twitter.com/i/events/15881… “君を見てると…ドキドキしてくるの!” #遠藤さくら #妄ツイ
2022-11-05 23:06:171 席替えをした。 私の左隣には、クラス1…いや、学年1冴えないと言っても過言ではない○○君が。 彼は、暗い。 彼は、地味。 彼は、淡白。 彼は、ロボットみたい。
2022-11-05 22:50:192 そんな隣の彼に興味を持ったのは、席替えをしてすぐのことだった。 厳しいかつ面倒臭いことで有名な教師の国語の授業。 波線部の主人公の感情について説明しなければイケない問題。 抜き出すところを誤った私は、執拗にネチネチと追求を受けていた。 今日は、遠藤が捕まったか… そんな空気。
2022-11-05 22:50:203 “それで?その根拠は?” さ:えっと… “ほら…お前のせいで、授業が止まってるぞ?” もう、分からないよ… 皆の前で立たされて、こんな公開処刑みたいな… 間違えた私がイケないけど、とにかく恥ずかしくて、とても頭が回るような状態じゃなかった。
2022-11-05 22:50:204 ○:先程から述べているのは、あなたの感想ですよね? 静まり返った教室で、隣の彼が口を開いた。 ○:先生は、ご自身の感想を押し付けています。これじゃあ、いつまでも答えに辿り着けない。意味の無い問答です。 “今は、遠藤と…”
2022-11-05 22:50:215 ○:今のあなたは、どうも苛立っている。執拗に彼女を責めることは、感情に任せているとしか思えません。 “何…?” ○:感情任せに遠藤さんの答えを否定し、高圧的な態度で彼女の発言に封をしている。あなたの感想って、この問題の答えなんですか? “そ、それは…” ○:答えなんですか?
2022-11-05 22:50:216 “答え…ではないな” ○:じゃあ、ペラペラと嘘を吐くの、やめてもらっても良いですか?テストで皆が間違えたら、どうするおつもりで? “す、すまなかった…遠藤、もう座って良いぞ…” さ:●●君…ありがと… ○:… え…無視⁈
2022-11-05 22:50:228 僕は歳を重ねるごとに、自分の心の中にあらゆる感情が欠落しているのだと自覚していた。 感情的に物事を捉えられない。 産まれてすぐに捨て子になった僕は、孤児院に引き取られ、その後、新しく育ての親が見つかった。 しかし、その両親は共働きで、家を空けることがほとんど。
2022-11-05 22:50:229 お手伝いさんが1人いたけど、凄く冷たい人だった。 会話をすることは、あまりなかった。 僕に接してくる人も、家の中も、非常に無機質。 きっと、僕に可愛げが無かったから… 親も育てる楽しみと言うか…こう…育て甲斐がなかったのだと思う。
2022-11-05 22:50:2310 本を読んだり、勉強に取り組んだり。 友達のいない僕には、それぐらいしかやることがなかった。 嬉しい、悲しい、楽しい、つまらない、好き、嫌い…
2022-11-05 22:50:2311 知識として、そう言った感情が存在することは把握していたが、具体的にどのようなモノなのか、およそ”家族”と呼べる人達からそれらを学ぶことはないまま高校生になった。 友達も出来ず、クラスから浮いてしまっているけれど、大して気にするようなことじゃない。
2022-11-05 22:50:2412 だけど… いつからか、こんな僕にも1人だけ構ってくる子がいる。 さ:ねぇねぇ!お話シよ? ○:面倒臭い… さ:えぇ…何でぇ…いっつもお勉強してるよね? ○:うん。 さ:楽しい? ○:別に。 さ:楽しくもないのに、やってるんだ?
