第74回深夜の真剣140字60分一本勝負

花滝ちかる @chikaru_toka

「小さな手だね」 「小さいから何？」 ああ私、本当に可愛げがないわ。でも、私は何でも小さくて子どもっぽくて、年上の貴方に釣り合わないのが悲しくて。 なのに、ある日貴方は貴婦人にするように、私の手にキスをしたの。 「僕と、結婚して下さい」 私の薬指には、ダイヤモンドの指輪。 #140字小説

たらはかに （田原にか） @tarahakani

筋がセクシーNo.1を争っている。シックスパックだろ？と腹筋。いやいや背筋を忘れて欲しくないね。やはり力こぶの上腕二頭筋でしょ？と、大論争が繰り広げられる中、ハイ！と手が挙がった。あの首筋なんですけど、貴婦人の首筋とか……言わずもがなでNo.1が決定した。 #深夜の真剣140字60分一本勝負

夢夜 @ruya_reve

──『我々の貴婦人』が、燃えている シテ島にある教会は長いことパリの街を、人々を、見守り続けていたというのに。 悲しいとも寂しいともつかない感情が涙となって溢れていく。 人々の涙で鎮火できたら……と有り得ないことが頭をよぎった。 ──ノートルダム寺院が、燃えている。

夢夜 @ruya_reve

海に向かって自転車で坂道を下っていく。 風を切って走るのは楽しい。自然と唇から歌がこぼれる。 空の青と海の青って微妙に違うんだなーなんて思いながら徐々に上がるスピードに身を任せた。 久しぶりに一人で気ままにサイクリングするのも悪くない。 目当ての喫茶店までは、あともう少し。

夢夜 @ruya_reve

首筋に残る赤い跡、煙草の匂い。 泥のように眠る君の体に残る痕跡に拳を固く握り締めた。 君が何をしているか──否、させられているか、僕は知っている。 どうすれば止められるんだろう？ 眠りながら涙を流す君を強く抱き締めた。 僕に君の苦しみを半分背負わせてほしい……なんて、驕りだけれど……

KTQ @wholiveo

「貴婦人って、 　どうすればなれるの？」 突然何を言い出すのか。 「…ごめん遊ばせ、 　とかいえばいいんじゃね」 「そういうんじゃなくて、 　首筋にも気品が漂うような」 「どんなだよ」 ああ、でも何となくわかった。 気品ってものに憧れてるんだ。 「まず、ガニ股でサイクリングはやめろ」

葵 惟 @LsfRim

「お兄さん、アタシと『でぇと』なさい！」 突然話し掛けられ振り向くと、大きなランドセルを背負った小さな女の子。 アイドルみたいに可愛らしいので、さながら貴婦人の様な振る舞いでも誰もがデレデレして言う事を聞いてるんだろう。 僕は笑って立膝して言った。 「君がもう少し大人になってからね」

秋月蓮華 @akirenge

夜近く、夏休みにやってきた別荘地で私は自転車を漕いでいた。 サイクリング楽しいです。ただし涼しいときに限る。 そこで出会ったのは今の時代にいるんだ、という感じの貴婦人で、 彼女と視線が合った。 そして。 「私は餌か」 首筋には牙の痕。 あの人は吸血鬼で、私は血を提供する側となった。

代理 @ueeeevo

思い出すのは白い首筋だけ。顔を読み込もうとすると笑えるぐらい涙ぐむ。 「お二人の出会いはサイクリングでした」 入れたくないのに耳に刺さる。動画なんて楽勝だと思ったのに。 デカデカと映る日焼けした鈴木。誰だこれ。 「なんで鈴木君て、あだ名が貴婦人だったの？」 隣の赤ドレスが尋ねてくる。

春日聖奈@二代目 夜 @haruhino37

ふぅ、と一休み。 木陰で風を受け取ると肌についた汗ですら気持ちよく感じる。 サイクリングも大詰め、皆休憩を取っているようだ。世の喧騒から逃れてきた貴婦人達も首筋にキラリと汗を光らせている。 こちらへと笑顔を向けられ、恥ずかしくてすぐに立ち上がる。 色っぽい汗ほど、凶悪な惚れ薬はない。

はみどり@木製３秒間 @tyaboka1

#深夜の真剣140字60分一本勝負 (@140onewrite ) 使用ワード 貴婦人、サイクリング、首筋pic.twitter.com/cEv1Ga7rRK #SS名刺メーカー pic.twitter.com/ziDi0Mgu5a

拡大

拡大

王子@第一種怠惰無責任者 @ojitw

祝福を受けたければ掬い上げるしかない。二人乗りのサイクリングの後で彼女に掛けた手は血潮の熱さを忘れないだろう。いつの間にか機密事項のチップを飲み込んだ貴婦人は月光の差す川底で首筋に指跡を残し、嘲笑うよう俺を見つめ返してくる。吐いてくれ、吐いてくれ。俺はあの人を振り向かせたいんだ。

芳々 @yoshi5552003yj

ヨーロッパに留学した時の話。貴婦人の幽霊が出るサイクリングコースがあってね、女性は走らない方がいい。首元を晒していると「はしたない」とスカーフが巻き付き信じられないほどの力で締め上げられるの。あ、信じてないでしょ。私がいつも首筋を隠してるのは何故だと思う？