金カ夢オメガバース まとめ 1（途中）

ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

#金カ夢　#オメガバース #ogt　割と需要ありそうので、調子に乗って供給💓 ＊カッコイイogtはこの世界線に存在しませんorz ここから派生↓ twitter.com/tanukidego/sta…

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#金カ夢　できればogtかyskさんで。 寝言。寝言なんだ……。長くなるから本当にネタだけなんだ。　 俺設定のオメガバース。 男女共に生まれるβ、ほぼ女性ばかりのΩ、ほぼ男性ばかりのαが生まれる世界。 夢主は、不幸にも30000分の1みたいな低い確率で生まれてしまった女性のαだった。というのも、

2020-05-30 23:22:19

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夢主は、αだった。 　その中でも約30000分の1という気の遠くなるような確率の中で生まれる女性のα。

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男だけのαの中でも異質、産む側の女性でありながら、同性を、αβΩ問わず妊娠させる事が可能。外見の女性らしさを失わぬまま男性αを凌駕する身体能力、Ωの項に番にするための“結痕”を刻む、発達した犬歯。αそのままの特質を持つ故に、女性αは「女の姿をした男」と称される。高い能力値からβの男には

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敬遠され、伴侶となるべきΩの女性を奪う存在として、αの男からも忌避されるさだめ。しかも、発情期（ヒート）時のΩから求愛を受けても、多くが異性愛者の彼女たちはそれに応えることはできない。男たちには愛されず、女たちからの求めを拒むしかない、優秀なれど孤独な

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思春期までには付加性（α、β、Ω）が変異する事が稀にあるため、性別が確定する12歳までに三回、子供たちは特定付加性検査を受けることになっている。性別によっては、特定の職につけないこともあったためだ。（例えば、ヒートが存在するΩは、医者やパイロットなど、精密技術が必要な職に就けない）

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今まで、そこそこ存在する「αのように優秀」という意を持つ「αよりのβ」と称されていた娘が最後の最後の検査で本当の女性αと判明すると、母は泣いた。その時は珍しいとはいえ、それほど大事でないと思っていたから、母が何故自分に謝りながら泣くのか不思議だった。

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大人になってから分かる。一人娘がオールドミス確定と知ったら、それはそれは泣けてくるだろう。それからは人一倍勉学に励んだ。この先独りで生きるなら才覚がいる。良い学校に通い、良い会社に入り、社会貢献と趣味に生きるが最良の道と思えた。大学を卒業すると、夢主は誰も自分がαと知らぬ都会へ

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飛び出した。持ち前の熱意と聡明さで、とある一流企業への就職を勝ち取ったのだ。彼女は表向きβとして社員登録された。会社側からの配慮だった。βとして生きる世界の快適さに、夢主はようやく狭い生け簀から、大海へ泳ぎ出た心持ちだった。

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数年経つうちにそれなりに仕事にも慣れ､大きな仕事も任されるようになった。友人もでき、可愛がってくれる先輩と、慕ってくれる後輩を得た。欲しいものは大抵、努力すれば手に入る世界にいた夢主だったが、恋だけはやはり、上手くいかなかった。

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「なんでうまくいかないんでょうね……。先輩、そんなに美人なのに」合コンで知り合った男と、夢主は交際ひと月程で破局を迎えていた。「やっぱり合わない」といういつも通りの、耳にタコができそうに同じ理由で。初めて関係したあと、すぐにこうなるのは何故なの。「先輩…もしかしてエ|ッ|チ下手

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ですか？」などと割りと大声でカウンター席で話すから、カクテルのシェイカーをリズム良く降っていたマスターの手が止まってしまった。「しっ、声が大きい！そんなはずない。してる時はすごくいいって言ってたもの」本当に男はずるい。関係を進めたがるわりに、一度抱き合うと直ぐにこれだもの。

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仕事も暮らしも充実してる。足りないのは恋だけ。βの振りをして生きているのに、何故誰も彼女の側にいないのだろう。生涯独りで生きる運命のために頑張って来た夢主だったけれど、友人をはじめ、周りが難なくカップリングしていくのを見るうち、自分も側にいてくれる人が欲しくなってしまったのだ。

