バスケを諦めることを諦めた結果がこれだよ。
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体脂肪率の高い婚活生武内 http://togetter.com/li/647444 の続き

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

あの試合に向き合うのは今しかない思った。 DVDの再生ボタンを押した。

2014-03-29 22:39:53
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

緑間の顔のアップが映った。…緑間のアップ!? …にするな。試し撮りだ』 ウチの大学の監督の声だ。緑間と知り合いだったのか…? 『お久しぶりです』 『覚えてくれてたのか。緑間は最初から一軍に上がってしまったからオレのことなど忘… ここで途切れた。再生するファイルを間違えたみたいだ。

2014-03-29 22:40:38
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

オレの引退試合は緑間擁する大学バスケ一の超強豪校だった。 意識のない就活生笠松 http://t.co/cyr84kMcA9 配慮の薄い後輩伊月 http://t.co/34sd5LUPRq

2014-03-29 22:41:15
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

意識を捨てた就活生森山 http://t.co/KDsWM7KmFe 意識の低い就活生森山の夜景 http://t.co/PDX2SVBd8t 意識の低い就活生森山の内定 http://t.co/pqi2yDeqjf

2014-03-29 22:41:48

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意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

『よぉし、そこ! お前は今日何のために戦う?』 オレの何とも間の抜けた円陣前のかけ声が聞こえてきた。 『今晩スッキリした気持ちでヌくためっす!!』 『なるほどな。伊月は?』 『…普通にチームのために戦いますよ』 『そうか。じゃあチームのために戦うのはお前に任せる』 『えぇっ!?』

2014-03-29 22:50:05
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

『オレはコートの右側。前から4列目。左から22番目のコのために戦う』 『こっちのが美人じゃないすか?』 『話せないだろ』 鳴海の雑誌をひったくって伊月がオレの頭を叩いた。 『森山先輩は引退試合なのにそんなんでいいんですか!』 『最後だからこそ運命の相手設定集中法は捨てられん!』

2014-03-29 22:55:02
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

『全員、欲しいものが一つならそれでいい』 ブチッと鳴海がイヤホンを外してipodを放ったせいで、ゴツい洋楽の音が入る。円陣を組むと、画面の中のオレがキメ顔で言い放った。 『勝つぞ』 『『『『『オォ!!』』』』』

2014-03-29 23:00:06
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

当然、相手は緑間と高尾のコンビでくると思っていた。ウチと違って伝統ある強豪だ。一年近くバスケから離れていた選手をスタメンにしてくるなんて考えもしなかった。完全に虚をつかれた。整列したとき、アイツが目の前にいるのが信じられなかった。スタメンは笠松だった。

2014-03-29 23:05:05
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

試合開始の笛が鳴る。諸行無常の響きあり。 緑間は身長あるがシューターだからジャンプボールは飛ばない。鳴海が空中戦を制した。伊月を介してオレにボールが渡った。変則3Pで先制点を決めようとモーションに入ろうとしたところ、ああ…こうして映像で見るとよくわかるな。最初から警戒してやがる。

2014-03-29 23:10:07
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

『お前のフォームは見飽きてんだよ』 その言葉でやっと高尾との空中3Pを捨ててまで、笠松を入れてきた意味がわかった。オレのシュートはフォームがアレなだけで特にカラクリがあるわけでも何でもない。慣れれば止められる。 笠松は味方のときは頼もしいが敵に回すと厄介なタイプだ。

2014-03-29 23:15:03
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

その後も悉くオレのシュートは笠松に止められた。外からの攻撃は完全に封じられた。主導権は完全に奪われた。 第1Q、最初のタイムアウト。オレは早々に下げられた。

2014-03-29 23:20:05
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

現実は残酷だ。緑間にリベンジ!なんて一人で勝手に森上がってバカみてーだ。実際は試合にさえほとんど出られなかった。 画面の向こうのオレは頭にタオルを被ってずっと俯いていた。声出して応援くらいしろよ、オレ。

2014-03-29 23:25:06
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

オレの代わりに入ったSGは一年で、基本オレが出てたから経験も浅い。多少はシになったものの、終始一方的な試合だった。鳴海が内から頑張ってくれてはいたが、緑間はDFも上手い。シュートばかり注目されがちだが、マジで上手かった。そして、ブロックできれば緑間はドリブルなしでその場で打てる。

2014-03-29 23:30:08

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意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

緑間の超長距離3Pを何度も許し、第4Q頭にはとうとう50点差がついた。 最後のタイムアウト。伊月が真っ先にベンチに走り寄った。 『監督、森山先輩を出してくれませんか』

