同棲勇尾のご飯づくり

にじかれー🦄🦛🍙🍒🐰🐉🌸🐈 @nijikare2

同棲している勇尾。基本食事はU作さん、掃除は尾、洗濯は週替り当番制。U作さんは和洋中何でも作れる。美味い。尾は一人暮らしのときは基本ウィダーかカロリーメイ…だった。だからU作さんは自分が作らねば！って使命感燃やしてる。けどある日職場の部下がどえらいポカやって午前様になった週末

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明日休みで良かった……って思いながらもまた兄様はゼリーで済ませてるのかな、って申し訳なく思う。仕事の疲れと空腹、そして罪悪感。U作さんはそれらを抱えて帰宅すると明かりが付いている。おかえりなさい、とU作さんのエプロン付けた尾が出てくる。それはなんだか伴侶、と言う言葉にぴったりだ。

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兄様……となんだか泣きそうな声が出た。その声に尾はうっすら微笑む。先に飯にしましょう、と言ってU作さんの鞄を受け取り、ジャケットむいむいする。ジャケット脱いだだけなのにほうっと身体が軽くなる。しかし、飯、と言うことは私が作るのか、きっと兄様も空腹だし……とちょっとしんどくなる。

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しかし、ダイニングテーブルを見るとそこには箸が置いてある。キッチンからは昆布と鰹節の出汁の香りがした。座ってください、と尾に言われてU作さんは自分の椅子に座る。出てきたのは鯛の茶漬けだった。それは昨日二人で美味しそうと買ったものだ。鯛の上にはこんもりとたっぷりのネギごま大葉茗荷

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ふわりと香る出汁にはわずかにゆずの香りが混ざる。早く食べましょう、と言われて二人で茶漬けに手を伸ばした。温かい出汁がつかれた身体に染み渡る。空腹で冷えた胃を温め、薬味が舌を刺激する。甘い鯛の身は程よい弾力だ。米は普段は雑穀米だが今日は白米だ。白くてふっくらした米が妙に美味い。

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美味しいです、といえば尾は嬉しそうに微笑んだ。久々に包丁を握ったかいがありましたよ、と言った。鯛はサクの状態だったし、均等な幅に切られた薬味たちは尾の包丁の腕前を示していたし絶妙な塩梅の汁は尾の出汁を取る技術の高さを示していた。尾は料理できないのではなく、しなかっただけだ。

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また作ってくださいね、とU作さんが言えば尾は否とは言わなかった。その代わりに、明日はカツ丼が食べたい、と尾は言った。カツ丼は普通のカツ丼とソースカツ丼がある。U作さんは尾がソースカツ丼の方を食べたいと言っていると察した。沢山キャベツ切りますね、とU作さんは微笑んだ。

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こんな勇尾ほしい

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この設定の同棲勇尾。ある土曜日。勇作さんはお休み、尾形は歯科クリニックの午前シフトの日。午前とは言え諸々の事務作業を終えたら１４時は過ぎてしまう。尾形は腹ペコで帰ってくる。１２時半に勇作は尾形との少し遅めのランチ之為に冷蔵庫を覗き込んだ。中には昨夜揚げた男爵芋コロッケが鎮座する twitter.com/nijikare2/stat…

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これかな、と手に取り考える。近くのパン屋でコッペパンを買ってきてコロッケパンも良い。ソースたっぷりのコロッケと素朴なコッペパンは相性抜群だ。だがなんとなく勇作の口はパンではなく麺だった。そこでフードストッカーを覗けば以前購入した蕎麦があった。そうだ、コロッケそばだ。

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勇作さんは兄様仕込みの出汁をとる。今日蕎麦だから鰹出汁を強めに取る。蕎麦の香りとコロッケの油に負けない出汁が必要だ。それに蕎麦だから醤油の香りも使いたい。勇作さんは沸騰しないように火加減を見ながら出汁をとった。次第に黄金色に出汁は色づいていった。