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でも恋だけは、ウインドゥの外から指さして注文するわけにもいかない。恋人のカタログでもあればいいのに、そう考えるうち、マッチングアプリをというものがあると思い出したが、後輩に止められた。危なかしくて見ていられない、らしい。「何処かにいい男落ちてない……？」「猫じゃないんだから…」

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「はあ〜〜。ダメかぁ……」どんなに上手く化けたとしても、本能的に男たちはαの女を忌避する傾向にあるのかもしれない。「これはいよいよ仕事に生きるしかないなぁ……」「恋だけが、結婚だけが人生じゃありませんよ！元気出してください」負うた子に教えられる、という諺を思い出しながら、夢主は

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「やっぱそうかぁ〜」とカウンターに突っ伏す。可愛い後輩には、イケメンで優しい彼氏がしっかりいるのだ。慰めの言葉は癒しにならず、かえって予期せぬカウンターを食らった気になった。その後は大いに飲み、仕事の愚痴を言い合い、酔った後輩から恋人の惚気話を延々と聞いて過ごした。その後は

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後輩を迎えに来たその彼氏の車に「酔っ払いが一人で帰るな」と酔っ払った後輩に引きずり込まれ、自宅のあるマンションの玄関先まで送ってもらった。せっかくの週末、彼氏と過ごしたかったろうに。付き合いの良い優しい後輩の心遣いが有難いやら羨ましいやら。でも、また休み明けにと笑って別れた。

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エントランスに入った途端、ピロンとバッグの中に入れたスマホが鳴った。自宅に続くエレベーターの中で取り出してみると、登録しているゲーセンアプリからの通知だった。「ああ、やられた〜」行きつけのその店にある、大型筐体のシューティングゲーム 「ワイルドキャット」。十週連続一位だった彼女の

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ランキングが破られている。「誰この人……？」米国特殊部隊の狙撃手となって凶悪犯を狙撃するこのゲームに、夢主は夢中だった。主人公のイケメンスナイパーがとても素敵だったのだ。もちろんゲーム自体もいろんな仕掛けがあり、ステージや物語のルート分岐もたくさんあって、何度遊んでも飽きな

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かった。筐体添え付けのスナイパーライフルもかなり実物に似せて作ってあり、スコープを覗き込むときはなかなかの緊張感を味わえた。ある日、何気に入った時に見つけて通いつめ、今では無敗の女王（自称）となっていたはずなのに、これは何処の命知らずだ。明日行って仕留めてくれる…と新王者の名前を

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見ると、夢主がそこで使っている「HYENA」の真上に、デフォルメされた王冠を付けた「YAMANEKO」というアルファベットが燦然と輝いていた。負けず嫌いなので本当は今すぐ店に飛んで行って記録を塗り替えたい気もしたが、今日は結構飲んでしまった…。（特に予定もないし、明日行ってみようかな）夢主は

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スマホをスーツのポケットに放り込んだ。

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翌日、昼前にゲームセンターへ入ると、休日とあって家族連れが多かった。目当てのゲーム筐体の前に行くと、高校生と思われるカップルが仲良く共同プレイに勤しんでいた。女の子の方はあまり慣れないらしく、ぎこちなくスコープを覗き、ターゲットに当たるたび嬌声を上げている。

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夢主は微笑ましい気持ちで、二人を眺めながら、筐体の前にある背もたれのないベンチに腰かけて順番を待つことにした。思えば、あんな青春は彼女にはなかった。αと判明してから、とにかく独り立ちして生きていかなければと躍起になっていたから、とにかく学校と塾をいくつかかけ持ちして、希望の大学を

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目指すことに一心不乱で、もちろん部活も帰宅部一択。本当は運動部に入りたかったが、身体能力の高さ故に目立つことを恐れた両親に禁じられた。それほど、女の身でαなのはいけないことなのか。（人を好きになってもいいじゃない）学生のカップルが、じゃれ合い、互いのプレイを褒めたり突っ込んだりを

