1 “ねぇ…起きて!ねぇってば!このバカおにぃ!” ○:んぁ…ぉはよ…遥香。 遥:あと15分ぐらいで家を出ないと、遅刻するよ? ○:おぉ…逆に、こんな時間までどうして遥香は家に? 妹の遥香もまた僕と同じ高校に通っているので、遅刻してしまうだろうに。
2022-08-02 22:45:182 遥:にぃにの寝顔を見てたら、気付けばこんな時間に… ○:へぇ…? 遥:…って、バカ!違うし!何、ニヤけてるの…ほんっとキモい… ○:じゃあ、本当の理由は…? 遥:部屋に立ち込める、にぃにのフレグランスを嗅いで…って、何を言わせるの!もう、バカおにぃは置いてくから!
2022-08-02 22:45:184 先ほど家を出て行ったはずの妹は、玄関の外で僕を待っていた。 ○:まだいたのか。 遥:にぃにを待ってた訳じゃないし!勘違いしないでよね! ○:じゃあ、何してたんだよ… 遥:言いません!秘密ですぅ! ○:あぁ、そう…
2022-08-02 22:45:195 遥香はスタスタと歩き出す。 僕と一定の距離を保って。 遥:にぃにと兄妹とか思われたくないし… その割には、時折りチラチラと後ろを振り返ってくるのはなぜだろう… ○:前を向いて歩かないと危ないぞ?
2022-08-02 22:45:226 遥:分かってるよ!ただ、にぃにが… ○:ん?僕が何? 遥:事故に遭わないか心配なだけ… ○:心配してくれてるんだ? 遥:あ…いや…今のは…その… ○:ありがとな。 彼女の横に並ぶと、頭に手を置いて撫でてあげた。
2022-08-02 22:45:237 遥:ぁ…っ…ぁぅ…嬉しくないし… 頬を染めてそんなこと言われてもなぁ… ○:じゃあ、お兄ちゃんは先に行くからな。 走り出して遥香と距離が空く。 遥:おにぃ!待ってよ!折角、一緒に登校したくて待ってたのにぃ…! ついに妹から本音を聞けたので、仕方なくペースを落とすことにする。
2022-08-02 22:45:238 ○:全く…遥香…お前は、本当に可愛いやつだな。 遥:へっ⁈私…可愛い⁈ そうやって間に受けるところとかな。 ○:自慢の可愛い妹だ。 遥:へへ…えぇ?もぅ…えへへ… ニヤけすぎだろ…
2022-08-02 22:45:249 教室に到着して鞄を開くと、中に2人分のお弁当箱が。 そうだった… 遥香は玄関先で僕を待っていた訳だが、先に行ってしまったと勘違いした母親に渡すようにと頼まれていたのだ。 ○:すっかり忘れてた… 登校時に渡しておくんだった… 次の休み時間にでも渡しに行こう。
2022-08-02 22:45:2511 下級生がいる1つ下の階へ足を運ぶと、友達と歩いている妹の姿を見つける。 遥:それでね…お兄ちゃんったら、めちゃくちゃカッコ良いの。それこそ… ○:遥香? 遥:うわぁぁぁ⁈どうして、にぃにがいるの⁈来るなら言ってよ! ○:普通は予告しないと思うぞ。
2022-08-02 22:45:2812 遥:それで、何? ○:はい、これ。お弁当忘れてたよ。 遥:はっ…そうだった。わざと忘れてにぃに届けさせて、喋る口実を作ったのをすっかり忘れてた… ははーん。 そう言うことだったか… 心の声がダダ漏れで助かる。 ○:次からは、忘れても持っていかないからな?
2022-08-02 22:45:2813 遥:ん…ありがと… 不器用な妹だが、しっかりとお礼の言える素直な良い子である。 ○:じゃあな。 遥:待って… ○:ん? 遥:あ…えっと… ○:次、移動教室だから急いでるんだ。
2022-08-02 22:45:2914 遥:そっか…わざわざ優先して来てくれてありがとね… 何か言いたげな妹だったが、緊急を要するものではないだろう。
2022-08-02 22:45:2916 お昼休み。 4限の授業の教科書を仕舞っていたら、教室のドアが勢い良く開いた。 遥:にぃに! おっと… ほとんどのクラスメートが教室にいると言うのに、大声でその呼び方をするとは… 僕の妹は、中々ハートが強いと思う。 だけど、一方の僕は恥ずかしいぞ…?
