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バレンタイン2024

サクラ @same_to_otenki

「あの子がどうしてもって言うから作ったけど余ったから。お返しとかいらないからね?」簡素なパッケージに包まれたチョコレートは可愛いけれど本命のほの字も見えない。けれど。「……めちゃくちゃ嬉しいです」万感の思いをこめればそんなに?と隊長はあきれたように笑った(あなたからなら何だって)

2024-02-14 22:28:43
サクラ @same_to_otenki

甘いものに目がないあの人の舌を満足させられるチョコなんて選べない「それでこれか?」電話越しに聞こえるのは冷たい声。送ったのは大阪名物たこ焼きの形をしたクッキー。味は美味しいけれど逃げた感はいなめない。「まあいい」と諦めたようなため息。「本場のお願いします」「はい!」(良い口実だ)

2024-02-14 07:52:13
サクラ @same_to_otenki

「バレンタインです!」マエストロの前にあらわれたのはコンマスだ。手にはなぜかバイオリンを持っている。「で、それが?」冷静に質問すると彼女は不敵な笑みを浮かべた。「チョコよりも絶対にこっちが喜ぶだろうって妹が」彼の口角がわずかにあがったのを彼女は見逃さなかった(甘い音色が何よりも)

2024-02-13 23:56:54
サクラ @same_to_otenki

「はいこれ!どうぞ!」所用でUDIをおとずれたら既知の臨床検査技師にチョコを渡された。「ホワイトデーは倍返しね!」お返しを期待して配り歩いてるらしい。思わず名前を呼んでしまい振り向いた彼女になにを言おうか考える。どれだけのお返しをすればその手の中のチョコを独り占めできるんだろうかと

2024-02-13 23:41:39
サクラ @same_to_otenki

長身の身体とはアンバランスな手提げ袋を見てUDIは一瞬騒然となった。あれって小声で囁かれるなか同僚である女性解剖医が率直にたずねた。「もらったんですか?」「葬儀屋からな。配ってるらしいぞ」どんな関係なんだという言葉が飛び交うなかで同僚の独り言は誰にも聞かれなかった(なら良かった)

2024-02-13 23:34:04
サクラ @same_to_otenki

「逆ですか?」「逆ってなによ?逆って。裏も表もないよ。恥ずかしいから受け取ってよ」高級そうな紙袋には誰もが知ってる有名店が刻まれている。気障をきどる彼らしいチョイスだ。「……義理があるんだし、相棒チョコがあってもいいでしょ?」「なんですかそれ?」(カバンの中のこれはどうすれば)

2024-02-13 23:28:46
サクラ @same_to_otenki

手渡された小さな箱は自分の手に収まるサイズだった「お世話になっているお礼です」と渡されれば拒否はできない。包装をほどき口にほおりこめば広がるのはささやかな甘さ。お返しは必要なのか頭を悩ませるが、彼女を気象予報士の試験に合格させることが何よりだと問題集に目を通した(これが初めての)

2024-02-13 20:29:13
サクラ @same_to_otenki

140字におさまりきらなかったので。 pic.twitter.com/EOZhwGoKCv

2024-02-13 11:10:14
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サクラ @same_to_otenki

続々と返礼品が届き足の踏み場もなくなり始めたのでみちおに怒る坂間さん「ちょっといくらなんでも限度があるでしょう!」「ごめんごめん。そんなに怒らないで。これでも食べて機嫌なおして」返礼品から取り出されたのは高級そうなチョコレート「なんですかこれは?」「さあ?」(僕からの返礼品です)

2024-02-12 21:25:54
サクラ @same_to_otenki

「もうすぐバレンタインやしstmくんあれ歌って!あれ!」「あれってなんですか?」拒否されなかったのでいそいそと曲を入れるkj。流れ始めたのは中学生は絶対に知らないだろう昭和の歌謡曲。直球なタイトルに「こんなん知らんわ!」と逆ギレするstmくんの少し紅に染まる頬を見て微笑むkj(シャララ!)

2024-02-12 18:09:23
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まとめたひと
サクラ @same_to_otenki

ドラマに騒いだりしたい人。西武蔵野市と気仙沼と鴨ヶ谷を行ったり来たり書いたり。