元ツィート
THUNDERBOLTED-off
2020/08/24(月)【1/3】https://twitter.com/tsuiyotsuitaro/status/1297823456243798022
2020/08/26(水)【2/3】https://twitter.com/tsuiyotsuitaro/status/1298432853533814785
2020/08/28(金)【3/3】https://twitter.com/tsuiyotsuitaro/status/1299273881056763906
CM
ID:INVADED イド:インヴェイデッド
2020年冬アニメ
監督・あおきえい×脚本・舞城王太郎
https://ch.nicovideo.jp/id-invaded(ニコニコチャンネル・コメントOFF推奨)
https://gyao.yahoo.co.jp/store/title/204711(GYAO!)
第一話無料公開中(2020.09.17時点)
ID:INVADED イド:インヴェイデッド #BRAKE-BROKEN
ヤングエース連載中
漫画・小玉有起×原作・舞城王太郎
https://seiga.nicovideo.jp/comic/45740(ニコニコ漫画・アカウント必要)
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_KS02201410010000_68/(コミックウォーカー)
第一話・最新話無料公開中(2020.09.17時点)
イドの世界が君を待ち受ける
月曜日分(1/3)
小説版『龍の歯医者』準備中。
#idinvaded #イド #イドインヴェイデッド #VSvirus #第6話 #第7話 #ATX #月曜夜18時から #水曜朝10時から #金曜深夜26時から #IDOFF #スピンオフのようなもの #世界観の繋がり不明 #THUNDERBOLTEDoff #月曜は最初の三分の一 #非公式 『THUNDERBOLTED-off』
2020-08-24 18:09:59積乱雲と呼ばれていた女の子がいて、その子が中一の時点で180センチ近い長身でバカな男子がそれをからかったりして怒るのが落雷っぽく迫力があったのでそんなあだ名になったのだが、
2020-08-24 18:10:44女子をそんなふうに呼ぶのはちょっと失礼というかいくら僕が同じくらいバカでも品性がなさすぎるような気がして使わなかったのだけれど、白碑将美って妙にうまくあだ名をつける奴も同じ意見で、
2020-08-24 18:10:57積乱雲を表す学術記号らしいのだが、僕らが中学生だったこともあってもうその瞬間からそれいいですねとなったし本人も 「あ、それはちょっとカッコいいでありやわ」 と言ったので皆にもあっという間に浸透したし、
2020-08-24 18:11:30本人は『Cb』をモチーフにしたグッズとかTシャツを自分で身につけていた。そんなふうにデザインを作るのが好きな女子が友達にいたのだ。その子はシービーにしかそんなサーヴィスをしなかったけど。シービーはちょっとかっこいい女の子だったので女子にもモテていた。
2020-08-24 18:11:45シービーは勉強もまあまあできるしスポーツはちょっと異次元だし顔も整ってるので電車に乗って他の学校の子が男子も女子も見に来たりするようなマンガかよ、みたいな主人公人生っぽかった。
2020-08-24 18:11:59バレーボールの夏の大会でいきなり県体で優勝に貢献したとか言っていよいよ特別感凄くてシービーマジで上昇気流、びゅうびゅうと実際に風が吹き込んでるみたいだった。 すげえなあ、とは思うし、一年のうちは割と男女の隔てなく接してくるシービーに話しかけられて少し喋ったこともあるし
2020-08-24 18:12:20仲良くなれそうな予感もしたけれど全然そんなどころじゃなくなってシービーのきらびやかな物語のスジについていけなくなったのは石の世話があったからだ。
