1 7歳の頃、事故にあった。 事故と言っても、車に轢かれた訳ではなく、自転車同士の接触事故。 衝撃で自転車から落ちた僕は、頭を打ってしまった。 その日から、僕だけに可愛い天使と悪魔が見えるようになったのだが…
2022-03-24 19:53:023 僕は、今年で17歳。 僕にしか見えない天使と悪魔との付き合いも10年目。 遥:○○!起きないと遅刻しちゃうよ! 脳内に声を直接呼びかけて起こそうとしてくれているのは、天使の遥香。
2022-03-24 19:53:044
美:○○…もっと寝ていようよ!あと、10分は大丈夫だって!
遥香とは逆に甘い選択肢の方へ僕を導こうとしているのは、悪魔の美月。
遥:ダメだよ!昨日もそう言って遅刻しかけたじゃん!
美:沢山眠らないと、学校の授業に支障が出るよぉ…
5 遥:眠くても起きなきゃ! 美:○○が眠いと、私達の存在も薄くなっちゃう… 遥:それは、確かに…じゃあ、もうちょっと眠ろっか! おい… 何を納得させられてるんだ…
2022-03-24 19:53:076 眠い目を開け、学校に行く支度を始める。 ○:おはよう、遥香。 遥:おはよっ! 遥香は、何かと美月に言いくるめられることが多く、意思が弱い。 ゆえに、結局は僕自身の意思で物事を決めることが多い。
2022-03-24 19:53:087 支度を終えて家を出ると、ちょうど幼馴染のさくらが迎えに来てくれたところだった。 さ:おはよ! ○:おはよう。 美:今日もラブラブだねぇ… 僕達は付き合ってる訳じゃない。
2022-03-24 19:53:098 遥:そのうち、さくらちゃんに彼氏が出来たら、一緒に登校出来なくなるかも… ○:うっ… さ:具合悪いの?大丈夫? つぶらな瞳で僕の顔を覗き込んでくる。 ○:平気平気。 pic.twitter.com/YRZwiiQob5
2022-03-24 19:53:149 そもそも、さくらが僕のことを好きになるなんて… 美:そうだ!○○のことが本当に好きなら、エッチなお願いをしても受け入れてくれるかも! 朝からどうしてそんな思考が出来るんだ、この小悪魔め。 美:聞いてみなよ!
2022-03-24 19:53:1410 遥:女の子にそんなことを聞いちゃダメ! そうだよな、流石は遥香だ。 美:でもぉ、こんなに可愛い女の子と… 遥:付き合ってもないのに…相手にも気持ちがあるんだから!
2022-03-24 19:53:1511 美:それって、さくらちゃんは○○のことが好きじゃないと? 遥:そうは言ってないじゃん! 何だろう…胸が痛い… 美:大抵、幼馴染は両思いだったりするもんでしょ? 遥:アニメの見過ぎだよぉ… 美アンタが毎晩見てるからでしょ。
2022-03-24 19:53:1512 美月と遥香の言い合いが僕の前で繰り広げられる。 さ:○○?さっきからどこ見てるの? ○:あっ、ごめん… さ:謝ることはないけど…なるべく私の方を見て欲しいなぁ… ○:えっ? さ:ううん、何でもない。
2022-03-24 19:53:1613 美:へぇ?今の脈アリ発言でしょ。 遥:ゴクリ… 美:今日、学校の帰りにでもエッチなことを… 遥:だから!物事には順序があって… 美:可愛い子とエッチ出来るんだよ? 遥:うっ…むぅ…それは…
2022-03-24 19:53:1614 遥香…折れるんじゃないぞ? 美:きっと、おっぱいが柔らかくて最高なんじゃないかなぁ… 遥:はわわ…マシュマロみたいな…顔を赤くするさくらちゃん…堪らん! さっきまでの姿勢はどこ行った?
2022-03-24 19:53:1715 美:彼女の身体を好きに出来るなんて…素敵じゃない? 遥:素敵…かも知れない…でへへ… おい、天使! ○:僕は、そう言うことは付き合ってからって決めてるんだ… さ:1人で何言ってるの?いつも変だけど、今日は特に変だよ?
2022-03-24 19:53:1716 美:ぷっ…いつも変だって… 誰のせいだと思ってるんだ? 遥:さくらちゃんに好きな人がいるか、尋ねてみなよ。 ○:朝からこんなことを聞くのもアレなんだけど… さ:私に遠慮なんてしないでよ。
2022-03-24 19:53:1817 ○:だよね…その…す、好きな人とかいるの? さ:え、えっとぉ… 美:あっ、モジモジし始めた…エッチしたいのかな? そんな訳無いだろ… さ:○○は?いるの? 遥:正直に言いなよ!