2022-11-05 22:50:2413 ○:ごめん…僕、楽しいとか好きとか…そう言うのが分からない… さ:え…何それ…あぁ…感情を忘れた…的な?ロボットみたいな? ○:そう…かもね。 さ:…私、勉強好きじゃない… ○:ふーん…どうして? さ:だって…将来、役に立ちそうにないから… ○:確かにね。
2022-11-05 22:50:2414 さ:へぇ…そこは、あっさり認めるんだ… ○:… さ:私、遠藤さくらって言います! ○:うん、知ってる。隣人の名前だ、把握してるよ。 さ:おぉ…良かった良かった。さくらって呼んでね! ○:遠藤さ… さ:さくらって呼んでね! ○:えん… さ:さくらって呼んでね! ボットみたいになった…
2022-11-05 22:50:2515 ○:さくらさん… さ:ふふ…私も○○君って呼ぶね! ○:はぁ… さ:で…さっきの話に戻るけど、どうして皆、勉強するんだろうね?やっぱり、将来の為…? ○:そんなところじゃない?高卒と大卒とでは、生涯年収に5000万以上の開きがあるって聞いたことがあるし。 さ:そんなに⁈
2022-11-05 23:02:3616 ○:まだまだ、学歴社会だからね。名の知れた大学に入ることは、自分の努力量を相手に教える、ある種の名刺代わりみたいなものだよ。 さ:うわぁ…将来のこと、考えたくないよぉ…でも、○○君の奥さんになれば、将来安泰だ? ○:はぁ⁈ さ:驚きすぎ… いや、学校1番の美女が変なことを…
2022-11-05 22:50:2617 ○:どうして… さ:んー?気になる…から? ○:ビカム…ア…ツリー…? さ:木に…なる…あっ、違う違う違う!そう言う意味じゃない!何言ってるの! ○:英単語の意味は、理解出来るんだね。 さ:私、どんだけバカだと思われてるの⁈ ○:冗談だよ。
2022-11-05 22:50:2618 さ:まさか、○○君が冗談を言うような人だとは思わなかったよ。 ○:ギャップ…?ってやつを狙ったんだ。 さ:本気で言ってる? ○:もちろん、冗談だよ。 さ:ふふ…そっか…面白いね、○○君。ますます気になってきた! ○:木をスクスクと成長させるには… さ:もう、その話はお終いにして!
2022-11-05 22:50:2619 僕のことが気になると言って、遠ど…さくらさんは、頻繁に声を掛けてくる。 さ:また勉強してる…数学…楽しい? ○:楽しくはない。 さ:そうだった…好きとか、楽しいとか…そう言うのが無いんだっけ…でもさぁ、数学って意味無いよね?何かの役に立つ?算数だけで良くない?
2022-11-05 22:50:2720 あっ…この人… 中学まで数学は苦手じゃなかったのに、高校生の数学を前にして、文系に逃げたタイプの人だ…多分。 ○:算数は、日常生活で使うけど、数学は…仮に得意だっとしても、数字に強い人生を送れるだけだろうね。例えば、公認会計士とか。 さ:こーにん…かいけーし…?
2022-11-05 22:50:2721 ○:限られた職業の人しか使わないってこと。 さ:だったら、どうして数学なんか… ○:数学は、日常生活を離れた数そのものの本質を探る、文字通り学問なんだ。けど、日常を離れても身近に転がってる。例えば… さ:例えば…? ○:さくらさんの名前である桜。花びらは、何枚か知ってる?
2022-11-05 22:50:2822 さ:んっと…5枚…? ○:正解。じゃあ…ユリは? さ:えぇ…分からない… ○:3枚。ちなみに、コスモスは8枚で、キク科の植物は13枚。 さらに、21枚、34枚と増えていく。 さ:へぇ…物知りなんだね? ○:ちなみに、これはフィボナッチ数列って言う数字の規則なんだ。
2022-11-05 22:50:2823 さ:君ボッチ…? ○:フィボナッチ! ナチュラルに煽ってきてるな。 ○:自然界には、1,1,2,3,5,8,13…と言う風に続いていく数列があるんだ。 紙に書いて説明していく。 さ:だから、私に問題を… ○:最初の1と1を足せば次の2に。1と2を足せば次の3に。2と3を足せば次の5に…
