18-1 買い出しから戻って来ない奈々未を探すため 周辺を歩き回って約15分 見つけるどころか、居そうな雰囲気もなかった 〇〇) (マジでどこに行った?) これまでにも迷ったことはあるが その時は必ず地図で検索してから戻って来るし、第一声は必ず「迷ってないから」と言って必ず認めない性格
2023-10-19 21:41:0018-2 奈々未がここまで帰って来ないとなれば不安になって仕方がなかった 〇〇) ここまで見つからないなら…まだスーパーにいるのか? 最後はそこに望みを掛けて歩き出した … (一方で奈々未は) XX) 相変わらず奈々未は良い女だな。顔と良い、スタイルと良い…さすが俺が見込んだ最高の女だな
2023-10-19 21:41:0118-3 橋) アンタに…何も褒められる筋合いはない XX) そのツンツンした雰囲気もまだ健在のようだな。何も変わってなくて安心したよ…ハハハハ笑 橋) うるさい 目の前には最も見たく無い顔 この世で1番会いたく無い人 これまでの全ての恐怖で動けなくなってしまった
2023-10-19 21:41:0218-4 橋) (まいやんお願い。早く来て) XX) それでお前は何してるんだ?そんなでっかい荷物なんか持って 橋) どこだって良いでしょ。アンタには関係ない XX) なら俺様と静かな場所で話そうぜ。昔話にでも花を咲かせたいからな 橋) 誰が行くか…テメェなんかと
2023-10-19 21:41:0218-5 呼吸が荒くなり、言葉使いも乱れながらただひたすらまいやんから連絡が来るのを願っていた しかし、時間が経つにつれて〇〇が探しにきてしまう恐れが高くなり続ける やっと〇〇も落ち着いた日々を過ごせてたのに これだと3年前に戻ってしまう どうにかしないと でも何が出来るの
2023-10-19 21:41:0318-6 まいやんお願い…まいやん…まいやん XX) 俺はもう自由になったからな。しかし俺様は暇なんだよ。ちょっとくらい俺様の相手してくれたって良いだろ奈々未 橋) 黙れ。私の名前を軽々と呼ばないで XX) 元カノの名前呼ぶくらい別に問題無いだろ 橋) 人殺しのアンタなんかが軽々言うな
2023-10-19 21:41:0318-7 XX) ハハハハ笑笑…なるほど、そう呼ぶのか。っていうか随分と口悪くなってねか?何か相当偉くなりましたね俺様の彼女さんは…笑 橋)無闇に恨んで、苦しめさせて、最後には人を殺めた。アンタが最低な人間だらかでしょ。そんなテメェの彼女ではない XX) 笑わせてくれるわ…笑笑 橋) うるせぇ
2023-10-19 21:41:0418-8 しかしこの状況で感情が制御できるほど冷静になることはほぼ無理となっていた 橋) もうアンタと関わってる暇は無いから ようやく膠着から解放された脚が動きだしてその場を去ろうとした しかし XX) おっと…まだ気が早ぇぞ、会話の途中だ 腕を掴んで奈々未を止める
2023-10-19 21:41:0518-9 橋) 何がよ、私に触らないでくれる XX) まだまだ奈々未には用があるんだ 動けなくなってしまった … … 〇〇) プルルル📱 白) ななみん電話出ない? 〇〇) うん 白) おかしいな。どこいっちゃったのかな。でももう少し探してみよう その頃、奈々未を探してた〇〇は麻衣と合流していた
2023-10-19 21:41:0518-10 数分前のこと 麻衣が乗った車が信号で停止してた時に〇〇が偶然にも横断歩道を渡ったため2人は合流 麻衣に事情を話すと一緒に探してくれることになり、今に至る 白) 本当にどこ行っちゃったのかな? 〇〇) 俺もそれ聞きたい 白) だよね 行方が分からないのことが少しずつ不安へと変わる
2023-10-19 21:41:0618-11 〇〇) 麻衣は奈々未と連絡してたの? 白) 仕事が終わって、喫茶店に向かってることを伝えたよ 〇〇) それで奈々未も買い物してる途中だったってことか 白) だから私が到着する頃にはとっくにご飯の支度に取り掛かってる頃だと思ってたの 〇〇) そうだったんだ
2023-10-19 21:41:0718-12 白) でも時間的に遠くにいないはずだからもう少し探そう 〇〇) そうだな 一緒に歩き続けた しかし 運命とは残酷なもの 一度背負えば逃げることは許されない 自ら向き合う以外選択肢は与えられず 逃げることが許されない それが、3人の関係を壊すために襲いかかる