2022-03-24 19:53:1818 ○:僕は…いないよ… 美:はぁ⁈ さ:そっか…私もね、いないよ… 遥:あらら…○○、どうして?自分に嘘をつくのは、心に毒だよ? 2人は何も分かっちゃいない。 さくらは、凄く良い子でモテるんだ。 僕には、勿体ない…
2022-03-24 19:53:1919 学校に着くと、天使と悪魔はさらにうるさくなる。 例えば、英語の時間の小テスト中… 美:その問題、分からないなら答えを見てきてあげるよ。 “そんなことしなくて良い” 紙に書いて、間接的なカンニングを防ぐ。
2022-03-24 19:53:1920 遥:○○、偉い!自分の力で点を取ってこそだよ! 美:でも、今日のテストは9割以上正解じゃないと再テストだって、この間言ってなかった? 遥:だとすると、○○は…今のところ空欄が目立つから… 美:放課後、さくらちゃんと帰れなくなる…
2022-03-24 19:53:1921 遥:それはマズい…私が答えを教えてあげる! “だから、平気だって!” 遥:○○がそこまで言うなら… 渋々引き下がる遥香を尻目に、気合いで小テストに合格してみせた。
2022-03-24 19:53:2022 空き教室で1人体育の準備をしていると… 美:やーん…○○の腹筋割れてるぅ〜! ○:勝手に着替えを覗くんじゃない… 遥:美月!覗きはダメだよ!男の子が女の子のやつを覗くのはもちろん、その逆もまた然り!
2022-03-24 19:53:2023 良いぞ、遥香。 そのままもっと叱ってやれ! 美:でもぉ…いつも家で○○の裸は見てるしぃ… ○:そうなの⁈ 遥:た、確かに…○○の立派な… ○:遥香まで⁈
2022-03-24 19:53:2024 いつの間に… お風呂に入る時にでも覗かれていたのだろうか… 全然気付かなかった… 美:年々成長していく○○の… ○:もう良いって!恥ずかしいわ! 遥:アレが、さくらちゃんの中を出たり入ったり… ○:遥香までやめてぇぇぇ!
2022-03-24 19:53:2125 遥香は、もう少し天使としての自覚を持ってもらいたいな… 美月を止める役割を果たして欲しい。 ○:あれ? 遥:どうしたの? ○:体育着の下が無い… 家に置いてきたか…? 美:ふっふっふ…
2022-03-24 19:53:2126 ○:まさか… 美:実は、私がこっそり抜き取っておきました! ○:何してくれてるんだ…これじゃあ、授業に参加出来ないじゃん… 美:抜き取ったのは学校に着いてからだから、教室のロッカーに入ってるよ。 ○:…ったく…今から取りに行くと、授業に間に合うのはギリギリだな…
2022-03-24 19:53:2227 遥:それでも、授業に欠席するよりはマシだよ!友達に迷惑をかけちゃうし… ○:遥香の言う通りだね…って、教室は女子が着替えてなかった…? 美:… ○:おい、何か言えよ…
2022-03-24 19:53:2228 予鈴が鳴った後、抜き足差し足で自分の教室の前へ。 ○:もう、誰も残っていないよな…? ドアに手を掛け、少し開けたところで手を止めた。 遥:どうしたの? ○:誰もいないなら、教室には鍵が掛かっているから、開くはずがないんだけど… 遥:閉め忘れじゃない?
2022-03-24 19:53:2229 わずかな隙間から中をそっと覗く。 覗くと言っても、決してやましい気持ちがある訳じゃない。 決して…ね。 ○:ん…? 遥:アレは… 美:さくらちゃん…?
2022-03-24 19:53:2330 さ:スー…○○の体育着が残ってるなんてラッキー…スー… んん⁈ さ:洗剤の良い香り… さくらが、僕の体育着(下)の匂いを嗅いでいた。 さ:○○…○○…○○… 美:えいっ! 遥:あっ、○○!
2022-03-24 19:53:2331 ○:うわぁ! 美月が僕の背中を押した拍子に、そのままドアが開いてしまった。 こんな時だけ、物理的に接触してくるなんて… さ:はっ…○○⁈ ○:あー…えっと… さ:覗き…?
2022-03-24 19:53:2332 ○:ち、違うよ!体育着のハーフパンツをここに置いてきちゃったみたいで…取りに来たんだけど… さ:あっ… ○:さくらこそ、何してたの…?もしかして、今手にしてるのは… 指摘すると、彼女の顔はみるみるうちに赤くなる。 ○:匂い…嗅いでなかった…?
