1 7月14日、朝。 いつも通り、仕事に向かう○○を見送る史緒里。 しかし、その表情は“いつも通り”ではなかった。 ○○:じゃあ、行ってきま……史緒里? 史緒里:……。 不貞腐れた様子の史緒里。 pic.twitter.com/1iFv7TILdT
2021-07-15 00:35:462 ○○:もう、ごめんってば。そんな顔すんなよ。 史緒里:だって…。 どうやら、誕生日なのに○○が仕事に行ってしまうことが不満なようで…。 ○○:仕方ないじゃん、休み取れなかったんだから。その代わり頑張って早く帰るようにするから。 史緒里:ほんと? ○○:ほんと、約束する。
2021-07-15 00:36:183 史緒里:じゃあ…。 右手の小指をつき出す史緒里。 ○○:? 史緒里:約束でしょ?指切り! ○○:子どもかよ。 苦笑いしながら小指を結ぶ○○。 pic.twitter.com/0lvCrhsgXw
2021-07-15 00:37:434 史緒里:指切りげんまん嘘ついたら………どうする? ○○:え?じゃあ……丸坊主にする。 史緒里:そんなことしなくていい。 ○○:あっそ。あ、もうこんな時間だ。じゃ、行ってくるね。 史緒里:あ、待って! ○○:ん?
2021-07-15 00:38:075 ○○のほっぺに、行ってらっしゃいのちゅー。 史緒里:行ってらっしゃい♡ ○○:行ってきます。/// ーーー pic.twitter.com/A1vnU3wVF1
2021-07-15 00:38:396 そして、夕方。 ○○:(よっしゃ、終わったぁ!) ○○:じゃあ、帰ります!お疲れ様でした! 部長:早いな、もう帰るのか? ○○:はい。今日の仕事は全てばっちり終わらせときましたから。では! 部長:おお…お疲れさん。
2021-07-15 00:38:597 足早に駅に向かい、電車に乗る。 ○○:(そうだ、史緒里にLINEしとこ。) [今から帰るよ]と送信。 ○○:(帰りに何か美味いものでも買ってかえろうかな。) ○○:(いや、それとも外食の方がいいのか…?) 帰りの電車の中、史緒里のことばかり考える○○だった。 ーーー
2021-07-15 00:39:548 一方、その頃。 ピロリン♪ 史緒里:(あ、○○からLINEだ。) 史緒里:(へへ…ほんとに早く帰ってきてくれるんだ。) 画面を見ながら嬉しそうな史緒里。 pic.twitter.com/Pj27v86TsO
2021-07-15 00:41:019 しかし、ふと窓の外を見ると今にも雨が降り出しそうな曇り空。 史緒里:(あれ、○○今日傘持って行ってたっけ?) 史緒里:…。 今朝の風景を思い出すが、たしか傘は持っていなかった。 史緒里:(しょうがないなぁ、駅まで迎えに行ってあげよ♡) ーーー
2021-07-15 00:41:1810 電車から降り改札口を抜けると、土砂降りの雨が降っていた。 ○○:(うわぁ、雨かよ…。) ○○:(止むまで待つか…?いやでも止みそうにないな…。) ○○:(しょうがない、傘買うか。) 最寄りのコンビニに入り、ビニール傘を1本購入。
2021-07-15 00:41:4311 ○○:……ん? コンビニから出ると、何やら泣きべそをかいている小学校低学年くらいの男の子と目が合う。 ○○:(ったく…。) なんとなく放っておけなかって○○は、男の子に声をかける。
2021-07-15 00:42:0112 ○○:どうした?少年。 男の子:傘が無いからお家に帰れない…。 ○○:なんだ、傘持ってきてないのか。 泣きながらコクンと頷く男の子。 ○○:…しょうがない、これやるから。使え。 男の子:……いいの? ○○:うん。
2021-07-15 00:42:3213 先程買ったビニール傘を手渡すと、男の子が嬉しそうに笑う。 男の子:ありがとう、おじちゃん! ○○:おじちゃん!?俺まだ20代なんだけど…。 男の子:…? キョトンとする男の子。
2021-07-15 00:43:0214 ○○:…まあいいや。気をつけて帰れよ、少年。 男の子:うん、ありがとう!ばいばいおじちゃん! ○○:だからおじちゃんじゃないって…。 苦笑いしながら男の子を見送る○○。 ○○:(…はぁ、もう1本買うか。) すると
2021-07-15 00:43:2115 史緒里:おじちゃん! ○○:? ○○が振り返ると、そこには史緒里がいた。 ○○:えっ…史緒里?なんでここに? 史緒里:傘持ってないだろうなーと思って、迎えに来たの。 pic.twitter.com/eF0LniXq54
