お隣の齋藤さんが僕に恋愛相談をしてくるのですが、彼女の言う好きな人って、ひょっとして…

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twitter.com/i/events/15702… “す、好きな人…教えなさいよ…” #齋藤飛鳥 #妄ツイ

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1 席替えをした。 僕の右隣には学校屈指の小顔美人、齋藤さんが。 彼女は、よく本を読んでいる。 彼女は、1人でいることが多い。 彼女は、あまり笑わない。 彼女は、僕に冷たい。

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2 お隣の齋藤さんとは、ほとんど会話をすることがない。 休み時間は、本を読んでいるから。 話し掛けるなオーラ…とでも言えば良いのか。 それを纏っているが故だ。

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3 しかし、僕とそんな齋藤さんが会話をする時間がある。 何と言ってもお隣さんだ、会話がゼロな訳では無い。

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4 それは、放課後のタイミング。 夕暮れ時の教室には、僕と彼女の2人きり。 パタッ… 今日は、僕の本を閉じる音が先だった。 鞄を肩に掛け、最終下校時間が迫る前に、図書館へ本を返却しに行く。

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5 飛:何、読んでたの？ ○:「誰がために鐘は鳴る」だよ。 飛:えっと… ○:アーネスト•ヘミングウェイ。 飛:そう、その人。 ただ今、この学校の図書館では”不朽の名作フェア”なるものが開催されており、図書委員オススメとのことで手に取った1冊。

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6 飛:面白かった？ ○:うーん…英文学はイマイチ… 飛:あっそ… 自分から尋ねてきたのに、このドライさはいかがなものか。 ○:じゃあ、また明日。 飛:ん。

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7 僕と彼女が話すのは、これだけ。 毎日、放課後は教室に残って本を読んでいる僕等。 どちらかが1冊を読了すれば、読んでいた本のタイトル、内容について尋ねたり… 互いに知っているものであれば、時折り盛り上がることもある。

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9 教室のドアを開けると、やはりまだ彼女はそこにいた。 飛:随分と長かったね？ ○:何が？ 飛:本を返却するだけにしては、時間が掛かり過ぎ…そんな気がしただけ。 ○:次に借りる本を選ぶのに、悩んだんだよ。

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10 飛:でも、手には何も持ってないじゃん。 ○:… 飛:それに。いつもは鞄を持って、帰るついでに返却しに行くのに。 日常の中の、ふとした違和感を口にする。 ○:参ったな… 飛:…？

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11 ○:齋藤さんにだけ言うよ。2人だけ…いや、3人だけの秘密だよ？ 飛:3人？ ○:実は…さっき、告白されたんだ。 飛:え… 単行本が、彼女の手元から落ちた。 それを拾って、手渡す。 飛:ありがと…それで、えっと…告白されたの？

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12 ○:うん。 飛:だから、3人なのね…ちなみに、相手は？ ○:隣のクラスの山下さん。 飛:嘘⁈あの子が⁈ 山下さんと聞けば、誰もが知る品行方正な女子生徒だ。 飛:どうして、アンタなんかが…

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13 ○:どう言う意味だ、それ。 飛:本を読んでいるような…根暗… ○:僕、これでも齋藤さんと違って友達いるからね？休み時間だったり、放課後だったり。遊んだりするから。その繋がり…みたいな？

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14 飛:私だって、友達の1人ぐらいいるし。 ○:へぇ？あっ、本が友達と言うのはナシだからね？ 飛:うっ… ○:おいおい… 飛:あとは…●●君…とか… 少し俯きながら、ボソッと僕の名前を呟いた。

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15 ○:僕と齋藤さんが友達…？ 飛:っ…な、なんてね…冗談だよ。やだなぁ…本気にした？ ○:いや、全く。 飛:だよね…バカ●●… ○:ん？ 飛:何でもなーい。

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16 ○:他人をすぐにバカって呼ぶから、友達がいないんだぞ？ 飛:聞こえてたんじゃん…バカ… ○:また言った… 飛:腹に力入れろ。 ○:どうして、僕に殴られる筋合いがあるんだ！その拳は仕舞って。 全く…

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18 飛:「モテる女の嗜み」 ○:ふーん…モテる女の… え…エ…ゑ⁈ ○:文学作品じゃないよね⁈筆者は？ 飛:秋元真夏…先生。 知らねぇぇぇ… どうして、急にそんなものを… 明らかに、齋藤さんの好みのジャンルではないことは確かだった。

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19 彼女の異変は、翌日も続く。 飛:ね、ねぇ… ツンツンと、指先で僕の腕に触れてくる。 いつもは読書をしているはずの休み時間に、話し掛けてきた…だと⁈ ○:どうしたの？宿題でも忘れた？

