して少年ウツシに迫られる話
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\\✋🅿️🤚// @aSh1ra94O0

大社跡での探索中流れ矢に爆ぜた閃光羽虫に目が眩んで昏睡した白藍。 どれほど過ぎたか、目を覚ますと意識を失う前と装備も場所も変わりないはずが呼べど探せどオトモはおらず。 違和感を抱きつつ警戒しながらキャンプに戻れば己の設営したはずの一式は無く、がらんと空いた場所に古い焚火の痕跡だけ。

2021-05-19 14:55:19
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拭えぬ不安に焦る心を鎮めてまた大社跡へ戻り、もう一度時間をかけてオトモと己の痕跡を探す。 注意深くみれば確かにひとの痕跡は見られるがどうにも直近の記憶とは合致しない。 いよいよおかしい。 困惑のあまり意識が疎かになったか、忍び寄るイズチにすら気付けなかった。

2021-05-19 14:55:19
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飛びかかられ負ってしまった小傷は、常ならば気にも留めないほどに浅いものだった。が、微かに痛むその傷が現状をより確かなものとして思い知らさせる。 気もそぞろに放つ矢は外れるばかりでイズチ1匹狩るだけで随分と疲弊させられた。 ……これではいけない、一度里に戻ろう。

2021-05-19 14:55:19
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(万が一オトモがまだ何処かにいるのなら、彼らを残していってしまうことになるが……) 滲む罪悪感に背を刺されながらも山道を下り、里への帰路を記憶の通りになぞった。 (もしかしたら先に帰還しているかもしれない) 無理矢理に思考を切り替えて駆け、跳び、やがて里についた頃には陽は落ちていた。

2021-05-19 14:55:20
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夜を迎えた往来は静かに眠りについている。 珍しくたたら場の扉は閉められ、火も焼べられていないようだ。 そのせいか夜風がいやに冷たく感じるなか、朧げな月明かりのもと早足で家路を辿る。 「お前、侵入者か」 幼さの残る声が鋭く問うてきたかと思えば、後ろ手に武器を構えた少年が影から現れた。

2021-05-19 14:55:20
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カムラの里に暮らす者ならば最早知らぬ筈がないだろう、里出の狩人を侵入者と指した少年に白藍も警戒の姿勢を取る。 此処ではみなが家族のように強い結束のもと暮らしており、互いを深く知っているのだ。他ならぬ白藍も里の民を見誤るはずがなく、それ故に面識の無い少年を不審に思うのも当然だった。

2021-05-19 14:55:20
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緊迫した静寂のなか対峙する二人。 「貴方こそ、」 暫しの睨み合いの後、問いを返さんとした白藍の言葉を遮るようにガラリと開かれた戸。 「この夜分に何の騒ぎか」 白藍の宅であるはずのそこから現れたのは赤子を抱いた大柄の男。白髪混じりの髪を結い、隆々とした逞しい体格のその人は 「里、長?」

2021-05-19 14:55:21
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呟きを拾った男の視線が白藍を貫き、その瞳の力強さに確信した。己の知る姿よりも随分と歳若いが、彼は里長フゲンその人だ。 「ふむ……なかなかよく鍛え上げられているな。 お主、狩人だろう?」 「え、ええ……」 「事情がありそうだが、もう夜も遅い。詳しい話は明日にするとしよう」

2021-05-19 14:55:21
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若き里長に家に上がるよう招かれるが、傍らに控えていた少年が異論を唱えた。 声の主を一瞥して溜息を吐いた里長が少年に歩み寄ると、バシリとその背を叩いた。 「ぁいたッ!」 「オマエもこんな時間に出歩いているんじゃない。 大方また里を抜け出して雷狼竜の観察にでも出ていたんだろう」

2021-05-19 14:55:21
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うぐ、と図星を突かれたらしい少年が言葉を詰まらせる。 「狩りの基本は食事と睡眠。カムラの男児たる者基本を疎かにしてはならん」 「はい…すみません」 しゅんと萎れた様子の少年が里長に頭を下げ、一言告げてから翔蟲を繰り屋根の向こうへと飛び去っていった。

2021-05-19 14:55:22
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「まったく、ウツシにも困ったものだ」 「は、……?」 やれやれと溢しながら戸をくぐって行った里長が口にした名は己が師である教官の……、まさか。 つい先ほどまでそこにいた少年の姿を思い返す。纏っていた装備は白藍も見習い時代に身につけていた軽装によく似ていた。

2021-05-19 14:55:22
\\✋🅿️🤚// @aSh1ra94O0

白藍の胸下ほどの背丈は確かに鍛えられた様子はあったがやはり幼さが勝っていたように思う 「どうした、入らないのか? 捕って食ったりなぞしないから、上がりなさい」 戸口で呆けていた白藍を見兼ねてか声が掛かる。時分を気遣ってか控えめに喉を鳴らして笑う里長に従い、ひと呼吸おいて敷居を跨いだ

2021-05-19 14:55:22
\\✋🅿️🤚// @aSh1ra94O0

パラレルワクワクファンタジー大好きなので軽率に時間逆行してほしい話なんだけど、「好きなあの人の初恋を奪ったのは実は未来(過去)の自分だった」ていうタイムパラドックス可愛い話したかったのに前フリ長くて飽きちゃった🤭 赤子時代に里預りになったので里長パパに育てられてる

2021-05-19 14:55:23
\\✋🅿️🤚// @aSh1ra94O0

この後暫く里に滞在することになった白藍が、教官に教わった狩りのイロハをそのまま幼いウツシ少年に教えて逆転師弟として親交を深めていくとか。 「白藍」の名付け親も里長なんだけど、この時点でまだ名付けも済んでないとかだったら未来の白藍から名を貰って決めたりとか。

2021-05-19 14:55:23
\\✋🅿️🤚// @aSh1ra94O0

「どうして白藍は俺の事を教官て呼ぶんだ?」 「呼んで、ましたか」 うっかり白藍が少年に教官教官言ってしまって、貴方は後々とても立派な教官になる…でしょうから。て苦しい誤魔化しをしたり 「師匠」と少年に呼ばれて解釈違いで蹲ったりする

2021-05-19 14:55:24
\\✋🅿️🤚// @aSh1ra94O0

「俺の名前……知ってるよね?」 「勿論」 「教官じゃないし、"貴方"でも"キミ"でもないんだけど」 「ええと、そうですね」 「じゃあ呼んでよ、ちゃんと」 ショタに迫られるおにいさん……呼んでくれなきゃ師匠って呼ぶよ!!と脅されて名前を呼ぶようになる…

2021-05-19 14:55:24