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鰹節の豊かな香り。ふと勇作さんは戴き物のホタテの貝柱があったことを思い出す。大きなそれを一つ、鰹節と入れ替えに入れて火を止めた。尾形が帰ってから味付けを、と考える。麺を茹でる用の鍋に水を満たしておく。帰りを待ちわびる時間は勇作さんは嫌いではない。

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するとスマホに着信が入る。尾形からの今から帰ります、と言うスタンプが来ていた。勇作さんは敢えて既読だけにする。以前は色々メッセージを送ってやり取りしていたが、尾形は「メッセージのやり取りの間あるき出せないから止めて欲しい、早く帰って勇作さんの飯を食いたい」といったからだ。

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勇作さんはそのメッセージと共に再び台所に立つ。醤油、みりん、酒をいれ塩で味を整える。コロッケは魚焼きグリルで水分を飛ばした。あと麺を茹でるだけだが、と言うところで玄関ドアが開く音がする。全ての火を止めて玄関に行くと尾形がちょうど靴を脱いでいるところだった。美しく光る革靴が眩しい。

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それは初めて恋人として迎えた尾形の誕生日に勇作さんが贈ったもの。尾形はそれをよく手入れしていて、毎日履いているが草臥れた様子はない。「兄様」勇作さんは靴を脱いだ尾形を抱きしめた。おかえりなさい、とささやくと尾形の耳がほんのりと色づいた。いい匂いがする、と照れ隠しの一言。

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お昼はコロッケそばですよ、と言えば蕎麦湯を、と返される。尾形は蕎麦湯を飲むのも大好きだ。手を洗ってきます、と身体を離されるが仕方ない。二人とも腹ペコだから。台所にもどり鍋の水を沸かし蕎麦を茹でる。丼を温めて置き、汁を温める。茹で上がった蕎麦を冷水でしめる。

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さっと汁に潜らせて、蕎麦を温める。そして丼に蕎麦を盛り、汁をたっぷり注いだ。コロッケは後入れで。ちょうど食卓に２つの丼が並ぶ頃に着替えを済ました尾形が戻ってきた。兎にも角にも腹が減った、と二人は定位置に腰をおろした。いただきます、と手を合わせる。直後コロッケをドボンだ。

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勇作さんはサクサクを楽しみたいためじわじわ汁を吸うコロッケにかぶりついた。サクリと良い音がする。尾形はコロッケが汁を吸い、形が決壊する直前に食べる派だから、ズルズルと蕎麦を啜る。無言の食卓だが、出汁と醤油の香る食卓は勇作さんは嬉しかった。美味いです、尾形の全身が語っていた。

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わずかに油が浮き出した汁と蕎麦はくせになるほど美味い。汁を全部飲まずに、つけ汁用の容器に移し、蕎麦湯を加えて飲むのが楽しみで。勇作さんはふふ、と笑みを漏らした。尾形はぴくりと眉を動かしたが、わずかにふ、と口元を緩めた。

にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈花咲く：Bさ10 @nijikare2

ご飯を作る勇尾。今日は平日だが尾もU作さんも休みだ。「兄様、今日のお昼はどうしましょうか？」「そうですね……こうも暑いと……」「（そうめんかな？）」「焼きそばが食いたくなりますな」「焼きそば？」「おや、U作さんは食べたことありませんか、ははぁ、そうですか」やけににやにやする尾。 twitter.com/nijikare2/stat…

にじかれー🦄🦛🐰🐉🌸🐈花咲く：Bさ10 @nijikare2

さささっとネットスーパーお届け便で〇ちゃん製麺の焼きそばを二袋買う。玉ねぎもピーマンもキャベツも豚バラもある。本当はスーパーで麺を買おうかと思ったのだが、あまりの暑さにくじけたイボキョである。「兄様、焼きそばって、あれですよね、あのソースの」「はい、それです」

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尾形は手際よくキャベツ、玉ねぎ、ピーマンを切っていく。U作さんも手伝うのであっという間に野菜の山ができる。一人分ならフライパンで十分だが、一人で三人前は食べるU作さんのためにホットプレートを使う。普段は甘いホットケーキを焼くのに使われることが多い。そうして30分ほど待つと麺が届いた。