2014-03-29 23:35:07
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

オレの肩がピクリと震えた。 『先輩にとっては最後なんです。いえ、みんなにとっても、オレにとっても最後なんです。森山先輩と、バスケがしたいです』

2014-03-29 23:40:05
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

『こんなときに諦めるっつーんすか伊月先輩!』 鳴海が噛み付く。 『…こんなときだから、せめて楽しんでいこう』 振り絞るような声だ。 『だからって思い出作りに止められると分かってる人を出すんすか!? んなのおかしっすよ! オレは絶対に諦めたくない。オレがあと5分で50点入れて…っ』

2014-03-29 23:45:08
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

『伊月先輩は丞成とやったときのことなんか覚えてないかもしんねっすけど、4年前、火神相手に最後まで立ち向かえたことが、今でもオレの誇りっす。オレは最後までベストを尽くしたい』 鳴海の主張は正しい。たぶん、あの中で一番正しかった。でも、

2014-03-29 23:50:07
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

『ゴメン、鳴海』 画面の中のオレがぽつりと呟いた。 『情けないし、間違ってるかもしれない』 俯いていた顔が少しずつ上がっていく。 『でも、オレ…試合に出たいな。一秒でも長くボールに触ってたいよ』

2014-03-29 23:55:03
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

『行ってこい、森山』 口論を静観していた監督が口を開いた。 『お前はオレが部を強化し始めた当時から、主将として人一倍がんばってくれた。オレ個人としてはお前に感謝している』

2014-03-30 00:00:12
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

『指導者として未熟で済まない。帝光にいた頃は、絶望的な状況を経験したことがなかった。こんなときどうしたらいいかわからない。それでも、昔、一人の生徒の想いを蔑ろにしてしまったこと、オレは今も後悔している』 『もしかして、その生徒って…』 伊月の声が小さくて名前は聴き取れなかった。

2014-03-30 00:05:06

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意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

笠松も緑間もどんなに点差があっても手を緩めるタイプじゃない。結局、あの後さらに点差は開き続け、56点差でオレ達は負けた。 最後に笠松と主将同士握手を交わして、オレの大学バスケは幕を閉じた。 『『お前と戦えて良かった』』

2014-03-30 00:10:03
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

勝ちたい。 楽しみたい。 良い試合にしたい。 3つもオレ達の世界では揃わない。 だから、せめて…持っているものだけは手放したくないと思った。答えはとっくに出ていたんだ。 明日の第一志望の面接、がんばりたい。

2014-03-30 00:15:05

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意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「もしもし伊月? いや〜試合のビデオ見てたら感極まっちゃってさ〜」 「今何時だと思ってるんですか」 「えっ? まだ12時だぞ」 「こっちは朝から練習あるんですよ」 「悪い悪い、いろいろ話したいことあったけどまたにするよ」 「…それは、大事な話ですか」 「…オレにとっては」

2014-03-30 00:20:06
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「じゃあ、オレにとっても大事な話ですね」 伊月はきっぱりと言い切った。 「今からウチにいらしたらどうですか。一晩ゆっくり聞きますよ。今ならギリギリ電車も出てますし。それに、相田スポーツジムならウチから行った方が近いですよ」 短く礼を言って、就活スーツと鞄を持って家を飛び出した。

2014-03-30 00:25:06
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

インターホンの代わりにメールを送ると、伊月が門まで降りてきてくれた。 「静かに入って下さいね。皆もう寝てますから。マスカラ…私マスカラ渡しますから…キタコレ!」 「家族いるのに内緒で部屋に男つれこんでいいのか?」 ゴミを見るような目で見られた。ダジャレは良くて冗談はダメなのかよ。

2014-03-30 01:00:05
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

黒子のようにはオレはなれないから…あのとき一番に勝利を捨ててしまった 何が正しくて何が間違ってるのかなんて今もわかんねーよ オレは冗談で本心を覆い隠してばかりだけど 伊月のおかげだよ 本音が言えたの お前と3年間バスケやれて良かったって思えた それじゃダメかな ありがとう 伊月

2014-03-30 01:30:04
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

@tos 「ベンチで項垂れてた森山先輩が、4ファウルの日向に重なったって言ったら怒りますか?」 「えっ。それは……怒る!」 「じゃあ、もうおあいこですね」 伊月が笑うと振動が伝わってきた。それが心地よかった。

2014-03-30 01:35:06

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意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「こうして食卓を囲うと4年前の決勝戦を思い出すなあ」 「てっぺーさんがいるの慣れてきたけどな」 「森山君もたくさん食べてね」 伊月家で朝食をいただいたら、なぜか当たり前のように木吉がいた。いつ来てたんだ。 ところで、舞ちゃんかわいい。お母様お美しい。

2014-03-30 07:45:06
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

一足先に食べ終えた伊月が立ち上がった。 「じゃあ、オレもう出るけど森山先輩がんばってくださいね! あ、カントクは絶対に口説いたらダメですよ。射殺されますから!」 「行ってらっ…射殺!?」 「ああ、懐かしいな。オレらも何度か殺されそうになったよなあ」 木吉が朗らかに笑った。こわい。

