えすてぃ２
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1 ある日のバイト終わりのこと。 飛鳥:ねぇ。 ○○:…ん？ 客がいなくなって閑散としたカフェの店内。 今日はさくらはシフトが入っていなかったため、店内にいるのは○○と飛鳥のみ。 片付けの作業の音、そしてBGMが流れるのみの静かな空気の中、飛鳥がおもむろに口を開く。 pic.twitter.com/a8d504UIp9
2021-10-02 17:02:50
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2 飛鳥:明日…暇？ ○○:なんで？ 飛鳥:いいから。 ○○:んー…わかんない。 飛鳥:はぁ？わかんないってどういうことよ。 ○○:いや…今のところ暇なんだけど、もしかしたらさくちゃんに遊びに行こうとか言われるかもしれないし…。 飛鳥:…何それ。 ため息をつく飛鳥。
2021-10-02 17:03:02
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3 ○○:うるさいな。ていうか、そんなこと聞いてどうするんだよ。 飛鳥:ご飯……行きたいなって、思って。 ○○:俺と？ 飛鳥:他に誰が居んの？ ○○:えっと…。
2021-10-02 17:03:17
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4 飛鳥:…まぁいいや。明日の夕方駅前で待ってるから。気が向いたら来て。 ○○:気が向いたら来てって、もし俺が行かなかったら飛鳥はどうするんだよ。 飛鳥:1人寂しく泣きながら帰る。 ○○:ったく…。 ―――――
2021-10-02 17:03:36
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5 翌日、○○と飛鳥はとある焼き肉店を訪れていた。 ○○:飛鳥が焼き肉とか、意外。 飛鳥:そう？ここ美味しいからけっこう来るんだよね。 ○○:誰と？ 飛鳥:……1人。悪い？ ○○:まだ何も言ってないだろ。 pic.twitter.com/J2P7mkMvfI
2021-10-02 17:04:21
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6 そんな会話をしつつ、個室の席へ。 ○○:へぇ、いい感じの席だね。 飛鳥:なに通ぶってんの？ ○○:うっさいな。 席に着くやいなや、タッチパネルで次々に注文していく飛鳥。
2021-10-02 17:04:53
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7 ○○:待て待て、そんな一気に注文して大丈夫？ 飛鳥:大丈夫、私けっこう肉食べるから。 ○○:けっこう肉食べるやつがなんでそんなにガリガリなんだよ。 飛鳥:うるさいなぁ、華奢って言ってくれる？ ○○:はいはい華奢華奢。 飛鳥:なにその言い方！
2021-10-02 17:07:07
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8 そんなこんなで、肉が運ばれて来て… ○○:…うま！ 飛鳥:ふふ、でしょ？ ○○:たしかに、これならいくらでも食えそうな気がする。 pic.twitter.com/LKueUBMVS9
2021-10-02 17:07:46
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9 嬉しそうに肉とご飯をかっ食らう○○。 飛鳥:……。 そんな○○を見つめる飛鳥もまた、どこか嬉しそうな表情をしていた― ―――――
2021-10-02 17:08:11
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10 〜〜〜〜〜 高校時代、私と○○はとても仲が良かった。 仲良くなったきっかけは…よく覚えていない。 3年間クラスが一緒だったから？ たまたま、席が隣になることが多かったから？ 理由はわからないけど…私は、○○に対してどこか心地よさを感じていた。
2021-10-02 17:08:54
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11 これは、私たちが高校3年だったある日のこと。 ○○:飛鳥、これ。 私に一冊の本を差し出す○○。 飛鳥:…えっ！？ その本は、私が読みたくてずっと探し求めていたミステリー小説。 しかし、発行されたのがかなり昔で、マイナーな作家さんの作品だったことから、なかなか見つけられずにいた。
2021-10-02 17:09:30
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12 それを今…○○が持っている。 ○○:飛鳥が前からずっと読みたいって言ってたやつ…たまたま本屋で見つけたから、買ってみた。 そう言って、ドヤ顔の○○。 そして… ○○:……ん。 飛鳥:…え？ ○○:あげる。読みたかったんでしょ？ 飛鳥:え…！？そんな、悪いよ。
2021-10-02 17:10:10