2022-08-03 09:42:0017 クラスメートからの優しい視線を背に、遥香の元へ。 ○:どうした? 遥:にぃにが…その…どうしても私とお昼を一緒に食べたいって言うなら…一緒に食べてあげないこともない! 何だ…それ…
2022-08-02 22:45:3118 手が震えているし… どうしてか緊張しているみたいだ。 ○:… 遥:な、何か言ってよ… ○:つまり、僕とお昼を食べたいんだ? 遥:なっ…ど、どうして私が一緒に食べたいってことになるの!
2022-08-02 22:45:3119 ○:だって…わざわざ僕の教室にまで来て言うことじゃないから… 遥:別に…授業後すぐに誘えば、他の誰かに捕まることなくにぃにを連れ出せるとか…1ミリも思ってないし… もう、理由はそれじゃないか… 確定だよ…
2022-08-02 22:45:3220 遥:にぃにがどうしてもって言うなら… ○:じゃあ、そこまででもない… 遥:ガーン… 声に出てるし… 遥:ほ、本当は食べたいんでしょ? ○:うーん…
2022-08-02 22:45:3321 遥:本当の本当は?自分に正直になってごらん? それはそのままそっくり返したいところだが… 妹の目がウルウルしてきたので、僕の負けということで折れてやるか。 兄としての心の余裕と器の大きさを見せてやろう。 全く… 可愛い妹を持つ兄は、大変である。
2022-08-02 22:45:3322 ○:はぁ…なんだか猛烈に食べたくなってきた。 遥:でしょ! ○:いや、お弁当じゃなくて遥香を… 遥:へっ⁈またまたぁ…やめてよ… ○:… 遥:え…本気…なの?にぃにが…どうしてもって言うなら…
2022-08-02 22:45:3423 教室の入り口でワイシャツのボタンを上から外し始めようとしているので、慌てて止める。 ○:なんて言うのは冗談だ。遥香は美味しくなさそうだし。 遥:ヒドッ…にぃには知らないだろうけど、私とお風呂を入らなくなって結構経つし…私、成長してるからね?
2022-08-02 22:45:3424 ○:どこが? 遥:それは…おっ…おっ…お尻…とか… 逃げたな… ○:それ、ただお尻に肉が付いて… 遥:いくら大好きなにぃにでも怒るよ? 大好きなのか…僕のこと。 ふーん…そっかそっか… べ、別に…嬉しくないんだからね!
2022-08-02 22:45:3525 クラスメートから”いつまで可愛い妹とイチャイチャしてるんだ!”とイジられたので、中庭へとやって来た。 遥:ここなら…にぃにを1人占め出来る… 聞こえてるぞ… ○:あっ…そうだ… 妹の自慢のお尻に手をやる。 遥:ちょっと!何触ってるの!変態!バカおにぃ!
2022-08-02 22:45:3526 ○:だって、成長してるって言うから…兄として、妹の成長は目に焼き付けておきたい。 遥:だからって、本当に触る人がどこにいるの! ○:その割には、僕の手を払おうとしないけど… 遥:ぁ…にぃになら…揉まれても…もっと触っても良いよ…? マジか…
2022-08-02 22:45:3527 ○:さてと。お弁当を食べようか。 遥:んん…もぅ… お弁当箱を開けると、母が作るのとは違う印象を受ける。 遥:じ…実はそれ…私が作った…にぃにのために…遥香特製の…やつだから… ○:だから、今朝は遅刻ギリギリだったんだな。 そうか。 ○:よしよし。
2022-08-02 22:45:3628 遥:バカ…触るな… お尻は許してくれたのに、頭を撫でるのはダメなのか… ○:いただきまーす! 卵焼きをひと口。 ほんのり甘さが広がる。 ○:美味しいよ。いつの間に料理が出来るようになったんだ?良いお嫁さんになれるかもね。
2022-08-02 22:45:3829 遥:お嫁さん⁈そんな…にぃにったら…気が早いよ…私と結婚したいなんて… ○:言ってないわ! 遥:え… ○:え…? 遥:私と…結婚したくないの? マズい… 妹が目に涙を溜めている…
2022-08-02 22:45:3930 ○:いやぁ…お兄ちゃん、なんだか急に結婚したくなってきたなぁ…ははは… 遥:そうだよね!私とにぃには両思いだもんね!腕組んでも良い?組んで良いよね!じゃあ、組むね! 僕、まだ何も言ってない… めちゃくちゃ食べづらい体勢だし…
2022-08-02 22:45:3932 放課後。 下校するタイミングで妹からメールが。 どうやら、僕と帰りたいから校門で待っていて欲しいとのことだった。 やっぱり… 遥香は、僕のこと好きだよな… 年頃の妹に嫌われないなんて、奇跡である。
2022-08-02 22:45:4033 指示された通りに校門で妹を待つ。 おっ…来た来た。 遥:… ○:おーい…待ち合わせの約束をしたお兄ちゃんをスルーか? 遥:はっ…ごめん…どうやったらにぃにと両思いになれるか真剣に考えてたら…つい…って、何を言わせるの!