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20 飛:違う…そうじゃなくって… えっと…えっと…と、指同士を合わせてモジモジする齋藤さん。 らしくない…らしくないぞ？ 飛:私…好きな人が出来たの… ○:えぇぇ⁈ 飛:しっ。声が大きいってば。 ○:ごめん…それで、誰なの？ 飛:それは…言えない…

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21 ○:無理には聞かないけど…その好きな人がどうかしたの？ 飛:その人の…好きな人が分からなくて… ○:ふーん…なるほどねぇ… 飛:そ、それで…その… ○:相談する相手、間違えてない？ 飛:え？ ○:僕じゃ、力になれない気が… 飛:でも…友達…と言うか…話し相手がアンタしかいないし…

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22 理由が悲しすぎる… ○:はぁ…分かった。僕で良ければ聞くよ。 飛:ちなみに…ちなみによ？アンタは…好きな人とか、いる訳？ ○:いるよ。 飛:それって、この間言ってた… ○:いや、彼女じゃない。 飛:でも、告白されたって…

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23 ○:断った。他に好きな人がいるから。 飛:ふ、ふーん…？アンタは、山下さん以外に好きな子がいるんだ？ふーん… ○:何だよ… 飛:ち、ちなみによ？ちなみに…その好きな子って… ○:齋藤さんが言わないなら、僕も言わない。 飛:っ…その子って…髪の長さとか…ロング？それともショート？

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24 僕は、あえて”その子”とは真逆に答えてみる。 ○:ショート…かな。 飛:ぁ…そっか…ちなみによ…ちなみに…もし、私がショートカットにしたら… 齋藤さんのショートヘア… 猛烈に見てみたいんだが⁈ でも、今のままが”好き”なんだよなぁ…

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25 ○:今のままでも、十分似合ってると思うけど？ 飛:ほ、本当に⁈へへっ… なぜか、彼女が喜んでいる… 嬉しそうなその表情、初めて見た… 笑顔も可愛い… ○:と言うか、僕の好きな人じゃなくて、齋藤さんの好きな人の話！その人の特徴は？

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26 飛:そ、そうね…えっと… 悩みながら、なぜか僕の顔をジッと見つめてくる。 ○:僕の顔に何か付いてる？ 飛:う、ううん！その人は…優しい目をしていて…私の近くにいてくれて… ○:近くに… 飛:そう…ご近所さんと言うか… ○:もしかして、幼馴染がいるとか？

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27 飛:あー…そう言うことじゃないのよ… ○:うーん…連絡先は？LINEとかさ。 飛:持ってない… 脈ナシじゃね⁈ って、僕も他人のこと言えないけど… 飛:じゃあさ、まず…アンタと交換しようかな… ○:え⁈ 飛:ほら、いきなりその人に聞くのは…緊張するから…事前に練習しておかないと…

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28 ○:そう言うこと… QRコードを表示し、彼女が読み取る。 “飛鳥”が登録された。 思いがけず、好きな人の連絡先を得られた僕。 しかし、齋藤さんの好きな人とは…

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29 それからも、ことあるごとに僕に”好きな人”についての質問をしてくる。 ○:どんな関係なの？ 飛:関係？ ○:先輩なのか…後輩なのか… 飛:同級生で…同じクラ…はっ…何でもない！ 同じクラス… そう言いかけなかったか？

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30 加えて、ご近所さんときた。 ひょっとして… まさか…ね？ 飛:その人とは…たまに話すんだけど…休日とかに会ったりはしなくて… ○:ふーん？友達…とも言い難いか… 飛:うぅ…でも…私は…割とその人と過ごす時間が心地良くて…落ち着くし…

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31 ○:うーん… 飛:ちなみに…ちなみによ？アンタの好きな子とはどう言う関係なの？ ○:最近、お喋りするようになった…かな？割と、趣味も合うし。あと…可愛い… 飛:へぇ…私じゃぁ…ないか… ○:ん？ 飛:ううん！気にしないで。そっか…趣味か…私もその好きな人と…趣味は合うと思われる…

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32 思われる…って… 他人事？ ○:あとは、どれぐらい好きなのか…その想いを伝えてみるとか？ 飛:ずっと前から…好きだった… ○:ほぅ？ 飛:入学した時から、分け隔てなく仲良くて…私にも声を掛けてくれて…

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33 ○:そんな奴がいるんだ… 飛:う、うん…アンタは…彼女いないんでしょ？ ○:そうだよ？ 飛:その子が…告白してきたら…つ、つ…付き合う訳？ ○:もちろん。 飛:ところで…付き合うって…何するの？