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13 ○○:いいって。俺本読まないから持ってても仕方ないし。 飛鳥:じゃ、じゃあせめてお金… ○○:だからいいってば。俺が勝手に買ってきたんだし。 飛鳥:でも…。 ○○:あ、そうだ。じゃあ今度購買でパン奢って？それでチャラね。
2021-10-02 17:10:57
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15 すると、近くにいたみなみと未央奈が話しかけてくる。 未央奈:○○君ってさ、絶対飛鳥のこと好きだよね。 みなみ:ね！みなみも思ってた！ 飛鳥:ちょ、何言ってんの！？そんなわけないって…！ pic.twitter.com/1cIeKoHAcp
2021-10-02 17:17:33
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16 未央奈:いやいや、そんなわけあるって。 みなみ:いいなぁ〜、飛鳥。 飛鳥:え？ 未央奈:○○君、ああ見えてけっこう人気あるんだよ？この間も2年の子に告白されたんだって。 飛鳥:…！？ そうなんだ…全然知らなかった…。
2021-10-02 17:18:40
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17 みなみ:飛鳥は○○君のことどう思ってんの？ 飛鳥:ど、どうって…私は…！ なぜか慌ててしまう私。 そんな私を見て、2人はクスクスと笑う。 みなみ:もう、付き合っちゃえばいいのに。 未央奈:飛鳥と○○君、けっこうお似合いだと思うよ？
2021-10-02 17:19:34
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19 学校からの帰り道が同じ方向だった私たちは、お互いの部活が終わるタイミングが合った時などに、一緒に帰ることがよくあった。 そして今日も…一緒に帰ることに。 飛鳥:………。 ○○:……飛鳥？ 飛鳥:………えっ？ ○○:いや…ずっと黙ってるから、どうしたのかと思って。 pic.twitter.com/un2IXamKQY
2021-10-02 17:24:48
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20 あれ？なんか…ドキドキする……。 飛鳥:……ねぇ。 ○○:ん？ 飛鳥:○○ってさ……好きな人とか居るの？ ○○:えぇ…いきなり恋バナ？ 苦笑いの○○。
2021-10-02 17:25:23
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21 ○○:飛鳥には……教えない。 飛鳥:え…？ それって……どういうこと？ 意気地なしな私は それ以上、聞くことができなかった。
2021-10-02 17:25:55
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22 この日以降、私はなんだか落ち着かない日々を過ごしていた。 日に日に大きくなる心のざわめきに、 私は○○のことが好きだったんだと 嫌というほど思い知らされる。
2021-10-02 17:26:13
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25 そして、帰り道。 ○○:……。 飛鳥:……。 明らかにいつもと違う○○の雰囲気に、困惑してしまっている私。 しばらくの沈黙が続いた後、○○が口を開いた。 pic.twitter.com/3WLyk6o0Eb
2021-10-02 17:28:53
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26 ○○:…この間さ。 飛鳥:…？ ○○:好きな人居るのかって…聞いてきたじゃん。 飛鳥:…うん。 ○○:……居る。 飛鳥:え………？ ○○:……飛鳥。 飛鳥:………。 ○○:…好きです。 ○○:俺と……付き合ってくれませんか。
2021-10-02 17:29:21
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27 えっ………？ えっ、えっ、えっ………！！？ ほんとに……？ 待って、どうしよう… 何て答えたら…… この時は、本当に心臓が爆発するかと思った。
2021-10-02 17:29:44
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29 ○○:ほ、ほんとに…？ 飛鳥:………うん。 私がようやく声を振り絞ると、○○は ○○:やった……。 嬉しそうに、小さくそう呟いた。 そんな○○を、私はとても愛おしく感じた。
2021-10-02 17:30:38
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32 そして、翌日。 ○○:おはよ。 飛鳥:…おはよ/// にこやかに挨拶をする○○を見ると、すごく緊張してしまう私。 pic.twitter.com/zcKjDOJVqN
2021-10-02 17:33:05