2020-08-24 18:12:36石、というのは見た目はもう全然普通完全な石で、僕が4歳のときに家の近くの星の川の河原で拾ってきたらしいのだが、憶えていないし、ちょうどお掃除ロボットくらいの大きさの平たくて丸い石なのだが二十キロくらいあるので4歳の僕が持って運べたのかよ、
2020-08-24 18:13:00って疑わしいのだが、ともかく僕の家にあって、ばあちゃんがこれは神様のいる石だ、と言うのである。 実際ちょっと本当には普通の石とは違う。
2020-08-24 18:13:14トイレから出たら暗い廊下にあったり寝てる間に胸の上に乗っていてものすごく重かったり学校に来たり旅行先にも現れたりして僕も家族も最初は怖くて何度も捨てたのだけれど必ず戻ってきた。車で遠くに行って捨てて帰ったらとっくに家にあったりして、もう笑うしかなかった。
2020-08-24 18:13:46お兄ちゃんが 「あははなんか不思議さが堂々としてるなあ」 と言って、その通りだった。もう少し何か神様っぽい何かがあれば僕も厳かな気持ちで向き合えたと思うのだけれど、その佇まいはまるで僕と同い年の子がいるみたいだった。
2020-08-24 18:14:01ちなみに神社にもお寺にも石を持ち込んで見てもらったのだけれど、そのときにはその石はシーンとして石らしく振る舞って人騒がせな家族みたいになってしまうし、証拠を掴もうとビデオで撮りながら神社に置いて帰ったが、やはり石は帰宅していて、
2020-08-24 18:14:19で、ビデオに写っているのはその石を持ち上げて持ち帰る《4歳くらいの僕》なのだった。不思議は記録されているが、その不思議を理解するのは僕ら家族だけだった。 それから皆が面倒になって石の世話は僕の仕事になった。
2020-08-24 18:14:35「最初っからあんたが拾ってきてあんたのこと追いかけまわしてるんやで、あんたがやるしかないわな」 とお母さんも言った。5歳児に。
2020-08-24 18:14:49で、じゃあ世話というのはどういうことかというと、最初はおばあちゃんが提案したように墓石みたいに水をかけたり花を供えたりしてみたのだけれどそれは全く気にいられなかったみたいだった。
2020-08-24 18:15:03それで歌を歌ったり話を聞かせたり一緒に寝たりすると喜ぶところを見ると、じゃあペットと同じように可愛がればいいのかなと思っていたのだが、お父さんに食卓にまで石があるのはどうなんだ、
2020-08-24 18:15:37しつけをしろと言われ、犬みたいにグッと床に押さえて 「部屋に居ね」 とやったら目を離した隙にお父さんの車のボンネットの上に移動して盛大に凹みを作った。
2020-08-24 18:15:52悲鳴を上げるお父さんの横で僕は理解した。 お父さんが僕に言いつけた内容を理解して反撃したのだ。 よりもずっと高い知性がある。
2020-08-24 18:16:21家族にもそう宣言する。 「それでいいわ。それやったわ」 とお父さんが力なく言って僕はまた少し笑う。床の石も得意げな顔をしてるような気がする。
2020-08-24 18:16:54それから保育所に行くときに 「いってきます」 と声をかけておくと保育所の庭には来るけれど建物の中には入ってこなかったし、帰りに
2020-08-24 18:17:05「後でな」 みたいに言っておくと家にたどり着いたときに玄関の脇にちょんとあってなんだか機嫌がよさそうに見えるくらいで、凄く扱いやすくなった。
2020-08-24 18:17:26でも小学校に入って僕も成長して周囲でいろいろ起こるようになると問題も大きくなる。 まず僕をいじめようとした子を石が成敗するようになる。
2020-08-24 18:17:42と言ってもその子の自宅の屋根に乗っかるくらいなのだが、その風情が凄く怖いみたいだし、僕と石の話は知ってる人が多いのですぐに家族揃って謝りに来たりする。田舎だから信仰深いのか、神様的な話が重いのだ。
