #今日の恭みの

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タイミングが悪かった。最初は慌てて走ったけど、雨宿りする場所もなく、もう諦めて歩いている。 額に貼り付いた髪をかき上げながら、みのりさんが苦笑する。 「参ったな。恭二、シャワー使わせてくれる？」 「もちろん」 タイミングが悪かった。……いや、それほど悪くはなかったな。 #今日の恭みの

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夏の職場として、コンビニは悪くない場所だった。涼しさを求めて駆け込んできた人が一息ついてほっとした様子なんかも、見てて結構楽しかったな。 今の仕事じゃ、野外ロケの時は逃げられないけど、一息つける場所ならある。暑いね、水分補給しっかり、頑張れって言ってくれる人の側。 #今日の恭みの

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しばらく何も言わずに見つめ合ったあと、すっと背を伸ばして、やや顎を上げ、目を閉じる。自分が花になったように思える。 熱のかたまりがゆっくりと近づいてきて、乾いたような湿ったような感触が、そっと唇に触れる。 こっそり目を開けると、自分が空と海の間にいるのがわかった。 #今日の恭みの

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父親、ってわけじゃないし……なんだか気恥ずかしいのもあって、祝ったことはなかったな。 なにも難しいことじゃない。少しでもそんな風に思うなら、それでいい、なにかしたらよかったのに。 だから、って訳じゃないけど。 「ピエール、今日はね……」 #今日の恭みの

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今までできなかったことができるようになった時、ピエールやみのりさんは俺以上に喜んでくれる。 悩んで視野が狭くなっていた間も、ずっと見守ってくれていたんだと、改めて感謝の気持ちでいっぱいになる。 ……それにしたって、めちゃくちゃ褒められるの、やっぱり恥ずかしいんだが。 #今日の恭みの

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いつだって側にいて支え合う、そういう関係でいたい。そう思うからこそ、手を差し伸べられないときもある。 恭二が壁にぶつかって、でも俺が助けるのは違う、そういうタイミング。 信じて、変わらない笑顔でいる。必要なのはそれだけだって、わかっていても。 本当は、抱き締めたい。 #今日の恭みの

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酒はまだ飲み慣れない。自分のペース、許容量というのがよくわかっていない。 みのりさんは、ぽわぽわした顔でかぱかぱ飲むので、うっかりつられて飲むととんでもないことになってしまう。 でも、みのりさんと飲むのは楽しい。 ペースが乱れるのは、みのりさんに酔うからかもしれない。 #今日の恭みの

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新発明、ケロくんパラソル。傘を忘れがちなうっかりさんも大助かりのこの発明、今こそ出番が…… 「紺、傘忘れたの？ 仕方ないな。入ってく？」 「いいの！？！？ 入る入る入る！！」 ……今はまだその時ではないようですね。助けないことがお助けになることもある、お助け仮面3号です。 #今日の恭みの

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今夜は雨が止みそうにない。――予感がして、紅茶のポットと二人分のカップを用意して自室に戻ると、果たして招かれざる客がベッドに横たわっていた。 「気が利くね。さすが執事さん」 「あなたの執事ではありませんがね」 熱い紅茶を猫らしくもなく一口啜り、怪盗は嬉しそうに微笑んだ。 #今日の恭みの

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絶好の洗濯日和。三人の服を洗い、シーツを洗い、カエールを洗う。 「カエール、昨日の雨、濡れちゃった。フワフワ、なる？」 「もちろん、恭二にかかればバッチリだよ。恭二はカエルフワフワ師だからね！」 ……俺並みに適当なこと言ってるな。まあ、みのりさんを嘘つきにはさせない。 #今日の恭みの

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もとよりわたしはあなたのものです。そうあるようにつくられて、そうありたいといきてきた。 わたしのほとんど……率にして96.78%ほどは、あなた。あなたのすきに、こわしてもいい。 のこったわずかながらくたが、さいごに、さいごにのぞみます。 どうかとまって、いっしょにきて、と。 #今日の恭みの