2014-03-30 07:50:06
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

戸が閉まる音がした。伊月が出ていったようだ。 木吉が味噌汁を飲みながら小声で、でも確かに言った。 「…でも、逆に言えば景虎さんの弱点はリコです。頭の片隅に置いておくといいかもしれません」 あたたかいはずの味噌汁が一瞬冷たく感じた。

2014-03-30 07:55:07
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「景虎さんは一筋縄ではいきませんから。にしても、森山さんが相田スポーツジムを受けるのかあ」 「ああ、やっぱりバスケを一生の仕事にしていきたいと思ってさ。落ちても他のところを受けるつもりだ。オレは有名選手でも何でもないし難しいかもしんねーけど」 「いや、それがいいと思いますよ」

2014-03-30 08:00:04
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「続けられる人は続けるべきだ」 木吉は食卓の下に置いていた杖を見せて苦笑いした。

2014-03-30 08:05:05

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意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

オレはもう“スーツでなくて構いません”には騙されん! ヒョウ柄の服はまだ見ぬあのコのデートに取っておく! 履歴書も忘れない! 完璧な就活スタイルで、相田スポーツジムのエントランスのインターホンを押した。ぴんぽーん。

2014-03-30 09:45:06
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「担当の者が来るまでしばらく…えと、森山さん…?」 待合室まで案内してくれたのは相田リコちゃんだった。 「覚えててくれたんだね! こんなところで再開するなんて運命だと思(ハッ! 口説いちゃいけねーんだった!)うけど、別に付き合いたいとは思わないよ」 「ケンカ売っとんのかワレ!!」

2014-03-30 09:50:04
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「よォ、お前がゲンゲンの言ってたヤツか」 体育館に通された。ナマ相田景虎かっけー。身長オレと同じはずなのにオーラでデカく見えた。武内監督の威圧感(物理)とはまた違った。 「武内監督のご紹介で参りました、K大学の…」 「あー…んなのはいい」 渡した履歴書は一瞥もせず投げ捨てられた。

2014-03-30 09:55:06
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「志望動機なんざどいつも同じだからな。ソイツがどれだけバスケが好きか・今まで頑張ってきたか見るのに言葉はいらねぇ。プレイを見りゃあ一発でわかる。つーわけで、」 相田景虎がジャージを脱ぎ捨てた。 「かかってきやがれ! 1on1で攻守交代10回勝負。オレから1点でも取れたら即採用だ」

2014-03-30 10:00:03
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「そんで、何でどいつもこいつもスーツで来んなつってんのにスーツで来やがんだ。おい、リコ。この七三頭に何か貸してやれ」 わかったわ、と言うとリコちゃんはオレのボタンに手をかけた。 「なっ!? オレ女の子に脱がされるのは初めてで…あっ、そこはっ」 「「ならさっさとシャツを脱げ!!」」

2014-03-30 10:05:02
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「これでいいかしら。今年一つサイズ間違えて頼んじゃって」 渡されたのは誠凛のユニフォームだった。オレの誠凛ユニ姿って誰得だよ。しかも似合わねー。 「森山さんが来てくれたら私も嬉しいんで頑張ってください」 「リコちゃん…! もしかして、オレのこと…?」 「私カレシいますから」 「」

2014-03-30 10:10:04
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「パパは伊達に何年もトレーナーやってないわ。癖や型を見切られたら終わりよ。10回あると思って様子見してる暇はない。それに森山さんはシューター。DFは捨てて実質チャンスはOF2回ってとこね。最初から決める気でいって。…何ニヤニヤしてるんですか」 「いや、誠凛の戦法だな、と思って」

2014-03-30 10:15:06
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「…そういうことなら、リコちゃんに一つお願いしてもいいかい?」 「オイ七三! いつまでオレのリコたんとコソコソ話してんだ!」 倉庫の外からから怒鳴り声が聞こえてきた。 「なっ! それホントに作戦なんですか!? 森山さんの自己満足じゃなく?」 「任せろって。オレがキミを守るよおぉ」

2014-03-30 10:20:06

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意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「それでは、これより森山由孝さんの面接を始めさせていただきます。選考開始(ティップオフ)!!」

2014-03-30 10:30:05
意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

先攻はオレ。相田景虎のマークは遠い。前に火神もやってたけど流行ってんのか? 「何でんな遠くにいんのかって顔だな。こんくらい離れてる方がよく視えるし、お前が思ってるほどオレは遠くない」 …? よくわかんねーけど最初から全力! 遠くからのスリー狙い。3Pラインまで一気に切り込む。

2014-03-30 10:35:04