2020-08-24 18:17:59そういう話を聞いても面白がって僕をからかおうとする子は結構しつこくいて、屋根に乗ってた石はその子のランドセルから登場してびっくりさせたり寝てる枕と入れ替わったりして夜中に仰天させたりして、石の大活躍に僕も楽しいけど、やりすぎかなと思わないでもない。
2020-08-24 18:18:20そうなると公園や校庭で石を従えてるときの僕の言うことが一方的に通り始めたりするようになり、やがて僕と遊んでくれる子が減り始める。触らぬ神に祟りなし、って感じに僕自身がなってしまうのだ。
2020-08-24 18:18:48けどこれは誰も悪くないと思う。 自然だ。 とは言え僕は寂しいのでじゃあ学校の同じ学年の子は諦めてお兄ちゃんの友達に入れてもらおうとする。 お兄ちゃんも気を遣ってくれたのだけれど、石がやっぱりついてきて、皆が離れていく。
2020-08-24 18:19:53ちょっと離れた町の野球部に入れてもらったときには石のことを知らない人ばかりでしばらくは楽しくやってられるが、するとそこにはいじめっ子気質の子がやはりいて、僕はいじめられ、
2020-08-24 18:20:21石が屋根に行き、こちらがどれだけ説明してもその石の意味が理解できないからいじめが長引き、石の成敗もエスカレートして、結局石の話が広まってチームの皆が引いていく。
2020-08-24 18:20:39「まだ他にもチームあるけど」 とお父さんが言うけれど、やめておく。僕はいじめられやすいのかもしれないし、だとすると同じパターンが繰り返されるだけだろうし、想像するだに面倒だ。
2020-08-24 18:21:33で、同世代の子とスポーツができないなら運動はジョギングでも何でも個人ですることにして、家庭教師をつけてもらう。大人なら僕をいじめたりしないだろうということで。
2020-08-24 18:21:47お父さんの知り合いのつてで隣町の女子大生に車で通ってきてもらっていたのだが、その人が盗癖があったらしくて僕の文房具が減っていき、その人の車の屋根が凹み始める。シャーペンや絵具など、細かいものがなくなってることに僕がしばらく気づいていないため、
2020-08-24 18:22:49どうして石がそのお姉さんを攻撃しているのかさっぱりわからなかったしお母さんがそのお姉さんに石の話をして心当たりがないかと聞いてもらったが首を振るばかりなので時間がかかってしまった。
2020-08-24 18:23:03結局お姉さんが盗品をビニール袋に入れてうちに返してきて 「どうして何も言ってくれん石なんかに私を責めさせるんよ。私、人に怒られたかった。神様なんかに怒られたくなかった」 と泣かれて困ってしまった。
2020-08-24 18:23:18そして確かにショックかもしれないなと思った。神様というのは大きな人の集団に罰を与えたりはするかもしれなけど、誰か一人を叱りつけたりはしないものだろう。
2020-08-24 18:23:36いやそもそもばあちゃんが神様だと言い出しただけで、僕の感覚としては全くそんなふうに感じられないし、神様なんかじゃないと皆に分かってもらうほうがいいんじゃないかなと思って周りの人にはできるだけそう言うのだけれど、これもなかなか伝わらない。
2020-08-24 18:23:51一度お兄ちゃんが 「ほしたら、この石は神様でなくて、お化けやって説明したら?勝手に動く石なんて神様かお化けしか理由にならんやろ」 と言うが、しかしそれは僕が嫌なのだった。
2020-08-24 18:24:06神様で逃げてった人がお化けで戻ってくるはずもないだろうし、そもそもその石はもうずっと僕の友達や兄弟として付き合っていたのだ。その相手をお化けみたいだなどと言いたくなかった。
2020-08-24 18:24:26ならしょうがない。 僕と僕の石はそっと皆から緩やかな隔離をされた状態で暮らすしかなかった。学校に行けば話したり一緒に笑ったりする友達はいる。家族も仲良しだ。
2020-08-24 18:24:43でも僕のそばには石がいて、皆が石に気を遣っていた。 「でも石はあんたに気を遣ってくれんのやな」 と言ったのがシービーで、僕も彼女も14歳の夏だった。
2020-08-24 18:24:57