涙がダイアモンドになるユンくん
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旧彷徨 @_hoonysHeart

恋すると涙がダイヤモンドになっちゃうユンくんの瞳から零れ落ちた雫を小瓶に集めてるジヌさん。夜中にそっと舌にのせてこくんっと飲み込む。嗚呼、これがユンの心の味か…甘酸っぱくてほろ苦い。身体の中で淡く溶けて、ふたつがひとつになる感覚。これだけじゃ足りない…もっと、もっとこれが欲しい…

2018-12-03 00:51:47
旧彷徨 @_hoonysHeart

ある日、ユンがまた泣いていた。好きだった女の子に振られたらしい…フニからそんな話を聞いた夜、いつものようにソファでテレビを見ていると後ろから伸ばされた腕に抱き込まれる。筋肉のない、細い腕。その白さに思わず指を這わすと、更に拘束の力が強くなる。ポロポロ落ちる宝石の海。バカだなぁ…

2018-12-03 00:55:17
旧彷徨 @_hoonysHeart

くるっと身体の向きを変えると、心做しか腫れた切れ長の瞳が見開かれる。その弾みで、また一粒生まれた涙の欠片をちゅっと吸い上げる。『あっ…』漏れた言葉を、濡れた唇で塞いでしまうと間近で見つめ合った瞳孔が震えて広がるのが分かった。『…これからは、ユンの涙は全部俺のものだよ。分かった?』

2018-12-03 00:58:29
旧彷徨 @_hoonysHeart

その瞬間、暗闇の宇宙に光が弾けた。 これは星だ…と気付く前に、ひょん…と頼りなく細い声で呼ばれ、正面から強く抱き締められる。擦り寄せた頬を暖かい涙が濡らしていく。そうか、俺が硬くて冷たくなったユンの心を溶かしてしまったから…もうきっと、二度とあの輝きを手にすることは出来ない…

2018-12-03 01:08:24
旧彷徨 @_hoonysHeart

それでもいいと思った。あれほど欲していた小瓶の中の輝きも、濡れた睫毛の奥で煌めくそれに比べればどうでもいいものに思える。『俺を、ヒョンの物にしてくれるの?』緊張でカサついた唇を湿らすように、もう一度…さっきよりも深く、甘く香り立つような口づけを交わす。『…うん、お前が全部欲しい』

2018-12-03 01:20:55
旧彷徨 @_hoonysHeart

今でも自分の部屋の奥に、その小瓶はある。窓辺に座り降り注ぐ朝日に翳すと、キラキラ乱反射して光が躍る。顔も知らない誰かのために痛めて泣いたスンユンの心の欠片。少し考えて、徐に窓を開けると冷たい空気の中にそれをばらまいた。サヨナラ…小さな恋心…願わくば、もう二度と芽生えませんように… pic.twitter.com/NBvn8gQGZp

2018-12-03 08:09:50
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