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見ていると、つくづくそう思う。程なくして、二人はゲームオーバーの画面を指さして笑った。ランキングに入力した、互いのふざけた名前を見て笑っているらしかった。その後彼らは、仲良く手を繋いでぬいぐるみキャッチャーのあるエリアへ消えていった。幸せにね〜青少年。心で見送った夢主は、今度は

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自分の番と、コインを投入口に入れた。毎回覚える、このドキドキするような高揚感。見てなさいよ「YAMANEKO」とやら、私があんたの上に乗っかってやるから。一位を取るようになってから、ランキングが誰かの下になるのはこれが初めてだ。今日のやる気は一味ちがう。ステージのデモを飛ばしながら、

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夢主は指定されたターゲットの頭部を冷徹かつ速やかに撃ち抜いていく。筐体はハンドルネームとゲーム用のIDを入力したカードをスリットに読み込ませるタイプなので、犯人の位置や狙撃手であるプレイヤーへのハンデを前回のプレイより微妙に変えて挑戦してくる。覚えることでクリアできないことが、

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飽きのこない理由の一つだった。ハンデはSクラス。強風と時間制限。三分ごとに犯人は人質を一人ずつ殺していく設定。（燃える〜〜！）途中の狙撃場所へ行く途中の銃撃戦で取れるアイテム、“交渉人（ネゴシエーター）を呼ぶ”を使い、ビルにたてこもるテロリストの動きを惑わす時間稼ぎをしてもらう。

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窓際に僅かに寄ったテロリストの頭部をスコープで確認し、見事に撃ち抜く。人質の生存率100パーセント。評価はもちろんSだ。ステージで取れるアイテムはすべて取り、使えるアイテムを最小限に抑え、一撃で相手を仕留めることができた。最初のステージからして好調だった。

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久々に、ものすごく集中して遊んでしまった。ストーリーは陰謀編なり、最終ボス“アメリカ大統領”（ただし、国際テロリストのボスが成り代わっている）を暗殺という形で始末して、この物語は終わりだ。いつ見ても、大業を成し遂げながら、人知れず去っていく主人公がかっこいい。ランキングも頂点に

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返り咲いたのに満足して、夢主は自販機にコーヒーを買いに行った。その時、すれ違った誰かからふわっ、と目眩のするような甘い匂いがした。

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惹き寄せられるような、そんな香り。……胸がザワつくような。初めて嗅いだ香気に息が詰まりそうだった。

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頭がくらくらして、コーヒーを買うどころではなくなってしまった。ヤバい。近くに多分、Ωの女がいるに違いない。発情期がくる少し前に、Ωは前兆のような、芳香を纏ったフェロモンを微量に辺りに振りまく。最悪なことに、これは本人も自分の意思で止めることができず、最悪にも気が付かない。夢主は

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高校の時、一度だけ巡り会ったオメガの女の子が放っていた香気に当てられ、倒れたことがある。その時の症状と同じだった。慌ててポシェットからフェロモンの中和剤の小瓶を取り出し、ドリンク剤に似たそれを開封して急いで喉に流しみ、ほっと息をついた。これでしばらくは大丈夫だ。

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気持ちが落ち着くと、どれがその子だろうと確かめる余裕も出てきたので、夢主は辺りをそろそろと見回した。もう、何処かに行ってしまったのか、若い女性の姿は近くにない。遠目にはあちこちにいたけれど、彼女が倒れるほど濃い匂いなら、もっとかなり近くにいたはずだ。目の前には、

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こちらに背中を向けてスリットにコインを投げ込んでいる男がいるだけだ。ああ、驚いた……。念の為、フェロモンの中和剤を持っていてよかった。あの時倒れて以来、母にうるさく常備しているように言われていつもウザかったけど、ありがとうママン。何事も備えって大切だわ。改めて缶コーヒーを買い、

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飲み終わったら帰ろうとベンチに戻ると、夢主の後に来たそのプレイヤーが、見たことも無いステージをプレイしていた。何あれ何あれ？！追加ステージなんて入ったの？！やりたい！！プレイヤーは振動するヘリコプターに乗り込むというハンデを受けていた。強風で、高層ビルの最上階に立てこもる