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音峰は俺の前ではたいてい仏頂面だ。仕事で会ったときも、飲んでるときも、ベッドの上でも。 「ここまで来たら少しくらいデレてもいいだろ」 「うるさい！」 髪をほどいて、眼鏡も外して、服も脱いで、寝転がったまま俺を睨みつける。 そういうところにそそられるのは、まあ、事実だ。 #今日の恭みの

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みのりさんは料理も上手い。でも事務所での催しでは、作るより配膳とかに回っている。 「俺のはただの家事だから、そんなたいしたものじゃないし」 俺はみのりさんの味が好きだけど。 「ピエールや恭二がおいしいって言ってくれるから、それで充分だよ」 それはなんか……嬉しいな。 #今日の恭みの

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「手袋はね、宇宙なんだ。あの隙間から全てが始まり続けるんだ」 「全然解けなくて一度外に出たら、敵が石投げてきて。それで繋がったんだ、全部が」 ……あれは会話になっているのだろうか。ニコニコして聞いているピエールさんに聞いてみると。 「タノシイの話、してる。タノシイ！」 #今日の恭みの

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「はい、どうぞ」 そう言ってみのりさんが差し出したのはきれいな薔薇。俺のは赤、ピエールのはオレンジ色。 「来る途中にきれいな薔薇を咲かせてる家があってね。その家のおばあちゃんが、よかったらお分けしますって言ってくれて。ラッピングは俺」 「さすが、売り物みたいっすね」 #今日の恭みの

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みのりさんが帰ったあとは、よく部屋に長い髪がぱらっと落ちていて、……ドキドキする。 つい手に取って……しまうと、自分が変態みたいで嫌になるので、見ないことにしてガーッと掃除機をかける。 掃除機はえらい。何も気にせず、もやんとした気持ちごと片付けてくれる。ありがとう。 #今日の恭みの

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「恭二さんのみのりさん強いよ」 ……意味がわからなかったので聞いてみたら、恭二がゲームのキャラにそういう名前を付けているらしい。 ピエールは目のくりくりしたかわいいカエル、俺は花屋のマスコットみたいなかわいらしいキャラで…… ああいうイメージなのかな。なんだか照れる。 #今日の恭みの

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ゲームのキャラに名前をつけるとき、ついユニットメンバーの名前にしてしまう。秋山や兜もそうで、だから対戦はいつも負けられない戦いになる。 「行けシキ！　うわ外した！？」 「っし！　さすが俺のみのりさん！」 ……勢いでなんか口走った気がするが、ゲーム、ゲームだからな。 #今日の恭みの

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「ちょっと、苦手かもしれない。……家の、庭に咲いてたから」 「……色んな種類があるんだよ。たくさんの人に愛されて、たくさんの色や形で咲くんだ」 みのりさんの話を聞いているうちに、思い出の棘は次第に抜けて――目の前にあるのは一輪の薔薇。 「……きれいだな」 「きれいだね」 #今日の恭みの

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みのりさんがカレーを作ってくれるというので、ピエールとご馳走になることにした。「冬馬さんほどじゃないけど」と謙遜しつつ、たっぷり皿に盛ってくれる。 「！ これ……」 「恭二のシチューの真似して、味噌を入れてみたんだ。どうかな？」 うまい。……なんだか、つんとくる味だ。 #今日の恭みの

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「やあ、きれいに咲いたね！　君は……もうすぐかな？」 みのりさんは花に話しかけながら手入れしている。本数があるのに、それぞれの花の状態がちゃんとわかってるみたいだ。 「君は……ふふ。後で構ってあげるから、妬かないで、ね？」 ……って、俺か。別に嫉妬なんてしてないぞ。 #今日の恭みの