2023-10-19 21:41:0718-13 白) あっ、いたいた。あれななみんじゃん 〇〇)どこ? 白) ほら…道の反対側の路地に 麻衣の指差す先に奈々未の姿が 〇〇) 本当だ、こんなところにいたんだ 白) おーいななみん 麻衣の呼びかけに応じなかった ようやく声が届く距離に近づいたかと思っても奈々未は振り向かない
2023-10-19 21:41:0918-14 聞こえてない? そんなことないはずだがもう少し近づく しかしそこにいた奈々未とそこにあった光景は 想像を絶するものだった … もしかしたら悪魔は本当に存在しているのかもしれない 奈々未は〇〇と麻衣に背中を向けたまま微動だにせず立ち尽くしてた 白) ななみ~ん…って…
2023-10-19 21:41:0918-15 XX) お~誰かと思えば麻衣じゃねぇか 白) お前… XX) まさか2人勢揃いとはな。俺も運が変わり始めてるのかもしれねぇな。ハハハハ笑 〇〇) …バタッン 動きが急におぼつかなくなるとそのまま地面に叩きつけるように倒れ込む 白) ぎゃぁ! 橋) 〇〇! 突然のことに困惑する奈々未と麻衣
2023-10-19 21:41:1018-16 暗くなる視線に写るのは駆け寄る2人の人影 顔はハッキリ見えない でも麻衣と奈々未で間違いないだろう 小さくなる2人の声を掻き消す勢いの野太い悪魔の囁きが心に釘を打ち込む 〇〇の記憶もここで途絶えた
2023-10-19 21:41:1118-17 XX) ふっ笑…何やってんだコイツ。まだ生きてたのか。相変わらずクソなのは変わってないな それだけを言い残すとその場から消えた … 〇〇) … 目の前が薄っすらと霞んで見える 遮られてる視界の中から脳が把握したのは誰かの声 そしてその声が…こっちに話しかけられている 〇〇) …
2023-10-19 21:41:1118-18 橋) 〇〇…〇〇! 〇〇) … 目元が薄っすら動くのを確認するとすぐさま駆け寄ってくる人影 橋) 〇〇… 〇〇) … 橋) 分かる?奈々未だよ 〇〇) な…な…み…? 橋) そうだよ。私ここにいるよ ギュ🤝 〇〇の手を握ってそのまま自分の方へ 〇〇) ここは?…今…どこ? 橋) ここは病院
2023-10-19 21:41:1218-19 〇〇) 病院… 橋) うん 〇〇) そうか…俺はあの時…いたたたた 起きあがろうとしたら強い痛みに襲われる 橋) 〇〇大丈夫? 〇〇) いたた…痛い 橋) 倒れた時に強い衝撃で地面に叩き付けたから、それがあるかも 〇〇) そうだったんだ…
2023-10-19 21:41:1218-20 橋) だから今は無理して動いたらダメだよ 〇〇) うん 橋) 看護師さん呼んで、後にまいやんに連絡してくるから…ちょっと待っててね そういえば…麻衣はその場のいなかったことに気づく どこにいるのか気になるところだが 体が痛くてそれどころじゃなかった
2023-10-19 21:41:1318-21 しかし奈々未の背後に見覚えのある男性が1人いたことに全く気付いてなかった 〇〇) 設楽さん… 設) 相当痛そうだな 〇〇) めちゃくちゃ痛いです 設) それなら今は無理するな。大人しくしてなさい 〇〇) はい 設) 話はあの2人から全て聞かせてもらったよ 〇〇) そう…ですか…
2023-10-19 21:41:1418-22 設) 突然だったと聞いたけど、まさかあの場面で起こり得るとは思わなかった。だから守りきれなくて申し訳ない 〇〇) 謝らないでください 設) 警察として人を守る任務を全う出来なかった。これは俺が警部としてまだまだ未熟な証だ 設) でも…無事で何よりだよ ベッド横にある椅子に腰掛ける
2023-10-19 21:41:1418-23 設) そこでだけど、さっきまで橋本さんと今後のことについて話したんだ 〇〇) はい 設) 結論から言うと、しばらくは橋本さんの家に住んでもらうことにする。隣だからさほど問題はないと思うし、ご両親もその方が安心するだろう 〇〇) 分かりました
2023-10-19 21:41:1518-24 設) 橋本さんもそれを承諾してもらったから、しばらくお世話になりなさい 〇〇) はい そうしてるうちに奈々未が戻って来た 橋) まいやんに伝えてきて、すぐにここへ向かうって 〇〇) うん 設) 今ちょうど彼に今後のことを伝えてたところです…
