JK伽羅ちゃんとクラスメイトの歌仙くん

カコ🐙 @3nasubi31

twitter.com/i/moments/9675… これに出てくるJK伽羅ちゃんとクラスメイトの細川歌仙くんの話。実は伽羅ちゃんの通う学校は比較的お金持ちの多い進学校。そして奨学生制度も充実しているので伽羅ちゃんはそれを使って通っている(学費等ほぼ免除)

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伽羅のクラスは一般生と奨学生が半々くらいで、片想い成就編で出てきた貞ちゃん(一般生)もクラスメイト。伽羅、貞、隣のクラスの獅子、たぬの四人でガールズバンドを組んでいる。

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ボーカルとギターが貞(伊達 貞子)、キーボード伽羅(長谷部倶利伽羅)、ベース獅子(獅子王 美姫)、ドラムたぬ(同田貫天(あまね)) バンド名はフルーチェボール。

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バンド名の由来はその日の獅子の弁当がフ◯ーチェだったから。

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さて、夏の終わりに毎年開かれる学祭で、フルーチェボール(FB)は例年通りライブをすることに。普段はカバーが多いんだけど、貞が「今年は全部オリジナルでやりたいな！」と。

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「高校生に曲なんて作れるのか？」「貞が得意だ。歌詞は獅子が書く」「お前は？」「弾く」「なるほど」長谷部は去年の学祭とかで何回かFBのライブを観たことがある。伽羅が楽しそうにキーボードを弾いているので「よかったな」くらい。

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そんな感じで春先から練習したり曲を作ったり。貞はノリのいいロック系が好きなのでポンポンと曲が出来るんだけど、そのなかで１曲、初めてだという和ロックが。

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といっても和楽器はだれも弾いたことがないので伽羅のキーボードでなんちゃって和ロック。最近のは高性能なので三味線とか筝とか入ってる。

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ところが、キーボードが和楽器の音を出してしまうと肝心のキーボードがいなくなる痛恨のミス。合わせるまで気付かなくてみんなして真っ青(あるある)「…やっぱり和楽器弾けるやつ探すしかないかぁ」と貞がため息をつくと「お前たちのクラスにいるぞ」とたぬ。

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それが細川歌仙。たぬは去年同じクラスで同じ音楽選択だったので、年度末の発表で歌仙が筝を弾いていたのを知っている。「いいな、頼んでみようぜ！」という獅子と貞。でも伽羅は渋い顔。

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長谷部はビール、ミツはレモンサワーを頼んだんだ。他に山芋とアスパラのバター焼きや、牛スジ煮込み、豚平焼きなんかをオーダー。ミツは悩んで悩んで、ベーコンとポテトのガーリック炒めを選ぶ。

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「アイツ……苦手」クラス委員の細川歌仙とは新学期にたまたま席が隣で、やれスカートが短いだのシャツがよれてるだの何かと口煩く言われたのだ。「そうか？いいやつだぜ、変人だけど」たぬはあっけらかん。

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「伽羅が嫌ならやめるけど…」と貞は言うが、せっかくの和ロックを台無しにしたくない。「…嫌じゃない。任せる」「なら決まりだな！」善は急げだ、頼みにいこうぜ！と四人で茶道部のいる茶室に

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「お断りだよ」「は！？」「むしろ、よく僕が引き受けると思ったね？」茶室の前で出会った歌仙は貞たちの言葉をバッサリ。「悪いけど、雅じゃない相手のためにプライベートな時間を割く隙はないんだ」君たち、茶をたてたりなんか出来ないだろう？と呆れ顔。

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「ぁんだよ、麦茶なら作れるぜ」「たぬ黙って」「ちぇっ、参ったなぁ…」獅子がたぬを抑え、貞ががっくり肩を落とす。歌仙は肩をすくめながら「力になれなくて残念だよ」と言のを遮ったのは伽羅だった。「茶を立てればいいんだな」

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「伽羅！？」「茶室と道具を借りるぞ。揃ってるんだろう」伽羅は自分でもなぜこんなことを言い出したのか分からなかった。ただ、仲間たちをバカにされたことに腹が立っていたし、貞が何日も何日も悩みながら作った新曲を台無しにしたくなかったのだ。

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ずかずかと茶道部の茶室に上がり、匙を取り鉄瓶を使い、茶碗を揃え、手早く点てて差し出す。「……結構なお点前で」「お粗末様です」膝を揃えて礼をする伽羅を、仲間たちが戸口でぽかんとみている。「…驚いた。失礼なことを言ったことは詫びるよ。でも、君、どこでこんな？」「…母が、嗜んでいた」

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「……成る程」わかった、と歌仙は膝を打って立ち上がる。「男に二言はないからね、君たちの演奏を手伝おう」「正気か」「おや、君たちから頼んできたんだろう」「……」 こうして、ガールズバンド、フルーチェボールに細川歌仙が加わった。