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最近お気に入りの酒の肴は、酔っ払った恭二の顔だ。 リラックスしている時のぼんやりした顔が、アルコールが入るとますますぼんやりして、ぽわんと眠そうでかわいい。 「みのりさん、たのしそうっすね」 「ふふ、そうだね」 もしかして、俺も肴にされてるのかな？　それも悪くないな。 #今日の恭みの

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ピエールとみのりさんは、さっきから舞い散る桜を追いかけては捕まえている。 いつまで続けるつもりだろう。見ている俺が飽きないんだから、飽きないんだろうな。 「ほら、恭二も……ふふ、大漁だね！」 みのりさんが俺の頭を指差して、笑った。触ってみると、はらりと花びらが落ちた。 #今日の恭みの

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せっかくエイプリルフールなので、ちょっとみのりさんをからかってみたい。日頃の仕返しだ。 「みのりさん、……」 嫌いだ、とか……う、嘘でも言えない。 「ん？」 「な……なんでもない」 ……もう、今のなんでもないが嘘ってことでいいか。 #今日の恭みの

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花を扱うのは慣れないけど、楽しかった。 色や大きさの組み合わせ、全体のバランス、つぼみが開いた時を想像して、花言葉も考慮に入れて……。 あの人はいつもどんなことを考えながら花を選んでいるんだろう。あれこれ想像するうちに、ほんの少しあの人に近づけたような気がする。 #今日の恭みの

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「……思聞より先に出会えていたら、俺が君を引き込むこともできたのかな」 「……どうかな。俺は元々、あんたほど社会に期待はしてないし……それでも、守りたいものはあるんだ」 「……羨ましいよ」 思聞が、彼が。あるいは、彼が守りたい誰かが。 #今日の恭みの

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「みのり、またムーってなってる！」 撮影中の役のせいか、みのりさんは最近よく怖い顔のままになっている。 「おっと、笑顔笑顔……恭二、手伝って」 眉間に手をやってぐっと伸ばしたら、ぴゃっと悲鳴を上げられた。 「いや物理的にじゃなくてね！？」 でも、表情は柔らかくなった。 #今日の恭みの

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年に一度の特別な日、とピエールは言ってたけど。本当に特別なのは、この日を思いっきり祝ってくれる人たちに出会えたことだ。 優しい花の香りがする、温かい手作りのパーティー。 こんな誕生日なら、しょっちゅうあってもいい。そうしたら、みのりさんにも早く追いつけるかもしれない。 #今日の恭みの

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楽屋で差し入れのケーキを頬張る、仕事一杯のクリスマス。 だけど、ずっと楽しい。実家で欲しくもないプレゼントに囲まれていた頃より、ずっと。 「そろそろ出番だね。恭二、ピエール」 「えいえい、おー！」 「おー！」 大切なふたりとキラキラを届ける、サンタになったクリスマス。 #今日の恭みの

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「俺に隠し事ができると思ったか、ノリス」 ごく慎重に計画を進めていたつもりが、ロイには勘付かれてしまった。 「……こうなっては仕方ない。あなたも加わってもらいます。エルの睡眠カプセルの横へ、プレゼントを置いておく計画に」 ロイにもプレゼントを贈りたかったのに、残念だ。 #今日の恭みの

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寒さの厳しい夜、しばしばベッドの冷たさを盗みに来る者がいる。 私が一日の仕事を終えて部屋に戻るころ、猫のようにしなやかな身体を毛布の下に滑り込ませて、うとうとと私の帰室を待っている、無礼な怪盗。 「ああ……おかえり、待っていたよ」 「……宿代は、払ってもらいますよ」 #今日の恭みの

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飲み会でのみのりさんは、大人らしく見える。 だいたい同年代の人たちと話してて、強そうな酒を飲んで、羽目も外さず。それもみのりさんの一面なんだろうけど。 「恭二〜飲んでる？ それ甘いやつ？ 一口もらっていい？」 席を離れて甘えにくる、こっちのほうがみのりさんらしいと思う。 #今日の恭みの