2022-03-24 19:53:2433 さ:ち、違うもん!教室に落ちていたから、○○のところに届けようとしただけだもん! ○:そ、そっか… さ:もう、バカー! と、僕の体育着(下)を放り投げ、教室から走り去ってしまった。 どうして、僕の体育着の匂いなんか…
2022-03-24 19:53:2434 ○:結局、僕が鍵を閉めなきゃいけないのかよ… 授業に間に合う訳がなく、しっかり遅れました。
2022-03-24 19:53:2535 ○:痛てて… グラウンドで足首を捻ってしまったので、授業後に保健室へ。 湿布を貼ってもらっていると… さ:大丈夫⁈怪我したって聞いたけど… 慌てた様子でさくらが入って来た。 ○:うん、少し捻っただけ。
2022-03-24 19:53:2536 だから、そんなに深刻な顔をしなくても良いんだよ。 優しいなぁ…さくらは。 さ:そう…それなら、良いの… 先:先生はこれから会議があるから、次の授業に遅れないよう保健室を出てね? ○:はい。ありがとうございます。
2022-03-24 19:53:2537 さくらと2人きりの空間が生まれる。 美:○○…チャンスだよ! 遥:ダメだって。物事には順序があるの! 美:今襲わないでいつ襲うの? 遥:うーん… 遥香、悩むところじゃないぞ!
2022-03-24 19:53:2638 遥:確かに、体育着だから制服よりも動きやすいし脱ぎやすいか… え…? 遥:良しっ!○○、今しかない! ちょっと、遥香⁈ さ:○○…歩ける?肩貸そうか? ○:良いよ、恥ずかしいし…
2022-03-24 19:53:2639 さ:私、隣にいると恥ずかしい? ○:違う…そう言う意味じゃない。 本当に恥ずかしかったら、朝から2人で登校なんてしないさ。 さくらは、自慢の幼馴染だ。 痛みを堪えて立ち上がったけど、よろけてしまってさくらに手を付いてしまう。
2022-03-24 19:53:2640 さ:きゃっ… そのまま彼女をベッドに倒してしまった。 ○:ご、ごめん!すぐに… パッと腕を掴まれる。 さ:今…2人きり…だね… 彼女の視線は、何となく僕の唇辺りを注視している気がする。 互いの吐息が頬をかする。
2022-03-24 19:53:2741 美:きゃっ、○○が… 美月…まだいたのかよ… 遥:2人の邪魔はしちゃダメだよ!早く出て行こう? 美:でも…これからあんなことやそんなことをするかも… 遥:ゴクリ…それは、見るしかないか。 遥香まで…
2022-03-24 19:53:2742 もし、僕とさくらをそう言う雰囲気にしたいのなら、出て行ってくれ… さ:なんか…誰かに見られてる気がする… ○:学校だし…いつ誰が来るか分からないから、そんな気がしちゃうよな… そうだ…ここは学校だ。 不純なことをする場ではない。
2022-03-24 19:53:2843 冷静になった僕は、さくらから離れた。 さ:あと、ちょっとだったのに… ○:ん? さ:ううん、何でもない!授業に遅れちゃう。行こ?
2022-03-24 19:53:2944 美:はぁ…○○の意気地無し… 遥:まぁまぁ…○○は偉いよ。あの場で誘惑に負けなかった。 どの口が言ってるんだ… 美月に加勢して楽しもうとしていた気がするんだが…?
2022-03-24 19:53:3045 片足を引きずりながら歩く帰り道。 隣には、さくらがいる。 さ:そう言えば、クラスの子が○○のことを”カッコ良い”って褒めてた。 ○:僕を? さ:休憩中に、男子の授業を見てたんだよね。
2022-03-24 19:53:3146 ○:なるほどね… さ:鼻の下伸びてる… ○:だって、褒められて嬉しくない訳ないじゃん。 さ:ふーん…私が褒めても嬉しそうにしないのに… ○:待て。そもそも、さくらから褒められた記憶が無いんだけど?
2022-03-24 19:53:3247 さ:それは…確かに。恥ずかしいんだもん…絶対、顔が赤くな… ○:着いた。 さ:へ? ○僕の家に着いた。 さ:あっ…うん… 遥:○○…さくらちゃんは、もっとお喋りしたいみたいだけど?
2022-03-24 19:53:3348 さ:私! ○:良かっ… さ○:あっ… ○:何? さ:そっちこそ…何…? ○:えっと…僕の家…上がっていく?
2022-03-24 19:53:3449 遥:良く言った! ○:…って、急に何を言ってるんだろうね、僕は… さ:上がっていく! ○:じゃ、じゃあ…どうぞ…? 久しぶりに幼馴染を家へと招き入れた。 ○僕の部屋、覚えてる?飲み物持って行くから先行ってて。
2022-03-24 19:53:35