自分用
0
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

@sousakuTL 春の穏やかな日差し、舞い散る桜。 今日は入学式である。 新しく後輩ができるという日に、寝坊をするという失態を犯す。 生徒会役員は入学式の参加が義務付けられている。 集合時間には間に合わないが、式には間に合う。

2015-01-17 00:28:29
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

@sousakuTL 正門まで行っている余裕はない。 俺はこの一年で見つけた秘密の近道を通ることにした。 中庭の塀の部分をよじ登らなければいけないから大変ではあるが… 大丈夫大丈夫。 今のところ失敗はしていない。

2015-01-17 00:44:10
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

@sousakuTL なんて、余裕をかましてよじ登り始めた。 …ほら、大丈夫。 登れた。あとは下りるだけ… こんな所、先生に見られたらまずいので一応周囲を確認してから、ゆっくりと下りる…が。 「…へっ…?」 まさかの。 足を…踏み外した!! 「うわっ…」 やばい!これはまずい!

2015-01-23 22:51:46
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

@sousakuTL 死ぬ! だんだんと近づいてくる地面に頭の中が真っ白になる。 このまま地面に激突して、痛い思いをするのだろう。 いくらなんでも死にはしないだろうが。 寝坊した結果がこれか… 情けない話である。 痛いのは嫌だなぁ。

2015-01-23 22:59:16
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

@sousakuTL そんなことを考えることができるくらい、落ちている時間は長く感じた。 しかし、突如視界に一人の男が入ってきて止まっていた時間が一気に動き出す。 「あっ…あぶなっ…!」 危ない!そこをどけ! 言葉にならないまま、俺はそいつの上に落ちた。 「いってぇー……」

2015-01-23 23:03:49
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

@sousakuTL 「――――大丈夫ですか?」 そいつは痛がっている俺にそう言った。 大丈夫だけれども。 「それはこっちのセリフだって!」 そう言って俺は顔をあげた。 「っ…!?」 ニコリと微笑んだその顔を見て、言葉を失う。 「大丈夫そうで何よりです。」

2015-01-23 23:07:28
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

@sousakuTL 呆然とする俺を立たせて、そいつはペコリと頭を下げた。 「それじゃあ俺はこれで。入学式始まっちゃうんで…」 そう言って体育館のある方へと去っていこうとする。 「あんまり無茶しないで下さいね、先輩。」 爽やかにそいつは俺の前から去って行った。

2015-01-23 23:09:38
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

@sousakuTL 今、俺のことを先輩と言った。 ということは新しく入ってきた一年だろう。 そして…俺を助けてくれた。 しかもイケメン…。なんだ、今の。王子様か? 「…はっ!しまった!入学式!」 忘れかけていたが、在校生の代表の一人として出席しなければいけないんだった。

2015-01-23 23:12:11
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

@sousakuTL 慌てて体育館へと向かう。 廊下を走っている時、自分の胸が妙に高鳴っているのが感じられた。 …あれ?何だ、これ。 いやいや。まさか…まさかな…。 俺に限ってそんなはずが…あるわけ… 相手男だし! ないない!

2015-01-23 23:14:15
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

@sousakuTL なんて、その時は笑って自分の中で適当に誤魔化していたが… 秋になって。 生徒会も代替わりをして。 人数が足りないので必然的に俺が会長になり、新しく入ってきた一年は… 「川辺雅です。よろしくお願いします。」 「よ…よろしく…」 あの時の王子様だった。

2015-01-23 23:17:08
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

@sousakuTL 気がつけば俺たちはいつも一緒にいた。 学年は違うけれど…。 二年間、ずっと一緒にいた。 依存、と言われればそうなのかもしれない。 でも雅だって何も言わずにいつもニコニコして俺の隣にいた。 その間に俺気がついた。 ありえないと思っていたが、どうやら、俺は……