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といっても歌仙が顔を出すのは週に数回程度。歌仙がいない日は他の曲をやって、歌仙が来た日には和ロックをやる感じ。そして、必然的に伽羅のキーボードとあわせることか多くなる。

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「君はセンスはいいのに演奏が雑だね」「雑音だとは言わないけど、もう少し音階というものを理解したらどうだい」「そのスカート丈は校則違反だよね？ まったく、せっかくのデザインが台無しだ」

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細川歌仙がなにか言うたびに腹が立って仕方ないが、悔しいことにどれも正論だから言い返せない。興が乗ると演奏が雑になるのは獅子にも指摘されたことがあるし、そのせいで本来は琴と合わせるはずの音がずれてしまう自覚もある。

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そして実際に細川歌仙の指摘通りに直すと格段に演奏がよくなるのだから尚更悔しい。伽羅だけでなく貞や獅子、たぬも歌仙の指摘でさらによくなる。「僕が琴を弾くのだから、この程度はしてくれないと面目躍如成り立たないよね」「ぐぬぬ……」

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だが、スカート丈に関しては伽羅は一歩も譲らないし譲る気もない。伽羅たちの学校はお金持ち進学校だから制服のデザインにもお金がかかっていて、男子のブレザーはグレンチェックでタイは勿論ウィンザーノット、女子の制服も同じくグレンチェックのブレザー。

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といっても英国子女風の清楚系デザインのブレザーをまともに着こなせるJKなんて一握りで、ほとんどが今風に切ったり折ったり崩したり。教員も黙認。伽羅もほとんどがミニスカートにシャツとオーバーサイズのカーディガンにクルーソックス。

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貞やたぬ、獅子も似たようなものだけれど(たぬに至ってはジャージしか着てない)細川歌仙はなぜか伽羅にだけスカート丈やらブレザーの上着やら口煩い。

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「他の奴らも似たようなものだろう」と伽羅が言い返すと「他の奴等は関係ないだろう？ 君はもう少し女性らしい服装をするべきだ」とさらり。そのやり取りをみて貞と獅子は笑うしたぬは呆れるしで埒があかない。

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そんなこんなをやりつつも確実に歌仙が入ったことによりフルーチェボールの演奏には厚みが増し、学祭に向けて着々と準備が進む。夏の終わりも近づき、学祭まであと２週間。「ひとつ提案があるんだが」と言い出したのは、練習を終えた歌仙だった。

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「和装はどうだろうか」「和装！」貞はあん◯つ姫、獅子は白拍子、たぬは芸者、伽羅は花魁、そして歌仙も十二単で女装だという。「知り合いに大衆演劇家がいてね、FBの話をしたら和装を貸してくれると申し出てくれたんだよ」

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というわけで細川邸で試着。純和風の豪邸に戦く四人。出迎えはお手伝いさんだし門から玄関まで遠いし庭に橋とか池とかあるし……「母屋には来客があってね、裏口から離れに案内してしまって申し訳ない」「ふぁっ！？」心底申し訳なさそうな歌仙に四人は絶句。

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「歌仙さんが女性のお友だちを連れてくるなんて珍しいですわね」なんて微笑む和装美人が母親かと思いきや、乳母ですと言われてまた絶句。 「なぁ伽羅、もしかしてとんでもないやつに手伝い頼んでた？」「今さら気付いたのか」

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大衆演劇のスタッフだという感じのいいご婦人も加わって衣装合わせ。貞のお姫様も獅子の白拍子もなかなか、意外にもたぬが芸者風で化け、流し目の美女になる。だが、伽羅は花魁風の着物写真を見て首を振った。「これは着れない」

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「何でだい？」と歌仙が言う。「……肩が出るのは嫌いだ」「だが……」「いいよ伽羅！私がそっち着るから伽羅があ◯みつ姫な！」「貞、ありがとう」気遣いに感謝しつつ、だが、隠しているのも不誠実だと思い伽羅はカーディガンを脱ぐとシャツをはだけた。

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「右肩と腕に痣がある。昔、これをからかわれて不愉快だったから隠したいんだ」「……わかった。配慮が足りなかったね、申し訳ない」と歌仙は頭を下げ、伽羅の肩にカーディガンをかける。「君が真夏でもカーディガンを着ていることから察するべきだった」

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「では花魁は僕が着よう。十二単はかなり重たいけれど、立ったままキーボードは弾けるかい？」「……当然だ」ムッとして言い返すも、前より腹が立たない。相手が異性だからかもしれないが、痣の話を打ち明けても「見せて」と言わなかったのは歌仙が初めてだ。