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まずはキャベツなどの野菜類を敷き詰め、その上に豚バラを散らす。大きなホットプレートに敷き詰められた食材をU作さんはじっと見つめている。「蓋を閉めてください。蒸し焼きにします」「は！はい！」野菜の水分を逃がさないように蓋をする。温度は200℃。時折かき混ぜながら火を通していく。

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肉に火が通ったら野菜の上に麺を置いていく。冷えている麺は解せないため、同じように蓋をしてしばし温める。じゅうじゅうと肉の脂が、野菜の水分が蒸気と交じり合う。「良い匂いですね」「まだまだ、早いですよ。その言葉は」蓋を開けると閉じ込められていた蒸気が一気に立ち上った。

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野菜の甘い香り、豚バラの脂の香ばしいにおい、そしてほんのりと小麦の匂いが広がる。そして尾は具材と麺を合わせていく。「あの、兄様、これにはソースは付いていないのですか？」「ついていますよ」そう言って尾形は粉末ソースの袋を掲げる。U作さんはそれをみてきょとりとする。

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粉末ソースなど見たことが無いのだろう。麺と具材が程よく絡むと、今度はその上に粉末ソースをかけた。そしてまた蓋をする。「この野菜の水分が蒸気となって粉末ソースがソースになるんですよ」「なるほど！人類の英知ですね！」U作さんはなんにでも感心する。穿った見方をする尾はそれが好ましい。

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そして再びホットプレートの蓋を開けると、粉末ソースは程よく蒸気を吸っていた。麺や具材にソースをあえていく。「U作さん、卵を……四つ割り入れてください」「はい！」焼きそばの上に卵を割り入れ、しばし蒸す。僅かに熱が入ったところで黄身を割り、また混ぜていく。「さぁ、できましたよ」

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高級分譲マンションの中がジャンキーなソースの匂いに包まれる。トングで焼きそばを皿に盛る。「あ、兄様！まさか！」「ふふふ、これが無いと始まりません」そしてマヨネーズをかけていく。いただきます、と手を合わせて食べ始めた。すすると少し引っかかりがある麺はもちもちとして美味い。

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キャベツと玉ねぎは柔らかく甘い。時折苦味があるピーマンが、良いアクセントになっている。そこに豚バラの甘さがさらに際立つ。「美味しいです！これが焼きそば！」「はは、U作さんはどうせ夏と言えばそうめん、と思ったのでしょう？戸棚に花沢家からかっぱらった揖〇乃糸がありますからな」

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U作さんはその言葉に照れくさそうにうなずいた。尾はくすりと笑う。「夏休みによくばあちゃんが作ってくれたんですよ。遊びに来た野間や宇佐美もいましたから、沢山作ってくれた」皿の上のピーマンを突きながら、昔はこのピーマンが苦手だった。でも今はこの苦味を美味いと思う。

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「……野間さんや宇佐美さんが羨ましいです」そうU作さんがぽつりとつぶやいた。「え？」「私には、夏休みに友達とホットプレートを囲むようなことがありませんでした。そして、そう言う経験がある友人が羨ましかったのです」高級なそうめんは当然美味い。だが、それには変えられない味もあるのだ。

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「……俺は良く宇佐美にピーマンを押し付けていましたが、U作さんが居ればピーマンを押し付けていたかもしれませんよ」「子供の頃は私もピーマンが苦手でしたが……兄様からのピーマンなら絶対に食べます」そう言い切るU作さんの目の前にピーマンを差し出した。そしてU作さんはそれを頬張った。

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「そうですか？兄に押し付けられたピーマンは」「…美味しいです」そのU作さんの顔はとても嬉しそうで、なんだか小さな子供の様に見えた。「兄様、はい、あーん♡」「玉ねぎも豚バラも間に合っておりますので」「そんなことおっしゃらずに」尾の耳がほんのりと赤いことに、U作さんは勿論気づいている。