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犯人の動きも複雑だ。窓際に寄るかと思えば、ヘリへ向けて発砲してきたりもする。思わずベンチから立ち上がり、彼の後ろからプレイを眺めた。夢主のこよなく愛するこのゲーム自体は、もう既に旬の過ぎた古いものだ。今更追加コンテンツが入るわけはない。これは、多分、本当にホントの隠しステージだ！

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そこに入る条件が知りたい！！ 全盛期の頃なら、周りでギャラリーが群がっていただろう。彼は大変な名プレイヤーだ。（あれ？…この匂い……）彼がスコープの照準を定めるのに身動ぎすると、先刻と似た匂いがした。ああ、さっきのは男性用のコロンと、通り過ぎたΩ女性の香りが混ざったのか。

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（でも、好きな匂いだな。何処の製品だろう）辛抱強く待ち構えていた狙撃手（プレイヤー）は、ついに窓辺に寄った相手の頭部を撃った。スローモーションの演出と共に倒れるテロリスト。隠しステージは、実はボーナスステージだったらしい。トータルスコアが大変な数字になっている。夢主が苦労して

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取り返した一位の座は、思いもよらぬ形で再び奪われてしまった。

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隠しステージをクリアすると、シナリオもまた違ってきていた。アメリカ大統領はテロリストに成り代わることなく、未遂に終わらせることができ、実は本当の黒幕は、副大統領という事実を知ることができた。最後にミッションも見事にやり遂げられ、孤高の狙撃手（スナイパー）はその後は銃を捨て、

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故郷の妻子が待つ家へ帰っていく……。 エンディングも格別だった。つい、最後までプレイを見てしまった……。「なぁ、あんた……」筐体添え付けのライフルから身を離した男が、こちらに呆れた様子で振り返った。

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そして、何故かこちらを見て固まった。

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固まったのはこちらもだった。見上げた男の、奥二重の瞳と視線がかち合った途端、頭の奥で火花が散った気がした。夢主の頭一つ分高い位置から見下ろす男は特徴的な、眼窩に角張って添う眉型と伏し目がちの大きな目をしていた。なんというか、一度見たら忘れられないような印象的な美形とでも言うのか。

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また、甘怠い、掠れた声の色っぽい……こんな声聞いたことない。「ちょっとごめんなさい……」薬が切れてきたのか、また頭がくらくらしてくる。さっき嗅いだΩのフェロモンは相当強かったらしい。その影響がまだ残ってるのか。後ずさりして、ベンチに戻ると、男はついてきた。「大丈夫か？もしかして」

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耳元に口元を近づけて、囁きかけた。「あんた……Ω、か？抑制剤なら…」「違う。私はβ性…」夢主は咄嗟に習慣づいた嘘を吐いた。「ごめんなさい、ちょっと、クラっと来ちゃって。多分疲労からだから気にしないで」ポシェットから、もうひとつ中和剤を出して飲んだ。「ドリンク剤飲んだから平気」

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行きつけの医者から体調やフェロモンの濃度によって薬の持続時間が変わるとは説明は受けていたけど、こんな、一時間もしない間に切れるなんで初めてだった。なんという強いフェロモン。普通のαなら、気が狂ってるところだ。そんな子が、こんなところ歩いてて大丈夫なんだろうか。美しく、か弱いΩは

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気の毒なことに性|犯|罪のターゲットになりやすい。誰か連れと来ているのだと思いたい。あまり強いフェロモンの放つ体質だと、αだけでなく、αに近い体質のβ、“α寄りのβ”も惹き付けてしまうからだ。βなら、まだフェロモンに抗しようもあるが、もしタチの悪いαに見つかれば、項を結痕歯で噛まれ、

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無理やり番にされる恐れがある。大昔に騒がれた事件では、最悪なことにジェンダークラスAのαが、正妻の他に複数のαと無理やり番になって好き放題していたことが問題になったことがある。結局、この男が病死するまで番の絆―隷従効果が切れず、酷い扱いをされていたΩを司法が助けられなかったという例が