2023-10-19 21:41:1618-25 橋) あ〇〇が私の家に来ることですね。その方が良いよね…〇〇 〇〇) そうだね 設) そろそろ僕は任務に戻らせてもらうから、しばらくゆっくりしておけよ 〇〇) ありがとうございます 橋) ありがとうございます 設) あ…そうだ1つ言い忘れてた… ドア側で振り返った
2023-10-19 21:41:1718-26 設) 俺の話しなんだけど、2人は俺に娘がいること覚えているか? 〇〇) はい 橋) 覚えてます 設) 実は最近、娘が3人に会いたいって言うこと聞いてくれないんだよ、だから会って遊んでもらえるか? 橋) もちろんですよ 〇〇) はい 設) ありがとう。それじゃ日程は後で連絡する
2023-10-19 21:56:3818-27 〇〇) 分かりました 橋) ありがとうございました 設) (このまま進むと彼の心が破壊されるのは時間の問題。手遅れになってしまう前に早く手を打たないとな) 設楽さんの娘さん 数年前の例の事件で心がボロボロだった頃に少しだけ会ったことある
2023-10-19 21:56:3818-29 数日後、退院することが出来て 麻衣と奈々未が揃って迎えに来てくれた 白) 早く退院出来てよかったね 〇〇) なんとかんね 白) それじゃ戻ろうか 〇〇) うん 橋) でも本当に大丈夫なの?目を覚ました直後は凄く痛そうにしてたけど…
2023-10-19 21:56:4018-30 〇〇) 思いのほか怪我が軽かったから問題ないよ。骨も折れてなかったし 橋) ならよかったけど… 〇〇) うん 橋) でもしばらくは休んでなさいよ 〇〇) 分かった 橋) 私が世話してあげるから、その間は大人しく過ごしてなさい
2023-10-19 21:56:4018-31 白) (ななみんも本当は辛いはずなのに、それを見せない…いや…見せられないのは心が痛む) 問題は〇〇の怪我ではないのは全員分かってる ただ…切り出せなかった 3人は家に近づくがここで変化が… 〇〇) …ハァ…ハァ…ハァ…ハァ 辛い…心が痛い…汗が止まらない 橋) 〇〇? 白) 〇〇?
2023-10-19 21:56:4118-32 〇〇) …ハァ…ハァ 呼吸が荒くなり 心拍数も音として聞こえてくるほど大きくなる 蘇る過去の記憶の数々が冷静さを失われてていきそうだ 白) …ギュ そんな時、麻衣が腕を掴んでくれる 白) 大丈夫だから。私たちがずっと隣にいるから 〇〇) う…うん すると奈々未も… 橋) 私もいるよ
2023-10-19 21:56:4118-33 〇〇) 奈々未…ありがとう 2人に支えられてながら、やがて家に到着した 橋母) ようこそ。麻衣ちゃんもいらっしゃい 〇〇) お世話になります 白) こんにちは 橋父) ようこそ〇〇くん、これからは自分の家だと思って自由にくつろいで良いからな 〇〇) ありがとうございます
2023-10-19 21:56:4218-34 そして夜も更けた時間帯 橋父) そこでなんだが… 奈々未のお父さんが真剣な眼差しでソファーに座るように仕向けた 橋父) 来て早々にだけど、〇〇くんに話しておきたいことがある 〇〇) は…はい? 少し怖い気配を感じたが 奈々未のお父さんだから不安は無かった
2023-10-19 21:56:4218-35 橋父) これは奈々未、そしてお母さんの家族で話したことなのだけど…しばらくは1人で行動するのをやめるべきだと思う 〇〇) はい…そうですね 橋父) 当然と言えば当然だけど、奈々未か麻衣ちゃんと一緒にいなさい。そこはこれまで通り何も変わらないから心配ないだろ 〇〇) 分かりました
2023-10-19 21:56:4318-36 橋父) それは昼間の時間だけではなく、寝る時間もそうしてもらいたい 〇〇) 寝る時間? 橋父) そう。だから今日から〇〇くんは奈々未の部屋で寝てもらうことにする 〇〇) え、奈々未の部屋…でも…ですが… 橋父) なんだね?心配でもあるか? 〇〇) 一応こんな僕ですが…男…ですよ
2023-10-19 21:56:4418-37 橋父) そうかもしれないけど、今は気にしてる場合ではないだろ 〇〇) わ…分かりました 橋父) それに君たちは何年の付き合いになるんだ。大学生になっても〇〇くんの家に泊まってるくらいだから今更止める訳ないだろ 〇〇) そう…ですか
