2 ただ1点を除いては…。 ?1「今日も気合い入れていくぞ。」 ?2「はい!総長!」 ?3「おい、見てんじゃねーぞ、コラ。」 ?4「おい新入り。なめられるような真似すんじゃねぇぞ。」 ?5「うっす。」
2023-07-26 17:01:543 この学校には泣く子も黙る5人組のヤンキー集団がある。その名も「千葉魂」。黒の特攻服に身を包んだ5人に道を空けるのは当たり前。絶対的な存在である5人を皆恐れている。 ただそんな5人にも秘密というものがあるのだ。 これはそんな5人といたって普通な1人の男の物語である。
2023-07-26 17:02:134 友達「なぁ、〇〇。彩ちゃんが妹って噂はホントなのか?」 〇〇「うん。そうだけど。」 友達「未だに信じられないんだけどな。」 〇〇「そうか?」 友達「お前にはヤンキーのヤの字もないからな。」 〇〇「まあな。」 そんな話をしていると教室のドアが開く。
2023-07-26 17:02:265 ??「おい!」 次の瞬間、教室内は一気にピリつく。 ??「〇〇いるか?」 〇〇「ん?」 〇〇が扉まで行くと…。 〇〇「どうした?彩?」 彩「彩とか気安く呼んでんじゃねーよ。あ、これ、母さんから。」 〇〇「あー、忘れてた。ありがとう。」
2023-07-26 17:02:386 彩「ったく、めんどくさ。」 〇〇「はいはい、ごめんね。」 小川彩。〇〇の妹にして、千葉魂の総長だ。どうやら春の卒業式で、地元では負け知らずの先輩から総長を引き継いだとのこと。他の4人より学年は1つ下だが、持ち前の責任感で総長に指名されたらしい。
2023-07-26 17:02:587 〇〇「じゃあ授業頑張れよ。」 彩「ふん!あんな授業聞いても聞かなくても一緒だろ。」 〇〇「(とか言ってちゃんと真面目に受けるくせに。)」 彩「な、何だよ?」 〇〇「ほら、そろそろホームルームだぞ。」 彩「あ!じゃ、じゃあな。」 と、こんな具合で学校では反抗期な妹である。
2023-07-26 17:03:168 家に帰り宿題を進めていると、僕の部屋に足音が近づいてくる。 〇〇「彩、おかえり〜。」 廊下にも聞こえるように声をかけると…。 彩「お兄ちゃん、ただいまー!!」ギュッ 〇〇「はい、おかえり。」 彩「お兄ちゃん何してるの?」 〇〇「ん?宿題だよ。」
2023-07-26 17:03:299 彩「ねぇ、彩と遊ぼうよー!」 〇〇「お兄ちゃんは受験生なの。」 彩「ぶぅ…。ケチ…。」 〇〇「千葉魂のみんなと遊んだら?」 彩「今日は集会の日じゃないもん。」 〇〇「そっか。」 彩「ていうかごめんね?今日も冷たい態度取っちゃって。」
2023-07-26 17:03:3910 〇〇「別にいいよ。」 彩「ね、ねぇ、怒ってる…?彩のこと嫌いになった?」 〇〇「嫌いになんてならないよ。たった1人の妹だぞ?」 彩「んー!お兄ちゃんー!!」 千葉魂を束ねる総長は、家に帰れば超絶ブラコンなのである。
2023-07-26 17:03:5211 彩は全校生徒がイメージしているほど反抗的な子ではない。両親とも仲良くしている。 そんな彩が千葉魂に入ったのは、前の総長に憧れたのがきっかけだった。喧嘩などもちろんしたことがない彩は、ほぼ熱意だけで入れてもらえたのだという。
2023-07-26 17:04:0612 時には慣れない喧嘩に負けて泣いて帰ってくることもあった。 彩「うぅ…。😢」 〇〇「彩!?大丈夫?」 彩「いたぁい…。😢」 〇〇「そっか。今度からはお兄ちゃんが守って…。」 彩「ダメ!」 〇〇「え?」
2023-07-26 17:04:1613 彩「ダメなの。」 〇〇「何がダメなの?」 彩「私は強くなるの。総長からも言われてる。喧嘩は弱くても心の強い女になれって。」 〇〇「彩…。」 彩「お兄ちゃんには迷惑かけないから。ね?」 〇〇「そっか。」 彩の熱い思いに負けて、僕はそっと見守ることにした。
2023-07-26 17:04:3014 でもたまに可愛らしい妹の一面もあって…。 彩「お兄ちゃん…。」 〇〇「ん?」 夜遅くにパジャマ姿で入ってきた彩。 彩「い、一緒に寝てもいい?」 〇〇「うん。おいで。何かあったの?」 彩「さっき怖い人たちに襲われる夢見たの。」 〇〇「そっか。怖かったな。」
2023-07-26 17:04:4215 彩「彩、まだ弱いままなのかな?」 〇〇「別に弱くてもいいんだよ。自分のことを弱いって分かる人ほど強いから。」 彩「そうなの?」 〇〇「うん。自分のことをちゃんと理解して少しずつ成長していけばいいんだよ。」 彩「ありがとう、お兄ちゃん。」
2023-07-26 17:04:5616 〇〇「でも総長がお兄ちゃんと一緒に寝てるってバレたらどうする?」 彩「え、それは…。」 〇〇「言っちゃおうかな。」 彩「むぅ…。いじわる…。」 〇〇「フフ。冗談。2人だけの秘密な?」 彩「絶対だよ?」 〇〇「うん。じゃあおやすみ。」 彩「おやすみ。大好きだよ、お兄ちゃん。」
2023-07-26 17:05:0917 翌朝。いつものように特攻服を身に纏う彩。 〇〇「彩、先行ってるからな。」 彩「うん。ねぇ、今日もカッコいい?」 〇〇「うん。カッコいいよ。」 彩「ありがとう。」 〇〇「でも喧嘩とか無理だけはするなよ?」 彩「うん。」
2023-07-26 17:05:2018 学校に着くといつものように千葉魂に道を空ける生徒たち。 友達「彩ちゃんだ。今日も怖いな。」 彩「あ?」 友達「ご、ごめんなさい!」 彩「見てんじゃねーよ。」 友達「〇〇…。お前、家で大丈夫なのかよ?」 〇〇「別に大丈夫だけどな。」
2023-07-26 17:05:3019 〇〇「(彩らしくないんだけどな。)」 彩「(お兄ちゃんのお友達さん、ごめんなさい!)」 今日も2人で秘密を守りながら、兄妹の1日は始まったのだった。 つづく…。
2023-07-26 17:05:37