『2.5次元の誘惑』は既刊03巻 or 08巻までまとめ読みするのが良いかもという話

tricken（手術後復帰チャレンジ中） @tricken

週末、友人の強い希望で『2.5次元の誘惑』（既刊01-10）を読んだ。第一話と期間無料限定の01巻までを読んで「自分に合うのかな」と思っていたけど、結論から言うと03巻,08巻の2つのヤマで堅調に作品としての格が上がってゆき、08-10巻に至っては好感を持って読めるようになった。

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絵があまりにうますぎることと、コスプレを扱う文脈上どうしても女性の半裸が増えること（ゆえにソフトポルノ的な消費を誘うこと）が合うかどうか迷う原因だったんだけど、03巻以降はそうした「いかがわしさ」を含むオタク趣味とオタク自身がどう向き合ってゆくかを複数の立場から描くようになった。

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オタク趣味って受け入れらてきてもいるよね〜、という文脈から描かれるフィクションが増える中、『電車男』以前のオタクのスティグマや、そのスティグマ込みでのアイデンティティと改めて向き合える領域として「ソフトポルノ領域に踏み込んでまで取り組むコスプレ」が扱われていると受け止めた。

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また主人公の奥村くんは仲間が増えるたび『いちご100%』の主人公みたいなハーレム主人公になっていくのだけれども、彼が仲間のコスプレ半裸に対して好色になると作品として破綻する故に「3次元に興味がない」という特性が毎度発揮される結果、『サクラ大戦』初期の大神一郎みたいな風格を得てきている

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ノノアがメギドのアクィエルみたいな処理のされ方をし始めているなとか、巻末漫画でなぜか『付き合ってあげてもいいかな』が始まってることとか、ワンパンマンとホーリーランドと喧嘩商売を同時にするなとか、あのジャンプラのフィジーク回は何だったんだとか色々話せる小ネタはあるけど。

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あとは、「（オタクスティグマに、内面だけではなく社会との交渉の中で苦しむ一方で）オタクアイデンティティに突き動かされて習得できる何か、については明るく描いていること」であったり、「単なる胸大小ではなく体型のトータルな傾向でも女性の身体言説を扱っており、進んでいること」などは褒め所

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10巻最後の方で、それまでの作中の絵柄からは予測がつかなかったような、平野耕太作品における首魁格みたいな細目ギザ歯の成人女性が登場したのもひとつ驚きポイントだった。

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無料公開ぶんまでだと、自分のように「wellmadeなのはわかるけど、恥ずかしさの方が勝る」人も多いと思うけど、「オタクというスティグマ」と向かい合う作品として節目がある03巻or08巻まで、ひとまず読んでみて相性判断をするとよいのかな、と思っている。自分は3-4巻あたりでだいぶ好転しました。

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面白そう！　と思った人は01-03巻あたりまでまずは一気買いしたらいいと思います。amzn.to/3jbkbuP

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1話ないし1巻だけ読んで止めるのはおすすめしない。せめて2巻の即売会初参加篇の終わりまでは読み進めないとちょっと評価しづらいはず。