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34 ○:手を繋いだり… 飛:手を繋ぐ…？ 自分の両手をガン見する齋藤さん。 ○:あとは…ハグとか…キスとか… 飛:ひゃえっ⁈ ○:その先も…あるのかなぁ… 飛:… これ以上にないくらい、顔が真っ赤に…

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35 ははーん… さては、想像したな？ ○:齋藤さん？戻っておいで？ 飛:はっ… ○:名前で呼び合ったり、デートしたり…その人のことを独り占め出来る権利があると思う。 飛:じゃあさ…試しに…お試しでよ？名前で…呼んでも…良い？

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36 ○:僕を？ 飛:そう…○○…君… ○:っ… 飛:ダメ…？ ○:良いですよ… 思わず、敬語になってしまった… 飛:だから！○○…君も…私のこと…名前で呼んでくれないと、不公平じゃない？ ○:うっ…あっ…えっと…あ、飛鳥？

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37 飛:っ…！ どうしてガッツポーズしてるんだろ… 僕だって、心の中でしてるけど。 飛:例えば…例えばの話よ？友達とかじゃなくて…クラスメートからいきなり告白されたら、OKする？ ○:うーん… 飛:クラスメートと言うか…読書友達…みたいな？

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38 ○:僕だったらOKするけど、その人は…どうだろう… 飛:か、仮によ？仮にね…私が…○○君のこと…好きって言ったら…どうする？ どう…とは… ○:付き合う…かな… 飛:え？ ○:仮の話…でしょ？仮の話なんだから、付き合っても良いでしょ？

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39 飛:それもそうね…仮の話の中でさえフラれたら、…いよいよ心が保ちそうにないし… ○:とりあえず、その人を意識させることから、始めたら？ 逆に、僕はずっとドキドキしてますけど… 飛:どうやって…？ ○:あ、飛鳥が…自分のことを女だって、アピールすれば良いんだよ。キス…とか？

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40 飛:いきなり⁈ ○:そうすれば、どんな人も意識するんじゃないかな…キスまでいかなくても、手を繋いだり…名前で呼んだり… 飛:分かった… ○:僕が言えるのは、これぐらい…

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42 パタッ… 今日は、飛鳥の方が早く本を閉じた。 訳の分からないタイトルの本ではなかった。 ○:最近…好きな人とはどう？ 飛:相変わらず…って感じ… ○:そっか… 飛:名前で呼んだりしてるんだけど…意識してくれてるかは、分からない。

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43 ○:毎日連絡を取ったり、一緒に帰ってみるとか？それで、手を繋いでみたり…どう…かな？ 飛:じゃあ…○○君で練習しても良い？

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44 初めて一緒に帰ることになった。 専ら、最近のお気に入りの本の話ばかり。 ふと、飛鳥の方から手を繋いできた。 思わず立ち止まる。 そして、もう片方の手を腰に回してきて、彼女の方へと寄せられた。 密着する僕達。

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45 飛:キスしたら…私のこと…意識してくれる？ 答えるよりも先に彼女がつま先立ちをして、チュッと音がした。 ○:… 飛:ごめん…○○君に好きな人がいるって…知ってるのに…私… 繋いでいた手を離した。 けど、僕が彼女の華奢な身体を抱き寄せて離さない。 飛:はぅ⁈ちょ…ちょっと…？

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46 ○:飛鳥のことが…好き… 飛:へっ⁈ 耳元で言ったから、しっかりと伝わったはず。 ○:僕の好きな人は、飛鳥だよ。 飛:でも…この間…ショートカットの子が… ○:あれは、嘘。好きバレしたくなくて、飛鳥とは真反対のタイプを答えたんだ。

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47 飛:バカ… ○:他人のことをバカって言うのは… 飛:バカ○○… ○:それなら…まぁ、良いか… 飛:私だって、○○のこと…好きなんだぞ…！ ○:飛鳥の言ってた”好きな人”って… 飛:全部○○のことだし…なのに全然気付いてくれない…幼馴染がいるの？とか言うし…

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48 ○:いや…それは…まさか、僕だとは思わなくて… 飛:付き合って…くれますか…？ ○:はい…！ 飛:これで…良いんだよね？ ○:何が…？ 飛:独り占め…出来るんだよね？ ○:っ… 飛:だーい好きっ！ End

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あとがき どうでしたか？ お隣さんとの、好きバレ必至の恋の駆け引きは笑 例えば… ちなみに… 仮に… 言葉を巧みに使って、何とか○○の好きな人に辿り着こうとする飛鳥ちゃん。 健気に描けたのではないかなと思います(*´꒳`*)