2022-11-05 22:50:2924 さ:8…13…21…えっと…34…へぇ…面白いね? ○:つまり、身の回りに数学は隠れてるってこと。興味深いでしょ?他にも、その数列の中には黄金比ってやつがあって… さ:なんか、聞いたことがある! ○:綺麗なものは、1:1.618の比率で決まってる。エジプトのピラミッドが良い例。 さ:おぉ…
2022-11-05 22:50:3025 ○:さくらさんの顔が整っているのは、そう言うことなんだね…納得納得。 さ:や…何…急に…全然そんなことないし… と、モジモジし始める。 ○:僕は、綺麗だと思うけど… さ:は?ちょ…急には…ナシで…お願いします… ○:…? さ:もぉ…バカ… ポコポコと肩を叩かれる。
2022-11-05 22:50:3026 ○:つまり…美しい造形、花などの綺麗なものには、数学が関係してるってこと。 さ:ぁぁ…うぅ…私…別に綺麗なんかじゃ… 顔が赤い…? ○:熱があるなら、保健室に… さ:違う違う!ぜーんぶ○○君のせい! なんか、怒ってるし… さ:うん…そっか…少しだけ…興味湧いてきたかも。
2022-11-05 22:51:3727 ○:これを機に、是非とも勉強に対して… さ:興味が湧いてきたのは…勉強じゃなくて…って、うわぁぁぁ!やっぱり言えなーい! 意味もなく、パシパシと叩かれる。 さっきから1人で赤面したり、独り言を呟いたり、忙しい人だな。 さ:でも…勉強教えて欲しい…○○君になら、教わりたい…
2022-11-05 22:51:3828 ○:良いよ。 さ:良いの⁈ ○:うん。 さ:それって…それってそれって…! ○:他人に教えることで、自分の中での習熟度が上がるからね。 さ:あぁ…そう言う… ○:…? なぜか、残念そうな顔をしている彼女。 ○:まぁ、休み時間なら…いつでも声を掛けてよ。 さ:分かった!
2022-11-05 22:51:3830 翌日。 お隣さんが、椅子を引いてきて僕の机の傍に座った。 さ:勉強教えて下さい… どうやら、本当に勉強に興味を持ち始めたようだ。 しかし、程なくすると集中力が切れてきたようで…
2022-11-05 22:51:3931 さ:○○君はさ、好きな人…いないの? ○:どうしてそんなことを…?勉強に関係が… さ:良いから教えてよ! ○:うん… さ:…うん? ○:好きって…何?その感情の概念と言うか…まずは定義を…だな… さ:あー…そうだった…聞いた私がバカだった…
2022-11-05 22:51:4032 ○:好きって…何…? さ:それは…うーん…ずっと一緒にいたい…とか。その人を独り占めしたくなる気持ち! ○:それって…さくらさんの感想であり、個人差がありますよね? さ:いや…一般的な話だから! ○:一般的…?では、データやグラフなど、何か根拠となる物を用いて…
2022-11-05 22:51:4033 さ:面倒くさーい!何…本当に何なの? ○:もう少し、具体的な説明がないと… さ:だーかーら!ハグとか…キスとか!シたくなるの! ○:それって、さくらさんの… さ:感想…じゃなくて、願望… ○:やっぱり…? みるみるうちに顔が真っ赤に。
2022-11-05 22:51:4034 さ:…って、ちっがーう!これは、一般的…じゃなくて、そうです!はいはい、私の願望ですぅ! 認めたうえに、拗ねてるし… ○:欲求不満なんだね。 さ:なっ… この人、色々な表情を持っているんだなぁ… 僕とは、 大違いだ。 さ:それでいつかは…え…えっ…エッ…ダメだ…言えない…!
2022-11-05 22:51:4135 ○:…? さ:高校生だと…まだ早いのかな…でも…○○君は、どう思う? ○:何の話? さ:はっ…私ったら…ほ、保健体育の話! さくらさんって… 面白いな… ○:つまり… さ:わーわー!言わないで!口に出しちゃ… ○:接近欲求ってことだ? さ:は…?
2022-11-05 22:51:4136 ○:対象に近づけば近付くほど、充実感に満たされるって言う… さ:せっきんよっきゅー…?1周まわって響きがエロい…けど、もうそれで良いよ…好きってのは、接近欲求のことですぅ…ふんっ! ○:ちなみに、回避欲求と言うのもあって… さ:もぉ!聞きたくなーい!