2021-07-15 00:44:4617 史緒里:おじちゃん、意外と子どもに優しいんだね♡ ○○:おじちゃんじゃないってば。 史緒里:小学生から見たら十分おじちゃんだよ? ○○:じゃあ史緒里はおばちゃんだな。 史緒里:はぁ!? ○○:だってそうだろ、同い年なんだから。
2021-07-15 00:45:4818 史緒里:…うっさい! ○○の脇腹をどつく史緒里。 ○○:痛って! 史緒里:もう…早く帰るよ! ○○:はいはい。 ーーー
2021-07-15 00:46:1019 仲良く相合傘で歩く2人。 ○○:なんで傘1本しか持って来なかったんだよ。 史緒里:うるさい。 ○○:…。 史緒里:…。 ○○:…。 pic.twitter.com/QW75l1S2Kr
2021-07-15 00:46:4920 史緒里:…なんで黙ってんの? ○○:うるさいって言うから。 史緒里:…何か喋ってよ。 ○○:えぇ…。あ、誕生日おめでとう。 史緒里:どうも。 ○○:どうもって何だよ。 苦笑いの○○。 pic.twitter.com/TcwsWpLvjQ
2021-07-15 00:48:3821 史緒里:ねぇ、○○? ○○:ん? 史緒里:こうやって一緒の傘に入って歩いてると…学生の頃を思い出さない? ○○:…まぁ、いつも一緒に帰ってたもんな。 pic.twitter.com/GuIRkqJ59A
2021-07-15 00:50:5422 史緒里:私たち、幼稚園も小学校も中学校も高校も、ずっと一緒だったじゃん? ○○:うん。 史緒里:大人になってもこうして一緒にいれて…嬉しい。 ○○:そっか。俺も嬉しいよ。 史緒里:へへ…/// ○○:…史緒里。 pic.twitter.com/GKEvup0ERH
2021-07-15 00:54:2423 史緒里:ん? ○○:………大好きだよ。 史緒里:え!?どうしたの急に!!珍しい!! ○○:う、うるさいなぁ!いいだろ別に!/// 照れる○○と、嬉しそうな史緒里。 pic.twitter.com/ghhFm5k8UD
2021-07-15 00:56:0324 史緒里:ねぇ、私のどこが好き? ○○:調子に乗るな。 史緒里:いいじゃん!誕生日なんだし!教えて? ○○:えぇ…。そうだなぁ…。 pic.twitter.com/3Hcj2nWIML
2021-07-15 00:56:3625 ○○:いつも美味しいご飯を作ってくれるとこと。 史緒里:うん。 ○○:家事…頑張ってくれてるとこと。 史緒里:うんうん。 ○○:顔と…スタイルと。 史緒里:ばかぁ…///
2021-07-15 00:57:0026 ○○:たまに俺の歯ブラシ勝手に使ってるとこと。 史緒里:え!?知ってたの…? ○○:だって俺が使おうとしたら濡れてんだもん。 史緒里:あっ…。
2021-07-15 00:57:2627 ○○:あとたまに俺が脱いだ服のにおい嗅いでるよな。 史緒里:/// ○○:あと寝てる時に勝手にキスしてるだろ。 史緒里:!!!/// ○○:あと股関に… 史緒里:も、もう止めて!///お嫁に行けない!! pic.twitter.com/rCWbJv4UVY
2021-07-15 00:58:3628 ○○:…行けるよ。 ○○:俺のとこで…よければ。 史緒里:////// ○○:ば、ばか!何か言えよ!/// 史緒里:あ、ごめんね…!普通に照れてた。/// 史緒里:今日の○○、積極的だなぁって。 ○○:…誕生日だから。 史緒里:えー、毎日誕生日だったらいいのに。 おどけたようにそう言う史緒里。
2021-07-15 00:59:2229 すると 史緒里:あ、見て。虹! ○○:ほんとだ。 2人が会話に夢中になっている間にいつの間にか雨は止み、正面に大きな虹がかかっていた。 史緒里:ねぇ、○○? ○○:ん? 史緒里:夕飯は…お家で2人っ切りで食べたいな? ○○:じゃあ…何か美味しいものでも買って帰ろうか。 史緒里:うん♡ pic.twitter.com/dbn2RyiIJt
2021-07-15 01:02:4230 傘を畳み、手を取り合う。 雨上がりの夕暮れの道を歩く2人は、 きっと、これから先の誕生日もずっと一緒に過ごすのだろう。
2021-07-15 01:02:58