2023-10-19 21:56:4418-38 橋父) 奈々未の父である僕が言ってるんだ、だからこれからしばらくの間は奈々未の部屋でゆっくり寝なさい 〇〇) ありがとうございます 橋父) さて、今日はもう夜が遅いからゆっくりしてなさい 〇〇) はい。おやすみなさい そのまま奈々未の部屋へ向かった 橋) どうぞ 〇〇) 失礼します
2023-10-19 21:56:4518-39 奈々未は部屋着姿で部屋を片付けていた 部屋へ入り、ゆっくりドアを閉めた瞬間だった ギュ~ 〇〇) !!! 橋) ごめん。本当にごめん 〇〇) 奈々未… 腕を強く背中に回して来た奈々未は抱きついたまま離れなくなった 橋) 〇〇… pic.twitter.com/A2nYTe1sA1
2023-10-19 21:56:4518-40 顔を離して自分の顔を見上げたと思ったらなんと目が真っ赤に染まっていた 大粒の涙が溢れ出てくるその瞳は これまで張り詰めていた糸が一気に切れた瞬間だったのかもしれない 橋) 私は〇〇を必ず守るって誓っていたのに、いざとなったら私は何も出来なかった 〇〇) 別に謝ることじゃ…
2023-10-19 21:56:4618-41 橋) ううん、私が悪いの。いざ肝心な時になったら私は何も出来なかった 〇〇) 奈々未… 橋) 失格だよ 〇〇) いや…違う 責任感が強いのか? 出る言葉は全て謝りの言葉ばかりだった 〇〇) 奈々未…謝るのは僕のほうだよ 橋) 〇〇が?それは違う
2023-10-19 21:56:4618-42 〇〇) だってここまで迷惑をかけてしまってるんだよ。昔から僕を知ってるだけの理由で、奈々未の両親まで巻き込んでしまった 橋) そんなことないよ…迷惑だなんて思ってないよ 〇〇) だから…本当に申し訳ない 橋) 〇〇… ギュ~ 奈々未はもう一度ハグしてきた
2023-10-19 21:56:4718-43 それを感じ取ると自分も抱きしめる 橋) お願い〇〇。今回は私が悪いの。だからもうそんなこと言わないで。謝り続けることだけはしないで 〇〇) … 橋) それに私は〇〇と幼馴染みだからの理由でここに一緒に居る訳じゃないの…〇〇が思う以上に私とまいやんにとってアンタは大切な人なの
2023-10-19 21:56:4818-44 橋) それだけは理解して 〇〇) 大切な人 橋) だから失いたくないし、居なくなってほしくもない。これまでも、そしてこれからも〇〇は… 「私たちにとってずっと特別な存在だからね」 〇〇) 奈々未…ありがとう 橋) うん この時の奈々未の表情は3年前に親が亡くなった時の夜と重なり合った
2023-10-19 21:56:4818-45 まさにあの時のように 心の拠り所として優しく包み込んでくれる 橋) 今夜は一緒に寝るよ 〇〇) うん 奈々未は布団を捲るとそのまま入るように誘導した 普段なら奈々未と麻衣に女慣れしてないことを揶揄われる流れだが そんなこと考える心の余裕がなくそのまま壁側に入った
2023-10-19 21:56:4918-46 橋) 〇〇お休み 〇〇) おやすみ… … そう簡単に寝ることは出来なかった 隣に奈々未がいるにも関わらず心が落ち着かないと同時に、胃が重たく感じる 寝返りを打っても効果はないし、心も安らがない すると奈々未がその瞬間 ギュ 布団の中でそっと手を握ってきた
2023-10-19 21:56:4918-47 柔らかく、程よく温かい温度で優しく包んでくれる 橋) 〇〇… 気がついたらこっちを向きながら話しかけていた 橋) 大丈夫?もしかして寝れない? 〇〇) まあ…うん 橋) そうか…それなら… すると奈々未は布団を捲り腕を広げる 橋) …おいで… 〇〇) え… 橋) だから、こっちおいで
2023-10-19 21:56:5018-48 〇〇) でも… 橋) ほら私はいいから、こうしたらゆっくり寝れるよ 奈々未は腕の中に入るように誘導される 自分はまだ冷静に考える余裕はないため、そのまま奈々未の腕の中へ吸い込まれいった いわゆる逆腕枕?の状態になった 橋) どう?これで暖かいでしょう
2023-10-19 21:56:5018-49 〇〇) う…うん…でも 奈々未の肩から腕にかけて頭を置くと自然と抱き合う状況になっていた もちろん顔に柔らかい何かの感触がしてるのに気づいているが、それがなぜか不思議と寝心地の良さに直結されていた 橋) なに? 〇〇はこの状況を分かっていた
2023-10-19 21:56:51