2022-08-02 22:45:4034 ○:いや、遥香が勝手に… 遥:両思いになんてなりたくないし!キモッ!バカじゃないの! 昼休みの時の遥香は何処へ…? ○:それで?何か良い案は思い付いたの?
2022-08-02 22:45:4135 遥:そう!聞いてよ!にぃにに夜這いを仕掛けて…って、だから何を言わせるの!バカバカバカ! 聞いてよって、自分から話す気満々だったじゃん… と言うか僕、夜這いを仕掛けられるの…?
2022-08-02 22:45:4136 家に帰ると、体操着やら制服のシャツやらを洗濯する。 ○:遥香から先に洗って良いよ? 遥:え?一緒に洗おうよ。 ○:普通この年頃の女の子は、男物と一緒に洗濯されるのは嫌でしょ? 遥:別に?にぃにまみれになるなんて、どうってことないし…むしろ、どんと来いって感じ…?
2022-08-02 22:45:4237 それから、湯船に浸かっていると… 遥:にぃに?入るね? ○:おぉ。ん?えぇ⁈待て待て! 僕の制止なんて聞かずに、タオルを身に纏った妹が入って来た。 ○:な、な、何を⁈ 遥:ふふ…にぃにが動揺してる…
2022-08-03 10:30:4738 ○:そりゃあ…ビックリするさ… 遥:昼間に話したこと、忘れたの? ○:…? 遥:しばらく一緒にお風呂入ってないから、私が成長したのを見せようと思って。 本当に見せてくるやつがいるとは… 遥:どう?
2022-08-02 22:45:4339 どう…と聞かれましても… 成長期の妹の身体に寸評を… ○:見ないうちに…おっきくなったね… これが、1番無難だろう… 何て答えるのが、正解なんだ… 世の兄達よ、僕に答えを授けてくれ。
2022-08-02 22:45:4340 遥:ドキドキするね…? ○:僕は、遥香が風呂場に入って来たことに驚いてドキドキしてる。 遥:むぅ…女の子の身体を見たからじゃ… ○:妹の身体に興奮する兄がどこにいる… 遥:私は…にぃにの筋肉とか見て…ドキドキしてるけど… この妹は、例外らしい…
2022-08-03 10:34:2441 ○:僕は、もう出るよ。 遥:えぇ⁈ ○:これ以上入っていたら、のぼせる。 火照ってしまう… どこがとは言わないが…
2022-08-02 22:45:4443 夜。 外は急な大雨が降っていた。 これから寝ようって時に、雷まで… コンコン… ドアがノックされる。 遥:にぃに…寝ちゃった…? ○:まだ起きてる。
2022-08-02 22:45:4544 返事をすると、遥香が中に入って来た。 遥:雷…怖くて…眠れない… ○:だったら、しばらくここにいれば良い。 遥:本当に⁈ ○:あぁ。 身体が成長しても、昔から雷が嫌いなところは変わらないな。
2022-08-02 22:45:4545 遥:失礼します… 僕が横になっていたところに潜り込んでくる。 ○:まさか、このまま眠るつもり? 遥:う、うん…ダメ…? ○:窮屈だし…暑いんだけど… 遥:それは…ほら、私…成長してるから。
2022-08-02 22:45:4646 しょうがないなぁ… ○:ほら、おいで? 遥:ふぇ⁈ 妹の身体に腕を回し、抱き枕のようにして眠ることにする。 遥:にぃに⁈これじゃあ、刺激が強くて私…眠れない… ○:そっか。おやすみ。 遥:ちょっと!おにぃのバカァァァ! End
2022-08-02 22:45:46