2022-11-05 22:51:4237 ○:なるほど…好きと言うのは、その相反する2つの欲求の板挟みなのか。 さ:なんか1人で納得してる… ○:近付きたいけど、嫌われたらどうしよう…とマイナスの感情が顔を出す…なるほどなぁ… さ:○○君なりに好きの概念…?が分かったのなら、良かったよ…
2022-11-05 22:51:4238 ○:まぁ、僕にそう言う感情を引き起こす相手はいないけど。 さ:え…じゃあ、やり取りをしていた今の時間は…最初からいないって言え! プンスカと腹を立てているさくらさん。 プクッと頬を膨らませたその顔が… 可愛い… その後も、さくらさんに勉強を教える日々が続いた。
2022-11-05 22:51:4339 僕が教えたことを、一所懸命にこなす。 小テストの点数が伸びていくたび、嬉々として報告してくる。 まぁ、僕よりは低いけど。 それでも、喜んでいる彼女を見て、僕の心臓はドキドキと早くなることが増えた。 どうして…
2022-11-05 22:51:4340 その現象に、戸惑う日々。 そんなある日。 いつも通り、放課後の教室で勉強を教えていると… 彼女の集中力が、切れた。 さ:私がさ…○○君を好きって言ったら…迷惑? ○:まさか。そんなことはないけど? さ:本当⁈じゃあ…付き合ってよ! ○:付き合う…?どうして?
2022-11-05 22:51:4341 さ:どうしてって…好きだから? ○:好きだから付き合う…と言うのは、合理的な理由じゃないね。 さ:ほぇ…? ○:だって、好きじゃなくても付き合うことだってある。 さ:ある…かなぁ…? ○:経済的な利害の一致とか。 さ:重っ…確かに…お金の為に…ってのはあるかも知れないけど…
2022-11-05 22:51:4442 ○:けど…? さ:別に、私はそんなんじゃなくて… ○:だったら、僕と付き合うメリットが無いように思う。 さ:メリットとか、そう言うことじゃないじゃん!好きだから、独り占めしたいの!隣にいたいの! ○:付き合わなくても、こうして勉強は教えられるし、お喋りだって出来る。
2022-11-05 22:51:4443 さ:損得感情の話じゃなくて… ○:違う…?だったら…支配欲…? さ:独占欲って言って! ○:あとは…支援欲求とか? さ:あぁ…もぉ…!もっと単純に考えよ…ね? ○:僕を好きになった理由を論理的に説明してもらっても良い…? さ:そんなの分からないよ!好きになったから好きなの!
2022-11-05 22:51:4544 ○:やっぱり…僕には分からないや。 さ:え… ○:さくらさんが、僕を好きだと言う事実は把握した。でも、僕の中に…さくらさんの言う好き…ってのが、存在してるのか…分からない…
2022-11-05 22:51:4545 さ:あっそう…分かった…よーく分かった!そうやって難しいことばっかり言って…好きじゃないなら…付き合えないなら、正直にそう言ってよ! 鞄に教科書を乱暴に詰め込むと、彼女は走って教室を出て行った。 さくらさんのあんな表情… 初めて見た。 涙していた… 悲しいから…なのかな…
2022-11-05 22:51:4646 けど、悲しいと言うことも、僕には分からなくて… それから何日もの間、さくらさんが声を掛けてくることなかった。 … … …
2022-11-05 22:51:4647 口を利かなくなった次の日以降も、やたらと左隣の彼のことが気になって仕方ない。 “…ら?” ずっと、○○君のことを考えている。 “さ…ら” そんな彼はと言えば、いつも通り無表情で、淡々と教科書の問題を解いている。 私のことなんて、見ようともしない。 やっぱり… “さくら!” 私のこと
2022-11-05 22:51:4748 さ:っ…ごめんかっきー…ボッーとしてた… 遥:ははーん…分かる…私には分かるよ。 さ:何が? 遥:ズバリ、恋の悩みでしょ? さ:そんなんじゃないし… 遥:えぇ…あっ…●●君が女の子と歩いている… さ:嘘っ⁈ 遥:食い付き早っ… さ:…って…あれ?○○君は? 遥:いや、嘘だけど…
2022-11-05 22:51:4749 さ:かっきー…? 遥:まぁまぁ…でも、今ので●●君のことが好きなんだって、分かっちゃった。 さ:ぅぅ…違うもん… 遥:違くない。どうして、最近は話し掛けないの?2人がお喋りしてるとこ、全然見ないけど? さ:そ、それは… 遥:ちょっかい掛けてたのに…何かあった?
2022-11-05 22:51:48