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33 席に着き、ふと○○の方を見ると、○○はクラスメイト何人かと楽しそうに談笑していた。 “○○君、ああ見えてけっこう人気あるんだよ？” 未央奈の言葉が、脳裏を過ぎる。 私なんかで…よかったのかな。 そう……思ってしまった。
2021-10-02 17:33:44
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34 この日、私は2人で屋上でお昼ごはんを食べ、2人で一緒に帰った。 だけど…全然上手く喋れなかった。 誰かと付き合うのが初めてだった私は、 緊張と、戸惑いに、押し潰されてしまった。
2021-10-02 17:34:11
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36 帰宅するやいなや、私はベッドに倒れ込んだ。 飛鳥:疲れた……。 この日1日の出来事が、頭の中をぐるぐると回る。 絶対…つまんない女だと思われただろうな……。 この日の夜、私は…枕を濡らした。 pic.twitter.com/yUD3XNEu0g
2021-10-02 17:37:29
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37 そして、翌日。 ○○:飛鳥、昼飯食べに行こ？ 飛鳥:ごめん…今日は未央奈たちと食べる。 ○○:…そっか。わかった。 あろうことか、私は○○からの誘いを断ってしまった。
2021-10-02 17:38:28
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38 ○○:飛鳥、一緒に帰ろう？ 飛鳥:…ごめん、今日は部活が終わるの遅くなりそうだから…。 ○○:…そっか。じゃあ、また明日。 飛鳥:…うん。 私が誘いを断ると○○は、ほんの一瞬、本当に…ほんの一瞬、寂しそうな表情を見せる。
2021-10-02 17:39:06
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39 やっぱり、私が○○の彼女なんて… 私の中には、負の感情が芽生え始めてしまっていた。 そんな日々が続き、私は未央奈に相談することにした。
2021-10-02 17:39:24
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40 未央奈:○○君とどう接したらいいかわからない？ 飛鳥:……うん。 未央奈:○○君のこと、好きなんだよね？ 飛鳥:うん…好き。 未央奈:だったら、余計なこと考えずに自分の気持ちに素直になればいいと思うよ。 pic.twitter.com/mfC5NlWMMw
2021-10-02 17:41:40
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42 そして、昼休憩。 私たちは、屋上で一緒にお昼ごはんを食べていた。 ○○:で、3組の✕✕がさー… 私の隣で、楽しそうに話す○○。 付き合い始める前も、後も、○○はあまり変わらなかった。 pic.twitter.com/dz18WgiqKl
2021-10-02 17:42:55
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44 ○○:飛鳥……？ 飛鳥:……へ？ ○○:…聞いてた？ 飛鳥:いや、えっと…………ごめん。 ○○:……飛鳥ってさ。 ○○:俺と居ても…つまんない？ 飛鳥:え……？
2021-10-02 17:43:45
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46 この時生じた小さな溝を埋められないまま月日は過ぎていった。 一言も言葉を交わすことなく1日を終えることもザラになっていた、ある日。 ついに、その時が訪れた。
2021-10-02 17:44:44
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47 ○○:もう……別れようか。俺たち。 ○○:………ごめんね。 こうして、私たちの恋人生活は 1ヶ月持たずして、幕を閉じてしまったのだった。 〜〜〜〜〜
2021-10-02 17:45:25
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48 ――――― 焼き肉屋を出た2人。 ○○:あー、食った食った。 ご満悦の○○。しかし 飛鳥:………。 焼き肉屋から数十メートル歩いた所で、飛鳥は足を止めた。 pic.twitter.com/XhQzldm1vD
2021-10-02 17:49:29
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49 ○○:…飛鳥？ つられて、○○も立ち止まる。 飛鳥:…ありがと。 ○○:え？ 飛鳥:今日は…来てくれて、ありがと。 ○○:お、おう…。何だよ急に。 pic.twitter.com/jpiC7d6les
2021-10-02 17:49:55
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