2015-01-23 23:25:02
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

@sousakuTL よりによって…まさか雅に… 俺って面食いなのか…? 「会長はどこの大学を受験するんですか?推薦ですか?」 「…ん?」 そんな質問に我に返る。 いかん。ボーっとしてた… 「ばっ…やめろ、凪。会長の成績じゃ推薦なんて無理だって」 「おい…聞こえてんぞ…」

2015-01-23 23:30:14
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

@sousakuTL 生意気な後輩どもめ… 失礼だな。全く。 …事実だが。 「生徒会長やってるのに成績は良くないんですね…」 「霧谷…てめぇ…」 それを言うな!それを! 俺だってやりたくてやってるんじゃない! 「けど…本当にどうするつもりなんですか?やばくないですか?」

2015-01-23 23:32:24
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

@sousakuTL やばいのはごもっともだが、秋野に言われたくない。 お前も大概バカだろう。 「うるせぇな…なんとかするよ…なんとか…」 「なんとかなるんですか?」 「うるせぇな!」 何なんだよ、こいつら! 「そういう秋野…お前も来年は受験だろう!?あっという間に三年だぞ!」

2015-01-23 23:34:18
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

@sousakuTL そう言い返すと、ものすごく嫌そうな顔をされた。 「なんとかなりますよ…なんとか…」 俺と同じことを言ってやがる。 「え?棗君は僕と同じ大学に行くよね?」 「何言ってんだ…俺とお前じゃ天地の差のある成績だってのに…俺が行けるわけないだろ…」

2015-01-23 23:36:08
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

@sousakuTL 意外だ。霧谷は秋野と同じ大学に進学したいようだ。 へぇ…他人には関心はないとばかり… 秋野の言葉を聞いて、霧谷はかなり衝撃を受けたような顔をしている。 「じゃ…じゃあ誰が僕の面倒を見てくれるんだい!?」

2015-01-23 23:38:51
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

@sousakuTL 「てめぇ、俺に面倒見てほしいからそんなこと言い出したのか!ふざけんな!俺に介護をさせるな!」 ……。 二人は俺のことを放置してケンカをしだした…。 こいつら…本当に… 「…いいよな。霧谷は推薦で絶対通るだろうし」 なんとなくぼやくと、とたんに静かになった。

2015-01-23 23:40:59
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

@sousakuTL な…なんだ? 「川辺君も推薦だと思いますよ」 「…は?」 なぜいきなり雅が? 「あいつも成績いいしな…。この間、日輪大に推薦でいきたいとか言ってましたよ」 日輪…大… まさかの難関… 白雪学園に在籍する者ならばそのくらいは当然のレベルだろう。 しかし…

2015-01-23 23:43:42
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

@sousakuTL 俺は…落ちこぼれの生徒会長です… 「…え?会長知らなかったんですか?」 「し…知ってるよ!知ってるに決まってるだろう!バカだなぁ。あはははは…」 「ですよね〜」 な、何なんだ。こいつら。 ニヤニヤしやがって… …くそー… 手遅れかもしれないが勉強するぞー…

2015-01-23 23:46:12
お題bot* @0daib0t

嫌いになれないから苦しかった

2016-11-12 20:27:41
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

いっそのこと、出会わなければよかったのに。 「え……お前、彼女いたの」 「まぁ、一応……。中学のときからつきあってて。おかげ様で高校は別になっちゃいましたけど」 目の前が真っ白になった。 ショック。これって失恋? 「そんなことより、帰りましょ。先輩」 でも、無理だ。 twitter.com/0daib0t/status…

2016-11-13 01:37:10
ホタテP@さんきゅー @darkmoon_souji

その笑顔を忘れることなんてできない。 一度抱いてしまった感情を捨てることなんてできない。 ああ、何でこんなやつを好きになってしまったのだろう。 「先輩? どうかしましたか?」 「……何でもない」 嫌いになれたら、楽なんだろう、きっと。

2016-11-13 01:42:56