みんなでケーキを作ったお話
#青薔薇アンティークの小公女 メリークリスマス!ってことで青薔薇骨董店でケーキを作ったらってお話なんですが。 クレアさんという玄人がいるので彼女がお休みだった日のことです。 もちろん彼女はお休みの前日にしっかりご飯を用意してくれてるんですけど、ローザが食堂に行くとゴソゴソする何かが
2023-12-25 10:32:44緊張しながら覗くと、正体はセオドアだった。彼の目の前にはでーんと小麦粉がある。 「あの……なにをされていらっしゃるのですか?」 「………腹が減ってな。明日も朝が早いし、今何かつまめるものか作れないかと思ったんだが………」 小麦粉を取り出したはいいもののどうにもできなかったのだという
2023-12-25 10:35:59「あれ、お腹空いたなぁと思ったら君たちも?」 そこに、食いしん坊その二のアルヴィンまで来た。彼の指摘通り、ローザも小腹が空いたために何かないかと降りてきたのである。 しかしローザもあまりおやつには詳しくない。うんうん頭を悩ませてひとつ母から習ったお菓子を思い出す。
2023-12-25 10:39:02小麦粉はある、バターと卵も幸い見つかった。レーズンもちょっとだけ拝借。あとは砂糖とベーキングパウダー。 セオドアはオーブンへ火を入れ係。アルヴィンはバターと砂糖を練り上げてもらう。 「結構力がいるね」 「どれ」 セオドアと交代で分離しないよう溶き卵を入れきったら粉類レーズンを混ぜこむ
2023-12-25 10:43:02あとは油を塗った天板に、スプーンで落としていくだけだ。 焼き上がったものに、セオドアとアルヴィンは興味津々。 「なんというか……」 「岩みたいなお菓子だね」 気を使ったセオドアをぶち壊すアルヴィンである。 ローザは笑った。 「まさにこれはロックケーキと言うんですよ」
2023-12-25 10:45:18「簡単で料理が終わった後でもできるお菓子なんです」 スコーンよりも楽でクッキーよりもふかふか優しい食感だ。甘さも控えめで腹持ちも良い。 いつの間にかアルヴィンが淹れたお茶で、台所は夜のお茶会会場に早変わり。 「これは助かるな……」 「まだまだ焼きあがりますよ」 いつもと違う日常だった
2023-12-25 10:48:27翌朝セオドアと会った人は、彼が大男らしからぬ可愛らしい包みからもくもくとロックケーキをかじる姿が見られたし、クレアさんは小麦粉とレーズンとバターが減っているのを見て首を傾げる。 「なんだか僕達が妖精盗みをしたみたいだね」 ローザにはアルヴィンがいたずらが成功した子供みたいに見えた。
2023-12-25 10:51:32