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「脱水症状にだけは気を付けてくれよ」なんて言う歌仙相変わらず金持ちのスカした嫌みなやつだが、性格は悪くないかもしれないと思ったのだった。 「お前のバンド見たぞ。相変わらずすごい音だな。ところで、いつから女子五人になったんだ？」「……別に、女子四人のままだ」「？？」

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学祭を見に来た国重も気づかないほど歌仙の花魁姿は堂に入っていた。五人で撮った写メはなかなか気に入ったので、こっそり待ち受けにしたのだった。 「お前の格好もすごかったな。布団を着てるようで暑かっただろう」「……ポカリが美味かった」

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基本的に大きなステージは学祭くらいだったのだが、ある日、獅子が「隣町の男子校の学祭から招待されたぞ！！！！」と駆け込んでくる。 「11月頭、新撰工業高校の学祭だ！」「やったな獅子！でもどうして？」「ツレがそこなんだ」「へぇ……」

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ファミレスでひとしきり追求して(残念ながら彼氏ではなく幼馴染だった)四人は早速準備に取りかかる。持ち時間は学祭より5分長い20分。「せっかくだし、新曲やろうぜ」というたぬの提案に一も二もなく頷いた。

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「ならさ」と言ったのは貞だ。「また和風の曲やりたいな。実はちょっと考えてるのがあって……」差し出したiPhoneにはベタ打ちの新曲、和風のバラードだ。「メインはピアノと……琴。また歌仙のこと誘えないかな？」

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「またアイツか……」このところ、なにかと歌仙とかち合ってしまう。この前は国重と婚約者のミツと三人で買い物しているところに合ってしまった。「伽羅が嫌ならやめるぜ」「……別に、必要なら構わない」いけすかない奴だが完成と腕は間違いない。

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そんなわけで再び歌仙を加えてFBwithK再始動。今回は曲作りから歌仙は関わって、和音階やリズム、歌唱方法、獅子には三味線のさわりも教える。

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貞の作る曲はどんどんよくなり、たぬは和のリズムを自在に打てるようになり、獅子はイントロの三味線を完璧に弾きこなす。でも、伽羅だけはなかなか歌仙と息を合わせることができない。「ｱｯ…！」「……休憩にしようか」放課後の時間は短いというのに、本日三度目のミス。

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「……顔を洗ってくる」無様だ、と伽羅は思った。他の四人は完璧なのに、自分だけ集中できていない。ジャブジャブと水を浴びて顔をあげると「君がハンカチも持っていないと疑うわけではないけれど」といいながら、歌仙が糊のきいたハンカチを差し出した。

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「……私に構うな」「なら、ハンカチはあるのかい」「……」タオル一式、ピアノのそばに置きっぱなしだ。舌打ちをしながら受けとると、歌仙は太い眉を下げて笑った。「光希さんの義妹とは思えないね」「……」

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「……おや、そこが震源地だったかい」階段に膝を抱えて座る伽羅を見て、歌仙が驚いた顔をした。「倶利伽羅さん、光希さんが嫌いかい？」「嫌いじゃない」ムッとして言い返す。あんなに美人で優しくて可愛い人を嫌いになる人なんかいるはずがない。

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「ミツは……いい人だ。あんなに美人で優しいのに国重なんかと結婚してくて……国重は本当にバカだから、あれくらい出来た人じゃないとむりだけど、アイツなんかには勿体ない」でも、と、語りだした口はぼろぼろと胸の奥の感情をこぼしていく。「国重はホントに馬鹿で、どうしようもなくて」

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「ところが最近、幼稚園で仲のいい……ボーイフレンドが……できたとかで……」「うぉっ」ぐしゃっと音を立てて、歌仙の握っていたペットボトルが潰れる。「奴が見えるなり、僕の手を振りほどいて走っていくようになってね……堀川……覚えたぞ……」

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「……毎晩、妹からボーイフレンドの話を聞くたびに、腸が煮え繰り返りそうになっているというわけさ」「ただのシスコンじゃないか」膝にほほをつけたまま、伽羅は笑っていた。「細川の癖に全然雅じゃないな」「ブラコンに言われたくはないね」ペットボトルを握りつぶしたまま歌仙も笑う。

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いけすかない、お高く止まってるだけだと思っていた歌仙の人間らしい部分が少しだけ見えた気がして以来、少しだけ息が合うようになった気がする。歌仙も、「昨日は寝るまでボーイフレンドの話に付き合ったんだ」と伽羅にだけこっそり言うようになったり。

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男子校の学祭を来週に控えた週。土曜日に男子校でリハーサルが出来ることに。「アンプやピアノの様子見ときたいだろ。土曜日の夕方なら空いてるって」と獅子。伽羅の弾くグランドピアノと歌仙の琴は学校のものを借りるので、早めにリハーサルができるのはありがたい。