0
ナナシ @darkmoon_souji

メモ 「クリスマスなんて……」 「ん?」 木の下でスマホをいじっていたら、ゆらりと人が目の前に現れた。 「くそくらえじゃーっ!」 「ぎゃあぁぁーっ!?」 背後の木が切り倒され、恐怖やら驚きやらで悲鳴を上げた。 「何やってんだお前ーっ!?」 「クリスマスが……憎い……」

2016-11-28 20:11:43
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「わけのわからないことを言ってんじゃねぇぞ! その斧はどっから持ってきた!?」 「用具室……」 「怒られるから戻してこい!」 校内で斧を振り回すとか、どんな危険人物だよ。 「クレイジーな奴がクレイジーな行動してんじゃねぇよ……退学になんぞ……」

2016-11-28 20:18:21
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「うるせー!」 今度は別の木を切り倒しだす。 「だからやめろっつってんだろーが!」 「ええい、うるさい! 止めるな!学校内の木を全て切り倒せねば気が済まん!」 「絶対にやめろ!!」 また問題児認定されるじゃねぇか! 俺まで巻き添えになるんだからな!

2016-11-28 20:22:03
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「大体、クリスマスが憎いだか何だか知らねぇが、そんな自然破壊活動を行わなくてもいいだろ!?」 「全ての木がクリスマスツリーに見える……」 木には何の罪もない! とんだとばっちりじゃねぇか!

2016-11-28 23:24:30
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「町を行く、クリスマスに浮かれたくそリア充どもが憎い……」 「お前それ、ただただリア充が憎いだけじゃねぇか」 クリスマス関係ねぇし。 「わかってないな! クリスマスだからと調子乗る女がいるんだ!」 「クリスマスくらい好きにさせてやれよ……」

2016-12-05 21:27:05
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji めんどくせぇな。もう。 「で、本音は何だ」 「……」 目をそらしやがった。 やっぱり本音があるんだな。 「……凜王がクラスの女子からクリスマスパーティーに誘われていた」 「……へー」 くそ羨ましいじゃねぇか。 「最近あいつモテるよなー……」

2016-12-05 22:22:06
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji そもそも、普通にしてればモテる顔してるしな。 今まで目立たないようにしてきたわけだし……ハッ! 殺気!? 気配に気がついたとき、俺の隣にある木に斧がトスっと刺さった。 危ねぇだろ! 殺す気か! そう叫ぶ前に、俺は胸ぐらを掴まれた。

2016-12-05 23:07:19
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「あぁ、そうだ……貴様と関わったせいで、雌豚共が凜王の魅力に気がつき始めたんだ……全て貴様のせいだ……」 待て待て待て。口が悪すぎだろーが。 雌豚て。 よくそんなことが言えたな。 そして俺のせいにすんじねぇ。

2016-12-06 00:34:59
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「許せん……許してはおけぬ……」 おいおいやめろって。 目が座ってやがる。 そんで、その見た目でその喋り方をされると時代劇でも見てる気分だよ。 「成敗してくれるわ!」 「お前わざとだろ」 斧を振り回すなって。

2016-12-06 19:13:54
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「……茶番はさておき」 茶番だったのか。 「とは言っても、わりと本気で凜王に色目を使っている女共が許せん」 「ハイハイ。言ってろ」 やっぱりクリスマスは関係ないんだな。 「やつらめ……クリスマスパーティーなんぞおちゃらけた行事に誘いやがって……」

2016-12-06 19:21:19
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 別にクリスマスパーティーはおちゃらけてないと思うけどな…… 「そんなに気に入らないのなら、お前も一緒についていけばいいじゃねぇか。どうせ誘われてんだろ」 「さぁ?」 さぁって……

2016-12-06 20:13:31
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「凜王以外のやつと喋ってもすぐに忘れる」 「その“以外”に俺も含まれてるのか?」 いまさらそうだとしても傷つきやしねぇけどな。 「おい、二人とも。そんな所で何をしているんだ。帰らないのか」 げ。ついに本人来ちゃった。

2016-12-08 00:26:23
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「なんだ、この倒れた木は」 やつが切り倒した木を不思議そうに眺めている。 「……凜王」 「待て。何を言う気だ、貴様」 何かを察したのか、口を開きかけた俺の肩がつかまれた。 「お前、女子にクリスマスパーティーとやらに誘われたんだってな」

2016-12-08 08:14:14
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「クリスマス……?」 首を傾げる凜王。 あぁ……これは…… 「そんなことも言われたようなないような……」 はい。出た。 お得意の興味のないことはすぐ忘れる。 こいつ、本当に大丈夫か。 「確か断ったかと」 「凜王ー!!」

2016-12-08 20:35:21
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 今にも抱きつきそうな勢いだったので、その長ったらしい髪をつかんで阻止した。 「ぐえっ」という、声が聞こえたが気にしない。 「ふ……ふふふ……さすが凜王……」 首をおさえながら、不気味に笑っている。 きもいな…… 「何で断ったんだよ」

2016-12-12 08:16:23
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「ん。クリスマスは予定があるからな」 「え」 笑ったまま、眞姫が固まった。 「よ…てい…?」 そして片言で凜王に歩み寄る。 俺もビックリだわ。 「どこの誰と!?一体何を!?」 「何なんだ、突然」 「今年は眞姫と一緒に過ごすって決めてたじゃないか!」

2016-12-12 22:19:39
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「そんな約束したか」 「裏切るのかぁぁぁぁ!凜王ぉぉぉ!!」 うるせぇな、こいつは…… 「んで、予定って何なんだよ。気になるから言ってみろ」 「横暴な……」 誰が横暴だ。 お前もそこそこ横暴だろうが。

2016-12-12 23:07:12
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「知り合いにサンタがいてだな」 「………は?」 突拍子もないことを言い出して、俺達は顔を見合わせた。 「今、何て?」 「サンタ」 「お前、サンタがいるって信じてんの?」 「そういう問題じゃなくて」

2016-12-13 08:09:59
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji じゃあどういう問題なんだよ。 「サンタを信じる凜王も愛おしいと思える」 お前は黙ってろ。 「しかしサンタクロースの存在を否定されると、何だか俺の存在も否定されている気分になる」 「そういやそうだな」 怪盗もある意味非現実的だ。

2016-12-13 22:44:31
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「そんなことより、サンタの知り合いとは」 「そのまんまだ。プレゼントを配らなければいけないから、その手伝いで忙しい」 ……マジで言ってんのか。 「そうだ。お前らもどうせ暇だろ。手伝ってくれるか」 「ひ……まだけど!!どうせって何だ!どうせって!」

2016-12-14 08:09:13
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 「凜王と二人きりのクリスマスを目論んでいたが……君の頼みなら仕方あるまい」 ……おい。 サンタの下りはもうつっこまない方向でいくのか? 「惣一は」 「わかったわかった。手伝うよ。どうすりゃいいんだ?」 「それはまた、当日に」

2016-12-14 22:39:51
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji ほら、またそうやってイタズラを思いついた子どもみたいな顔をする。 お前がそういう表情を見せるときはたいていろくなことが起きないんだ。

2016-12-14 23:39:08